−管理人のたわごとブログ− 文書事務
前回の記事(2008年11月12日)です。
あれから6年と数箇月、訳の分からん度合いがパワーアップしとる。この前、岸和田駅で話しかけられた外国人以上に何言うてんのか分からん。
これ作ったヤツ、どっかの文書管理規程読んだことあるんけ?このシステム、どこの市町村がえー言うてるんで?ホンマに教えてくれへんけ?
こっちの話、いっこも聞いてくれへんやんけ。でけへんて言うたら、それで終わりかい。おお?アカン。業者にだまされてるような気ィしてしゃーない……
クロネコヤマトのメール便が今月末をもって廃止されるそうです。
「クロネコメール便は、ヤマトが1997年に始めたサービスで、カタログや雑誌などを全国一律料金(82円から)で配送する。郵便と同程度の料金で送れる点が人気を集め、利用件数は年20億件を超える。
同社は1月下旬、このサービスの名称を4月以降、「クロネコDM便」に変更して法人向けに限定すると発表した。個人向けは、書類以外を扱う400円程度の新サービスに移行する。
ヤマトによると、2009年7月以降、企業の担当者などがメール便に信書を同封したとして郵便法違反の疑いで書類送検されたり、警察の取り調べを受けたりしたケースが8件あった。山内雅喜社長は記者会見で、メール便から撤退する理由について、「信書の定義や範囲があいまいで、法違反の認識がないお客様が容疑者になるリスクを放置できない」と説明した。
郵便法では、信書を許可のない業者が扱った場合、利用者や業者は3年以下の懲役か300万円以下の罰金刑に問われると定めている。」(2月6日付け読売新聞朝刊)
信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう」(郵便法第4条第2項)と規定されています。具体的には、総務省のホームページに、次のようなガイドラインが示されています。
信書のガイドライン
が、かえって分かりにくいのではないでしょうか。
信書は、郵便としてだけではなく、民間事業者による信書の送達に関する法律の規定に基づき、信書便としても送達することができます。しかし、現実には、一般信書便事業の許可を受けた者が存在しないため、いわゆるバイク便などの特定信書便を除き、信書は、郵便以外では送達することができません。そしてヤマト運輸は、特定信書便事業の許可を受けていません。メール便は、あくまで、貨物自動車運送事業法の規定に基づき、運送される貨物です。そのため、文書担当課でメール便の取扱いをしている市町村は少ないと思われますが、みなさんのところではどうでしょうか。
外来語である「page」は、「頁」又は「ページ」と表記されているようですが、どちらの表記が正しいのでしょうか。
「公用文における漢字使用は、「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)の本表及び付表(表の見方及び使い方を含む。)によるものとする」(「公用文における漢字使用等について」平成22年内閣訓令第1号)とされています。そうすると、「頁」は、常用漢字表には掲げられていないことから、公用文においては、「page」は、「ページ」と書くのが正しいということになります。
また、「現代の国語を書き表すための「外来語の表記」のよりどころとするもの」(「「外来語の表記」の実施について」平成3年内閣訓令第1号)とされた「外来語の表記」(平成3年内閣告示第2号)においても「ページ」が掲げられています。
その一方で、書籍や内容見本では、今でも「頁」が使われています。この「page」を「頁」と書くことについては、「⑴「頁」の字が、「員=かず」の字に似ているからというのと、⑵中国語で「頁」と「葉」との音が共に「ye」であるところから、中国で用いていたのを借用したというのとの二説がある。中国では現在でもページの意を表すのに「頁」を用いている」(「言葉に関する問答集・総集編」文化庁/国立印刷局)そうです。
「これを知ってるといばれるの唄」を知っていますか?Eテレの0655(2355)でおはよう(おやすみ)ソングとして放送されている題名どおり(?)の面白い歌です。
「海外では通じない和製英語編」や「難読漢字編」などがあるのですが、ここでは、「間違えやすい日本語編」の一部を紹介しておきます。
「よく間違える日本語「けんけんがくがく」
正しくは「かんかんがくがく(侃々諤々)」であります
ちなみにこちらの「けんけんごうごう(喧々囂々)」とこんがらがって使われているようです」
「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)にもそのようにあります。
「「かんぱつを容れず」ではなく「かんはつをいれず」」
これは、その意味から「「間髪」を容れず」ではなく、「「間」髪を容れず」と読むと理解しやすいかと思います。
なお、「間違えやすい日本語編」では、反則法制でも記事(2013年3月18日)にしたことのある「異和感(×)」と「違和感(○)」も登場します。
「総務課総務掛」の名刺をいただきました。
常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)によると、「係」の音訓欄には「ケイ・かかる・かかり」とあり、「かかり」の例欄には「係、係員、庶務係」と、備考欄には異字同訓として「掛」とあります。一方、「掛」の音訓欄には「かける・かかる・かかり」とあり、「かかり」の例欄には「掛」と、備考欄には異字同訓として「係」とあります。また、送り仮名の付け方(昭和48年内閣告示第2号)の通則4の例外の送り仮名を付けないものとして「係」と「掛(かかり)」が掲げられています。
「総務課総務係」でも「総務課総務掛」でも間違いではないのですが、「係」と「掛」とが存在するのは、次のような理由によります。
「明治時代は主として「掛」であったが、大正になると「係・掛」であり、戦後はどちらかと言えば「係」が優勢で、近ごろでは、一般には「係」、鉄道関係などでは「掛」とするものが多い。このことは、明治時代には、実際に「〜掛」「掛員」などが多く用いられていたが、次第に社会一般では「〜係」、「係員」が優勢になってきたことを反映しているものと思われる。しかし、明治以来引き続いている組織体では、設立当時の表記をそのまま引き続いて用いていることは想像に難くない。
……(略)……
また、平成三年十二月現在、国立の九十六大学のうち、部局課の小分けに「掛」を用いているのは、北海道大学、東北大学、東京大学、東京医科歯科大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、九州大学の十大学であり、他の八十六大学ではすべて「係」を用いている。十大学のうち、七大学はいわゆる旧帝国大学であり、設立年次の古い大学である。」(「言葉に関する問答集・総集編」文化庁/国立印刷局)
名刺をいただいたのは、京都大学の方でした。
「歴史公文書等」の保存及び利用について制度化されていないと、毎年、保存年限の過ぎた「歴史公文書等」が廃棄されることになります。この問題を解決するためには、何もハコモノである公文書館を設置する必要はなく、「歴史公文書等」を適切に保存及び利用するための公文書館機能を課等の組織に所掌させる必要があります。
公文書等の管理に関する法律によると、「特定歴史公文書等」とは、「歴史公文書等」(歴史資料として重要な公文書その他の文書をいう(第2条第6項)。)のうち、国立公文書館等に移管又は寄贈若しくは寄託されたものをいう(同条第7項)とされています。これを市町村に当てはめてみると、保存年限を過ぎて廃棄される文書のうち、歴史資料として重要なものとして公文書館機能を有する課等の組織に移管されたものということになります。実務上は、廃棄文書を特定の期間、特定の施設に集積し、その中から担当者が「歴史公文書等」を選別した上で、「特定歴史公文書等」のリストを作成し、それを公表することになると考えられます。ちなみに本市では、そのように取り扱っています。「歴史公文書等」の選別については、選別基準を策定し、原課から公文書館機能担当課に引き継がせるという方法も考えられますが、市町村においては、専門職員に選別させた方がよいのではないでしょうか。そして、リストを作成することによって、「歴史公文書等」が「特定歴史公文書等」になるとした方が制度を理解しやすいのではないかと思われます。
「特定歴史公文書等」を市町村の機関が保存及び利用する以上は、組織的共用文書として情報公開条例が適用されます。しかし、行政機関の保有する情報の公開に関する法律において「特定歴史公文書等」の適用が除外されているように、その文書等の性格上、市町村の情報公開条例においても「特定歴史公文書等」の適用を除外する方が適当ではないでしょうか。ただし、その場合には、「特定歴史公文書等」を利用するために別の制度を構築する必要があり、情報公開条例の特例条例として、「特定歴史公文書等」を保存及び利用するための公文書管理条例を制定する必要があると考えられます。
「公文書管理に本腰を入れて取り組む地方自治体が増えている。公文書管理条例を制定した自治体は、2011年4月の公文書管理法施行以前は熊本県宇土市、北海道ニセコ町、大阪市の3市町だったが、14年4月時点で15県市町に増えた。公文書を保管する公文書館を持つ自治体も14年度中に70を超える。今後はさらなる拡大が期待される一方で、「原則保存」に向けた運用が問われる。」(4月26日付け日経新聞朝刊)
うーん………そうなのでしょうか?
