人事ヒアリングにおいて

 「原課から相談あったときに、考えるヤツやのうて、調べるヤツやないとアカンのですわ。何でって、考えたら簡単にわかれへんっちゅー答えが出るよってです。そーゆーヤツは法制には向かんのですわ。調べるヤツやないと」。先日あった人事ヒアリングでの自分の発言です。
 中央大学の礒崎初仁教授は、地方公共団体の職員を@法律に弱く法律に使われる職員、A法律に強く法律に使われる職員、B法律に強く法律を使おうとする職員の3つのタイプに分類されていますが、立正大学の山口道昭教授は、その著書(「政策法務入門」信山社)の中で、さらに、C法律に弱く法律を使わない職員というタイプがあると指摘されています。
 本市では、Cのタイプの職員が大半を占めています。そんな中では、「調べるヤツ」は、極めて希少な存在なのです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:14 | 政策法務 | コメント (0) | -

平成三大馬鹿条例

 昭和三大馬鹿査定といわれるものがあります。詳しくは、こちらを御覧ください。
 この記事を読みながら、本市における平成三大馬鹿条例て何やろなーと考えてみました。アレとアレとアレ。いや、アレとアレとアレか……あっ、アレとアレもあるな。アレとアレも捨て難いな。そない考えたら、十大ぐらいになりそうやな。ほんで、これからも増え続けるんやろな。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:56 | 政策法務 | コメント (0) | -

義務を免除し、又は権利を付与する

Y君「何で、こない訳の分からん条例増えるんすかねえ」
自分「ハヤリやろ。条例作ることがカッコえーと思てんのやろな」
Y君「けど、条例て、侵害留保ですやんか」
自分「おう。自治法の14条2項がそない書いてるからの」
Y君「ほな、条例作るっちゅーことは、住民の負担増やして、権利制限することになりますやんか」
自分「おう、そうや。そやから条例作るときは、慎重に検討せなアカンのやないけ」
Y君「けど、この団体なんか、条例制定を目指すて言うてますよ」
自分「法律の留保の問題なんやけどな。14条2項やのうて、「普通地方公共団体は、義務を免除し、又
 は権利を付与する場合は、条例によることができる」て思てんのと違うんかの」
Y君「それやったら制定目指しますわな。もう止められへんっすよね」
自分「おう。ウチでもこの前、話になれへんかったやんけ」
Y君「あ〜、あれっすね」

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 00:15 | 政策法務 | コメント (0) | -

暴力団排除条例・外伝2

 「大阪府枚方市の暴力団員の男(46)が2012年から社会福祉行政に協力する民生委員を務めていたことがわかった。大阪府警が3日に男を詐欺容疑で逮捕する際、発覚した。市は4日に記者会見し、「大変申し訳ない」と謝罪した。厚生労働省に解嘱を求めるという。」(6月5日付け毎日新聞朝刊)
 ちなみに、非常勤特別職の都道府県の職員であると解されている民生委員(昭和26年3月14日、昭和26年4月26日等行政実例)の不祥事件に対し、枚方市が謝罪しているのは、同市が中核市であるため、地方自治法施行令第174条の49の3第1項の規定により、民生委員法及び民生委員法施行令の規定により都道府県が処理することとされている事務を処理するとされているからですが、この記事で気になったのは、民生委員が詐欺容疑で逮捕されたことではなく、暴力団員を民生委員に委嘱していたことが問題になっているところです。
 暴力団員=民生委員が不適当であるということは、誰でも理解できると思います。しかし、暴力団員であったとしても、当該市町村の議会の議員の選挙権を有し、「人格識見高く、広く社会の実情に通じ、且つ、社会福祉の増進に熱意のある者であつて児童福祉法(昭和22年法律第164号)の児童委員としても、適当である者」(民生委員法第6条第1項)が存在するかもしれません。現に、この暴力団員=民生委員は、自治会長やPTA役員を歴任し、評判も非常に良かったそうです。
 解嘱は、民生委員法第11条に規定されています。同条によると、厚生労働大臣が都道府県知事の具申に基づいて解嘱することができる場合は、⑴ 職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合、⑵ 職務を怠り、又は職務上の義務に違反した場合、⑶ 民生委員たるにふさわしくない非行のあった場合とされています。
 暴力団員であるということは、同条第何号に該当するのでしょうか?第3号でしょうか?今回のケースでは、詐欺容疑で逮捕されていることから同号が適用されると思われますが、本来、非行とは、違法又は反社会的な「行為」のことであり、単に暴力団員であることをもって非行というのには無理があるのではないでしょうか。制限すべき、又は禁止すべきは、暴力団員の行う暴力的要求行為等の行為であって、単に暴力団員又は暴力団密接関係者であることをもって市の事務及び事業等から排除しようとする暴力団排除条例には疑問を感じています。
 なお、暴力団員又は暴力団密接関係者であろうとなかろうと、自ら若しくは第三者の利益又は第三者の不利益を暴力的に図ろうとする人間を、一切擁護するつもりはありません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:18 | 政策法務 | コメント (0) | -

