石川県、携帯所持規制を条例化
朝日新聞29日付記事からです。 私が携帯電話を使い始めたのは21世紀になってからです。必要性を感じなかったため、多くの人と比べるとかなり遅れたほうだと思います。あまり使っていませんので、毎月の携帯代金は、家族3人で1万円くらいです。 携帯電話のマナーは大人でも顔をしかめてしまうことが多いです。例えば、毎日乗っている通勤電車の中で、次のようなシーンは少なからず目にします。 乗客A:(携帯が鳴ったので取り出し)はい、もしもし・・・あ、今、電車の中ですので・・・ [それでも電話の相手は、何かを伝えようとしているようです] 乗客A:ええ・・・はい・・・あの・・・今、電車の中ですので、後ほどこちらから連絡しますので・・・ こういう乗客は常識があります。根本的には、電車内で携帯が鳴ろうが、叫ぼうが、一切通話しないようにしておくのがベストです。最悪なのは、電車の中だと伝えているにもかかわらず、しつこく通話を続けようとする相手です。どんな重大な用件があるのか知りませんが、仮に10分後にかけ直したとしても、結論に大差はありません。要するに、自分さえよければいいという輩が、こういう醜いマナー違反をしているのです。 小中学生の携帯所持規制には反対しませんが、上記のような大人をしばしば見ているため、子どもたちの将来のために、マナーを徹底的に教育するほうが、政策としては望ましいと思います。こういうのって、なかなか身につかないんですよねえ。
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地方公務員の報告発表能力 政策法務研究会の祭典である、自治体法務合同研究会おおさか大会が来月開催される予定です。講演会やシンポジウムのほか、各地の政策法務研究会メンバーが研究報告を行い、その中で質疑応答が交わされます。
報告発表といえば、事前にレジュメを作成し、これを配布し、発表者が報告をする。報告内容レベルの高低、話術の巧拙など、いろいろ差があります。それでも、毎年、全国の政策法務に関する諸問題を知ることができるのが、大きな楽しみです。 しかし、気になることがあります。どうも最近は、パワーポイントなど「映像」を活用して、聴取者の「視覚」に訴える手法を採用する報告者が増えているようです。限られた時間で、できるだけ多くの情報を提示したいこと、分かりやすさを追求したいことなどの理由から、こうしたものを活用するのでしょうが、どこか抵抗感を持ちます。普通に、レジュメと話術で、理解してもらうように努力できないのでしょうか。そういうのは古臭いと考えている人が増えているのでしょうか。 昔の文豪や著名学者が凄いのは、パソコンなどない時代に、万年筆と原稿用紙で作品を完成させていたことです。何度も推敲を繰り返し、原稿用紙がインクで真っ黒になっているのを見ると、それだけで迫力を感じます。コンピュータを活用することを否定しようとは思いませんが、過剰に依存しているような印象を持ちます。人の前で、要点を分かりやすく伝える能力が劣化しているのは、地方公務員だけではないのかもしれませんが、気になります。 ちなみに、私が政策法務研究会で発表する場合は、レジュメ配布だけで、コンピューターは使用したことがありません。聴き手側にとっては、辛いかもしれませんが。
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障害を持つ女子の中学校進学
時事通信26日付記事からです。 障害を持つ生徒を特別支援学校(かつての養護学校)で教育することについては、現場の教師たちからも賛否両論あると認識しています。一般的には円滑に学校生活ができるようにするために、特別支援学校が適切という考え方があり、一方で、卒業して社会に出れば荒波にのまれることになり、それに耐えられる自立心、自立力をつけるために、普通学級で学ぶのがいいという意見も聞いたことがあります。私は、その生徒の状況や希望などを勘案して決めればいいと思っています。しかし、ほとんどの中学校は、何か事故が発生した場合、すべての責任を押し付けられるという恐怖感から、障害を持つ生徒の受入れは消極的です。これはこれで理解できます。保護者は普通学級進学を強く希望する以上、そういうリスクはある程度覚悟してもらう必要があります。 マスコミ報道は、障害のある子どもの教育について、しばしば美談にしたがりますが、決してそんなものではありません。この奈良の生徒もいろいろ苦労するでしょうし、それを乗り越えていくことで、自己責任というものを学び、自立力を培っていくことになると思います。将来、何でも国のセイ、社会のセイにする無責任な大人にだけはならないように願っています。
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宮崎県・東国原知事、衆院総選挙に出馬か?
