講学 政策法務

政策法務、地方自治、司法、事件、そして四方山話。硬い話、時たま、柔らかい話。
Author:Z-Berg

マンション不在所有者の管理費割増負担

マンション管理費、住まない所有者へ増額認める 最高裁
 分譲マンションの管理組合費の額をめぐり、部屋を持ちながら自らは住んでいない「不在所有者」には「居住所有者」より額を上乗せして払わせていいかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(堀籠幸男裁判長)は26日、「上乗せは許される」との判断を示した。管理組合の役員を務めない不在所有者と居住所有者との不公平感を和らげる手段として認めた。最高裁がこうした判断を示したのは初めて。
 訴訟の舞台となったのは、1970年前後に分譲された大阪市北区のマンション(868戸)。年々、所有者が住まない部屋が増え、2004年ごろには約170戸に上った。居住所有者から不満が出るようになり、管理組合は同年3月の総会で不在所有者だけから「協力金」を取ることを決めた。第三者に部屋を貸している一部の不在所有者が拒否したことから、組合側が支払いを求めて提訴した。
 このマンションの管理組合費は月額1万7500円(一般管理費8500円、修繕積立金9千円)で、訴訟ではこれに月額2500円を上乗せできるかが争われた。
 第三小法廷は「居住所有者だけが組合の役員となってマンションの保守管理に努め、不在所有者はその利益のみを享受していた」と指摘。「管理組合の業務や費用は本来、組合員が平等に負担すべきだ」と言及し、金銭的負担で不公平の是正をはかることは合理的だと認めた。
 そのうえで、上乗せ額が管理組合費の15%と、さほど高額でないことや、大半の不在所有者が支払いに同意していることなどを考慮。「不在所有者ががまんすべき限度を超えているとはいえない」と結論づけ、支払っていない不在所有者側に未払い分を納めるよう命じた。


 朝日新聞27日付記事からです。すでに最高裁HPに判例はアップロードされています。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030
 どんなマンションでも、管理組合の運営に悩まされるのは共通のようです。いろいろな意見を持つ居住者たちと話し合いをして、管理組合の集会(総会)で決議するということは、会議運営に慣れていない人にすれば、ストレスがたまります。そういう負担を免れている不在所有者に対して、管理費の割増を行うのは合理的だと思います。
 マンションを購入した友人などに管理組合や管理費、修繕積立金のことを尋ねても、無頓着なのが多いです。管理組合の運営は、文字どおりマンション全体の管理、管理費の経理、長期的改修計画にもとづく修繕積立金の徴収と、管理会社に委託したとしても、かなり責任が重大です。
 そのため、マンション管理組合の役員は、居住者が輪番制でなるところが多いようです。これを見計らって、自分が管理組合の役員になる間近になると、近くの別宅に転居を繰り返す所有者などもいます。そういう人は、ストレスのかかる管理組合役員はやりたくない人、あるいは、プライドが高く、たかが管理組合のために他の居住者に頭を下げてお願いするようなことは我慢ならないという人などに見られます。
 これで、不在所有者への管理費割増が法的に肯定されたことになります。今後、確実に導入するマンションが増えるでしょう。 
2010年01月27日

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阪神淡路大震災「15周年」はおかしい

阪神淡路大震災「15周年」の言葉に違和感
 17日に兵庫県などが主催した「1・17のつどい-阪神・淡路大震災15周年追悼式典」で、祝い事に使われる印象もある「周年」という言葉について、一部の参加者から「遺族感情にそぐわない」との疑問の声が出ている。これまでも毎年「周年」を使っている県は「周忌と同じ意味で、ほかの災害での式典にも使われている」と説明している。
震災の翌年から、県は式典や関連事業の名前などに「周年」を使ってきた。県防災企画課は「追悼の場に相いれない言葉ではない」とする。また、雲仙・普賢岳噴火災害や新潟県中越地震の追悼式、北海道南西沖地震の鎮魂行事でも「周年」が使われている。
 だが、一般的には「創業50周年」「結婚10周年」など祝い事に使う印象が強い。尼崎JR脱線事故では、追悼式典の名称に「周年」や「慰霊祭」を使うことに、一部の遺族が抵抗感を示し、JR西日本は年数の付かない「追悼慰霊式」とした。
 神戸市の式典は「震災15年追悼の集い」の名称で「周年」は使わない。04年に市の集いで遺族代表となった中島喜一さん(62)=同市=は「めでたいときの言葉の周年を使うのは『あり得ない』と、ずっと思っていた。遺族は言葉ひとつでも傷を深めることがある。私たちの目線では使わない言葉」と語った。


