碓井光明『社会保障財政法精義』(信山社) 碓井先生の精義シリーズ第4弾は、社会保障財政の仕組みに関する法的研究書。昨日手元に届いたところで、まだ読了していませんが、とりあえず紹介しておきます。
政権交代によって、社会保障充実策に期待が寄せられています。旧政権時代に判明した年金問題などは論外としても、政府として財政規律を無視することはできませんから、今までのやり方が全て悪かったとも思っていません。政策に100点満点はないといわれていますし。そのため、コンクリートに公金を費やしてきた旧政権から、人に公金を費やす新政権になっても、変わらないのは国の借金が増えるだけのように思えてなりません。過剰な期待は禁物だと思っています。
|
|
||||
後期高齢者医療、保険料滞納者に制裁
朝日新聞25日付記事からです。 後期高齢者医療広域連合の8割が、保険料滞納者に保険者証の返還要求を検討するようですが、真面目に保険料を負担している人との間に不平等が生じているのであれば、積極的にすべきなのは当然のことだと思います。厚労相は、保険証は取り上げないと発言したようですが、後期高齢者医療広域連合が法に基づいて行う措置を厚労相が差し止めることができるのでしょうか。まさか「通達」で広域連合を拘束しようとするのではないでしょうね。 後期高齢者医療制度については、開始時点では多方面から厳しい批判がなされていました。しかし、最近は制度が定着したようで、批判は沈静化しているようです。それでもとても良い制度であると評価されているわけでもありません。私もこの制度には疑問を持っています。このたびの政権交代によって、この制度は2012年度末に廃止されると厚労相は表明しています。しかし、問題なのは、その後にどのような新制度が創設されるのかということです。そんなウマイ仕組みが「政治主導」とやらで本当にできるのかと、これまた疑問に思っています。
|
|||||
無法地帯?阿久根市
毎日新聞23日付記事(西部夕刊)からです。 以前記事にした職員給与公開問題については、この不景気ですから、公務員へのバッシングがせめてもの息抜きになります。しかし、給与が高いと思うのであれば、市長が議会に給与削減を提案すればいいのですが、ナゼ、その努力をしないのか。これは市長として努力不足で、職務怠慢になるのではと思います。たぶん、「野党多数のため議会が認めない」と反論されるかもしれませんが、言い訳にすぎないと思います。 それはともかく、一連の常軌を逸した無茶苦茶な対応は「ああ、やっぱり、ド田舎の役場はダメだ」、「田舎の人間は、法律とか裁判とかを守れない」という見方になります。阿久根市政はかなり混乱しているのでしょうねえ。市長と職員がここまで対立するというのは、余程何か原因があると思うのですが、部外者には分かりません。何か恐ろしい事件が発生しなければいいのですけど。 それにしても、他人のやったことで自分が気に入らないことは根拠もなく違法と決めつけ、自分の違法行為は認めようとしない阿久根市長さんに法治行政の意識はないのでしょうねえ。この際、潔く辞職されればどうでしょうか。この人に司法や裁判官を批判する資格はないでしょう。自分で訴訟対応されるのなら、まず、十分に勉強して出廷すべきで、自分の知識不足を棚にあげて、司法批判はいただけません。逆に、裁判官がこの市長に対して、名誉毀損などで損害賠償請求すればいいのにとも思います。
|
|||||
ナースセンターの真実? とある大学病院外科のナースセンターで数回見た光景です。看護婦から看護師に名称変更となり、女性だけの職場だった看護の世界に、男性が徐々にですが進出しているようです。この病院でも、十数名の女性看護師に対して、1人だけ男性の看護師がいました。男の私が言うのもおかしいのですが、なかなかのイケメン看護師。応対も丁寧で、患者の評判も上々のようです。
しかし、女性看護師たちにすれば、ちょっと事情が違うようです。どうやらこの男性看護師は年功的には一番若いようで、何かとミスをするようで、そのたびにナースセンターの中で多くの女性看護師たちに一斉に叱り飛ばされていました。男性看護師はタジタジの様子で。 男女共同参画社会といわれていますが、普通、男性主体の社会に女性の進出を促すのが基本的趣旨。女性中心の、かなり閉鎖的な看護師という業界に男性が入り込むには、かなりの「勇気」を要することが、よく分かります。男性ばかりの職場に、若い女性が配属されたときの男性たちの応対を多数見たり、経験した者としては、その差異にちょっと恐怖感を覚えた次第です。
|
|||||
大阪府知事に対する職員の物言いへの処分に賛否両論