公文書等の管理に関する法律第34条は、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない」と規定しています。「逐条解説公文書管理法」(ぎょうせい)によると、「その保有する文書の適正な管理」とは、「文書の適正な管理と、歴史公文書等の適切な保存及び利用の2つの観点が含まれる」とあります。具体的には、公文書管理条例の制定と公文書館の設置ということになるのでしょう。
公文書管理法の施行から4年近くが経過しましたが、公文書管理条例を制定した地方公共団体が全体の1パーセントに満たないという状況は、逆に、ほとんどの地方公共団体では何の努力もしていないと考えるのが当然ではないでしょうか。実際のところは、この法律が施行された平成23年4月1日には、既にほとんどの地方公共団体で情報公開制度及び個人情報保護制度に対応した文書管理制度が確立されていたこと、そして、この規定が努力規定であったことから、条例を制定する必要がないと判断したためではないかと考えられます。ただし、問題は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律においても「特定歴史公文書等」が「行政文書」から除外(第2条第2項)されているように、ほとんどの地方公共団体では、保存期間の過ぎた「歴史公文書等」を単なる廃棄文書として取り扱っていたのではないかと考えられることです。
なお、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行前には、行政手続法第46条が努力規定でありながら条例の制定が事実上強制されるということがありました。行政手続条例の制定が地方分権の試金石といわれていましたが、あれは何だったのでしょうか?今だに理解できません。
文化庁のホームページで「「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)」(文化審議会国語分科会)が公表されています。
報道発表資料によると、この報告は、「昭和47年6月の「「異字同訓」の漢字の用法」(国語審議会漢字部会・参考資料)と、平成22年6月の「「異字同訓」の漢字の用法例(追加字種・追加音訓関連)」(文化審議会答申「改定常用漢字表」の「参考」)を一体化し、簡単な説明を加えるとともに必要な項目の追加及び不要な項目の削除を行い、現在の表記実態に合わせて修正を加えたもの」となっています。
昭和47年6月の「「異字同訓」の漢字の用法」では、
「ある
有る−財源が有る。子が有る。有り合わせ。有り金。有様。
在る−日本はアジアの東に在る。在り方。 」
とあったのが、今回の「「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)」では、
「ある
【有る*】(⇔無い)。備わる。所有する。ありのままである。
有り余る才能。有り合わせの材料で作った料理。有り金。有り体に言えば。
【在る*】存在する。
財宝の在りかを探る。教育の在り方を論じる。在りし日の面影。
*「財源がある」「教養がある」「会議がある」「子がある」などの「ある」は、漢字で書く場合、「有」を、
また、「日本はアジアの東にある」「責任は私にある」などの「ある」は「在」を当てるが、現在の表記
実態としては、仮名書きの「ある」が一般的である。 」
と補足説明がされています。
鶏と卵では、どちらが先か分かりませんが、文字と言葉では、間違いなく言葉が先です。そして言葉は、時間と共に変化し、続いて文字も変化していきます。こういう変化に気を付けながら読むのも面白いと思います。
一定の権限を有する行政庁が、その権限に基づき、特定の者に対して一定の事項を命令し、若しくは示達し、又は行政処分を行う場合の文書の形式を令達文書といいます。
令達文書は、地方公共団体ごとにローカルルールが存在しますが、本市では、令達文書のうち、上級行政機関が下級行政機関に、又は上司が部下に対し、職務運用上の細目、法令の解釈、行政運営の指針を示し、その他一定の行為を命令する場合に用いるものを庁達といいます。庁達は、規程形式によらず、行政庁の補助機関が命を受けた特定の事項について自己の名で発する依名通達によることとしています。
この時期になると、本市では、年末年始における服務規律の確保について、庁達が発されるのが慣例です。
今年の年末年始は、暦の関係で長い休日になっています。服務規律の確保は当然のこととして、時節柄、くれぐれも御自愛ください。
皆さん、良いお年をお迎えください。
「外来語・役所ことば言い換え帳」(杉並区役所区長室総務課編/ぎょうせい)という書籍があります。平成17年に発行された同書には、当時の山田宏区長が「美しい日本語で分かりやすい行政を」という端書きを書かれています。英語嫌いの自分にとって、その趣旨には賛同するものですが、久しぶりに読んで、少し驚きました。
当時は聞いたこともなかったような外来語が、今では当たり前の言葉として社会に認知されているのです。例えば、アウトソーシング、コスト・パフォーマンス、セキュリティポリシー、ハザードマップ、フレックスタイム等々。これらの言い換え例は、外部委託、費用対効果、(情報の)安全対策指針、災害予想地図、自由勤務時間制等々となります。ちなみに、ドメスティック・バイオレンスやパブリックコメントのように言い換え困難のために言い換えせずに説明を付けることを原則としている外来語もあります。
外来語と言い換え例、時代の流れとはいえ、もはやどちらが分かりやすいか分かりません。
Y君「M市からの照会なんすけど、回答の発信者名、何てしたらえーんすか?」
自分「M市の発信者名、どないなってんねん」
Y君「「M市政策法務課長○○○○」です」
自分「ほな、ウチも「I市総務課長××××」やな」
Y君「外に出す文書の発信者名は市長名やて聞きましたけど」
自分「おう、原則はそうやで。ただな、文書の性質や内容によっては、例外もありやねん」
Y君「ほなら、職名だけにはならんのですか?庁内の文書の発信者名は職名だけっすよね」
自分「庁内文書の場合は、そーやねんけどな、向こうから職氏名できたら、職氏名に返すのが礼儀や
ろ。宛先が職氏名のときは、発信者名も職氏名にすんねや」
Y君「ほな、宛先が職名だけやったら、発信者名も職名だけっすか」
自分「そうや。それがウチのルールなんやけど、大阪府が昔の「文書事務の手引」の「一口メモ」でも書
いてるぐらいやから、どこも似たようなもんと違うかの」
用法の難しい用語の一つに「ほか」があります。旧「常用漢字表」(昭和56年内閣告示第1号)の頃は、一般的に、「「ほか」は原則として平仮名で表記する。「外」は、「隊長、副隊長外3人」というような表記に限って用いる」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)こととされていました。「他」には、「ほか」の読みがなかったからです。
このことについて、「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)には、次のようにあります。
「「ほか」を漢字で書き表す場合は、昔から「外」と「他」とが使われてきたが、昭和二十三年に告示された「当用漢字音訓表」には、「外」「他」ともに「ほか」という訓が掲げられなかった。そのため、法令・公用文・新聞・教科書等では、すべて「ほか」と仮名書きにしていたので、書き分けの問題は生じなかった。ところが、昭和四十八年に改定された「当用漢字音訓表」では、「外」に「ほか」という訓が新たに加わり、それが現行の「常用漢字表」にも引き続がれた。しかし、「ほか」という語の用法すべてに「外」を当てることには抵抗感もあるところから、「外」と「ほか」との書き分けの問題が生じたわけである。」
結局、明確な書き分けの基準がないまま、平成22年11月30日に「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)が改定され、「他」にも「ほか」という読みが加えられます。しかし、「法令における漢字使用等について」(平成22年11月30日付け内閣法制局総総第208号)では、「外・他」については、常用漢字表にあっても、仮名で表記するものとされています。
ある自治体では、公用文と法令文の表記は、できるだけ統一して用いることとしていると聞いたことがあります。新「常用漢字表」が定められましたが、「ほか」は、原則として平仮名で表記する方が適当ではないかと思います。
前の記事(2013年3月13日)を読んだ同僚のT君から「「違和感」違(ちゃ)うんか?「異和感」と違(ちゃ)うやろ?」という質問がありました。原文のまま引用したのですが、自分も気にはなっていました。