ベンチマーク−本市の場合

 条例のベンチマークとは、「他の自治体の最も優れた条例などのシステムを、自己の自治体の現状と継続的に比較分析して、自己の条例の制度設計・運用に活かすことをいう。」(「条例づくりへの挑戦−ベンチマーキング手法を活用して」田中孝男著/信山社)
自分「これ、どこのんパクってん?」
M君「A市条例ベンチマークしましてん」
自分「この引用条項、間違えてんぞ。2条1項違うて、3条1項やぞ」
M君「あっ、ここはB市条例ベンチマークしたよってですわ」
自分「ほんでな、第4条と第7条とで略称規定、変わってんぞ」
M君「あっ、7条はC市条例ベンチマークしたよってですわ」
自分「お前なあ、いくつパクってん?」
M君「A、B、C、D、Eの5市をベンチマークしましてん」
自分「ほんで全体のバランス悪いんや。用語の整理もできてないやんけ」
M君「えーとこ取りでベンチマークしたつもりなんすけど」
自分「悪いとこ取りになっとるやないかい。あのな、えー条例っちゅーのは、それで一つの物語つくって
 んねん。そこに別の物語を付け加えへん方がえーど。そやからな、ウチでパクんのは1市にせーて言
 うてんねや」
M君「ちょっと直してきますわ」
自分「それとな、パクるんやったら、えーとこのんパクれよ」
M君「パクリ違います。ベンチマークっすよ」

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:24 | 政策法務 | コメント (0) | -

じぇじぇじぇ基本条例

 ………………………。。。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 13:27 | 政策法務 | コメント (0) | -

議員定数と議会基本条例

 議員定数条例の提案権は、長及び議会の双方が有していると解されていますが、ほとんどの地方公共団体では、議会から提案することが慣例になっているのではないでしょうか。
 そうした地方公共団体のうち、議会基本条例を制定しているところでは、当該条例に次のような規定がありませんか?
(議員定数)
第○条 (略)
2 議員定数の改正に当たっては、市民の客観的な意見を参考にしながら、人口、面積、財政力、市政
 の現状と課題及び将来の予測と展望を十分に考慮するものとする。
3 議員定数条例を改正する条例案を議員が提出する場合は、前項の規定を踏まえた明確な改正理由
 を付すものとする。
 ここで質問ですが、考慮していますか?付していますか?ついでに言うとくと、この条例が最高規範であったりしていませんか?
 でけへんのか、せーへんのかしらんけど、それやったら、こんなん書けへん方がえーんとちゃうけ。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:44 | 政策法務 | コメント (0) | -

定例会とか合併とか

 2月1日(土)、松原市でおおさか政策法務研究会第の定例会が開催されました。やっぱオモロイですね。特に夜の部が。あっちゃこっちゃで好き勝手に法律の話が繰り広げられますので、反則法制のような状態になります。こういう集まりは、続けることが大事だと思います。次回も楽しみです。
 もう一つ、おおさか政策法務研究会は、昨年末、びわこ自治体法務研究会と合併して関西自治体法務研究会になりました。といっても、おおさか政策法務研究会がなくなったわけではありません。おおさかとびわこを構成員とする連合体として関西自治体法務研究会が発足したということです。かながわ政策法務研究会をモデルにしています。
 現在のおおさか政策法務研究会の課題は、会員の高齢化です。ということで、新規会員を随時募集しています。政策法務や法律、行政問題等に興味のある方、一緒に遊び、いや、勉強してみようと思われましたら、管理人あてにメールください。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:08 | 政策法務 | コメント (0) | -