 神戸新聞23日付記事からです。
 遺族の方などにも見解の相違があるようですが、一般的には「周年」というのは、お祝い事に使うもので、未曾有の災害の犠牲になった方たちの追悼行事に用いる言葉ではないと思います。その辺りは、兵庫県職員たちの市民感覚の問題なのでしょう。「お子さんを亡くして15周年ですね」とは絶対に言わないですし、「結婚15周年」と言っても、「離婚15周年」とは言わないでしょう。仮に言ったら、非常識な人間として扱われます。
 県は「周忌と同じ意味で、ほかの災害での式典にも使われている」と説明しています。しかし、その感覚がどこかおかしいと誰も思わないのか、おかしいと思っていても兵庫県というところは、職員が意見を言うことができない組織体質なのでしょうか。たかが言葉一つですが、組織体質というものが見えてくるような気がします。
2010年01月24日

政教分離判断に新基準 最高裁大法廷判決

市有地に神社 違憲 砂川・政教分離訴訟 『一般人の評価』新基準
 北海道砂川市が神社の敷地として市有地を無償で使用させていることが、憲法の政教分離原則に反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は二十日、「特定の宗教を援助していると評価されてもやむを得ない」として違憲との判断を示した。その上で違憲状態を解消する方法について「撤去以外に現実的な手法があり得る」とし、この点を審理するよう札幌高裁に差し戻した。
 政教分離をめぐり最高裁は十一件の憲法判断を示しているが、違憲判断は愛媛玉ぐし料訴訟判決(一九九七年)以来、二件目。神社や寺院の関連施設には同様のケースも多いとみられ、国や自治体は対応を迫られそうだ。
 違憲判断が示されたのは、砂川市の「空知太(そらちぶと)神社」をめぐる訴訟で、原告は地元住民の谷内栄さん(79)と高橋政義さん(87)。神社の建物は町内会館と一体化しているが、判決は「建物は神道の神社の施設にあたり、行われている祭事なども宗教的な行事だ」と指摘。「一般の人の目から見て特定の宗教に特別の便宜を供与し、援助していると評価されてもやむを得ない」とし、政教分離原則を定めた憲法二〇条や八九条に違反すると結論づけた。


 東京新聞21日付記事からです。最高裁というところは、ほんとうに忘れた頃に違憲判決をだします。最高裁HPでも、判例はアップロードされています。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030

 ほとんどの人はご存知かと思いますが、今までの政教分離訴訟の判決は、津地鎮祭訴訟(最高裁昭和52.7.13)で示された「目的効果基準」が踏襲されてきました。行為の目的や効果が社会通念上、認められる範囲にあるかどうかを判断するという基準です。
 しかし、今回の判決は目的効果基準を使いませんでした。市有地の無償提供が、宗教団体への公金支出などを禁じた憲法八九条に違反するかについて「宗教施設の性格や無償提供の経緯、一般人の認識などの諸般の事情を考慮し、総合的に判断すべきだ」とする新たな基準を提示したことで、注目されています。目的効果基準では判断できない事案については、今後、この基準に即して判決がなされることになるでしょうね。

 最高裁は、違憲状態を解消する方法について「撤去以外に現実的な手法があり得る」とし、この点を審理するよう札幌高裁に差し戻しています。現実的な手法として、どのようなアイデアが出されるでしょうか。新しい司法のあり方が示される事案になるかもしれません。
2010年01月23日

司法試験に合格しているのに市役所職員?