「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)によると、「いわ感」とは「「いわ」の感じ」ということであって、「いわ」とは、元々は、「体のどこかが、何となく普通ではないこと、ふだんとは違っていること。」という意味であったのが、「近ごろでは、主に「いわかん」という形で、これを身体のことだけでなく、広く一般に、その場の雰囲気に浸り難いこと、他との調和がとれないこと、何となくしっくりしないこと、場違いであることというような意味に使うことが多くなってきているようである」とあります。
さらに、「「いわ感」と言う場合の「いわ」という語は、すべての辞典で、漢字表記を「違和」としており、「異和」としたものは一つもない。また、歴史的仮名遣いでは「ゐわ」である。(「異和」であれば、歴史的仮名遣いでも「いわ」であるはずである。)
しかし、この「いわ」から派生した「いわ感」が、新しい意味を伴って日常語化し、多く用いられるようになるにつれて、誤って「異和感」と書き表す場合が目につくようになった。そこで辞典Jは、わざわざ「異和(イワ)はあやまり」として注意を促している。
以上のように「いわ感」は、「違和感」が正しく、「異和感」は誤りであるが、前述のように、数年前から「異和感」がかなり目につくようになってきた」とありますから、T君のお見込みのとおりです。ちなみに、自分のPCでは、「いわかん」は「違和感」としか変換されません。
なお、ほかに「違」と「異」を混同しやすい例として、同書では、「相違」と「相異」、「差違」と「差異」が取り上げられています。
「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」(地方自治法第2条第14項)
地方公共団体を運営する基本原則を規定したものとして有名な規定ですが、なかでも、「最少の経費で最大の効果」というフレーズは、その語呂が良いせいか、市町村の例規等でもよく使われています。ただ、たまに「最小の経費で最大の効果」と規定しているのを見掛けることがあります。
地方自治法においては、「経費」というものの性質上、「最少」を使う方が適切であるとして規定されたものだと考えられますが、市町村例規等においては、あえて「最小」を使っているとは考えられません。おそらく、語呂が良すぎるがゆえに、「最大」の反対語として「最小」を使ってしまったのではないでしょうか。
なお、「少」を使った誤った例としては、「縮少」や「最少限」がありますが、一般的なPCの変換機能では、そのような変換がされることはないと思われます。
Y君「今度の衆議院選挙って、告示されたんですか、公告されたんですか?」
と聞かれたので、次の記事を紹介させていただきました。
自治体法務の備忘録「選挙における「告示」と「公示」」
Y君「それは分かりましたけど、研修のとき、管理人さん「告示」と「公告」て言うてませんでした?」
とまた聞かれたので、次の記事も紹介させていただきました。
自治体法務の備忘録「告示と公告の違い」
Y君「うーん……なるほど」
自分「ウチの場合、法令等の規定に基づいて行うものを告示、基づかんと行うものを公告ていうてるん
やけどな」
Y君「そやから、法令で公告すると書いちゃあるから告示するんすね」
自分「そういうこっちゃ。予防接種法施行令第5条の公告は、ウチやと告示になる」
Y君「聞いたら分かりましたけど、ちょっとややこしいっすよね」
自分「告示に統一するっちゅーのもええと思うけど、これはこれでウチのルールやからのう」
ある日の午後、公印管守中に交わされたQ&Aです。
T君「袋とじの契約書の割印て、ホンマはどこに押したらえーんで?」
自分「ウチやったら、ここ(契約書裏面の袋とじ用紙(製本テープ)の継ぎ目部分)に1つ押印するだけで
ええ。自治体によってローカルルールはあると思うけどな」
まず、厳密には、割印ではなく、契印です。「法律学辞典」(有斐閣)によると、割印とは「分離した2個の書類が相互に関連することを確証するために,両書類にまたがって1つの印章を押すこと,又はその印影」であって、契印とは「1個又は一連の書類が数紙又は数個の書類から成る場合に,その相互の連接が正当にされたことを確認するために,そのつづり目又は継ぎ目に1つの印象を押すこと,又はその印影」です。
なお、同書には「割印の意で契印の語が用いられることもある(公証59)」とありますが、一般的には、割印と契印が逆の意味で用いられていることの方が多いのではないでしょうか。現に、大阪府の「文書事務の手引」では、契印と割印が逆の意味で用いられています。おそらく、割印に「契」の字のゴム印を使用したことが、本来の意味を逆転させた原因ではないかと考えられますが、これも一つのローカルルールなのでしょう。ややこしいので、ここでは、法律学辞典における意味で契印を用いることにします。
次に、袋とじとは、「大辞林」(三省堂)によると、「書物・帳面の綴じ方の一。文字を書いた面が外側になるように紙を一枚ずつ二つ折りにし、折り目でない方を重ね合わせて綴じる方法」のことです。二つ折りにして綴じることで袋状(正しくは筒状だと思うのですが)に見えることから袋とじというようになったらしいのですが、両面印刷した用紙をそのまま綴じても袋とじというようですから、これも一般的には、帯状の紙等を用いて綴じる(製本化する)方法を慣例的に袋とじというのかもしれません。
本市の場合、契約書の袋とじは、次のとおり行うことにしています。
@ A3サイズの用紙を二つ折りにし、折り目でない方を重ねて、端から約5ミリメートルのところを2か
所、ステープラーで留めます。この場合のステープラーは、フラットクリンチが適当です。
A 市販の紙製の製本テープを契約書より少し長めにカットし、二つ折りにします。
B 契約書の綴じた部分に製本テープをかぶせます。
C 契約書裏面の製本テープの長さを契約書と同じ長さにカットします。
D 契約書表面の製本テープのシールをはがし、ステープルが隠れるように契約書に貼り付けます。こ
のとき、契約書の長さを超える部分は、裏面に折り返して貼り付けます。
E 契約書裏面の製本テープのシールをはがし、契約書に貼り付けて完成です。
契印は、契約書等が複数枚数になる場合に、改ざんや落丁を防止するための方法として用いられるものです。そして、袋とじは、各ページの綴じ目ごとに押印する手間を省略する方法として用いられています。契約書の表面及び裏面の製本テープの継ぎ目に契印を押している例も見受けられますが、このように袋とじをすることで、必ず裏面の製本テープをはがさなければならないことから、裏面1か所に契印すれば足りると考えるものです。
なお、契印は、契約書に使用した印と同じ印を用いて、契約者全員が押印しなければなりませんが、契印がないからといって、契約が成立しないということはありません。
「法令における漢字使用等について」(平成22年11月30日付け内閣法制局総総第208号内閣法制次長通知)によると、1の⑹で「配付」と「配布」については、「「配付」は交付税及び譲与税配付金特別会計のような特別な場合についてのみ用いる。それ以外の場合は「配布」を用いる。」とされています。
また、「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)によると、「「くばる」意味の語に「はいふ」というのがあり、漢字で書き表すとき、「配布」と「配付」が使い分けられている。
これを漢字の意味から考えると、「布」は字訓が「しく」で、「広く行き渡らせる」意味を持っている。「布教・公布」などと用いるのがこれである。したがって、それに「配(くばる)」を組み合わせた「配布」は、「広く一般に配り渡す」意味の語である。「選挙公報を配布する」「配布刊行物」「配布網」などは、この意味の用例である。
これに対し、「付」の方は字訓が「つく・つける」で、「そこまで持っていく」意味を持っている。「付託・送付」などと用いるのがこれである。したがって、それに「配(くばる)」を組み合わせた「配付」は、「特定の人々に一人一人渡す」意味の語である。「資料を配付する」「配付議案」「配付額」などは、この意味の用例である」とあります。
「配付」と「配布」は、厳密には意味の異なる語ですが、「規律・紀律→規律」や「状況・情況→状況」と同様に、同義で異表記の語として「法令用語改正要領」(昭和29年11月法制局総発第89号)により、「配付・配布→配布」に統一されたものです。したがって、同要領の制定前に施行された法令では、「配付」が用いられており、国会法第73条や衆議院規則第28条第2項などにその用例を見ることができます。
F君「この前書いてましたけど、国や府の方が文書管理て、えー加減なんですか?」
自分「多分な。この分野に関しては、市町村の方がきっちりしてるとこあるわな」
F君「そら何でですん?」
自分「ベタな答えをすると、文書量が多すぎるっちゅーことと忙しいからやろうな」
F君「それ、答えになってないと思うんすけど」
自分「うーん……行革、行革て言われてる中で文書管理をきっちりするっちゅーのは、コストパフォーマ
ンスが悪すぎるねん。お前、2時間の会議のテープ起こして会議録作るのんでも何日かかんねや」
F君「2週間以上かかりますね。昔は委託料ついてたとこもあったみたいすけど、今や議会ぐらいすよ
ね」