読売新聞17日付記事からです。 トップに対する意見具申は、やはり節度をわきまえるべきだと思います。この大阪府職員は、組合関係者だったのかもしれませんねえ。ただ、知事も自分のメールを全ての職員が必ず読んでいると思われているのであれば、それは多分、違うと思います。職員の中には、内容も見ずに削除している人も相当多いでしょう。 実は、私の勤める市でもトップからメールマガジンが、年に数件ありますが、本人が書いていないことがバレバレ。同僚はそれを知っているため、着信次第削除しています。私は、一応、通読しますが、それきりで、やはり削除ですね。余りにも内容がなさすぎまして・・・ 大阪府職員は知事のことをどのように思っているのでしょうか。多くの職員は、「知事はいいよな。辞職したって、元知事という肩書きで、またタレント弁護士として年収数億円稼ぐことができるんだから」」といったところでしょう。
|
|||||
競輪の場外車券発売施設の設置許可の取消しを求める原告適格 最高裁が、15日、原告適格について、また新たな判断を示しました。最高裁HPからの判決要旨をそのまま引用します。
判決文も一瞥しました。原審は、全ての被上告人の原告適格を肯定したのに対して、最高裁は自転車競技法、同法施行規則の「位置基準」によって保護している利益は不特定多数者の利益、つまり、一般的公益に属するものであり、原告適格を基礎付けるものではないとして、周辺住民の原告適格については否定しました。 学校や病院などはともかく、周辺住民の平穏な生活よりも、公営賭博の繁栄を法的に保護するといったところでしょうか。好意的にみていいのか、どうなのか。
|
|||||
脱官僚依存、政治主導
朝日新聞9日付記事からです。 新政権が政治主導、脱官僚依存に取り組んでいることとの関連で、法律と憲法との関係で微妙な問題が発生した場合、本当に国会議員だけで乗り切れるのか疑問に思っています。内閣法制局長官は官僚ですが、過去、憲法問題では、賛否はあるにせよ、ともかく歴代内閣法制局の「援護射撃」で乗り切ってきたはずです。民主党の小沢幹事長は、これまでの慣例を壊したいようですが、大丈夫でしょうか。 いつぞやの政策法務研究会の席上で、ある自治体の法務担当係長さんから、「私のところでは、重要な条例議案については、所管の部長や課長ではなく、法務担当課長や私が市長に説明するように求められることが多い」と教えていただきました。内閣法制局長官が政府特別補佐人であることを参考にした対応なのかもしれません。政治主導という言葉は、「官僚依存」という言葉が余りにもダーティなものになっているため、新鮮な響きとなっていますが、いずれ、錯覚に陥っていたことに気づくかもしれません。
|
|||||
高齢化の不透明性
朝日新聞9月11日付記事からです。 100歳以上のご長寿の方が4万人以上いるとのことですが、これは住民基本台帳上のことのようです。実際に生存が確認できている100歳以上の方は2万人余りと、某テレビ番組でメインキャスターが厚労省担当者に確認したとして言っていました。表面的な数値だけを信用すると、本当の姿が見えなくなる一事例でしょうか。もっとも、最高齢の人だけは確認しているようで、例えば、150歳とか200歳の人が生存しているような馬鹿な事態だけは、厚労省が「防止」しているようです。 こういうことを考えだすと、少子化はともかく、高齢化の実態が不透明になるように思います。例えば、75歳以上100歳未満の人口も数値と実態との間には相当な乖離が存在するのではないか、本当は死んでいるのに、生きていることにして年金をネコババしている奴等もいるんじゃないかなど、疑問が広まっていきます。 政権交代によって、「コンクリートから人へ」をキャッチフレーズに政策転換がなされつつありますが、現金給付施策というものに対して、以前から猛烈な嫌悪感を持っているのは、上記のようなまやかしが相当存在することを感じているためかもしれません。
|
|||||
北村喜宣『自治体環境行政法第5版』など 長い間、拙ブログのお休みをいただいておりました。
標記の著作などが手元に届いておりますので、お知らせしておきます。
自治体職員が環境法を学ぶための体系的テキストで、初版が1996年ですから10年以上のロングセラーになります。私の場合、特に環境行政に従事した経験はありませんが、本書は政策法務のテキストとしての色合いも濃く、関心をひきつけてくれます。 もう1冊政策法務に関する書籍を紹介しておきましょう。
出石稔氏(関東学院大学教授)監修、横須賀市まちづくり条例研究会の方々によるシリーズ第4巻。実際のところ、「まちづくり課」という名称の組織を持つ市町村がどれだけあるのかは別として、都市計画制度の運用、宅地開発の規制・誘導、建築行為の規制・誘導、都市景観の維持・形成、そして土地利用の総合調整といった仕事を担う部署は存在すると思います。本書は、こうした「まちづくり課」における政策法務を物語にしたものです。
|
|||||
| HOME | |