飽和状態…都市部から地方へ 弁護士さん就活激化 滋賀・島根10年で登録倍増
 法曹人口の増加で弁護士の就職難が問題になるなか、都市部に集中していた弁護士登録に変化が起こり始めている。これまで弁護士が少なかった地方の増加率が高まり、滋賀や島根県の弁護士会員はこの10年間で2倍以上に。弁護士が1人もいなかった地域にも事務所ができるなど“弁護士過疎”が解消される地域もあるという。しかし、多くの弁護士会はすでに「飽和状態」で、毎年2千人規模で増え続けることへの危機感が高まっている。
 滋賀弁護士会によると、平成12年3月末の会員は42人だったが、新司法試験が始まった18年から急激に増加。昨年12月に新たに6人が登録して97人になった。これまで弁護士がいなかった北部の高島市や長浜市にも事務所が開設された。
 弁護士白書によると、このほかに釧路と島根県弁護士会で21年3月までの10年間で会員数が2倍以上に。中原淳一・滋賀弁護士会副会長は「10年前が少なすぎた」と話すが、「ここ数年で多くの事務所が新人を採用し、来年の就職は厳しい」と分析する。
 ただ、弁護士が増えても業務が増えるわけではなく、弁護士の就職難は地方でも顕在化しつつある。
 奈良弁護士会では昨年12月に弁護士登録する司法修習生が27人おり、約半数が奈良での登録を希望。しかし、採用する事務所が少なかったため登録をあきらめる人が多く、最終的な登録者は5人だったという。それでも会員数は135人になり、12年3月末の70人から2倍近くに増えた。
 仕事を求め、府県間の登録替えも急増中だ。京都弁護士会によると、大阪から京都への登録替えはかつて2、3人だったが、最近は年20人前後に。吉田誠司副会長は「大阪では競争が厳しく、独立するのにハードルが高いのでは」と話す。
 その大阪弁護士会は、会員数約3600人で西日本最大の規模。増加率こそ44・6%と滋賀や奈良に比べて緩やかだが、人数でみると年に200人前後増えている。昨年12月の登録では「前年並みの就職が確保できた」(同会)と胸をなで下ろすが、今年以降は不透明という。
 知り合いの事務所に間借りだけする「ノキ弁」(軒先弁護士)や事務所勤務を経ずに仕方なく独立開業する「ソクドク」(即独)といった言葉も定着しており、大阪弁護士会は今後、新人弁護士の支援にも力を入れるとしている。


 産経新聞18日付記事からです。
 弁護士受難の時代をこういう記事から読み取ることができます。実際、自治体には法曹資格を持つ職員もいます。先日も、超一流国立大学法科大学院を卒業し、一回で新司法試験に合格したAさんと話をする機会がありました。その人は司法修習生にならずに、政令市の職員になっています。私からすれば、「頭、おかしいんじゃないの?」と言いたくなったのですが、行政実務経験は無駄にならないという考えがあってのことだそうです。

 弁護士も就職難と言われている中で、そのAさんによれば、東京の大手渉外法律事務所に採用されれば、初任で年収1200万円だそうです。新任市職員としての年収はせいぜい300万円程度でしょう。もちろん、そんな大手事務所に採用される弁護士は、ほんの一握りですから、弁護士も格差社会の影響をモロに受けているのですね。Aさんも、いずれ近いうちに転身されるおつもりのようです。どういう分野でご活躍されるのでしょう。
2010年01月19日

自治基本条例は憲法違反?

