子ども手当に反対
産経新聞30日付記事からです。子ども手当の地方負担を政府が押し付けようとしていることに関して、10月20日に橋下知事は、民主党を「これでは独裁政治だ」と批判していたと記憶しています。もっとも、今の大阪府政は、橋下知事の独裁政治なんでしょうけど。 子ども手当については、私は反対です。給付行政に従事した経験から、公金の給付は、自立には結びつかないと強く認識しています。やっぱり働いて得たお金以外は、「あぶく銭」にしかならないのです。子ども手当が実施されれば、生活保護などと同様、浅ましく、醜い言動が家庭内や自治体の給付窓口などで繰り広げられるのではないかと思います。いい加減な親は子どものために使わない。 少し前ですが、朝日新聞の読者投書「声」で、現役中学校教師が生徒たちに民主党政権の政策についての意見を作文に書かせたところ、多くの生徒が子ども手当をとりあげ、過半数が反対していたとのことです。子どものほうがよく見ているのです。子ども手当を満額実施すれば、年間5兆円の予算が必要です。そんな巨費があるなら、保育所の整備や雇用対策に使うべきで、マニフェストといったたかが選挙対策冊子ごときに必要以上に拘泥するべきではない。政治家は嘘つきのプロでしょう。どうせなら、良いウソをついてほしい。 元総務相の竹中平蔵氏がテレビ番組で言っていました。現在、日本の借金は860兆円。20年間で全て消費税で返済しようとするならば、1%=2.5兆円として1年に42兆円余り返済しないといけないので、17%上乗せし、22%にする必要があると。また、年間31万2000円の子ども手当について、3人の子供に15年間支給すれば、約1400万円になり、都市部はともかく、地方であれば子ども3人15年間育てれば家を1件政府が提供するのと同じようなものだとも言っていました。こちらの意見のほうが、説得力を感じます。
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ゼロの焦点 松本清張『ゼロの焦点』(新潮文庫)は、入院していたときに、売店で購入し、暇つぶしを兼ねて読了していました。北九州市にある松本清張記念館には、すでに昨年の夏に訪問したことを記事にしています。
http://seisakuhomu.blog19.fc2.com/blog-entry-52.html 清張作品については、「点と線」、「黒革の手帳」などがテレビドラマで放映されていました。前者は観ましたが、後者は連続ドラマだったこともあり、観ていません。というか、主演の米倉涼子という女優が好きではないというのも大きな理由です。 映画の冒頭では、戦時中の動員学徒への壮行、銃による射殺の状況などが映し出されていました。主演は広末涼子。同じ「涼子」ということで、実は、私はこの女優もあまり好きではありません。演技がなんとなく、わざとらしい。それでも、『ゼロの焦点』を読了していたため、原作がどのように映像化されているのか興味があったため、久しぶりに映画館に足を運んだということです。基本的ストーリーは原作に即したもので、殺害シーンはかなり迫力がありました。 それにしても、昨今の世相を反映しているのか、重たい、暗い内容の映画が多いです。次は「宇宙戦艦ヤマト復活編」でも観にいこうと思っています。 あ、それと、私が好きな女優さんは・・・
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自治体職員のための政策法務入門5 環境課の巻 第一法規さんから出版されている好評のシリーズ第5巻です。副題が「あのごみ屋敷をどうにかしてと言われたら」となっています。
このシリーズは、すべて架空の自治体を舞台に、物語形式で政策法務が学べるように工夫されています。第4巻の「まちづくり課の巻」とともに、「環境課の巻」も入門とはいうものの、かなりハイレベルな議論も盛り込まれていますので、専門書として位置づけておこうとする第一法規さんや監修の出石教授、そして著者の方々の意図が明確に伝わってきます。 環境行政の分野は都市行政分野と同様、政策法務の議論が最も活発です。先日紹介した、北村喜宣先生の『自治体環境行政法第5版』と併読することで、専門知識が増すでしょうけど、読了が大変ですね。
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再任用職員もイロイロ 団塊世代の大量退職は、国も自治体も民間も、ほぼ同じような状況だと思います。私の勤務するA市も同じでして、私の係に再任用職員が2人も配置されています。定年退職後も長年にわたって培われた知識や経験を活用してもらい、公務の円滑な遂行に貢献してもらうというのが、基本的な趣旨だと思います。