自分「それほど手間と時間をかけて作った文書でも、ほとんどの保存期間が有限年やねんな。書庫も
限りあるしな。電子媒体で残すとなるともっと金かかる。文書管理はコスパが悪いっちゅーのは、そうい
うこっちゃ」
F君「それが、組織が大きなればなるほど悪なるっちゅーことっすか」
自分「そう思うな」
F君「そやけど、議事録作らんでもえーっちゅうーことにはなれへんすよね」
自分「当たり前や。公文書等の管理に関する法律の4条で、行政機関の職員は意思決定に至る過程と
か事務事業の実績を検証することができるように文書を作成しなければならないて規定されとるんや
からな」
自分「それとな、も一つ問題は、トップダウンの文書やろうな」
F君「何すかそれ?」
自分「ほな、この記事(2009年8月18日)でも読んどけ。ウチでも市長と誰それのトップ会談の文書と
かはないやろう。政治主導ちゅーか、政治家のパフォーマンスがようけあるほど、文書は作られへんよ
うになるわな」
「政府が1995年の阪神大震災以降の大規模災害の際に設置した緊急対策本部や非常災害対策本部の会議で、いずれも議事概要や議事録が作成されていないことが31日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。
東日本大震災関連の政府の会議で議事録が作成されていなかったことが明らかになったことから、内閣府が調査対象を過去の災害時の本部に拡大し、阪神大震災や北海道・有珠山、東京・三宅島の噴火、新潟県中越地震、台風などに関する非常災害対策本部会議など8会議の作成状況を調べた。
その結果、阪神大震災時に設置した兵庫県南部地震緊急対策本部会議で、議事概要の一部が官房長官記者会見の要旨として残っているのを除き、すべての会議で議事録も議事概要も残っていなかった。」(1月31日付け読売新聞夕刊)
そんなこっちゃろうと思った方も多いのではないでしょうか。一般的に、市町村より都道府県の方が、また、都道府県より国の方が事務能力に優れていると思われています。事実、そのとおりだと思います。しかし、議事録の作成等を含めた文書管理と情報公開に関しては、少なくない市町村でそれが逆転しているのではないかと考えていました。これは、それを証明する記事だと思います。
合議とは、回議に付す事案が他の部課の所管に関連を持つ場合に、その部課長の同意を得ることをいい、事務の適正かつ円滑な運営を図るために必要な手続であるとされています。
しかし、合議は、決裁の絶対条件ではありません。極端なことをいうと、必要な合議がなくても、市長又は専決者が意思決定をすれば、決裁をすることができます(ただし、取扱いの異なる地方公共団体があるかもしれません。)。
本市の場合、合議に加えて、審査というものがあります。特定の支出負担行為については財務審査が、例規等については法規審査(2007年2月2日付け記事参照)が必要とされています。そして、この審査は、ないと決裁ができません。
カウンターパート、コモンセンスペアレンティング、ファシリティマネジメント、パブリックインボルブメント、メディカルツーリズム、リターナブル等々……。これらの外来語は、実際に本市で使用されたことのあるものです。
公用文では、外来語の使用を禁止しているわけではありません。ただ、どこの地方公共団体においても、住民に分かりやすい文書を作成するため、一般的になじみの薄い外来語については、日本語に言い換えるなり、注釈を付けるなりすることとされているのではないでしょうか。「分かりやすい公用文の書き方」(礒崎陽輔著/ぎょうせい)では、外来語の使用について、「@既に十分日本語化しており、理解に支障がないと考えられるもの、A他に適切な日本語の言い換えが見当たらないものに限られるべきであるということであろう」と記されています。
ところが、外来語を使うことが「カッコえーこと」だと勘違いしている人がいませんか?誰も知らないような外来語を好んで使ったりしていませんか?
外来語に限ったことではありませんが、相手の立場に立って、分かりにくい言葉を分かりやすく表現することは、全てのコミュニケーションにおいて必要なことではないでしょうか。
秘書課のM君から質問がありました。
M君「「させていただく」てあんまり使たらあかんて聞いたことがあるんですけで、ホンマですか?」
自分「さーのう。わし、敬語はよう知らんで」
M君「ええっ?そんなこと言わんと教えてくださいよ」
自分「いや、儀礼文書とかを除いてやな、公用文ではな、丁寧語以外、敬語は使えへんねや。ウチのメ
インは法規文書やからな。わしも「いたを削れ」(「分かりやすい公用文の書き方」(礒崎陽輔著/ぎょう
せい)参照)程度のことしか知らんねん。儀礼文書は、秘書課の方が得意と違(ちゃ)うか」
M君「ほな、誰に聞いたらええんすか?」
自分「文書担当はウチやしのう……ちょっと待てよ。確か「敬語の指針」(平成19年2月2日文化審議会
答申)に書いちゃあったな。おお、これや」
と言って示したのが以下の部分です。
「【解説1】「(お・ご)…(さ)せていただく」といった敬語の形式は、基本的には、自分
側が行うことを、ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い、イ)そのことで恩恵を
受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。したがって、ア)、イ)の条件を
どの程度満たすかによって、「発表させていただく」など、「…(さ)せていただく」を
用いた表現には、適切な場合と、余り適切だとは言えない場合とがある。
【解説2】次の@〜Dの例では、適切だと感じられる程度(許容度)が異なる。
@相手が所有している本をコピーするため、許可を求めるときの表現
「コピーを取らせていただけますか。」
A研究発表会などにおける冒頭の表現
「それでは、発表させていただきます。」
B店の休業を張り紙などで告知するときの表現
「本日、休業させていただきます。」
C結婚式における祝辞の表現
「私は、新郎と3年間同じクラスで勉強させていただいた者です。」
D自己紹介の表現
「私は、○○高校を卒業させていただきました。」
上記の例@の場合は、ア)、イ)の条件を満たしていると考えられるため、基本的
な用法に合致していると判断できる。Aの例も同様だが、ア)の条件がない場合には、
やや冗長な言い方になるため、「発表いたします。」の方が簡潔に感じられるようであ
る。Bの例は、条件を満たしていると判断すれば適切だが、Aと同様に、ア)の条件
がない場合には「休業いたします。」の方が良いと言えるだろう。Cの例は、ア)と
イ)の両方の条件を満たしていないと感じる場合には、不適切だと判断される。Dの
例も、同様である。ただし、Cについては、結婚式が新郎や新婦を最大限に立てるべ
き場面であることを考え合わせれば許容されるという考え方もあり得る。Dについて
は、「私は、卒業するのが困難だったところ、先生方の格別な御配慮によって何とか
卒業させていただきました。ありがとうございました。」などという文脈であれば、
必ずしも不適切だとは言えなくなる。
なお、ア)、イ)の条件を実際には満たしていなくても、満たしているかのように
見立てて使う用法があり、それが「…(さ)せていただく」の使用域を広げている。上
記のA〜Dについても、このような用法の具体例としてとらえることもできる。その
見立てをどの程度自然なものとして受け入れるかということが、その個人にとっての
「…(さ)せていただく」に対する「許容度」を決めているのだと考えられる。」
M君「……ようわかりません」
自分「使たらアカンとは書いてないわ。個別判断せなしゃあないよって、具体に文書あんねんやったら、
持って来いや」
M君「わかりましたあ!」
本市では、公印は、発信者名の最後の1字に印刻が掛かるように、また、印影の右端が1字分空くように押印することとしています。
ここまで細かいことを言うつもりもないのですが、質問されると、そう答えます。そのとおりに公印が押印されているかどうかは疑問ですが……
「分かりやすい公用文の書き方」(礒崎陽輔著/ぎょうせい)にも「通知元の記載位置は、通知元の最後の文字の位置で決める。すなわち、公印を押す押さないにかかわらず、公印を押すものと仮定し、公印の右端を行末に合わせ、公印の左端を通知元の最後の文字の真ん中に合うよう通知元の記載位置をおおよそ調整する」とあります。
微妙に違いがあるのですが、共通点は、最後の1字に印影を掛けるというところです。その本当の理由は知りませんが、おそらく、文書の改ざんを防止するために行われてきた方法なのではないでしょうか。
一方、昭和39年に発行された「地方公共団体の文書管理実務」(寺本力著/学陽書房)には「公印は、浄書文書の発信者名の下に、適当な間隔(1字分)をおいて押印しなければならない」とありますので、公印の押印には、様々なローカルルールが存在する可能性があります。
なお、本市では、表彰状や感謝状には、氏名に印影を掛けないこととしています。
「々」は、何と読むのでしょうか?