暴力団排除条例・外伝

 暴力団排除条例の制定に際して、警察から色々とチェック入りませんでしたか?特に、公の施設における暴力団の排除や個人情報の収集及び提供の辺りで。ほんで、後になって、色々とケチつけてきませんでしたか?
 そこまで言うんやったら、法律できっちりと規定せーよな。それか、参考例示して、このとおりせーて、建前だけでも頼めよな。
 ということで、市議会9月定例会に市営住宅条例の一部を改正する条例を提案します。
具体的に書くことができませんでしたので、分かる人には分かるでしょうが、分からない人にはさっぱり分からない内容になってしまいました。すみません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 00:29 | 政策法務 | コメント (0) | -

第19回自治体法務合同研究会大津大会

 第95回全国高校野球選手権大会が阪神甲子園球場で開催されていますが、明日(8月10日(土))、あさって(8月11日(日))の二日間、第19回自治体法務合同研究会が滋賀県大津市で開催されます。
 開催テーマは、「自治体に法務を根付かせよう」です。
 公開シンポジウムの中では、特別講義の「自治体法務の人生を振り返って」は、市町村の職員にとって必聴モンではないでしょうか。
 詳しくは、こちらを御覧ください。
 大会の成功をお祈りしています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:55 | 政策法務 | コメント (0) | -

カネのないときは

 6月27日のYOMIURI ONLINEによると、いわゆる乾杯条例は、1県8市町で制定されているようです。きっかけは、お茶の振興に関する法律のパクリであったのかもしれませんが、この条例がここまで流行した原因は、分かりやすさとインパクトではないでしょうか。
 ある乾杯条例の第1条は、「この条例は、……、日本酒による乾杯の習慣を広めることにより、日本酒の普及を通した日本文化の理解の促進に寄与することを目的とする」と規定しています。何のこっちゃ、さっぱり理解できません。まだ、「日本酒の消費の拡大に寄与することを目的とする」とした方が理解しやすいのではないでしょうか。
 この条例の報道を見ていると、ある人が言っていた言葉を思い出します。
「政治っちゅーのは目立ってナンボや。カネのあるときはハコモン造って、カネのないときは条例作んねん」
 そのほとんどが議員提案であることも興味深いです。政治の道具として条例を制定する。これも一つの地方自治でしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:09 | 政策法務 | コメント (0) | -

関西自治体法務研究会?

 5月12日(日)、関西自治体法務研究会を開催しました。といっても、杉山富昭さんをしのんで、杉山さん宅で御馳走になっただけなんですが……久しぶりでオモロかったです。あまりにオモロかったんで、つい、長居してしまいました。しかし、5時間以上も居座るかあ……奥さん、申し訳ありませんでした。
 近況報告から法務まで、色々な話をする中で、やっぱり行きつく先は、杉山さんの話題でした。あの精力的な研究活動にはホンマに頭が下がりましたし、あの個性的なキャラクターには誰もが魅了されました。
 御冥福をお祈り申し上げます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:15 | 政策法務 | コメント (0) | -

地域主権一括法に係る基準条例

 いわゆる地域主権一括法に係る基準条例は、コピー型、リンク型及び規則委任型に分類されます。本市では、リンク型を選択することにしました。また、介護、水道、下水、公園及び住宅については、既存の条例の一部改正で対応しました。それが本市の実情に最も適していると判断した結果です。
 なお、先行されている市町村の条例の中に、「○○令(平成××年政令第××号。同令を改正する政令を含む。)」等と規定されているところがありましたが、これは、経過措置までリンクすることを意図したものでしょうか。
 また、地域主権一括法の経過措置として「1年を超えない期間内において、……○○法第×条第×項の規定に基づく条例が制定施行されるまでの間は、同項の政令で定める基準は、当該条例で定める基準とみなす」と規定されていることを考えると、基準条例は、「公布の日から施行する」こととした方が適当ではないかと思われます。
 この地域主権一括法、どこが「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図」っているのやら?前の地方分権一括法のときは、もっと高揚して仕事していたように思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:19 | 政策法務 | コメント (0) | -

