マンション不在所有者の管理費割増負担
朝日新聞27日付記事からです。すでに最高裁HPに判例はアップロードされています。 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030 どんなマンションでも、管理組合の運営に悩まされるのは共通のようです。いろいろな意見を持つ居住者たちと話し合いをして、管理組合の集会(総会)で決議するということは、会議運営に慣れていない人にすれば、ストレスがたまります。そういう負担を免れている不在所有者に対して、管理費の割増を行うのは合理的だと思います。 マンションを購入した友人などに管理組合や管理費、修繕積立金のことを尋ねても、無頓着なのが多いです。管理組合の運営は、文字どおりマンション全体の管理、管理費の経理、長期的改修計画にもとづく修繕積立金の徴収と、管理会社に委託したとしても、かなり責任が重大です。 そのため、マンション管理組合の役員は、居住者が輪番制でなるところが多いようです。これを見計らって、自分が管理組合の役員になる間近になると、近くの別宅に転居を繰り返す所有者などもいます。そういう人は、ストレスのかかる管理組合役員はやりたくない人、あるいは、プライドが高く、たかが管理組合のために他の居住者に頭を下げてお願いするようなことは我慢ならないという人などに見られます。 これで、不在所有者への管理費割増が法的に肯定されたことになります。今後、確実に導入するマンションが増えるでしょう。
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阪神淡路大震災「15周年」はおかしい
神戸新聞23日付記事からです。 遺族の方などにも見解の相違があるようですが、一般的には「周年」というのは、お祝い事に使うもので、未曾有の災害の犠牲になった方たちの追悼行事に用いる言葉ではないと思います。その辺りは、兵庫県職員たちの市民感覚の問題なのでしょう。「お子さんを亡くして15周年ですね」とは絶対に言わないですし、「結婚15周年」と言っても、「離婚15周年」とは言わないでしょう。仮に言ったら、非常識な人間として扱われます。 県は「周忌と同じ意味で、ほかの災害での式典にも使われている」と説明しています。しかし、その感覚がどこかおかしいと誰も思わないのか、おかしいと思っていても兵庫県というところは、職員が意見を言うことができない組織体質なのでしょうか。たかが言葉一つですが、組織体質というものが見えてくるような気がします。
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政教分離判断に新基準 最高裁大法廷判決
東京新聞21日付記事からです。最高裁というところは、ほんとうに忘れた頃に違憲判決をだします。最高裁HPでも、判例はアップロードされています。 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030 ほとんどの人はご存知かと思いますが、今までの政教分離訴訟の判決は、津地鎮祭訴訟(最高裁昭和52.7.13)で示された「目的効果基準」が踏襲されてきました。行為の目的や効果が社会通念上、認められる範囲にあるかどうかを判断するという基準です。 しかし、今回の判決は目的効果基準を使いませんでした。市有地の無償提供が、宗教団体への公金支出などを禁じた憲法八九条に違反するかについて「宗教施設の性格や無償提供の経緯、一般人の認識などの諸般の事情を考慮し、総合的に判断すべきだ」とする新たな基準を提示したことで、注目されています。目的効果基準では判断できない事案については、今後、この基準に即して判決がなされることになるでしょうね。 最高裁は、違憲状態を解消する方法について「撤去以外に現実的な手法があり得る」とし、この点を審理するよう札幌高裁に差し戻しています。現実的な手法として、どのようなアイデアが出されるでしょうか。新しい司法のあり方が示される事案になるかもしれません。
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司法試験に合格しているのに市役所職員?