読み合わせ等の際は、便宜的に「ドウ」や「ノマ」と読んでいるところもあるようですが、 正しくは、「々」に読みはありません。理由は、「々」は、文字ではなく、ある漢字の次に同じ漢字を繰り返して書く代わりに用いられる符号だからです。「々」を「重ね字」や「踊り字」等と言っている場合もありますが、それは、読みではなく、符号の名称にすぎません。
意外と、「々」を漢字と思っている人が多いようです。少数ながら、「「々」は文字(漢字)ではないが、漢和辞典の中には、便宜的に親字と同じ取扱いをして採録しているものもある」(「言葉に関する問答集・総集編」文化庁/国立印刷局)ことが影響しているのかもしれません。
阿久根市が以前にも増してごっついことになっています。
新聞等によると、議会の出席要求を拒否するわ、議会を招集せーへんわの挙げ句、違法な専決処分をやりまくっています。ここまでムチャクチャなことをしながら、自分の都合で法律を適用しようとするところにタチの悪さを感じます。
ある方から「阿久根市の専決処分についてどうお考えですか」と御質問をいただきましたが、2010年3月10日付け記事のとおりです。何ともお答えのしようがありません。
そんな中、6月28日付けの朝日新聞に次のような記事がありました。
「議会出席を拒否し、議会に諮らずに専決処分を繰り返している鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は28日、適正な行政運営を求めたほぼ全職員による上申書の受け取りを拒否した。竹原市長が「見ない。シュレッダーにかけろ」と激怒したため、上申書はひとまず総務課で保管されることになった。
上申書は一般職員180人と課長ら管理職約20人の署名簿を添えた2種類。一般職員分は⑴早急な議会の開会 ⑵専決処分した固定資産税の引き下げ撤回 ⑶法令に従った市政運営を求めており、管理職分もほぼ同様とみられる。
午前8時からの課長会で渡されるとみられたが、竹原市長が機先を制して一喝。逆に市長が作った「私たち職員は阿久根市民と苦労をともにし痛みを分かち合います」との訓示を出席した課長全員が3回唱えさせられたという。
竹原市長は「今さら固定資産税(率)を引き上げると言えるか!(職員の)ボーナスを元に戻せと言えるか!」と主張し、課長会は5分足らずで終わった。
総務課長ら2人は市長室に出向いて提出を試みたが、竹原市長からシュレッダーにかけろと命令されたため、卓上に置いても破棄されると考えて持ち帰った。
竹原市長は取材に対し「ハイエナのようなマスコミには話しません。話す報道機関はこちらで選ばせてもらう」と述べ、私用車で外出した。」
阿久根市職員の良識が示されたことは良かったと思いますが、ここで自分が気になったのは、「上申書」です。一般的に、「具申(上申・内申)は、職員又は下級行政機関が、上司又は上級行政機関に対して意見又は希望を申し出る場合に申し出る文書である。特に人事関係の申し出を内申ということが多い」(「起案例文集」中島正郎著/ぎょうせい)とされています。「内申書」は職員表彰などの関係でよく使用されていますが、「上申書」は珍しいです。少なくとも、自分は、見たことがありません。どんな回議をしたのやら、一連の専決処分書と合わせて、是非とも原議を見てみたいものです。
本市における公用文の表記の中で、最も多い間違いの一つに「〜(して)下さい」があります。正しくは、「〜(して)ください」と表記します。
「助詞及び助動詞並びにそれらと類似した語句は、原則として平仮名で表記する」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)とされています。「下さい」と表記すると、動詞「くれる・くれ」の尊敬・丁寧表現になります。
良い例が「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)に掲載されていますので、引用します。
「⑴ 桃太郎さん桃太郎さん
お腰につけた黍団子
一つわたしにクダサイな(文部省唱歌)
⑵ トン、トン、トン
あけてクダサイ。
わたしです。(北原白秋「お月夜」)」
⑴が「下さい」で、⑵が「ください」です。
事務決裁規程等の決裁区分に従い、直属系統の上司に承認を受けることを回議といい、その事案が他の部課の所管に関連を持つとき、その部課長の同意を得ることを合議といいます(昭和39年発行の「地方公共団体の文書管理実務」(寺本力著/学陽書房)によると、別の定義がされていますので、異なる地方公共団体があるかもしれません。)。合議は、事務の適正かつ円滑な運営を図るために必要な手続であるとされています。
一般的に、同一部内の課に合議をする場合は、主管課長までの決裁を済ませてから関係課に回付し、他の部の課に合議をする場合は、主管部長までの決裁を済ませてから他の部の関係課に回付することとされていると思われますが、同一部内又は他の部における関係課の合議の順序は、どうされていますか?