 土曜日の夜、とある居酒屋で政策法務研究会のメンバーたちとの「政策法務談義」(?)の一幕です。

 Xさん:Z-Bergさん、県の政策法務研修を受けたことはありますか?
 私:いえ、ないです。県で、そんな研修あるんですか?
 Xさん:ええ、私、昨年、受けたんです。講師は東京のB学院大学准教授でした。女の先生です。
 私:へえ・・・内容は?
 Xさん:それが、かなりひどくて・・・自治基本条例は憲法違反だと主張されていました。憲法というのは、硬性であるべきところ、自治基本条例は、通常の多数決で廃止したり、改正できるからだという説明だったと思います。
 私:なるほどねえ・・・そんなに簡単に廃止や改正はできるものじゃないと思いますけどね。現場を知らない人なんですかね。
 Xさん:あの県の職員たちが政策法務に消極的なのは、こういう研修の影響もあるのかもしれませんね
 私:これはあくまで、個人的な意見ですが、あの県は、地方自治体ではないんですよ
 Xさん:ええ??どういうことですか?
 私:ひとことで言えば、国の手足。国が右だと言えば右を向き、左だと言えば左。歴代の知事は自治省、総務省からの天下り。副知事も同じ。国の意向に逆らわないように監視しているわけです。だから、政策法務なんていうのは、言語道断ということであり、自治基本条例が違憲だと職員たちを洗脳する。当然の帰結です。
 この会話を隣で聞いていたYさんが、口を挟んできました。
 Yさん:県に限らず、どの市も、上層部は法務を嫌う。私のところも同じだ。政策法務研修をやろうと言うと、人事から睨まれる。
 Xさん:しかし、なんで、そこまでして政策法務を嫌うのでしょうか?
 私:違法行為が発覚しても、抜本的な対策ではなく、場当たり的対応ばかりだし。本当に積極的にやろうとしている自治体は、少ないね。政令市レベルになると、コンプライアンスの専門部署を設置しているところもあるけど、コンプライアンスが組織全体に浸透しているかは疑問ですね。

 Xさん:ところで、Z-Bergさんの市は、自治基本条例は制定されているのですか?
 私:制定するどころか、検討もしていません。うちも政策法務は毛嫌いしていますしね。
 Xさん:じゃぁ、Z-Bergさんの職場はどういうところですか?
 私:うーん・・・かなり士気は低いですね。50代後半の職員が大半だから、新しいことに挑戦したり、従来のやり方を改革・改善しようとはしない。いろいろ提案したけど、すべてダメだったね。
 Xさん:事なかれ主義ってやつですね・・・
 私:それに近いね。法令違反こそは避けている。当然ですが、コンプライアンスではなく、保身のためです。問題なのは、同じ職員が何年も在籍し、しかも、同じ事務分担という状態が続いていることかな。当然、仕事はマンネリになる。だけど、管理職たちにすれば、ヘタに事務分担を変更し、慣れない仕事をさせてトラブルが増えれば、自分に跳ね返ってくる。だから回避しているね。私は、予算・決算、行政処分などの事務を担当しているけど、職場で最年長の職員は自分にも予算の仕事をさせろと言っていて、困っています。
 Yさん:なんで困るの?やらせりゃ、いいじゃないか
 私:その人、定年まで残り3年で、しかも数年前に技術職から事務職に職種変更した人なんですよね。技術屋上がりの職員には、事務の仕事ができないのが多いんです。技術屋というのは、資格を持っていることでプライドが高く、事務職をバカにしているところもあります。予算の仕事なんか簡単だと思っているから、タチが悪いんです。
 Xさん:それでも、その人、ヤル気があるんじゃないんですか?
 私:本当にそうなら、させていますよ。そんな人物じゃないから、到底任せられない。何か間違いがあれば、他人に責任をなすりつけるのは職場のメンバー全員が分かっているからね。新しいことを覚えられる年齢はとっくに過ぎていますし。
 Yさん:そんな職場じゃ、政策法務なんてできないなあ・・・
 私:特に、法の自主解釈なんて、絶対に許してもらえないですね。必ず、国・県に照会させられています。 
2010年01月18日