完全体の条例

 条例は、進化すると言われます。
 例えば、現行の条例が必要に応じて改正されることによって、より良い条例へと進化します。また、ある条例をベンチマーキング手法により制定することによって、当該地方公共団体の住民ニーズを反映し、かつ、実情に応じた条例へと進化します。当然、なかには退化する場合も多々ありますが……
 こうした進化を繰り返していくと、完全無欠な条例というものができるのでしょうか?
 ……多分、できないでしょうね。
 てなことを、ボーッと考えています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:42 | 政策法務 | コメント (0) | -

Twitter風に

 地域主権か何か知らんけど、国が省令で定めてるようなモンを条例で定めいやて言われても……のう…………………………しゃーないのう……

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:16 | 政策法務 | コメント (0) | -

○○基本条例

 「○○基本法」という題名の法律をネットの法令検索で探してみると40件ありました。制定年月日を見ると、「流行りの法律」と言えそうです。
 「「基本法」とか「基本条例」という名称を持つ法令があるが、これは他の法律や条例より上位に位置づけられているわけではなく、法的な形式的効力は他の法律や条例と同等である。しかし、規定されている内容の基本性・一般性を根拠にして、実際上優越的に取り扱われる傾向にある。その性格上、内容的には他の法律や条例に対して一般法となるが、必ずしも劣後するわけではない。これは一般法・特別法の関係による調整にはなじまず、解釈による調整ということになる。」(「法制執務の基礎知識」大島稔彦監修/第一法規)
 と理解していたのですが、「ワークブック法制執務」(法制執務研究会編/ぎょうせい)には、次のように記されています。
「また、これらの法律は、その規律の対象としている分野については、基本法として他の法律に優越する性格をもち、他の法律がこれに誘導されるという関係に立っている。」
 ちょっとニュアンスが違いますね。
 「もっとも、基本法の制定は、権利義務にかかわる規定がないだけに、関係方面との利害調整をする必要もなく、単なる高尚な作文に終わるおそれも強い。これを意味あるものにするのは、基本法は努力の方向を示す第一歩にすぎないという認識のもとに、その理想を実現するための具体的法律事項を盛り込んだ法令を現実に作り上げ、その着実な運用に努めていくことである。」(「実務立法技術」山本庸幸著/商事法務)
 ということを考えると、本市には、基本条例は必要ありません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:19 | 政策法務 | コメント (0) | -

第18回自治体法務合同研究会水戸大会

 第18回自治体法務合同研究会が、7月14日(土)及び15日(日)、茨城県水戸市で開催されます。
 開催テーマは、「誰でも法務・どこでも法務!!〜誰の身近にもある共通言語・共通ツールへ「原点回帰」〜」です。
 詳しくは、こちらのHPを御覧ください。
 茨城県、市長会及び町村会を始め、水戸市、笠間市に茨城町と後援していただいているんですね(確か、厚木、札幌もそうやったかな)。この辺の環境は、大阪から見ると羨ましいです。
 今回も所要により参加できませんが、大会の成功をお祈りしています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:25 | 政策法務 | コメント (0) | -