朝日新聞23日付記事からです。 自民党は次の衆院総選挙で勝つために、票を集めることができる人材の獲得に躍起になっているようです。知事から国会議員への転身については、本来、悪いことではないとは思います。特に、東国原知事は、以前から国政への転身を考えておられたことは、かなり知れ渡っているようです。最も高いハードルは、知事1期目の任期途中での国政への転身を、有権者が認めてくれるかどうかでしょう。このことを意識してか、テレビのニュース番組の中で、「宮崎のために国政にでる」といった趣旨の発言をされていたと思いますが、それは誤りではないでしょうか。宮崎県のために国会議員になるなら、その他大勢の単なる利権議員の一人にすぎなくなります。 多くのメディアが、次の衆院選挙では、自民党大敗、民主党大勝という予測を打ち出しています。個人的には、衆院は与党過半数、参院は野党過半数がいいと思っています。民主党政権への「期待」が世論のようですが、民主党に霞ヶ関をコントロールできるだけの力量があるとは思えません。それでも、今の政権にお灸をすえるために、そして国政に緊張感を与えるためにも、一度、政権交代があってもいいと思います。まあ、どうせ民主党政権は、短命で終わるでしょうし。
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百条調査委員会
四国新聞16日付記事からです。 私の印象にすぎませんが、地方議会で百条調査委員会が設置される例が増えてきているようです。一昔前は、それほどでもなかったように思います。地方分権が推進される中、議会の存在意義に強い疑問が投げかけられていることから、法的強制力のある百条委員会に積極的にならざるを得ないというのが正直なところなのでしょう。 しかし、強制力があるだけに委員会の運営にはかなり厳しい法的制約があります。証言を請求する場合には民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定が準用されます(自治法100条2項)。しかし、地方議会議員が民事訴訟法について知っているわけがなく、百条委員会で適法な訊問がなされているのかは甚だ疑問です。「俺たちは訴訟法なんて知らない。常識でやっているだけだ」と言う議員もいるそうですが、それ自体が非常識で違法であることを理解できていないのです。 本来、こうした議会の活動は議会事務局がサポートすべきなのですが、議会事務局の職員で民事訴訟法に詳しい人は極めて少ないでしょう。むしろ、議会の違法行為を黙認し、表面化させないようにすることが、事務局としての役割だと思っているかもしれません。
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「赤ひげ先生」の化けの皮
朝日新聞21日付記事からです。 生活保護に関しては、これまで当ブログで、何度も記事にしています。医療機関による不正が摘発されたとのことですが、氷山の一角にすぎません。医療機関による生活保護医療費不正受給は、医療機関・生活保護受給者双方にとってメリットがあるため、なかなか表面化しないのです。メリットというのは、医療機関にとっては全て公費で診療報酬が支払われるため、収入源として最も確実です。社会的弱者の救済は「儲かる」のです。一方、生活保護受給者にとっては「病気であり続けること」そのものが生活保護を継続できる大きな理由になるため、積極的に健康回復しようとは努めませんし、「手術をしたことにしよう」と医師から言われれば多くの者が嬉々としてこれに応じるからです。 この医療機関に限らず、社会的弱者の救済を看板にしている病院は少なくありません。当市で、かつて「赤ひげ先生」などともてはやされ、自分も古い自転車をこぎながら病院に通勤し、質素な生活をしているように演出している医師がいました。しかし、事情通によると、その医師は隣の駅前の駐車場まで最新の高級外車で通い、そこで古着に着替えて、自転車に乗って通勤していたのです。自宅は隣接市の高級住宅街に豪邸を構えておられたとか。「赤ひげ先生」の化けの皮をはがすと、「正義の味方」を演じることで、病院の評判をあげるという涙ぐましい努力をされていただけなのです。 もちろん、立派な医師もたくさんいらっしゃいます。先日、昔お世話になったことがある内科医とお話する機会がありました。ちょっと毒気のある話され方をする先生ですが、とても正直なお方です。曰く、「俺は生活保護とか障害者とかが、大嫌いだ。何でも国が悪い、社会が悪いと他人のセイにするからな。それでいて最低限の義務すら果たそうとしない」。激しく同感。
