−管理人のたわごとブログ−
「長いお別れ」の原題は、「The Long Goodbye」。清水俊二氏の訳によるレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説です。昨年、「ロング・グッドバイ」のタイトルでNHKの土曜ドラマでドラマ化されました。
突然ですが、「長いお別れ」をすることになりました。この記事をもって、「反則法制」は終了します。一身上の都合により、退職することになりましたので、おそらく、再開することはないと思います。
8年6か月の期間にわたり、思いつくままに605本ものたわごとを綴ってきました。御愛読いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
皆さんの御健勝と御活躍をお祈りします。
「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」(地方公務員法第30条)
「職員が全体の奉仕者であるということは、職員の服務の根本基準であるにとどまらず、公務員の基本的性格を意味する。いうまでもなく、このことは憲法第一五条第二項で「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と規定されていることに基づくものであり、一般職の地方公務員だけでなく、特別職の地方公務員、さらには国家公務員をも含む全公務員についての基本原則である。」(「逐条地方公務員法」橋本勇著/学陽書房)
選挙で選ばれた首長がどれほど無知で無能な人間であろうと、最低で最悪の人間であろうと、忠実に仕えなければなりません。そして、その職務命令がどれほど無理で無意味なものであろうと、有効であると推定されるならば、忠実に従わなければなりません。それが全体の奉仕者である職員の使命です。
それをよーせんっちゅーんやったら、辞めらなしゃーないと思います。
統一地方選挙が終了しました。
HP等を見ていると、ほとんどの地方公共団体が議会改革に取り組んでいるようですが、それなりの成果を上げているところは少ないように思います。本気で議会を改革しようと考えているならば、次のような取扱いを検討してみてはどうでしょうか。
「議会の母国である英国の下院議長は、議長をやめるときは議員をやめるときであるといわれています。このため議長経験者の議員はいません。我が国の場合、国会、地方議会とも議長辞任後も議員として在職しています。特に議長の短期交代をしている地方議会では、前議長、元議長が多くいます。
議会での最高位に就いた議長が議長を辞職したあとも、一議員として在職することはおかしな現象といえます。議員全員の中から議長適任者として選挙された議員が交代することは、適任でなくなったこと、また選挙した議員に眼力がないことを意味すると言えなくもありません。前議長、元議長が多いのは、政治的な話し合いにより議長の短期交代をしていることに大きな理由がありますが、同時に議長経験議員が議員として在職することを禁止した規定がないことにも一つの理由があります。議長の地位の重要性や権威を考慮するならば、議長辞任後は議員を続けるべきではありません。」(「議員・職員のための議会運営の実際21」地方議会研究会編著/自治日報社)
このことを条例で定めたところで、ある地方公共団体の多選自粛条例のようになる可能性が大きいと思います。しかし、議会を個々の議員の単なる集まりではなく、住民代表の議決機関として機能させるためには、一つの方法として検討してみるのも面白いのではないでしょうか。
本市に限らず、ほとんどの地方公共団体では、法令の改正方法と同様に、既存の例規の一部を改正する方法として、溶け込み方式を採用しています。例えば、A条例の一部を改正する場合は、A条例の一部を改正する条例(B条例)を制定します。このB条例の本則で規定された改正内容が施行され、A条例に溶け込むことによってA条例が改正されるという方法です。そしてB条例の附則だけが残ることになります。
ところが、まれにB条例が公布され、まだ施行日が到来していない段階で、A条例の同じ部分を改正し、B条例の施行よりも先に施行しなければならない場合が生じることがあります。この3月31日付けで専決処分した市税条例等の一部を改正する条例が、正にそれです。
市税条例(A条例)を改正する平成26年総税市第9号による市税条例等の一部を改正する条例(B条例)第1条中附則第16条の改正規定の施行日は平成28年4月1日ですので、現在、同条の改正規定は、未施行の状態です。
平成27年総税市第23号による市税条例等の一部を改正する条例(C条例)第1条の規定により、A条例附則第16条が改正され、同条の改正規定の施行日が平成27年4月1日とされています。このため、C条例第1条の規定によるA条例の一部改正を前提として、C条例第2条でB条例の一部を改正しているのが、専決処分した市税条例等の一部を改正する条例です。
専決処分した条例は、次の会議で議会に報告し、その承認を求めなければならない(地方自治法第179条第3項)ので、担当部長に説明しているのですが、なかなか理解してもらえません。さて、どう説明しましょうか?