立法事実

「もとより法律の本質は、国民の権利義務に係わる「法律事項」を定めるところにある。つまり、罰則を設け、義務を課すなど国民の権利を制限し、あるいは新たな権利を付与する規定を設けるものである。したがってまず行うべきことは、「立法事実」すなわち、その立案しようとする法律案の背景となる社会的事実として、どのようなものがあるのかを整理することである。
 そして、これに対していかなる法律事項を設けようとするのかを明らかにすることが必要である。たとえば、次のようなものがある。
 @ 国民の特定の行動を規制しようとするものか
 A 新たな税を課そうとするものか
 B 既存法令の例外を設けようとするものか
 C 特定の国民に独占的資格を付与しようとするものか
 D 行政機関等の組織を定めるものか
 こうして選択された法律事項が、果たしてその立法事実を解決するのに必要十分であるかについて、詳しく検討されなければならない。それがあまりに微温的で不十分なものであれば、立法事実を解決するどころか、その先送りという形となって、近い将来再び大きな問題となりかねない。さりとて、牛刀を持って鶏を割く類のようにあまりにも大げさで、かつ弾圧的なものであると、立法合理性が疑われるし、そもそも基本的人権にも抵触しかねない。また、特定の分野のみに偏った措置であると、法の下の平等原則上、問題となるであろうし、そもそも当該分野の集団の内部規律の問題として、法律をもって規律すべきではない事柄かもしれない。このようなもろもろの観点から十分に検討する必要がある。
 これと同時に、その立案しようとする法律分野の関係法令、行政や企業等の実務慣行、判例、学説、個別事例、諸外国の例などを包括的に収集し、調査分析することが必要である。これらの作業が進展すればするほど、その立法事実の把握と法律事項の確定を、より一層適切で正確なものにすることができる。」(「実務立法技術」山本庸幸著/商事法務)
 それなりの立法事実があるからこそ、市民に対して義務を課し、又は権利を制限する必要があるのであって、条例が制定されるのです。そうして制定された条例だからこそ、訴訟にも耐えることができるのです。
 金があるときは箱モノを建設し、金がないときは条例を制定するというのも、政治なのかもしれません。しかし、立法事実のない条例を制定するというのは、どうなのでしょうか。思いつきだけで条例を制定するのは、怖いことです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:43 | 政策法務 | コメント (1) | -

職員基本条例

 大阪府の職員基本条例を読ませていただきました。
 大阪維新の会から提案されたあの「職員基本条例(案)」を、よくぞここまで修正できたものだというのが正直な感想です。
 内容的には、何のことか不明であった「人事監察委員会」が附属機関として規定され、「準特別職員」が削除されたことで随分と整理されたものになっていますが、そもそもの立法事実の有無や地方公務員法の精神(地方公務員法第5条第1項)に始まり、人事評価に伴う不利益に対する措置要求(不服申立て)、降任又は免職の基準の条例化、懲戒処分の基準の条例化等々、職員基本条例には、まだまだ問題があるとは思います。
 しかし、議員提案の条例案を審査した経験のある者として言わせてもらうと、時間のない中で、あの稚拙な作文を条例に仕上げたことは称賛に値します。そう考えて読むと、職員基本条例は、感動的でさえありました。
 失礼ながら、大阪府のある職員から「府の行政能力が低下してきてるねん」という話を聞いたことがあるのですが、大阪府の底力は、やはりすごいと再確認しました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:02 | 政策法務 | コメント (0) | -

政治家

 「串打ち3年裂き8年焼き一生」という言葉があります。江戸前の鰻職人として一人前になる修行年数を「桃栗3年柿8年」をもじって表したものですが、どんな職業でもこのような経験(修行)年数が必要ではないでしょうか。ところが、その経験がまったく必要とされない職業があります。それが政治家(公職選挙法の規定に基づき選挙で選ばれた人)です。今や、逆に経験の無さや年少であることをウリにする政治家さえいるぐらいです。
 ベタな言い方をすると、かつては、ある地域や集団において、「アンタなってくれへんか」という人がその地域や集団を代表して政治家になっていたように思うのです。それが、一昔前ぐらいから「オレなりたーい」という人が増えてきたのではないでしょうか。
 この「アンタなってくれへんか」という人は、目に見えた地域や集団のために政治を行っていました。それは、具体的な政治活動であり、そこには住民の生活がありました。ところが、社会が複雑化し、こうした地域や集団を維持することが難しくなってきたことが住民を政治的に無関心にしてしまったのではないでしょうか。その結果、「オレなりたーい」という人が政治家になる土壌が作られたのではないかと思われます。
 「オレなりたーい」という人を支持するコミュニティはありません。ですから、何らかのパフォーマンスやポピュリズムが必要なのでしょう。それは、抽象的な政治活動であり、実際の住民生活とはほとんど関係がありません。ある大学教授が「議員がものを言うとき、「市民の信託を受け……」や「市民のために……」といった言葉を枕詞のように使うのは、なぜなのでしょうか」とおっしゃっていたことがありました。それは、おそらく、「オレなりたーい」という人が議員になっているからではないでしょうか。
 地方分権だ住民参画だといわれていますが、一昔前に「アンタなってくれへんか」という人が政治家になっていた頃の方が、政治が住民のものであったように思うのです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 16:25 | 政策法務 | コメント (0) | -