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地方議会の審議レベル
朝日新聞20日付記事からです。 地方議会における審議レベルの低さを象徴するような報道です。限られた財源を捻出し、福祉施策の財源にしようとすることの是非について議論するならともかく、本筋とはかけ離れた主張が多数派となる。まさに痴呆議会ということです。ホンネは町長が自身の給与を削減して、福祉の充実に取り組むことを阻止したいだけということでしょうけど。 とは言っても、よそ様の議会を批判できるほど当市の議会もたいしたことはありません。少し前の市議会常任委員会で、指定管理者制度についての質疑応答が記録になっているのを見つけました。抜粋してみます。
A議員は、指定管理者となる団体の公募・非公募、指定行為と契約を混同している様子です。B課長が答弁しているように、公の施設設置管理条例によって公募、非公募を規定していますから、施設ごとに公募か非公募かは条例で決まってくる。自分達が審議し、議決した条例なのに、理解できていないということのようです。つまり、この議員は、制度の基本的な意味も分からず審議に臨んでいたということです。指定管理者制度が施行されたのが2003年9月。導入されて、もう6年近くになります。まったく勉強されていないようです。呑気なものです。 自治体アウトソーシングについて、コンパクトにまとめられた文献として、次のものを紹介しておきます。2,000円ほどですので、政務調査費で購入できるでしょう。課長に資料請求ばかりせず、こういう本も読まれればどうですかね。マンガやファッション雑誌ばかり読んでいてはいけません。
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大学倒産時代の到来
時事通信18日付記事からです。 少子化によって大学全入時代といわれいますが、実際の大学進学率は55%程度でしょう。大学倒産は不思議なことでもなんでもなく、必然のもの。LECといえば司法試験などの予備校、つまり受験ビジネスの企業として知られていたため、学問を究めることを主目的とする大学の経営に株式会社として参入したこと自体、かなり抵抗感を持っていました。
朝日新聞7日付記事からです。 08年度の時点で、私立大の5割近くが定員割れというのは深刻です。そして、今後、当然ながらさらにそれは拡大していくわけです。つまり、大学の倒産、あるいは、統廃合は加速していくでしょう。活路としては、社会人学生の受入れなどが考えられますが、大学院で学べる社会人というのは、とても恵まれている人たちであり、相当優秀でもあるわけですから、ランクの低い大学は苦戦を強いられるとしか言いようがありません。
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少額債権の強制徴収 少額債権、具体的には約10万円の強制徴収をどうするかについて、担当者である私と、実質的に職務放棄をしている「名ばかり管理職」である上司との間で深い溝が生じています。
債権発生原因は不当利得です。つまり、こちらとしては不当利得返還請求を行ったところ、相手方は「支払います」という返事をしたのはいいのですが、どうせ役所は何もしないだろうと思っているのかして、納付書を送付しても一向に支払おうとはしません。地方自治法240条、地方自治法施行令171条、171条の2に基づいた手続に移行すべきだと提案したところ、上司からは「仕事を増やすようなことをしないでくれ」と。 督促をして相当の期間を経過しても履行されない場合には、訴訟手続により履行請求をしなければなりませんが、そんな法令は「ないことにしておけ」ということです。ヤル気のない上司の部下というのは、逆の意味で大変です。それに対して注意一つしようとしない、上層部も上層部です。組織が縮小し、弱体化していく中での士気の低下というものが、これほどひどいものになるとは、数年前には想像すらできませんでした。 もちろん、法規定を根拠に、強制徴収について起案文書を作成しようと思っています。上司のサボタージュにお付き合いするほど私もお人好しではありません。
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ようやく終了 平成の市町村合併