「新自治用語辞典」(新自治用語辞典編纂会編/ぎょうせい)によると、執務時間とは、「組織体としての国や地方公共団体が全体として執務を行う態勢にある時間をいう。執務時間として定められた時間には大部分の行政活動が行われ、行政サービスが提供されることとなる。したがって、執務時間は行政需要にいかに対応すべきかという観点から決定されるものであり、職員が勤務を提供することについての諸条件、いわゆる勤務条件とは異なり、国や地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項に係る概念である。従来、都道府県については官庁執務時間が準用され、市町村については明確な規定が存在していなかったが、昭和63年の自治法改正の際、都道府県に対する準用を外すとともに、すべての地方公共団体において、規則によって執務時間を定めるよう要請がなされた。職員の執務時間を定めるに当たっては、地方公共団体の執務時間中は常に職務の執行体制が整備されていなければならないことに十分注意する必要がある」とされています。
昭和63年の自治法改正というと、「地方公共団体の休日は、条例で定める」とされ、4週6休制が導入されたときですね。その際、「すべての地方公共団体において、規則によって執務時間を定めるよう要請がなされた」のは知りませんでした。しかし、本市を含む多数の地方公共団体では、今も規則によって執務時間が定められていません。おそらく、勤務時間との関係上、又は地方公共団体の事務の性格上、執務時間をあえて規定する必要性が認められなかったからではないでしょうか。
なお、執務時間を営業時間又は窓口時間として捉えるならば、規則よりも条例で規定する方が適当ではないかと思います。
「注釈地方自治関係実例集」(地方自治制度研究会編/ぎょうせい)には、この行政実例に対する注釈が次のようにあります。
「設問について一事であるかどうかを考えるに議案の形式だけから考える場合は同一、すなわち一事とはいえないであろうが、その内容について考えるならば、A案の否決が現状維持を是として行われたものである場合は、その数に関し、議会の決定的意思表示つまり定数は二〇とする決定があったことにほかならないから、同一会期中にはその後における客観情勢の変化等により必要が生じた場合でない限り、再びその数の変更に関する審議をすることは明らかに一事について審議するものといわざるを得ない。
しかし、その趣旨がA案に示された数に賛意を表しがたいがために、換言するならば改正原案の増加数が多すぎるとして、あるいは少なすぎるとして、つまり当該原案に示すその数自体に異議を求めて否決したものである場合は、右の現状維持を是として否決した場合と異なり、その数に関し決定的な一つの意思が表明されたということは根拠が薄く、したがってこの場合、改めて別の定数とする改正条例案(もちろんB案のようなものを含む。)を提案し、審議することは、その適否は別としても、必ずしもこれを一事とみる必要はなく、いわゆる一事不再議の原則には反しないと考えてよいと思われる。」
一事不再議の原則は、議会の議決があって初めてその適用があるものです。そして一事であるかどうかの認定は、議会が決定することとされています。では、もしも議員定数を16人とするものから20人とするものまで、A案からE案まで5種類の議員定数条例の一部を改正する条例案が議員から提案された場合は、どのように取り扱うのでしょうか。前掲書の注釈のとおり、否決された趣旨が当該条例案に示された数に異議を求めて否決したものであると考えるならば、一事不再議の原則には反せず、A案、B案、C案、D案、E案と順番に審議していくことになります。
確かに、一事不再議の原則には反しないのでしょうが、あまり適当な方法であるとは考えられません。現実にこのような問題が発生した場合は、審議の方法を少し工夫する必要があると思います。
一事不再議の原則とは、「議会の会議原則の一つであり、一つの事件が議決されると、同一事件については、その会期中に再び審議の対象とすることができないとする原則である。一時不再理の原則ともいう。
一事不再議の原則は、自治法上に明定されていないが、会議原則として、いわば条理上の原則として確立した原則である。この原則を認める理由としては、@議会の会議の能率を高めること、A議会の議決に権威をもたせることの二つがあげられる。
何が「一事」であるかについては、事件の題名など形式面からだけで判断するのではなく、再び事件に供するに至った目的、趣旨、事情などが異なっているか否かを実質的に判断することが必要である。
なお、一事不再議の原則の例外として、自治法176条、177条の再議の場合と、事情変更の原則の適用がある場合とがあり、更に、特別な場合として、自治法74条3項の規定により直請求に係る条例案が議決される場合がある」(「新自治用語辞典」新自治用語辞典編纂会編/ぎょうせい)とされています。
標準都道府県・市・町村議会会議規則は、「議会で議決された事件については、同一会期中は再び提出することができない」(市第15条)と規定していますが、会議規則中に一事不再議に関する規定の有無にかかわりなく、地方公共団体の議会についても、一事不再議の原則の適用があるものと解されています(昭和33年3月26日行政実例)。
実際に一事不再議の原則を適用する場合に問題となるのが「一事」の認定です。例えば、議員定数を16人とするものから20人とするものまで、5種類の議員定数条例の一部を改正する条例案が議員から提案された場合の取扱いはどうするのでしょうか?