これも、一般的には、事案に関係の深い課の順に回付していると思われますが、本市の場合は、事務分掌条例施行規則の編成順に回付することとしています。「関係の深い課の順」と言うと、逆に判断しかねてしまうからです。
たまにこういう質問があるのですが、正直、あまり徹底はされていません。
「施行」と「施工」、何と読んでいますか。
「言葉に関する問答集」(文化庁)によると、
「「シ」は漢音、「セ」は慣用音である。したがって、普通には、「シコウ」と読んで、主に公共機関の事業を行うことに使う場合が多い。ただ、法律方面で、「執行」と区別するため、「セコウ」と読む慣用もある。一方、工事を実際に行う「施工(シコウ)」を「セコウ」と読み、「施行(シコウ)」と区別する習慣もある。
NHKでは、
シコウ 施行
セコウ 施工(工事)
と区別している。
ちなみに、「せぎょう」と読めば、仏教の用語で功徳のため、僧などのために物を施すことの意になる」とあります。
本市の場合、「施行(シコウ)」、「施工(セコウ)」と読むことにしています(まったく浸透していませんが……)。
「年を越す・年越し」と表記します。
公用文の表記で間違えやすいものに「越える」と「超える」があります。一例として、「越える」は「山を越える」という場合に、「超える」は「100人を超える」という場合に使用します。
「これは、公用文の書き方というよりも、むしろ国語の領域に属することである。
特に「こえる」の表記には、間違いが多い。一定の数値をこえるという場合は、必ず「超える」と表記しなければならない。一方、「越える」は、またいでこえるという意味である。例えば「権限をこえた発言」という場合は、「越える」を用いる」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)とされています。
現行法令を検索してみると、「一年をこえない」(国家公務員法第83条第1項)、「十五人をこえる」(地方公営企業法第39条の2第7項)等と、また、「員数を越えることができない」(裁判所法第78条ただし書)、「五年を越える刑」(少年法第52条第1項ただし書)、「二万人を越えない」(人権擁護委員法第4条第1項)等と用いられている例もありますが、これは、その当時、当用漢字の旧音訓表では「超」には「こえる・こす」という字音がなかったこと、また、昭和28年の「文部省用字用語例」では「越」に書き換えるように示されていたことがその理由であると考えられます。現在では、「超」を用います。
もうすぐ年越しです。平成21年もあとわずかとなりました。
今年もたわごとにお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは、みなさん、良いお年をお迎えください。
「○○計画策定について」と「××条例制定について」の2議案を提案する担当課から「策定と制定てどう違うのん?」と質問がありました。
法規審査(本市の場合、議案を含みます。)に当たっては、現行法令や「法制執務詳解」(石毛正純著/ぎょうせい)、「逐条地方自治法」(松本英昭著/学陽書房)などの定番の参考図書のほか、辞書も使います。
「大辞林」(松村明編/三省堂)を引いてみると、「策定」とは「政策や計画などを考えてきめること」と、「制定」とは「法律・規則などを定めること」とあります。現行法令を参照してみても、例えば、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第1条には「財政の早期健全化及び財政の再生並びに公営企業の経営の健全化を図るための計画を策定する……」とあり、地方自治法第14条第2項には「条例を制定することができる」とあります。
なお、「策定」を「作成」や「定めること」としても間違いではないのでしょうが、議決事件は法定されていますので、正確には、その法律で使用されている用語を用いるべきだと考えています。
文書番号は、文書に付される番号であり、本市では、課又は施設等ごとに1会計年度を通じて一連の番号を用いることとしています。市並びに部及び課の頭文字からなる文書記号に文書番号を付すことによって当該文書を特定するわけですから、文書管理上、文書番号は重要な意味を持っています。
くどいようですが、「行政文書」とは、組織的共用文書のことです。そして、組織的共用文書は、そのすべてが登録されていることが、文書管理上の理想的な状態です。
先日、本市とほぼ同規模の市からいただいた照会文書の文書番号が「第34号」となっていました。今日現在、平成21年度の本市総務課の最終文書番号は、「第1867号」です。文書管理については、地方公共団体ごとのルールがありますので断定はできませんが、事務連絡文書を濫用したり、そもそも文書を登録しないというのであるならば、極めて不適切な取扱いであると言えます。
「民主党が、平成23年施行の公文書管理法を先取りし、閣僚や副大臣らの政策判断や指示などを原則として全面文書化し、公開する方針を固めたことが1日、分かった。政策立案過程を透明化することで、年金記録紛失や薬害肝炎などで問題視された行政の責任逃れを防ぐ狙いがある。外交・安全保障上の国家機密などは対象外とする考えだが、公開・非公開の基準作りは難航しそうだ。例外を多く認めれば、「全面公開」の趣旨が形骸化し、事務作業が煩雑化する恐れもある」(8月2日付け産経新聞朝刊)。
ルールづくりは難しそうですが、良いことだと思います。
これまでも何度か記事にしていますが、「公文書」又は「行政文書」の定義は、組織的共用文書です。しかし、組織的共用文書のすべてが文書登録されているとは限りませんし、そもそも文書そのものが作成されていないことさえあります。その最たるものが、新聞記事にあるような閣僚や副大臣又は首長からの政策判断や指示などのトップダウンの決定事項です。
行政における意思決定は、りん議制度を採用しています。ところが、現実は、収受、供覧、起案、決裁などといったりん議制度に乗っかってくるのは、ルーチン業務です。重要な政策決定に関することは、市長室の中でひそかに決められ、トップダウンとして担当課に降ろされ、決定事項のみが決裁されるのが通常です。
最も重要なことが文書として作成されていないということは、大きな問題だと考えています。
本市では、定例的に取り扱う事案の処理を行う場合であって、総務課長とあらかじめ協議して定めた用紙により起案する場合を除き、すべての起案文書は、文書管理システムに登録しなければなりません。
しかし、簿冊の名称及び文書の件名(個人情報を除く。)までを公文書検索システムで公開している関係上、どうしても登録してはならない文書というものがあります。例えば、DV被害者の府立配偶者暴力相談支援センターへの移送に関する文書がそれに当たります。
DV加害者からの情報公開請求については、当該請求に係る文書の存否応答を拒否しますが、それだけでは不十分です。このような事案はレアケースであるがゆえに、文書登録をすると、公文書検索システムから移送日が判別できる可能性があります。また、他の文書(例えば、公用車の運転日報(所属及び運転者、使用時間並びに行き先を記載))の情報公開請求を通じて事実が確認される可能性もあります。
当該事案については、このような場合を想定して、運転日報の行き先を大阪府とする、文書の件名を課内で取り決めた隠語を使う(例えば○○補助金の交付決定について)、相談事例の一つとして取り扱い、文書登録をしないなどの対応を考えておかなければなりません。
公印とは、「公務上作成された文書に使用する印章で、その印影を押すことにより当該文書の真正を認証することを目的とするもの」(「新自治用語辞典」新自治用語辞典編集会編/ぎょうせい)です。
公印は、原則としてすべての公文書に押印することとされていますが、軽易な文書その他特定の文書にはこれを省略することができ、また、特定の内容の文書を多数印刷する場合には、公印の印影を当該文書と同時に印刷することにより、当該公印の押印に代えることができるとされています。一般的に公印の印影印刷といわれています。
また、電子計算機を利用して作成する文書については、公印の印影の情報を電子計算機に記録し、その記録した印影を当該文書に印刷することによって、公印の押印に代えることができるとされています。一般的に電子公印といわれています。
公印の印影印刷と電子公印は、公印の印影を印刷(印鑑は一つ)するものと電子情報として作成した公印(印鑑は二つ)を押印するものという整理をしている市町村もあるようですが、電子公印は、正確には電子印影というべきものあって、公印の印影印刷の一つの方法であると考えるべきではないでしょうか。
本市では、「子供」という表記が差別的であると認識されています。これは、10年以上前に庁内で実施した人権研修が主な原因ではないかと思われます。
「分かりやすい公用文の書き方」(礒崎陽輔著/ぎょうせい)は、このことについて、次のように記しています。
