講学 政策法務

政策法務、地方自治、司法、事件、そして四方山話。硬い話、時たま、柔らかい話。
Author:Z-Berg

かながわ政策法務研究会

 4日の土曜日、かながわ政策法務研究会の定例会に初めて参加させていただきました。神奈川県を中心に、首都圏自治体職員や研究者、法律専門書出版社編集社員の方などで構成されている、全国最大規模の政策法務研究団体で、以前からその活動には強い関心を持ち続けていました。目算ですが参加者は60名程度だったと思います。かなり遠方から参加されている方も多く、自治体職員バッシングが続けられている中、地道に政策法務を学ぼうとする職員がまだまだ多いことに勇気付けられました。バッシングばかりしないで、こういう地道な活動をもう少し評価してほしいものです。

 この日の報告発表は2本。詳細な報告と濃密な質疑応答が交わされ、とてもハイレベルなものでした。質問者が緊張のあまり、やや要領を得ない発言をすると、「もっと明確に発言してくれ」などと厳しい声が出たりして、とても緊張感の高い研究会でした。

 研究会終了後は、お楽しみの懇親会。何人もの方々から、いろいろな質問をされ、返答にタジタジでした。

1 「なぜ、政策法務の研究を続けているのか?」
2 「なぜ、地方公務員になったのか?」
3 「なぜ、私費で、この研究会に参加したのか?」

 ナゼ、ナゼ、って言われましてもねえ・・・回答としては次のようなものでした。
1 「政策法務の研究をすることで、全国レベルで、広範囲の自治体職員、専門家の方たちと親交を深めることができるからです。純粋に向学心があるかと問われると、私の場合、やや怪しいんですけどね」
2 「地方公務員になったのは、小さい頃から、親の強い希望だったことが一番大きな要因です」
3 「私費でしか、こういう研究会に参加できませんし、公費で出張させてくれるような理解のある自治体ではありませんので」

 1次会の次は、2次会。カラオケで某先生の名著「政策法務替え歌集」をみながら、楽しいひと時を過ごしました。

2009年07月07日

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マンションの政策法務(5)

狙われるマンション修繕積立金 管理会社の横領相次ぐ
 マンション所有者が、将来の大規模な改修に備える修繕積立金を、管理会社側が横領する事件が全国で相次ぐ。03年以降、国土交通省の把握分だけで127物件、被害総額は約12億円にのぼる。被害防止に国交省は法令を改正したが、所有者側もすきを与えない注意が必要なようだ。
 「間違えて管理組合の口座に入金してしまいました」。04年夏、東京都品川区のマンションの管理組合の理事長の妻に差し出された払い戻し請求書には「¥1788」と記されていた。妻は疑うことなく理事長印を押した。
 ところが、金額の前の「¥」は、専用の消しゴムで消せるボールペンで記入されていた。不動産会社・和泉創建(東京)の社長らは、「¥」を消して金額の前に「900」と書き込み、組合の口座から900万円余の修繕積立金を引き出した。
 こうした手口で26の管理組合の口座から計1億5千万円が会社の運転資金に消え、同社は05年に倒産した。
 首都圏で70物件を管理していた東洋ビル管理(東京)は03年に倒産後、50物件で計約1億8千万円が会社の運転資金に使い込まれていたことが発覚した。管理会社を信頼して、白紙の払い戻し請求書に組合の印鑑を押してあらかじめ渡したり、印鑑を預けたりしていた管理組合もあった。
 石川県の不動産会社・シーピーは、金沢市や同県野々市町の14の管理組合から、03〜07年に計約5億円を200回以上にわたって着服。横領を隠すため、組合口座の残高証明書を偽造していた。東京の2社は倒産に備えた業界団体の保証制度に加入していたため、1カ月分の積立金が組合に戻ったが、シーピーは未加入だった。
 個人犯罪も相次いでいる
業界最大手の大京アステージ沖縄支店でも昨年3月、19の管理組合から計8千万円を着服していたことが発覚。担当社員が8年にわたって口座の残高証明書を偽造して見つからないようにしていた。長崎市でも、太平ビルサービスの元社員が印鑑を偽造し、1億8千万円を着服していた。
 国交省に登録するマンションの管理会社は全国に約2300社ある。
 修繕積立金や管理費は三つの方式から選んで保管することが、マンション管理適正化法で決まっている。だが、通帳と印鑑の保管の仕方に問題があったり、管理組合が業者任せにしたりといったケースが多かった。
 原則方式は管理組合名義の口座で積立金と管理費を集めて保管。管理会社はエレベーターの保守点検や植栽の手入れなどで支出が生じる度に、組合の印鑑をもらう。本来、最も住民が監視しやすいはずだが、面倒に感じて印鑑を渡してしまう組合が少なくない。通帳も管理会社が持っていることが多い。
 ほかの二つの方式は、収納口座と保管口座に分けて積立金を保管するのは同じだ。管理会社が積立金と管理費を集め、経費を差し引く。
 収納代行方式の場合、収納口座は管理会社名義。万一、会社が倒産すると、本来、組合の金だったはずの積立金が会社の資産になってしまう。
 支払い一任代行方式は、収納口座の名義も組合だが、通帳も印鑑も管理会社が預かることができる。組合のものになるはずの管理費の残額が、管理会社の裁量で出し入れできる収納口座に積み上がる欠点があった。
 高層住宅管理業協会の保証制度に加入する約300社を対象にした06年の調査では、原則方式は3割、収納代行方式は2割、支払い一任代行方式が5割近くを占めた。


 朝日新聞6月30日付記事からです。
 マンション管理組合の運営上、最も深刻な問題が管理会社による修繕積立金の着服で、以前から注意喚起されてきました。私のところでは、上記の記事でいうところの原則方式を採用しています。管理会社の名義で口座などつくれば、かなりの確率で着服がなされるでしょう。

 原則方式を採用していても、事故防止のため、預金通帳と印鑑は別々に保管するのが鉄則です。預金通帳は管理会社、印鑑は理事長といった具合です。しかし、印鑑の保管を面倒と思っている人が多いようですし、管理会社から押印を依頼されれば、特に疑うこともなく応じることがほとんどだと思います。管理会社が弁済してくれればいいのですが、会社が倒産したりすれば億単位の資産を失うことになります。

 こうしたことから、管理会社は大企業が好ましいのですが、これとて絶対的なものではありません。つまりは、自己責任です。管理会社任せにしておくと、必ず痛い目にあうのです。そして被害にあってからでは遅いということも自覚しなければなりません。「会社が悪い」「役員が悪い」と住民間で責任のなすりつけあいをすることになります。しかし、やはり自己責任なのです。
2009年07月01日

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