読売新聞16日付記事からです。 市町村合併については、私が勤務する自治体では全く話題にならなかったこと、近隣自治体でも合併がなされた例がなかったことなどの影響で、実のところそれほど関心が強いわけではありませんでした。それでも市町村数はほぼ半減したというのですから、「国のかたち」としては大変動ですね。 合併によって市民の意見が行政に届きにくくなったという話は多いようです。自治体内分権の推進によって、市民意見が反映されやすい行政体制にしないと、何のための合併だったのかと不満ばかりとなりかねません。近隣自治の仕組み、コミュニティ自治というものを早く整備、確立しなければならないと思います。 コミュニティに関する最新文献として、次のものがあります。今日、購入したところです。編著者の名和田是彦氏は法政大学教授。この分野では第一人者といっていいでしょうね。
市町村合併の次は道州制ですが、こちらはなかなか進まないのでしょう。知事さんたちは、市町村合併は「他人事」として「推進」できても、自分たちが身を削ることになる道州制には及び腰なのは、分かりやすいといえば、分かりやすいですが。それでも、もうそろそろ腹をくくってもらわないと。と言っても、道州制になった場合、それが本当に憲法が予定している地方公共団体と言えるのか、あるいは、住民自治が実現できるのかは、ずっと疑問を持ち続けています。
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ROOKIES−卒業−、真夏のオリオン 先週は「ROOKIES-卒業-」、昨日は「真夏のオリオン」と2週続けて映画鑑賞をしました。2週連続の映画鑑賞は、私としてはとても珍しいことです。
ROOKIESは、テレビドラマで好評だったため映画化されたものです。それゆえ、映画版だけでは理解できません。つまり、最近よくある、テレビドラマと映画の連結企画ですね。内容的にはある程度想像できるものでした。甲子園出場をかけての予選決勝戦の熱闘が中心でしたが、甲子園出場して、どういう戦いぶりだったのかは映画ではわかりませんでした。甲子園球場は改装工事中だったこともあり、撮影が不可能だったという事情もあるのでしょう。ただし、野球ファンとして言わせてもらうと、あの程度のレベルで甲子園出場はあり得ないでしょう。 真夏のオリオンは、第2次世界大戦末期、米駆逐艦を相手にシーマン・シップの精神を忘れず戦った日本の潜水艦乗組員らを描いた作品で、玉木宏さん演じる潜水艦イ-77の艦長・倉本のリーダーシップは素晴らしかったです。ああいった人と仕事ができれば、本当に幸せだろうと思いました。経済危機状態の日本において、ピンチを切り抜けていくにはどうすべきか示唆されているようです。
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第15回自治体法務合同研究会開催要領 先日、大会実行委員会から、メーリングリストによって、正式に発表されました。
自治体法務合同研究会というのは、原則として登録メンバーだけのクローズな研究会ですが、上記の全体会Tは、例外的にオープンな企画で、誰でも、無料で参加できます。 ちなみに、自治体法務合同研究会メンバーが参加する場合には、参加申込書を大会事務局に提出するとともに、参加費を支払わなければなりません。全体会T以外の企画には、飛び入り参加は認められていません。こういうことを強調するということは、ギリギリになってワガママなのが出てくるということなのでしょうか。 参加申込期限 平成21年6月26日(金) 参加費支払期限 平成21年7月3日(金) 大会実行委員会からのMLでは、毎年、申込期限をまもれない人が出てくるようです。お気をつけください。
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東京都議会議員の当選確率
時事通信11日付け記事からです。 衆院解散、総選挙の日程と関連しているのが、この都議選ですね。都議会といったものに、日頃ほとんど興味のない私でも、今回の都議選だけは無関心ではいられません。 それにしても127議席に200人以上が立候補するというのは、やっぱり都議というのはオイシイ仕事なんでしょう。ちょっと調べたところ、議員報酬は月額1,037,000円、政務調査費は月額60万円。期末手当も含めれば年収は2500万円くらいになるでしょう。中小規模の自治体議会なら、議員報酬といっても激安のところもありますから、これは魅力的な「就職先」です。だからこそ、多くの候補者によって、激戦となるのでしょう。 しかし、少し冷静に考えれば、違う見方もできます。今度の都議選に200人の立候補が出たとしても、当選確率は63.5%。倍率で1.57倍といったところです。超一流企業や公務員の採用試験に合格するよりも、遥かに高い確率で東京都議会議員になることができるのです。しかも4年間で1億円の収入が保障されるというビッグなオマケがついています。4年間の任期中、本会議中に居眠りしようが、常任委員会などで一度も発言しなくても、議員の身分を失うことは、まずないでしょう。一流企業の正社員になったとしても、年収1000万円に到達するまでには、何年もかかるでしょうし、それより前にリストラされる可能性もあります。特に、長年低賃金労働にあえいで、鬱積した不満を爆発させたい人たちにとっても、絶好のチャンスです。人生大逆転をかけて都議選に出馬されればいかがでしょうか。