「教育の現場やNHKでは、「子ども」が一般に用いられている。この理由ははっきりしていないが、二つのことが考え得る。一つは、かつて「子供」という用語が、差別的だと批判されたことである。「友達」の「だち」も「子供」の「ども」も、いずれも人の複数形を表す副助詞であるが、「だち」は「友達」や古語の「公達(きんだち)」を始め同輩を表す副助詞であるのに対し、「ども」は「こいつらどもがやったことだ。」のように集団を卑下して表すときに使う副助詞である。したがって、「子供」は、差別的だというのである。もう一つは、助詞は平仮名で書くというルールに従い、副助詞である「ども」も平仮名で書くべきであるという主張である。
しかし、現在、私たちは、「子供」は一つの熟語としてとらえており、「子」と「ども」に分けて議論する必要はない。仮に「子供」が差別的であるとしても、それを平仮名書きにしたならば差別的でなくなるという理由は不明である。むしろ、「子ども」を漢字と平仮名に分かち書きをすることによって、かえって「ども」という副助詞が目立つことになるのではないであろうか。単複同形の名詞である「友達」同様、「子供」という言葉に熟語化したと考えた方がいい。
いずれにしても、常用漢字表の「供」の用例に「子供」とある以上、公用文では「子供」を用いる。」
なお、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律という法律もありますし、また、国民の祝日に関する法律には、「こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」とあります。
現在、本市では、文書管理システムを再構築するため、業者と調整中です。既存のパッケージソフトをベースに、本市用にカスタマイズしています。
新しい文書管理システムを導入するのに際し、複数の業者からデモを見せてもらいましたが、どのソフトも余計な機能が多すぎます。さらに、その機能が本市の文書管理規程からはかけ離れたものになっています。本市の文書管理規程は、至って標準的なものです。どこの地方公共団体をモデルに開発したのかは分かりませんが、このようなシステムに合う文書管理規程を作成している地方公共団体を、自分は知りません。電算の世界は、よく分かりません。
なお、電子決裁は、まだ実施する予定はありません。その理由は、PCを扱えない管理職員が相当数いるからです。そんな本市で、複雑な機能は必要ありません。簿冊と文書の登録と検索ができれば、それで十分です。
庁内の文書のデキがあまりにもひどいです。特に、見出し符号については、「◇」や「☆」や「♪」などが用いられている場合があります。
公文書には、文字だけでなく、各種の符号が用いられます。「。」や「、」などの区切り符号、「u」や「s」などの計量記号、項目を細別する場合に用いる見出し符号などです。一般的には、見出し符号については、次の順序で用いることとされており、本市の取扱いも同様です。
第1
1
(1)
ア
(ア)
a
(a)
「第1」については省略し、「1」から用いてもかまいません。また、見出し符号の後には、「、」、「,」又は「.」を打たず、1字分空けて次の文字を書きます。
なお、見出し符号ではありませんが、事項を列挙する場合には、「@、A、……」や「・」(中点)を用いることもできます。「・」(中点)は、本来、事物の名称を並列するときや外国語・外来語や外国の人名・地名などを書く場合などに用いるものですが、事項を列挙する場合には、「「・」と第1字目の間を空けずに、2行目の書き出しを1行目にそろえるのが一般的である」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)とされています。
7月7日付けのブログを読んだA君(本市職員)から「「任命」と「委嘱」てどう違うんですか?」と質問がありました。
「任命」も「委嘱」も地方公務員上の任用であることに変わりはありません。一般的には、一般職の場合は辞令を交付し、「○○に任命する」のに対し、附属機関の委員等の特別職の場合は委嘱状を交付し、「○○を委嘱します」としている例が多いと思われます。「大辞林」(三省堂)によると、「任命」とは「ある官職や役目につくことを命ずること」と、「委嘱」とは「特定の仕事や研究を部外の人に頼みまかせること」とあります。同じ任用であっても、「命令」と「依頼」の意味を込めて用語を使い分けているものと考えられます。「地方自治第420号」(地方自治制度研究会編)の「地方自治相談室」にも「行政機関に置かれる審議会・調査会等の委員を任命する場合に、当該行政機関以外の行政機関の職員、民間の学識経験者等から任命するものについて、本来その者との間に特別の権力関係がないので「任命する」又は「命ずる」という用語を使う代わりに、多少敬意を表して「委嘱」という用語が用いられる例が多いようです」とあります。
なお、「文書事務の手引」(大阪府)によると、大阪市等が任期付きの委嘱状を交付するのに対し、大阪府では委嘱状に任期を記載せず、任期満了時に解嘱状を交付しているようです。
敬称に「殿」を用いるのか「様」を用いるのかは、「殿様論争」とも言われ、いまだにすっきりとしない問題です。その意見の中には、感情的なものも多く、本市では、多数の職員が「殿」・「様」の本来の意味を誤解しています。そこで今回は、「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)の「「殿」と「様」」を参考に、敬称について書いてみます。
「殿」は、元々、高貴な人の住む家屋を意味し、後にそこに住む人を指すようになったと言われています。敬称として用いられるようになったのは、平安時代に摂政・関白の地位にある人に付けられたのが始まりで、平安時代末期には、「図書頭殿」、「伊勢守殿」等と官職名に付けて用いられるようになります。直接人名に付けられるようになるのは、鎌倉時代末期になってからのことで、「殿」の書体は、略し方によって7種類に分けられ、あて名の人の身分又は差出人との関係によって使い分けられていたそうです。
「様」は、「方向」の意味を表す「様」を付けることによって、直接名指しすることを避けて敬意を表していました。「様」は「殿」よりも遅く、室町時代から使われるようになり、江戸時代になると広く用いられるようになります。また、「様」にも字体・書体の書き分けによって、3種類に分けられていました。
江戸時代初期の「日本大文典」(ロドリゲス)によると、そのころの敬称としては、敬意の順に、「様」、「公」、「殿」、「老」が用いられていたようです。「公」と「老」を「大辞林」(三省堂)で引いてみると、「公」は、「(接尾)@身分の高い人の名に付けて、敬意を表す。「家康―」A人や動物の名に付けて、親しみ、あるいはやや軽んずる気持ちを表す。「忠犬ハチ―」「熊―」」とあり、また、「老」は、「(接尾)自分より年とった人の名に付けて敬称として用いる。「吉田―」〔古くは必ずしも老人に対してだけ用いるものではなく、もとは主に僧侶に対して用いられた〕」とあります。
現在、「様」は、最も一般的な敬称として、地位の上下、男女の区別もなく、広く用いられています。一方、「殿」は、私的な手紙においては、「様」より敬意が低いものとされ、主として、男性が男性の同僚か目下の者にあてる場合などの改まったときなどに用いられるとされています。
しかし、公的な性格の強い文書では、明治26年の「消息文変遷」(横井時冬)の「奥祐筆山下氏口演筆記」で、「いかなる目上の人に対しても、殿の字を用ふ」とされたことから、明治以降、「殿」の使用が定着していきます。公的な文書で「殿」の使用が慣用化した理由としては、江戸時代の公家や武家の用語としての「殿」、手紙や証文などの場合に用いられる書類語としての「殿」などの影響が考えられていますが、はっきりしたことは分かっていません。
その後、昭和27年の国語審議会建議「これからの敬語」で、「「さん」を標準の形とする。「さま(様)はあらたまった場合の形また慣用語に見られるが、主として手紙のあて名に使う。将来は、公用文の「殿」も「様」に統一されることが望ましい」とされましたが、現在でも公用文では一般的に「殿」が使われています。「文部省公文書の書式と文例」でも、あて名の敬称には、「殿」を使っています。公用文で「殿」が使われているのは、相手の地位の上下にかかわりなく使える、公と私の区別が明確になる、官職名や役職名に付けてもおかしくないなどの理由が考えられます。
ただし、地方公共団体の中には、文書の敬称をすべて又は一部、「殿」から「様」に切り替えているところも数多くあります。本市でも原則として、敬称には「様」を用いることとしています。
本市は、平成14年度から文書管理システムを導入しています。しかし、現在も電子決裁は採用していませんので、プリントアウトした紙文書で回議等を行っています。その際、クリップボードやクリアーホルダーに文書をはさんでいる市町村がありますが、本市では「決裁ばさみ」を使うのが慣例になっています。