忌引休暇と残業代の不正取得

叔父・叔母を8回「死なせ」忌引…高校事務長免職
 神奈川県教育委員会は14日、うその申請で3年間に計8回、忌引を不正取得していたとして、同県立川崎高校(川崎市川崎区)の成海仁事務長(55)を懲戒免職処分にした。
 発表によると、成海事務長は2006年6月〜昨年8月に、自分の叔父・叔母を計4人、妻の叔母を計4人死んだことにし、計9日間の忌引を不正に取得した。また、横浜市内の県庁などに出向いた後で勤務時間中に自宅へ直帰したり、虚偽の申請で残業代を不正に受給した。
 県教委に昨年7月、「残業代が(不正に)出ている」との匿名の投書が届き、発覚した。忌引については、記録書類が残っていた06年4月以降を調査。県教委の聞き取りに対し、不正取得を認め、「(20日間の)年次有給休暇をほとんど消化しても、もっと休みたくなった」としたが、「05年度以前は不正をしていない」などと説明しているという。
 成海事務長は、利息を含め給料や時間外手当など計約134万円の返還に応じている。


 読売新聞14日付記事からです。
 このご時世にまだこういうことをするド阿呆がいるんですね。55歳といえば、定年退職まで残り5年でしょ。倫理意識の欠如という、公務員として最も基本的な資質がなかったということです。しかし、匿名の投書によって調査した神奈川県教委はマズマズですね。だいたい、教育委員会というのは、不正を見つけても隠蔽し続けますし、処分も軽いですから。以前、私も高校事務室に勤務していましたが、休暇はともかく、大した仕事もないのに、毎月数十時間の残業代を不正受給していた奴等がいました。上司にそのことを指摘しても、無視されつづけました。全国的にも珍しい事例ではない可能性があります。政策法務研究会でもしばしば、「教委は治外法権ではないか」と、論議になります。
2010年01月15日

法律の素人との法律談義

 相変わらず、毎日、殺人、強盗、薬物などといった犯罪報道が多いですね。犯罪や刑罰については、裁判員制度が始まった影響もあり、職場でもいろいろ話題になります。法律の素人というと失礼ですが、そういう人からなされる質問というのは、面白いものです。先日、次のようなやりとりをしました。

 Kさん:死体が発見できなかったら、殺人罪として立件されないというのは、本当か?
 私:ウーーーン・・・遺体というのは、「証拠」の一つですから、刑法199条の「人を殺した者」かどうかという事実認定、要するに、そいつが人殺しだと断定できないじゃないかと、裁判で弁護側は主張するんじゃないでしょうか
 Kさん:つまり、人を殺しても、死体が見つからなければ、殺人罪にはならないんだな。
 私:だから、殺人罪の場合、警察が山奥で掘って遺体を発見することが、よくテレビでもやっているじゃないですか。
 Kさん:死体を宇宙にでも運べればいいということだろうけど、無理だな
 私:あのー、何かそういうことを考えておられるんじゃないですよね?
 Kさん:当たり前だ。俺だって、裁判員になるかもしれないだろ。だから予習してるんだ。

(こういう予習の方法って、かなりお気楽です)

 Kさん:あと、親告罪というのがあるよな。殺人罪とか窃盗とかは、告訴しなくても警察は動くけど、わいせつ罪は告訴しないといけないということか。
 私:そうですね・・・(刑法の条文を見ながら)強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪と準強姦罪は、親告罪ですが、わいせつ物頒布や陳列罪は親告罪ではないですよ。だから気をつけてください。
 K:バカか!俺はそんなことはしない!!
 私:あ、それはどうも失礼しました。ちょっと安心しました。
2010年01月12日

続・公設派遣村という愚策

“ごね得”許した「派遣村の品格」 費用は6千万円大幅超の見込み
「不平を言えば融通が利く。みんな“ごね得”だと気付いている」。4日閉所した東京都の「公設派遣村」を出た男性(34)は“村”での生活をこう皮肉った。派遣村では開所以来、行政側と入所者の衝突が絶え間なく続いた。職員の口のきき方への不満に始まり、昼食代の現金支給を求める入所者…。当初、目的だったはずの就職相談は不調に終わり、職員は最後まで入所者への対応に右往左往した。