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木佐茂男ほか『テキストブック現代司法』(日本評論社) 司法制度、司法の実態といったことについて、かなり踏み込んだことが記述されている貴重な文献です。記憶があやふやですが、たぶん、1992年に出版された初版は購入していたと思いますが、その後、ご無沙汰していました。先月に第5版が出版されたため、久しぶりに購入し、昨夜から読み始めています。
92年に初版、09年に第5版ですから、法律書としては異例のロングセラーだと思います。たぶん、法科大学院を中心に、テキストとして使用されているのではないでしょうか。政策法務研究の領域の一つとして、司法制度・司法の実態といったことにも強い関心を持ち続けている者としては、ありがたい1冊です。もっとも、一昔前と違い、政策法務研究をするようになってから、法曹界の人たちとも交流できるようになっているため、細かい制度論や裁判実務はともかく、司法の実態については、平均的な自治体職員よりはかなり知っているつもりです。 ところで、先週あった政策法務研究会の席上、ある主要メンバーから、「書籍代が凄いなあ」と言われました。社会人大学院で行政法などを学んでいる方もいるのですが、書籍代は相当な負担になっているようです。私の場合、法制担当課などと違い、職場に専門書らしいものは皆無のため、自費購入になってしまいます。趣味らしい趣味もなく、付き合い酒も必要最小限しかしないため、書籍代に費やすことが可能なわけです。単行本、月刊誌、加除書籍などで年間20万円以上は使っていると思います。おかげさまで、我が家の狭い自室は満員御礼状態です。給料も下がってきましたし、書籍代もそろそろ真剣に見直すべきだと思っています。
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諸外国の付加価値税 少子化・高齢化社会における社会保障・社会福祉については、税制論を抜きにして語ることは許されません。しばしば論点になるのが、増大する社会保障費のために、消費税をどの程度にすべきかということです。そして、その際、いわゆる知識人たちは、消費税との比較として、諸外国の付加価値税に必ずと言っていいほど言及します。しかし、これら知識人たちが外国の付加価値税について、メディアで発することは、極めて中途半端で、正確な情報を国民に提供してくれるものではないと認識しています。
そこで、できる限り正確な情報を得たいと思い、またもや国立国会図書館のホームページをめくっていると、『諸外国の付加価値税』と題した調査資料(レポート)を見つけました。「はじめに」では、付加価値税(Value Added Tax)という名の税目は、1954年にフランスで導入されたもので、いまや政府の税収を支える基幹的な税目として、130 を超える国で導入され、OECDに加盟する30 か国のなかで付加価値税を導入していないのはアメリカのみだと記述されています。 EU主要20カ国の付加価値税について、標準税率は15%(ルクセンブルク)から25%(デンマーク、スウェーデン)まであり、うち14カ国は食料品に対して軽減税率を設けています。アイルランドとイギリスが食料品非課税のほか、食料品の税率が5%以下なのは、ルクセンブルクが3%であるだけで、ポルトガル(標準税率21%)とチェコ(同19%)は5%となっています。それ以外の国を見ますと、福祉学者がしばしば福祉大国として引き合いに出すスウェーデンの食料品税率は12%という高税率です。EUではありませんが、標準税率が同じく25%のノルウェーも食料品は14%という高さです。デンマークは食料品も標準税率となっています。 社会保障財源を考える場合に、諸外国の税制と比較することは重要ですが、一般市民は外国の税制について詳しく知っているわけではなく、都合の良い情報をつまみ食いして出されると誤解をしてしまうのです。消費税をアップすべきという議論の際、あたかも外国では食料品の軽減税率が当たり前のようなことを言う者もいますが、すべての国がそうなっているわけではありませんし、食料品の付加価値税も軽減しているとはいえ、高税率である国が多いのです。