しかし、現実はそうではないのです。再任用職員は、やはり「慣れた職場」「慣れた仕事」をしてもらうのが本人にとっても、周囲の者にとっても有難いのです。しかし、私の職場にいる2人の再任用職員は、ちょっと違う。事務職員ばかりの職場に保育士の職員が配置されました。保育士でも事務経験があり、パソコンでワード、エクセルなどの基本操作ができればいいのですが、これが全くダメ。タイピングからしてなっていない。できる限りパソコンを使わない仕事を選んで分担してもらっているのですが、それでもまったくパソコンを触らない事務の仕事というのは、今の自治体ではちょっと考えられません。 もう一人の再任用職員は、課長職で退職した人ですが、やはり長年実務をしていないので、仕事時間中に過去の「武勇伝」を話すのに夢中になって、しばしば業務が中断してしまいます。自治体の再任用職員制度は、どの程度、機能しているのでしょうか。たった2つの事例からは判断できませんが、いろいろ悩まされています。
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京都市保育園連盟の補助金不正流用問題
京都新聞15日付記事からです。 古都・京都市も行政上はいろいろ問題をかかえているようです。補助金を受領し、目的に即して執行した後、剰余金が発生すれば返還する。普通のことです。私も今の職場では、国庫補助金の仕事をしており、毎年、返戻の事務が発生します。不正流用などすれば、国と自治体の信頼関係は壊れ、後々まで禍根を残します。自治体の補助金交付について条例化するなど、政策法務からのアプローチの重要性を認識させられる事例です。 それにしても京都市の事例は金額が億単位なので、凄い。以前、福祉事業者の不正受給を話題にしたことがありますが、1000万円ほどのものでした。能無し役立たずの経営者が苦し紛れに不正に走ったのですが、なんともみみっちかったのと比べてしまいます。 京都市の職員の中には、政策法務研究会で親しく交流させていただいる方もいます。この問題への対応は大変だっただろうとお察しします。
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相続で忙しい? 私の上司の話。地元では指折りの大地主が親の馬鹿息子。先日、親御さんが逝去され、いよいよ相続が遺族たちで話し合いになっている様子。そのためもあって、ただでさえヤル気のない仕事ぶりに拍車がかかっています。
昨日もそうでした。国からの補助金に関する資料を作成していたのですが、次のような会話 私:国との協議会の出張旅費はいくらでしたっけ?決裁文書お持ちですか? 上司:忘れた 私:え?でも出張に行ったじゃないですか 上司:だから、忘れたって言っているだろ!そんなことイチイチ覚えてられるか!俺は忙しいんだ! もちろん、この上司が忙しそうに仕事をしている様子を見たことは、私が着任してから一度もありません。毎日、一番遅く出勤し、一番早く帰宅していますし。 この上司、今の職場に配置されて既に8年にもなるのに、私が何を尋ねても「わらかない」「知らない」「覚えてない」の連発でした。というのも、部下職員たちに毎年、同じ事務分担しかさせず、任せきりにし、自分は手抜き三昧。そして、最近はいよいよ「やる気がない」というのも加わってきました。相続財産が手に入れば、自主退職でもしてくれればいいんですけど、本人曰く 「定年まで残り3年だ。それまで辞める気はない」とのこと。ヤル気もないけど、辞める気もない。 うーーーーん 残念
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自治体法務検定テキスト 政策法務編(第一法規) 紹介するのがかなり遅れましたが、第一法規さんから出版されています。この本は、2010年6月に実施予定の「自治体法務検定」のための公式テキストとなっており、かなり多くの自治体職員が注目されているようです。自治体法務検定とは、自治体職員に必要な法務能力を問うものだそうです。
テキスト本論は320頁ほどで、丁寧で分かりやすい説明がなされていて、初めて勉強する人に対する配慮もなされていると思います。この数年間に、私がいろいろな政策法務研究会で学んだことなどが凝縮されているテキストでもあると思います。読み進める中で、疑問点などがあれば、自分で余白に書き込みをすることなどで、「自分だけのテキスト」に仕上げることもできそうです。 政策法務の勉強のための文献の読み方についは、時々、後輩職員などに言うことがあるのですが、興味のある部分から読み始めてもいいと思います。1頁目から詠み始めると、途中で嫌になることもあるでしょうし。
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内閣官房機密費