産経新聞18日付記事からです。 弁護士受難の時代をこういう記事から読み取ることができます。実際、自治体には法曹資格を持つ職員もいます。先日も、超一流国立大学法科大学院を卒業し、一回で新司法試験に合格したAさんと話をする機会がありました。その人は司法修習生にならずに、政令市の職員になっています。私からすれば、「頭、おかしいんじゃないの?」と言いたくなったのですが、行政実務経験は無駄にならないという考えがあってのことだそうです。 弁護士も就職難と言われている中で、そのAさんによれば、東京の大手渉外法律事務所に採用されれば、初任で年収1200万円だそうです。新任市職員としての年収はせいぜい300万円程度でしょう。もちろん、そんな大手事務所に採用される弁護士は、ほんの一握りですから、弁護士も格差社会の影響をモロに受けているのですね。Aさんも、いずれ近いうちに転身されるおつもりのようです。どういう分野でご活躍されるのでしょう。
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自治基本条例は憲法違反? 土曜日の夜、とある居酒屋で政策法務研究会のメンバーたちとの「政策法務談義」(?)の一幕です。
Xさん:Z-Bergさん、県の政策法務研修を受けたことはありますか? 私:いえ、ないです。県で、そんな研修あるんですか? Xさん:ええ、私、昨年、受けたんです。講師は東京のB学院大学准教授でした。女の先生です。 私:へえ・・・内容は? Xさん:それが、かなりひどくて・・・自治基本条例は憲法違反だと主張されていました。憲法というのは、硬性であるべきところ、自治基本条例は、通常の多数決で廃止したり、改正できるからだという説明だったと思います。 私:なるほどねえ・・・そんなに簡単に廃止や改正はできるものじゃないと思いますけどね。現場を知らない人なんですかね。 Xさん:あの県の職員たちが政策法務に消極的なのは、こういう研修の影響もあるのかもしれませんね 私:これはあくまで、個人的な意見ですが、あの県は、地方自治体ではないんですよ Xさん:ええ??どういうことですか? 私:ひとことで言えば、国の手足。国が右だと言えば右を向き、左だと言えば左。歴代の知事は自治省、総務省からの天下り。副知事も同じ。国の意向に逆らわないように監視しているわけです。だから、政策法務なんていうのは、言語道断ということであり、自治基本条例が違憲だと職員たちを洗脳する。当然の帰結です。 この会話を隣で聞いていたYさんが、口を挟んできました。 Yさん:県に限らず、どの市も、上層部は法務を嫌う。私のところも同じだ。政策法務研修をやろうと言うと、人事から睨まれる。 Xさん:しかし、なんで、そこまでして政策法務を嫌うのでしょうか? 私:違法行為が発覚しても、抜本的な対策ではなく、場当たり的対応ばかりだし。本当に積極的にやろうとしている自治体は、少ないね。政令市レベルになると、コンプライアンスの専門部署を設置しているところもあるけど、コンプライアンスが組織全体に浸透しているかは疑問ですね。 Xさん:ところで、Z-Bergさんの市は、自治基本条例は制定されているのですか? 私:制定するどころか、検討もしていません。うちも政策法務は毛嫌いしていますしね。 Xさん:じゃぁ、Z-Bergさんの職場はどういうところですか? 私:うーん・・・かなり士気は低いですね。50代後半の職員が大半だから、新しいことに挑戦したり、従来のやり方を改革・改善しようとはしない。いろいろ提案したけど、すべてダメだったね。 Xさん:事なかれ主義ってやつですね・・・ 私:それに近いね。法令違反こそは避けている。当然ですが、コンプライアンスではなく、保身のためです。問題なのは、同じ職員が何年も在籍し、しかも、同じ事務分担という状態が続いていることかな。当然、仕事はマンネリになる。だけど、管理職たちにすれば、ヘタに事務分担を変更し、慣れない仕事をさせてトラブルが増えれば、自分に跳ね返ってくる。だから回避しているね。私は、予算・決算、行政処分などの事務を担当しているけど、職場で最年長の職員は自分にも予算の仕事をさせろと言っていて、困っています。 Yさん:なんで困るの?やらせりゃ、いいじゃないか 私:その人、定年まで残り3年で、しかも数年前に技術職から事務職に職種変更した人なんですよね。技術屋上がりの職員には、事務の仕事ができないのが多いんです。技術屋というのは、資格を持っていることでプライドが高く、事務職をバカにしているところもあります。予算の仕事なんか簡単だと思っているから、タチが悪いんです。 Xさん:それでも、その人、ヤル気があるんじゃないんですか? 私:本当にそうなら、させていますよ。そんな人物じゃないから、到底任せられない。何か間違いがあれば、他人に責任をなすりつけるのは職場のメンバー全員が分かっているからね。新しいことを覚えられる年齢はとっくに過ぎていますし。 Yさん:そんな職場じゃ、政策法務なんてできないなあ・・・ 私:特に、法の自主解釈なんて、絶対に許してもらえないですね。必ず、国・県に照会させられています。