「決裁ばさみ」とは、A3判大の厚紙を二つ折りにし、「決裁」、「供覧」、「合議」等を上部に、「課名」を下部に記載したものです。厚みのある文書については、穴をあけた「決裁ばさみ」をとじひもで一緒に綴じたり、ファイルの表紙にクリップで留めたりして使用します。また、「決裁ばさみ」の山折り部分を製本テープで補強したり、急ぎの決裁については「至急」と上部に朱書したりといった工夫がされています。この「決裁ばさみ」は、文書管理規程等に何の根拠もありませんが、全庁統一で使われています。
桜が満開です。例年この時期は、酒に酔った花見客が市役所のトイレでおう吐し、トイレを詰まらせるという事件が発生します。
また、年度始めは、人事異動に伴い庁舎内から大量のごみが出るため、清掃課からパッカー車を借り、総務課でごみの収集及び搬送を行います。
昨日、ごみの収集及び搬送を行いましたが、相変わらず、ごみと一緒に公文書を捨てようとする課があります。公文書は、勝手に廃棄できません。「文書の廃棄」は、総務課長が「保存期間が満了した文書の廃棄の決定を行い、適正に処分」(文書管理規程第31条第1項)しなければならず、「文書管理システムの廃棄処理の登録を4月30日までに行い、総務課長の指定する日に廃棄する」(同条第2項)こととされています(2007年6月15日付けブログ参照)。
かなり研修等を行ってきたつもりでいますが、こうしたことを徹底するのは難しいです。
総務課の事務に郵便物の収受・発送があります。
本市では事業別予算を採用していますので、総務課で事業ごとに月額の郵便料金の内訳書を作成します。第12節役務費(細節通信運搬費・細々節郵便料)のある事業が200近くあり、郵便の料金体系が複雑であることから、郵便料金の集計には、自前でプログラムした郵便料金システムを使っています。この時期は、来年度の予算に合わせて、プログラムを修正します。
昨年10月1日の郵政民営化法等の施行に伴い、関係例規の改正を行いましたが、郵便料金システムについても、プログラムを修正しました。従来の小包郵便物が郵便物でなくなったことによるものですが、ゆうパック及びゆうメールのサービスが残っていることから、総務課での取扱いは、そのままにしています。
なお、現時点では、総務課で信書便を取り扱う予定はありませんので、関係例規の改正の際、文書管理規程中に「文書の発送」は「郵送する」と規定しました。
次のうち正しいのはどれでしょうか? @3ヶ月前 A3か月前 B3箇月前 C3個月前
答えは、Aです。
庁内の文書では、@の例をよく見かけますが、「ヶ」は「箇」の略字であり、公用文では用いません。
「「か」は、漢字(漢数字を含む。)に付くときは「箇」を用い、算用数字に付くときは「か」を用いる。なお、「ヶ」は、用いない。
五箇年計画、3か年分割
「箇」は、当用漢字表にはなく、常用漢字表で初めて掲げられた。その際、例えば従来「個所」又は「か所」と書かれていたものを「箇所」と書くことが可能となった。
それ以降のルールとしては、前の字が漢数字のときは漢字、算用数字のときは平仮名とすることになった。「箇」の略字である「ヶ」は、公用文では用いない。なお、マスコミでは依然「個所」を用いている」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)とあります。
先日のニュースでA市(北関東の市)の文書が写っていました。その文書は、読点に「、」ではなく、「,」を用いて作成されていました。そこで、A市のホームページを見てみると、ウェブ上では「、」が用いられていましたが、PDF化された公文書や例規集では「,」が用いられていました。そういえば、公務員が書かれているブログ等でも、読点に「,」を用いている例が見受けられます。
実は、「公用文でも、横書きの場合は本来「,」を用いることとされているのであるが(「公用文作成の要領」昭和26年10月30日国語審議会建議第3の5の注2)、今日までこのルールはほとんど無視されてきた」(「わかりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)のです。現に、公用文の書き方を所管している文化庁、法務省や裁判所等以外ですと、国においてもこのルールはあまり守られていません。では、なぜこのルールが守られていないのでしょうか。元々、日本語は、縦書きを基本としており、官公庁においても昭和30年代半ばまでは縦書きで文書を作成していました。そのため、横書きで文書を作成することがなく、昭和26年に出された通知の記憶が薄れてしまったのがその原因ではないかと礒崎氏は自身のブログで述べておられます。
句読点は、句切り符号といい、戦後、欧米化の流れの中で公用文が横書きとされ、当初、句読点は「,」と「.」を用いるつもりであったと何かで読んだ記憶があります。国際標準なのでしょうか、確かに理系の専門書や学術書などでは、句読点に「,」と「.」が用いられているのが見受けられます。また、表彰状や感謝状では、句読点は用いないこととされています。
なお、地方公共団体では、各団体ごとに「公用文作成要領」等の手引を作成し、句読点の使い方について定めていることと思いますが、旧自治庁の「左横書き文書の作成要領」では「、」と「。」を用いることとされています。このことも「,」と「、」が混在することとなった原因の一つではないでしょうか。
庁内のアスベストの除去工事が施工されています。地下の中央書庫についてもアスベストが測定されましたので、今日から7月20日までの間は、工事のため入室禁止です。
昔は全く文書管理というものをしていませんでしたので、中央書庫は、物置同然の状態でした。本市の文書管理制度は、情報公開制度と合わせて平成10年度から2年がかりで立ち上げました。まず初めに着手したのは、中央書庫内のごみの廃棄でした。次いで各課とヒアリングをしながら、不要な文書を廃棄し、文書分類表と文書目録を作成しました。この2年間は、やたら中央書庫にいたと記憶しています。
現在、保存文書のうち総務課で引き継いだ文書は、すべて中央書庫で管理することとしています。
庁内の文書を見ていると、接頭語である「御」と「ご」を誤って使っている場合がよく見受けられます。公用文の書き方には独特のルールがあり、新聞等のマスコミの表記と異なります。これは、そのために起こる間違いの一つです。
「「御」は後に漢字の語がくる場合に用い、「ご」は後に平仮名の語がくる場合に用いる。なお、「御」に「お」の読みはない。
御理解、御承知、御礼(おんれい)、ごあいさつ、お願い、お忙しい
「ご」については、マスコミが一貫して平仮名を用いているので、公用文でもかなりルーズになっている。しかし、ルールは極めて簡単であり、漢字の前は漢字、平仮名の前は平仮名という整理である。この平仮名書きの言葉の前に「ご」が付くのは、上記のように本来漢字の熟語であるが表外漢字であるために平仮名で表記する場合に限られる。
では、上記の「お願い」や「お忙しい」のように漢字に送り仮名が付く場合はどうするのかというと、実は「御」には「お」の読みがないので、この場合は平仮名で書くしかないのである。しかし、一方で、「御」には「おん」という訓読みが認められており、「御礼」は「おんれい」と読み、決して「おれい」とは読まない」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)のです。
この「分かりやすい公用文の書き方」は、自分のオススメ本の一つです。
自分は異動なく、文書法規12年目に突入です。
3月末から組織改正及び人事異動に伴う文書管理システムの移行作業を行いました。今日は、システムの最終確認のために出勤しました。
本市の文書管理システムは、市販されているシステムをカスタマイズして使っていますが、導入から6年目を迎えて、そろそろ限界がきています。今年度中には、新しい文書管理システムの導入について検討しなければなりません。
今となっては、電子計算機のない事務は考えられませんが、事務の電算化が本当に有意義なのか自分は疑問に思っています。たしかに、電算化による利益は大きいです。しかし、そのことによる不利益も大きいのではないかと思ってしまうのです。事務が省力化された部分もあれば、増大した部分もあります。ペーパーレス化はあまり進んでいません。個人情報漏洩の危険性は増大しました。そして何より、職員の事務能力が低下しているのではないかと思っています。
2月2日、文化審議会は、「敬語の指針」を文部科学大臣に答申しました。この指針は、文化庁のホームページで公開されていますので、簡単に読むことができます。読後の感想は、敬語とはこんなにも難しいものかというのが正直なところですが、第3章の敬語の具体的な使い方などは、読み物としても面白いです。
ちなみに、公用文では、あいさつ文等の特別なものを除き、原則敬語を使用しないとされています。正確に言うと、敬語の中でも丁寧語は通知文等で使用しても構いませんが、それ以外の尊敬語及び謙譲語は通知文等には使用するべきではないとされています(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい参照)。ただし、このことを理解している職員は、非常に少ないのが現実です。
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