就労相談わずか1割
 都は3日夜、この日退所した833人のうち住居を見つけられなかった685人のため、4日以降の新たな宿泊先に400人分のカプセルホテルを用意。残りの入所者には、都の臨時宿泊施設を割り振ることを決めた。
 だが、いざこざはここでも起きた。入所者の1人は冷笑を浮かべて言う。
 「その夜も『なぜ全員がホテルに入れないのか』と騒いだら泊まれることになった」
 入所者の抗議と厚労省などの後押しで、都は決定を覆す。抗議の数時間後にはカプセルホテルを追加で借り上げた。「騒ぎが大きくなったので…」と職員は言葉少なに語るのみだ。
 この1週間で本来の目的の就労・住宅相談に訪れた入所者はわずか1割。「正月休みに相談しても仕方ない。派遣村では一時金がもらえるとのうわさもあった。それ目当てで入った人も多い」との声も漏れた。

想定超す利用者
 一方で、自力で社会復帰への第一歩を踏み出した入所者も。退所を選んだ男性(67)は「入所中に友人の会社に就職が決まり、社宅に住めることになった。年末年始に泊めてもらって感謝している。食事もおいしかった」と語った。
 だが、この男性のように新たな職や住居が決まったのは少数だ。利用者数は当初の想定を超え、約6000万円と考えられていた費用も大幅に膨らむ見込み。費用はすべて国の負担で、都の幹部は「結局、政治のため」とぼやいた。


 産経新聞4日付け記事からです。
 やっぱりというか、想像どおりでした。7日の記事では、真剣に就労して自立したいと考えているのは「せいぜい2,3割」だろうと書きましたが、実際に就職相談に来たのは1割。たった1割ですよ。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。ホテルに泊めろ、カネをよこせと、これまた贅沢なことを言い出す。こんな奴等のために、血税を費やしているのが、今の政治・行政なんですよね。

 結局、こういう性根の腐りきった「社会的弱者」という肩書きを武器にした奴等というのは、「不況」を利用し、やれ国が悪い、やれ官僚が悪いとタカリを繰り返す。その狙いは、仕事をしないで生活する手段を選ぶことです。そう、天下の悪法「生活保護」の活用です。生活保護は怠け者を賞賛・祝福する、悪法中の悪法。まず、これを即刻廃止してから、「派遣村」でも「派遣町」でも作ればいい。一昨年の派遣村も、本当の失業者が果たしてどれほどいたのか。派遣村の運営費用の原資は善意の寄付だったのでしょうか。こうした実態をよく知らないまま、マスコミ報道だけが真実だと誤解し、善意の気持ちが高ぶって、寄付などする。だから奴等はつけ上がるのです。

 いずれにしても、選挙目当てのために、政治や行政は明らかに無駄だと分かっていることに税金を使うべきではない。何度も言いますが、こういう愚策は絶対にすべきではありません。

 産経新聞が社会的弱者たちの醜い実態を取材し、その本性を暴き、それを記事にしたことについては、敬意を表します。美談や正義には、必ずウラがあるのです。
2010年01月09日