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忌引休暇と残業代の不正取得
読売新聞14日付記事からです。 このご時世にまだこういうことをするド阿呆がいるんですね。55歳といえば、定年退職まで残り5年でしょ。倫理意識の欠如という、公務員として最も基本的な資質がなかったということです。しかし、匿名の投書によって調査した神奈川県教委はマズマズですね。だいたい、教育委員会というのは、不正を見つけても隠蔽し続けますし、処分も軽いですから。以前、私も高校事務室に勤務していましたが、休暇はともかく、大した仕事もないのに、毎月数十時間の残業代を不正受給していた奴等がいました。上司にそのことを指摘しても、無視されつづけました。全国的にも珍しい事例ではない可能性があります。政策法務研究会でもしばしば、「教委は治外法権ではないか」と、論議になります。
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法律の素人との法律談義 相変わらず、毎日、殺人、強盗、薬物などといった犯罪報道が多いですね。犯罪や刑罰については、裁判員制度が始まった影響もあり、職場でもいろいろ話題になります。法律の素人というと失礼ですが、そういう人からなされる質問というのは、面白いものです。先日、次のようなやりとりをしました。
Kさん:死体が発見できなかったら、殺人罪として立件されないというのは、本当か? 私:ウーーーン・・・遺体というのは、「証拠」の一つですから、刑法199条の「人を殺した者」かどうかという事実認定、要するに、そいつが人殺しだと断定できないじゃないかと、裁判で弁護側は主張するんじゃないでしょうか Kさん:つまり、人を殺しても、死体が見つからなければ、殺人罪にはならないんだな。 私:だから、殺人罪の場合、警察が山奥で掘って遺体を発見することが、よくテレビでもやっているじゃないですか。 Kさん:死体を宇宙にでも運べればいいということだろうけど、無理だな 私:あのー、何かそういうことを考えておられるんじゃないですよね? Kさん:当たり前だ。俺だって、裁判員になるかもしれないだろ。だから予習してるんだ。 (こういう予習の方法って、かなりお気楽です) Kさん:あと、親告罪というのがあるよな。殺人罪とか窃盗とかは、告訴しなくても警察は動くけど、わいせつ罪は告訴しないといけないということか。 私:そうですね・・・(刑法の条文を見ながら)強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪と準強姦罪は、親告罪ですが、わいせつ物頒布や陳列罪は親告罪ではないですよ。だから気をつけてください。 K:バカか!俺はそんなことはしない!! 私:あ、それはどうも失礼しました。ちょっと安心しました。
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続・公設派遣村という愚策
産経新聞4日付け記事からです。 やっぱりというか、想像どおりでした。7日の記事では、真剣に就労して自立したいと考えているのは「せいぜい2,3割」だろうと書きましたが、実際に就職相談に来たのは1割。たった1割ですよ。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。ホテルに泊めろ、カネをよこせと、これまた贅沢なことを言い出す。こんな奴等のために、血税を費やしているのが、今の政治・行政なんですよね。 結局、こういう性根の腐りきった「社会的弱者」という肩書きを武器にした奴等というのは、「不況」を利用し、やれ国が悪い、やれ官僚が悪いとタカリを繰り返す。その狙いは、仕事をしないで生活する手段を選ぶことです。そう、天下の悪法「生活保護」の活用です。生活保護は怠け者を賞賛・祝福する、悪法中の悪法。まず、これを即刻廃止してから、「派遣村」でも「派遣町」でも作ればいい。一昨年の派遣村も、本当の失業者が果たしてどれほどいたのか。派遣村の運営費用の原資は善意の寄付だったのでしょうか。こうした実態をよく知らないまま、マスコミ報道だけが真実だと誤解し、善意の気持ちが高ぶって、寄付などする。だから奴等はつけ上がるのです。 いずれにしても、選挙目当てのために、政治や行政は明らかに無駄だと分かっていることに税金を使うべきではない。何度も言いますが、こういう愚策は絶対にすべきではありません。 産経新聞が社会的弱者たちの醜い実態を取材し、その本性を暴き、それを記事にしたことについては、敬意を表します。美談や正義には、必ずウラがあるのです。
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盗用された、我妻栄「ダットサン民法」