こうしたことを隠そうとするのは、卑劣なやり口であり、断じて許すことはできないのです。 税制について、外国と比較する場合に注意しなければならないこととして、物流や市場の問題もあります。社会主義国家は商品の選択幅が狭いですし、果物などは贅沢品として日本では考えられないような高額な売値になっている国もあるようです。こうしたことも踏まえないと、うわべだけの税率だけでは正確な判断ができないということになります。 社会保障・社会福祉の論議は、どうしてもバイアスがかかったものになりがちです。うっかり信じると、すっかり騙されてしまいます。
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マンションの政策法務(4) マンション管理組合としての活動は、規約で定めた理事会が主要な役割を果たします。民間企業でいえば取締役会に相当する組織だと考えればいいと思います。理事会の人数は、マンションの規模によりますが、私が住むマンションでは5名の理事、1名の監事で構成され、かつ、大規模改修工事の専門委員2名が理事会に出席し、意見を述べることにしています。
マンション管理組合も一つの組織ですから、予算管理、事務の執行管理などの業務を遂行しなければなりません。予算や契約は管理組合の集会、規約上は総会で議決によって決まります。総会は企業でいえば株主総会です。しかし、総会は定例のものは年に1回、臨時会があるのはよほど大きな問題があるときに限られます。その代表的なものが、概ね10年ごとに実施される大規模改修工事の実施に関して、契約相手、契約額を決定するための臨時総会です。 ここまで書くと、マンション管理組合の活動は、理事会という組織による、会議、つまり話し合いで進めていかなければならないということがお分かりいただけると思います。マンション住民の方がどういう職業の人たちかにもよりますが、会議運営、予算案の審査、契約内容の審査などは、ビジネスの世界で活躍されているならば、基本的スキルとして誰でもできるものと思っていたのですが、意外とそうではないという経験をしました。理事会召集、会議の進行、議決、議事録の作成とチエック、予算の内容と執行状況、決算審査など、多くの事柄が自治体職員としてごく普通にこなさなければならない仕事と重複します。 マンション管理組合の重要事項として、財務状況の管理があります。改修工事に要する経費を支出できるだけの財務状況かどうかは、管理組合の生命線でもあるわけです。通例、区分所有権者たる住民から修繕積立金と称して、毎月、一定額が徴収されます。こうした徴収業務は管理会社に委託していることがほとんどでしょう。問題なのは、修繕積立金の額が適正かどうかです。多過ぎれば負担になりますが、少なすぎると改修工事費用が不足し、工事実施に際して多額の一時金を負担することになります。修繕積立金が適正かどうかの目安としては、極めて大雑把ですが、1uあたり100円から120円くらいでしょう。区分所有面積100uなら、月額10,000円から12,000円ということになります。マンション購入時ないし入居時に、修繕積立一時金として数十万円徴収することもあります。毎年の決算時に、修繕積立金会計において合計いくら積み立てられているか確認し、改修工事費用の大まかな見積もりと比較して過不足を確認しておかねばなりません。私が住むマンションでは、この修繕積立金については、何度も検討を重ね、適正化を実施してきたため、大規模改修工事の費用は十分にまかなうことができました。 マンション管理組合にとって、最大の事業は大規模改修工事です。私が住むマンションでは、改修工事期間は約4ヶ月でしたが、理事会・大規模改修工事委員会としての準備活動に2ヵ年かけました。それくらい慎重に行うことで、マンション住民全体の理解を共有化し、おかしな利害対立の発生などの混乱を防止できたと思っています。計画的な財務・法務といったものは、自治体行政、あるいは、政策法務の実践と共通する点が少なくないと思っています。
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THE BIG ISSUE 今月に入ってからだと思いますが、勤務先の最寄の駅前でも、ビッグ・イシューの販売員を見かけるようになりました。ホームレスの仕事をつくり、自立を応援する主旨で、路上でホームレスの人が販売することで知られる1冊300円の雑誌です。