朝日新聞12日付記事(一部省略)からです。 予算上はあくまで報償費というのが正式なもの。官房機密費という呼び名は、使途を隠蔽するということからつけられたものでしょう。碓井光明『政府経費法精義』(信山社)51頁では、この内閣官房報償費について、毎年度端数まで同額が予算計上されているとしていますが、積算の根拠は不明です。会計検査院の検査も、本来のやり方である計算証明(会計検査院法24条)の特例としての「簡易証明」が認められているとのことですから、検査院も手出しできない領域ということです。 民主党は野党時代、この機密費の公開を要求してきたのに、自分たちが政権奪取した途端、非公開としました。余程ヤバイことに使っているのでしょう。例えば、野党時代に民主党の議員も受け取っていて、それが政治資金規正法違反などになってしまうので、公表できないといったところでしょう。それは理解できますが、それならそれで、正直に言うべきです。「あのー、皆さん、ごめんなさい。報償費はヤバイことに使っているので、とても公表なんてできません。日本の政治家が、ほとんどお縄にかかってしまいますから」と。
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増田美智子『F君を殺して何になる』(インシデンツ)
読売新聞10日付記事からです。 この本、先週金曜日の昼休みに、駅前の書店で1冊だけ店頭に残っていたので購入し、読了しました。少年法では実名を公表することを禁じていますが、事件から既に10年経過し、この人の氏名はほとんど公知のものとなっているのですから、こんな状況になっていても少年法の禁止規定が及ぶのかという疑問もあります。出版差止め訴訟は、F(ここではイニシャル標記にしておきます)の意図ではなく、弁護団の意図によるものというのは、かたくなに取材を拒んだ弁護団について詳細に記述されていることからも想像できます。増刷分も含めて、ほとんど完売するでしょうね。 著者の増田さんが被告人のFに取材し、そのやり取りがかなり詳細に記述されていますが、Fの口調は28歳の大人とは思えないような幼いもので、一般に広まっている「狡猾な知能犯」というイメージとは程遠いものに感じられました。本書の趣旨は、匿名で姿も知らされない犯罪者に、日本国中から「反省しろ」「謝罪しろ」とバッシングして、本当に良くなるのかというもののようです。本書は、確かに、Fの情状には有利だとは思います。 しかし、本書からの問題提起に対しては、どんな性根の悪い人間でも犯罪をしなければ、犯罪者ではなく、刑罰を科されません。一方、どんなにいい人間でも、残虐な犯罪をしたからには、厳しい刑罰を受けなければなりません。こういう普通の国民の声にどう応えるのでしょうか。 著者に対しては、Fの刑罰が死刑ではなく、例えば無期懲役なら日本の刑事司法は発展し、犯罪は減っていき、日本は良くなっていくのかという声も出ると思います。
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カツラ判事にGパン検事??? 今年5月11日から裁判員制度がスタートしたことは、皆様ご存知だと思います。陪審制度あるいは参審制度は、諸外国で見られるものですが、その実情や背景について簡潔、明快にまとめられた書籍が次のものです。
日本の裁判員制度のほか、アメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、ドイツなど14か国の裁判員制度(陪審・参審)について紹介されています。外国の司法制度もいろいろあって興味深いものです。 イギリスの法廷では裁判官も弁護士もカツラをつけているそうです。検察官については、長年イギリスにはこうした職業はなく、元々は警察が訴追権限を持っていたところ、1986年に王立検察庁が(CPS)が設立されたのですが、実際に訴追側に立って主張・立証するのはCPS が雇用している弁護士だそうです。イギリスの刑事裁判は、検察側弁護士と弁護側弁護士がいるというわけです。ちなみに、最高裁判所も存在していなかったそうですが、司法改革として今年10月に誕生しています。それまでは貴族院(上院)が最終審の役割を果たしてきたそうです。 デンマークの裁判所は、裁判官も検察官も特別な法服はなく、普通の服装で裁判をするようです。検察官の中にはジーンズ姿で法廷に出る人もいるようで、まさに「Gパン検事」です。
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たばこ自販機1台で税収15億円 大阪府泉佐野市
産経新聞2日付記事からです。 ウーーン、こういう方法があるとは、まったく知りませんでした。直接の根拠は、泉佐野市企業誘致条例第3条、第6条の「まちづくり奨励金」のようです。法的にはたばこの自販機1台でも「事業所」となるというのですから、税法を熟知していない者としては驚きです。 こういう徴税方法を政策法務の観点からみれば、地方税法の隙間を巧みに解釈し、条例によって税収を増やすという成果を獲得していると評価できるかもしれません。しかし、そこらのヤクザ企業ならともかく、地方公共団体のやることとして、果たして公正なものなのかは疑問もあります。とは言っても困難を極める財政状態を少しでも緩和したいともがいている泉佐野市としては、なりふりかまっていられないといったところなのでしょうか。
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