盗用された、我妻栄「ダットサン民法」

我妻「民法」無断引用、大原学園のテキスト
 戦後民法の生みの親と言われる東大名誉教授の我妻栄(わがつまさかえ)氏らが執筆し、今も多くの法学生らが教本として使うロングセラー書籍「民法」の文章が、司法書士試験受験生向けの講座テキストに無断で使われていたことがわかった。
 我妻氏の遺族らは、テキストを作った学校法人「大原学園」(東京)などに対し、約1940万円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴した。
 「民法」は全3巻。我妻氏が執筆した1933年刊行の本をもとに、有泉亨・東大名誉教授との共著として54年に出版された。
 数多い我妻氏の著作の中でも、膨大な民法典を小型の3冊で簡潔に解説しており、出版から数年後には法学生の間に広く定着。「小回りがきき、パワフル」という評判から、当時国民に人気のあった小型自動車にたとえられ、「ダットサン民法」の愛称で親しまれた。現在の出版元である勁草書房(東京)によると、これまでに100万部以上が売れたという。
 今回、訴えを起こしたのは我妻、有泉両氏の遺族に加え、改訂を担当した川井健・一橋大名誉教授ら。訴状などによると、大原学園で2006〜08年、司法書士試験受験生向けの講座で使われた「民法テキスト1、2」に、「民法」の第1巻の記述が引用された。人の権利について、「人でありながらこの地位を享有しない者(たとえば奴隷)の存在は許されない」――など、そっくりな記述が多数あった。
 大原学園側によると、両テキストは約4800部作られ、うち受講生に約2000部を配ったという。
 原告代理人の松田政行弁護士は「ほとんど丸写しの部分もあり、法律家を目指す人たちの教材で、このような権利侵害が行われたことは大変残念。亡くなった執筆者の名誉もきちんと回復したい」と話している。
 提訴は昨年12月。大原学園側は原告側の指摘に無断引用の事実を認め、両テキストの使用・配布を取りやめた。被告代理人の鈴木周弁護士は「大原学園は、深く反省している。裁判所の意見を聞いて被害回復に努め、二度と繰り返さないようにしたい」としている。


 読売新聞7日付記事からです。
 大原学園といえば、簿記の専門学校として有名ですが、司法書士の受験指導もしているとは、知りませんでした。その有名専門学校で我妻栄氏の「ダットサン民法」の記述を無断で使用したとは、これはいくらなんでも、いただけません。

 最近は、各分野の研究者の論文などで、盗用疑惑がしばしば報道されています。コンピュータの普及で「引用」が容易になった半面、本来の合法的な引用と「盗用」ないし「丸写し」の区別がつかなくなっているのかもしれません。いやはや、便利さのすぐ傍らには、違法性というものが座り込んでいるのでしょうか。注意しないといけませんね。
2010年01月08日

公設派遣村という愚策

東京都の派遣村200人、無断外泊 交通費2万円受給後
 住まいのない求職者を対象に、東京都が昨年末から宿泊場所を無料提供して続けている生活再建支援で、利用者約560人のうち、約200人が6〜7日、都が禁じた無断外泊をした。6日に都は宿泊施設の外へ仕事探しに行く交通費などとして、ほぼ全員に2万円を支給していた。
 都は昨冬の「年越し派遣村」の再現を避けたい国の要請で、4日まで生活総合相談を実施。しかし、約800人の利用者の多くが期間中に生活再建のめどが立たなかったため、都は継続支援を決めた。5日以降も生活再建の支援を希望した562人が同日、都の貧困者対策施設(大田区)へ入所。施設の提供期間は2週間程度を予定している。都は「利用中は生活再建に専念してもらう必要がある」として無断外泊を禁じた。
 利用者は6日から就労や生活保護申請に向けた相談を再開。施設外に仕事や住まいを探しに行くことを希望した542人には、国の財源で2週間分の交通費や食事代として2万円ずつ支給。希望人数が多かったため、事務作業を軽減しようと一括支給の形にした。領収書の提出など使途の報告を求め、目的外使用があれば返金させるという。
 受給者の多くが6日に外出したが、都が7日朝に確認した利用者数は342人。外泊の連絡は一部しかなかったという。担当者は「社会復帰のためにはルールを守る必要がある。残念な状況だ」。一方、昨冬の派遣村の実行委員らでつくる「年越し派遣村が必要ないワンストップ・サービスをつくる会」は「現金を持ち慣れていない人が多いだけに、一括ではなく2〜3日分ずつ渡すなどの配慮が必要だった」と指摘する。