昨日、仕事を終えて帰る途中、初めて購入しました。とても丁寧な接客態度で、好感度抜群でした。 http://www.bigissue.jp/ ビッグイシューの発行は、有限会社ビッグイシュー日本。そう、有限会社なのです。つまり、「利潤を獲得すること」を目的とした私企業です。ボランティアだの、公益目的だのといった美辞麗句を表に出しつつ、実際は金儲けにまい進するNPO法人や財団法人ではないのです。利潤を獲得しつつ、社会貢献をするという、とても真正直な企業だということです。ケンリ、ケンリと叫んで口をあけていれば天から金が降りてくると煽っているNPO法人などは、この際、心を入れ替えて、会社に衣替えをすればいいんじゃないですかね。 肝心の雑誌の内容ですが、有名女優へのインタビュー、イギリス市民による貧困克服の取組み、科学、料理などなど、30頁というボリュームの中にバラエティに富んだ情報が満載です。 たった300円で、ホームレスの自立支援に貢献できるならば、継続的な読者になろうかと思っています。
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ある車椅子利用者の真実 今日、私の職場に車椅子でやって来られた市民がいました。窓口で所定の手続をされている間、「足の筋肉が衰えていく」「外出することを、どうしてもためらってしまう」と辛そうに話をされていました。
ひと通りの手続を終え、車椅子に乗りながら帰られたのを確認した後、私が「やっぱり、車椅子生活って、不便ですよねえ」と同僚に話しかけたところ、驚くべき返答がきました。 「あぁ、あの人ね。ここへ来るときはいつも車椅子に乗っているけど、市役所から外に出れば、自転車で元気に走っているよ。だから、足の衰えなんか、まったくない。元気そのもの」 では、一体、何のために車椅子に乗ってやって来るのかということになります。同僚曰く、 「そんなことを言えば、市役所に車椅子に乗って来てはいけないという規則でもあるのかと言われるだけじゃないか」 ナルホド・・・車椅子に乗っている人を見れば、何も言われなくても、体が不自由であると思い込んでしまうものです。公務員として、そういう市民には親切、丁寧に応対しなければならないという自覚くらい、私も持っているつもりです。その車椅子利用者の人は、そういう心理状態を巧みに利用しているということでしょう。常々、福祉というものに猜疑心を持っている私としては、不覚でした。 狙いとしては、福祉給付などで、有利に取り計らってもらおうという戦術なのかなと思います。もっとも、私の職場に車椅子で来たからといって、何か優遇されるようなことはありません。残念
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サッカーの試合中の落雷事故訴訟、賠償金で破産
産経新聞2日付記事からです。この事故の差戻し審判決については、以前、記事にしています。 http://seisakuhomu.blog19.fc2.com/blog-entry-89.html 裁判所が損害賠償を認めても、民事レベルなら、被告が行方をくらまして支払わないまま、原告が泣き寝入りするといったケースも珍しくありません。高槻市の事故は、被告が私立高校と財団法人であったため、破産してでも支払いがなされるということです。 財政力が脆弱な自治体が、同様の事故の責任を問われた場合、損害賠償金を支払うことで財政破綻を招くということも、十分あり得ることだと思います。今回はたまたま私立高校だったり、財団法人だったりしたわけですが、公立学校での事故も当然、責任を問われることになります。教育関係者というのは、法的問題が発生しても、「教育的配慮」という意味不明な言葉を駆使することで、何とか責任を回避しようとします。しかし、法廷の場で「教育的配慮」という非論理的な言葉は通じないことは、多くの学校事故判例で学ぶことができると思います。 ところで、新型インフルエンザの影響で、兵庫・大阪では多数の学校行事などが中止・延期され、生徒や教師が残念な思いをしたことが多数報道されていました。しかし、行事を強行して、インフルエンザが蔓延していたら、学校や教師は厳しい批判の嵐にさらされていたと思います。インフルエンザの感染は人災だと言われていたでしょう。そういう意味では、苦渋の決断だったでしょうが、評価されるべきです。 また、感染が判明した生徒がいた学校には、誹謗中傷する匿名電話が多数あったそうです。自分の身の安全は確保しつつ、相手は特定して誹謗中傷するというのは、インターネット上でしばしばなされることですが、同様のことがなされていたわけです。
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