昭和34年12月16日付けの行政実例には、次のようにあります。
問 議会の議員の定数が三六人であるところを二〇人に減少していた市において、議員定数を二六人
にする減少条例の一部改正案が議員から提案されたが否決された。同一会期中に議員定数の減少
条例を廃止する条例案を審議することは、一事不再議の原則に違反するか。
答 さきの議案を否決した趣旨が現状維持を是とする意思の表示である場合においては、地方自治法
第七四条第三項の規定により付議された議案であるとき又は事情の変更によりあらたな必要が生じた
ものであるときを除き、一事不再議の原則に反するものと解する。
今年度、本市に「○○監」という職が設置されました。
「監」という漢字を調べると、「@見はる。とりしまる。「監禁・監護・監査・監察・監視・監修・監督・軍艦・舎監・統監」Aろうや。「監獄・監房・収監」」(「大辞林」三省堂)とあります。ちなみに、職ではありませんが、警察官には「警視監」及び「警視総監」という階級が、消防吏員には「消防監」、「消防正監」、「消防司監」及び「消防総監」という階級があります。
国土交通省には、「命を受けて、国土交通省の所掌事務に係る技術を統理する」(国土交通省設置法第5条第2項)「技監」という特別の職があり、おそらくこれに倣ったものと思われますが、大規模な地方公共団体では、いわゆる技術吏員のトップとして「技監」という職を設置しているところがあります。東日本大震災以後に「危機管理監」という職が各地方公共団体で設置されたのを始め、最近では、「○○政策監」や「○○統括監」といった職を設置している市町村も増えてきました。
こうした市町村の例規を見てみると、一般的に「○○監」は、特定の事務について、組織を超えて統括管理する職として位置付けているようです。しかし、既に「理事」や「参事」といったスタッフ職があるにもかかわらず、安易に「○○監」という職を設置することは、職務権限及び職務命令が不明確になり、組織に悪影響を及ぼすおそれがあるように思います。
前回の記事(2008年11月12日)です。
あれから6年と数箇月、訳の分からん度合いがパワーアップしとる。この前、岸和田駅で話しかけられた外国人以上に何言うてんのか分からん。
これ作ったヤツ、どっかの文書管理規程読んだことあるんけ?このシステム、どこの市町村がえー言うてるんで?ホンマに教えてくれへんけ?