読売新聞7日付記事からです。 大原学園といえば、簿記の専門学校として有名ですが、司法書士の受験指導もしているとは、知りませんでした。その有名専門学校で我妻栄氏の「ダットサン民法」の記述を無断で使用したとは、これはいくらなんでも、いただけません。 最近は、各分野の研究者の論文などで、盗用疑惑がしばしば報道されています。コンピュータの普及で「引用」が容易になった半面、本来の合法的な引用と「盗用」ないし「丸写し」の区別がつかなくなっているのかもしれません。いやはや、便利さのすぐ傍らには、違法性というものが座り込んでいるのでしょうか。注意しないといけませんね。
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公設派遣村という愚策
朝日新聞7日付記事からです。 自己責任を棚上げした人間というのは、やはり卑しいものです。2万円という、失業者にとっては「大金」を、もらった途端に無断外泊とは、誠にお気楽なことです。つまり、住む場所や泊まる場所がある「偽装失業者」「偽装ホームレス」が多いということでしょう。そもそも公設派遣村にやって来た者の中で真剣に就労して、自立しようと考えているのは、果たしてどれくらいいるのか。せいぜい2、3割じゃないでしょうか。つまり「偽装求職活動者」が跋扈しているということです。基本的なルールさえ遵守できないとなれば、好景気になっても就職などできるわけがなく、生活保護という「特権」を付与しても、ナンダカンダと不正に走るのは言うまでもないでしょう。 こういう実態が十分に表面化しないまま、東京都ともあろう自治体が、特定の市民団体の言いなりに対応したことが、何とも腹立たしく、苛立ちを覚えたわけです。都は悪しき先例を作ってしまいました。これで、今後も毎年12月になると、「昨年もしたのだから、今年もすべきだ」と「合法なタカリ」をされ、それが他の自治体にも波及するのです。 それにしても「現金を持ち慣れていない人が多いだけに、一括ではなく2〜3日分ずつ渡すなどの配慮が必要だった」と、また、身勝手なことを言うのだから、呆れます。本当に、馬鹿かと怒鳴りたくなります。不労所得である以上、ギャンブルで得た金と同じで、どっちにしても無駄使いをするのです。 都は、こういう愚策は猛省し、二度としてもらいたくないです。
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仕事始め 今日は仕事始め。出先職場にいるため、トップが訓示を述べる「仕事始め式」といった大げさな儀式に参加させられることはなく、ひととおりの新年の挨拶を済ませたら、普通に仕事を始めました。
時期的に補正予算や国庫補助金等の資料作成などに追われていました。まあ、ごく普通の仕事です。政策法務の仕事など、今の職場にはありません。 同じ職場の職員で、予算の仕事など全く経験がないのに、「俺にも予算の仕事をさせてほしい」としゃあしゃあと言う人がいます。定年まで残りわずかであるにもかかわらず、予算の重要性をほとんど理解しておらず、実務経験ゼロの人に任せるような度胸も度量もないというのが、他の職員の一致した見解です。予算担当をしていれば、何か「御利益」があると誤解しているのかもしれません。トンデモナイ
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今年の抱負 あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします
大晦日の夜といえば、昔は「紅白歌合戦」が主流だったのでしょうが、今は民放のバラエティ番組がすごいです。私もダウンタウンの「ガキの使いやあらへんで」という6時間のバラエティなどを見ていました。深夜までテレビをみることは滅多になく、そのため、元日は11時前まで布団の中でウトウトしていました。 今年の抱負ですね。 まずは健康。これ、痛感しています。仕事と家庭はもちろん、大切。 その次に研究。「政策法務」の「各論」として関心があるのは、社会保障法分野と環境法分野なのですがどうしようかと。前者に重心を置きつつ、後者となりそうです。これでは「二兎を追うものは一兎を得ず」でしょうけど・・・ 「総論」分野について、政策法務「業界」では、もっぱら条例の上書き権など、地方分権改革の動向に強い関心が持たれています。今年、分権改革の大きな法改正が予定されているようですが、霞ヶ関の抵抗で骨抜きにされるんじゃないでしょうか。所詮は、官僚主導です。 ちなみに、私が勤務する自治体では、前回の分権一括法制定の際にも特別なことは何もしませんでした。私の職場では、法解釈の疑義が生じた場合、必ず、国に照会するように命じられています。法令の自主解釈など言語道断ということです。今年、万が一、素晴らしい法改正が成立したとしても、多分、同じでしょう。分権について、興味もヤル気もない自治体なのです。だから財政も破綻寸前になってしまうのです。 皆様にとって、今年がよい年でありますように。
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