 朝日新聞7日付記事からです。
 自己責任を棚上げした人間というのは、やはり卑しいものです。2万円という、失業者にとっては「大金」を、もらった途端に無断外泊とは、誠にお気楽なことです。つまり、住む場所や泊まる場所がある「偽装失業者」「偽装ホームレス」が多いということでしょう。そもそも公設派遣村にやって来た者の中で真剣に就労して、自立しようと考えているのは、果たしてどれくらいいるのか。せいぜい2、3割じゃないでしょうか。つまり「偽装求職活動者」が跋扈しているということです。基本的なルールさえ遵守できないとなれば、好景気になっても就職などできるわけがなく、生活保護という「特権」を付与しても、ナンダカンダと不正に走るのは言うまでもないでしょう。

 こういう実態が十分に表面化しないまま、東京都ともあろう自治体が、特定の市民団体の言いなりに対応したことが、何とも腹立たしく、苛立ちを覚えたわけです。都は悪しき先例を作ってしまいました。これで、今後も毎年12月になると、「昨年もしたのだから、今年もすべきだ」と「合法なタカリ」をされ、それが他の自治体にも波及するのです。

 それにしても「現金を持ち慣れていない人が多いだけに、一括ではなく2〜3日分ずつ渡すなどの配慮が必要だった」と、また、身勝手なことを言うのだから、呆れます。本当に、馬鹿かと怒鳴りたくなります。不労所得である以上、ギャンブルで得た金と同じで、どっちにしても無駄使いをするのです。

 都は、こういう愚策は猛省し、二度としてもらいたくないです。
2010年01月07日

仕事始め

 今日は仕事始め。出先職場にいるため、トップが訓示を述べる「仕事始め式」といった大げさな儀式に参加させられることはなく、ひととおりの新年の挨拶を済ませたら、普通に仕事を始めました。

 時期的に補正予算や国庫補助金等の資料作成などに追われていました。まあ、ごく普通の仕事です。政策法務の仕事など、今の職場にはありません。

 同じ職場の職員で、予算の仕事など全く経験がないのに、「俺にも予算の仕事をさせてほしい」としゃあしゃあと言う人がいます。定年まで残りわずかであるにもかかわらず、予算の重要性をほとんど理解しておらず、実務経験ゼロの人に任せるような度胸も度量もないというのが、他の職員の一致した見解です。予算担当をしていれば、何か「御利益」があると誤解しているのかもしれません。トンデモナイ

2010年01月04日

今年の抱負

 あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします

 大晦日の夜といえば、昔は「紅白歌合戦」が主流だったのでしょうが、今は民放のバラエティ番組がすごいです。私もダウンタウンの「ガキの使いやあらへんで」という6時間のバラエティなどを見ていました。深夜までテレビをみることは滅多になく、そのため、元日は11時前まで布団の中でウトウトしていました。

 今年の抱負ですね。
 まずは健康。これ、痛感しています。仕事と家庭はもちろん、大切。
 その次に研究。「政策法務」の「各論」として関心があるのは、社会保障法分野と環境法分野なのですがどうしようかと。前者に重心を置きつつ、後者となりそうです。これでは「二兎を追うものは一兎を得ず」でしょうけど・・・

 「総論」分野について、政策法務「業界」では、もっぱら条例の上書き権など、地方分権改革の動向に強い関心が持たれています。今年、分権改革の大きな法改正が予定されているようですが、霞ヶ関の抵抗で骨抜きにされるんじゃないでしょうか。所詮は、官僚主導です。

 ちなみに、私が勤務する自治体では、前回の分権一括法制定の際にも特別なことは何もしませんでした。私の職場では、法解釈の疑義が生じた場合、必ず、国に照会するように命じられています。法令の自主解釈など言語道断ということです。今年、万が一、素晴らしい法改正が成立したとしても、多分、同じでしょう。分権について、興味もヤル気もない自治体なのです。だから財政も破綻寸前になってしまうのです。

 皆様にとって、今年がよい年でありますように。
2010年01月02日

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