こっちの話、いっこも聞いてくれへんやんけ。でけへんて言うたら、それで終わりかい。おお?アカン。業者にだまされてるような気ィしてしゃーない……
クロネコヤマトのメール便が今月末をもって廃止されるそうです。
「クロネコメール便は、ヤマトが1997年に始めたサービスで、カタログや雑誌などを全国一律料金(82円から)で配送する。郵便と同程度の料金で送れる点が人気を集め、利用件数は年20億件を超える。
同社は1月下旬、このサービスの名称を4月以降、「クロネコDM便」に変更して法人向けに限定すると発表した。個人向けは、書類以外を扱う400円程度の新サービスに移行する。
ヤマトによると、2009年7月以降、企業の担当者などがメール便に信書を同封したとして郵便法違反の疑いで書類送検されたり、警察の取り調べを受けたりしたケースが8件あった。山内雅喜社長は記者会見で、メール便から撤退する理由について、「信書の定義や範囲があいまいで、法違反の認識がないお客様が容疑者になるリスクを放置できない」と説明した。
郵便法では、信書を許可のない業者が扱った場合、利用者や業者は3年以下の懲役か300万円以下の罰金刑に問われると定めている。」(2月6日付け読売新聞朝刊)
信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう」(郵便法第4条第2項)と規定されています。具体的には、総務省のホームページに、次のようなガイドラインが示されています。
信書のガイドライン
が、かえって分かりにくいのではないでしょうか。
信書は、郵便としてだけではなく、民間事業者による信書の送達に関する法律の規定に基づき、信書便としても送達することができます。しかし、現実には、一般信書便事業の許可を受けた者が存在しないため、いわゆるバイク便などの特定信書便を除き、信書は、郵便以外では送達することができません。そしてヤマト運輸は、特定信書便事業の許可を受けていません。メール便は、あくまで、貨物自動車運送事業法の規定に基づき、運送される貨物です。そのため、文書担当課でメール便の取扱いをしている市町村は少ないと思われますが、みなさんのところではどうでしょうか。
昨日、ある市立病院で研修の講師をさせていただきました。テーマは、「病院における個人情報保護について」です。
事務局の職員を対象に考えていたのですが、会場に入ってみると、参加者の大半が医師や看護師等の医療スタッフで、白衣が整然と並ぶ光景に緊張してしまいました。
他市の個人情報保護条例は、当然、本市の個人情報保護条例とは違いますので、微妙に間違ったことを言っていないかと気になるところですが、研修終了後、いくつか質問をいただき、また、面白かったと言っていただいたことで、取りあえずホッとしています。
他市で研修をさせていただくと、こちらも勉強になることが多いです。今回もいい勉強をさせていただきました。ありがとうございました。
昨日、次のような質問を受けました。
「しょーもないこと聞くけど、本則で「法」て略称使たら、様式でも「法」て略称にせなアカンのけ?」
「しょーもないこと」ではなく、良い質問だと思います。ちなみに、次のように答えました。
「法制執務上は略称がスジなんやけど、様式の性格考えて、略称にせんでもええ」
略称規定は、「特にその及ぶべき条項を限定した場合を除いては、その法令の附則及び別表等にも及ぶものとされて」(「ワークブック法制執務」法制執務研究会編/ぎょうせい)います。しかし、「様式については、法令の一部とはいえ、実際には本則と切り離されて単独で用いられることが多いため、様式中で法令名の略称が用いられた場合、読み手(住民)がその略称が何を指しているか分からない可能性があります。そのため、このような事態を避ける趣旨で、本則中で略称規定の設けられた法令名でも、様式中では、正式名称を使用することが一般的」(「実務相談法制執務」鰍ャょうせいクリエイティブ事業部法制ソフト課編集/ぎょうせい)であるとされています。
なお、条項を限定して略称する方法もありますが、市町村の例規では、「本則中で略称規定の設けられた法令名でも、様式中では、正式名称を使用すること」の方が適当であると考えられます。
前回の記事にした議会委員会条例は、その発案権が議員(議会の委員会を含む。以下同じ。)に専属していると解されていますが、基本的に条例の発案権は、長と議員の両方が有しているものであって、議員報酬条例も、その発案権は、長と議員の両方が有しています。
この議員報酬条例の一部を改正する条例の発案権について、近隣の市町村から面白いローカルルールを聞きました。それは、議員報酬を上げるときは長から提案し、下げるときは議員から提案するというものです。
平成26年12月議会での議員報酬条例の一部を改正する条例は、長から提案したそうです。ホンマに、色んな市町村があるものだと思います。
本市の法規係は、議会事務局からの依頼により、議員提案による条例案の審査も行います。場合によっては、事務局の職員を交えて、議員とヒアリングをすることもあります。
3月定例会でも法規審査の依頼があり、資料として、議会事務局から平成27年1月23日付け全議M1第2号通知のコピーが提出されました。地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号)附則第6条の規定により、地方自治法第121条第1項中「教育委員会の委員長」が「教育委員会の教育長」に改められたことに伴い、標準市議会委員会条例の一部を改正するものですが、気になったのが、「法令又は条例に基づく」を「法律に基づく」に改正している部分です。
同通知の改正趣旨によると、これは、「平成11年の地方自治法改正に合わせた改正です」とあります。地方分権一括法を見ると、当時の地方自治法第75条第3項、第98条第1項、第121条、第125条等に規定されている「法令又は条例に基づく委員会又は委員」が「法律に基づく委員会又は委員」に改められています。「Q&A改正地方自治法のポイント」(地方自治制度研究会編/ぎょうせい)によると、「「条例に基づく委員会又は委員」については、本規定の制定当初(昭和25年改正)においては、人事委員会及び人事委員が予定されていたようであるが、これらについては、現在法律に規定されており、「条例に基づく委員会又は委員」は存在していない。
また、昭和27年改正により、第138条の4において「普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長のほか、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く」こととされており、「条例に基づく」は不適切であるので、今回の改正に併せて整備を図ることとするものである」とあります。
標準・都道府県及び町村議会委員会条例は、既に改正されていますので、標準市議会委員会条例のみ改正漏れということのようです。たまには、こうゆうこともありますね。
なお、標準条例では、「法令又は条例に基づく」と引用していますが、「法令又は条例」で足りると思われます。おそらく、地方自治法第121条の改正規定が「基く」を「基づく」に改正していることから、このように引用してしまったのではないでしょうか。
3月定例会の議案審査もようやく終わりが見えてきました。この議会での一番の難問は、やはり、介護保険条例(参考例)附則第8条をどう規定するかではないでしょうか。
自分は、まだ良い例が思いつきませんが、参考にしていただきたい記事を紹介しておきますので、皆さんも考えてみてください。
半鐘の半死半生 Re:介護保険条例参考例附則の読み方
自治体法制執務雑感 委任条例の規定の書き方
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第14条第2項は、「教育委員会規則その他教育委員会の定める規程で公表を要するものの公布に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める」と規定しています。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号)により、同条が第15条へ移動していますので、教育委員会の公告式規則で第14条を引用している場合は、改正が必要になりますが、そのことは別にして、各地方公共団体における公布の方法を見てみようと思います。
「市町村例規準則集」(地方自治法規実務研究会編集/第一法規)によると、次のとおりです。
「教育委員会規則を公布しようとするときは、公布の旨の前文、番号、年月日及び教育委員会名を記入して、教育委員会印を押さなければならない。」
これが、「教育委員会名を記入して、委員長が署名する」、「委員長名を記入して、委員長印を押す」、「教育委員会名を記入して、教育委員会の印を押し、委員長が署名する」などがあり、東京都教育委員会では、「教育委員会の指名する二名の教育委員が署名し、公布年月日を記入し、同日東京都教育委員会の名でこれを公布する」と規定しています。
条例の公布には長の署名が求められていること及び教育委員会規則の制定者が委員会であることが、様々な方法が存在する理由であると考えられますが、「教育委員会名を記入して、委員長が署名する」ことが適当ではないかと思います。
なお、新教育長の任命後は、「委員長」は「教育長」となります。
「原課から相談あったときに、考えるヤツやのうて、調べるヤツやないとアカンのですわ。何でって、考えたら簡単にわかれへんっちゅー答えが出るよってです。そーゆーヤツは法制には向かんのですわ。調べるヤツやないと」。先日あった人事ヒアリングでの自分の発言です。
中央大学の礒崎初仁教授は、地方公共団体の職員を@法律に弱く法律に使われる職員、A法律に強く法律に使われる職員、B法律に強く法律を使おうとする職員の3つのタイプに分類されていますが、立正大学の山口道昭教授は、その著書(「政策法務入門」信山社)の中で、さらに、C法律に弱く法律を使わない職員というタイプがあると指摘されています。
本市では、Cのタイプの職員が大半を占めています。そんな中では、「調べるヤツ」は、極めて希少な存在なのです。
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