市民協働

 本市では、「市民協働」という言葉がちょっとしたブームになっています。
 しかし、この言葉を好んで使っている人の言動を見ていると、その意味を理解して使っているのかどうかは、甚だ疑問です。また、あのニセコ町が自治基本条例から「協働」の文字を削除したことを知っているのでしょうか。
 2010年4月26日付けの河北新報の記事によると、
「「協働のまちづくり」は、北海道ニセコ町が2000年に全国初の「まちづくり(自治)基本条例」を制定して一気に広がった。
 そのニセコ町が今春、条例から「協働」の文字を削除した。片山健也町長が語る。
「『協働』が住民と行政の対等なパートナーシップという意味で使われるのには違和感がある。主権者である住民と、住民の意思に基づいて働く役場が対等なはずがない。役場は住民に責任を転嫁するために協働を言い訳にしてはいけない」とあります。
 たしかに、ある市の市民協働のまちづくり条例によると、「市民協働」を「市民、市民公益活動団体、事業者及び市がその自主的な行動のもとに、お互いに良きパートナーとして連携し、それぞれが自己の知恵及び責任においてまちづくりに取り組むことをいう」と定義しているように、市民と市とを対等な関係として位置付けていることが分かります。
 他の市町村が使用している言葉にケチをつけるつもりは毛頭ありません。「市民協働」に限らず、何となくカッコえーからというだけで訳も分からんと、そういう言葉を使うことはやめとけへんけということです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 07:00 | 政策法務 | コメント (0) | -

条例のベンチマーキング手法

 九州大学の田中孝男先生は、条例のベンチマーキング手法を「他の自治体の最も優れた条例のシステムを、自己の自治体の現状と継続的に比較分析して、自己の条例の制度設計・運用に活かすこと」と定義されています。
 条例のベンチマーキング手法は、政策条例を制定する場合において、最もよく用いられている手法でしょう。ただし、○○市の条例をそのままコピーして、○○市を××市に変更するのみで何の分析も検討も行わずに思い付きで制定することをベンチマーキング手法とは言いません。それは、ただのパクリです。
 うん?何の話やろ?

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:07 | 政策法務 | コメント (0) | -

第17回自治体法務合同研究会厚木大会

 第17回自治体法務合同研究会が、7月16日(土)及び17日(日)、神奈川県厚木市で開催されます。
 開催テーマは、「自治立法を極める!−誰がための政策法務−」です。
 なお、16日(土)午後から厚木市文化会館で開催される全体会Tの基調講演(「自治と法」講演者:兼子仁氏(東京都立大学名誉教授))及びパネルディスカッション(「自治立法を極める!−誰がための政策法務−」パネリスト:松沢成文氏(前神奈川県知事)、金井利之氏(東京大学教授)、野口貴公美氏(中央大学教授)、藤島光雄氏(おおさか政策法務研究会))が一般公開(参加費無料)されます。こちらのHP(自治体法務合同研究会厚木市)を御覧ください。
 かながわGは、いくつかの研究会の連合体だと聞いているのですが、自治体職員だけでなく、多数の研究者等をメンバーに抱え、ホンマに元気です、このグループ。うーん……、行きたかったなぁ〜

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 07:11 | 政策法務 | コメント (0) | -

第11回関西自治体法務研究会を終えて

 第11回関西自治体法務研究会が「杉山富昭さんを追悼して」6月4日(土)、尼崎市中小企業センターで開催されました。当日は、おおさかG、びわこG等のいつものメンバーのほか、かながわGの北村喜宣先生と出石稔先生にも御参加いただきました。
 なお、「杉山さんの業績を偲んで〜交渉法務論と政策法務〜」は、第17回自治体法務合同研究会厚木大会の分科会でも予定されています。
 杉山さんについて語る上で、やはり特筆すべきは、そのおう盛な読書量と執筆量に証明される精力的な研究活動でしょう。そして、それをホームページやブログといったインターネットを活用して情報発信したことは、広く、地方公務員等に法律を身近なものとして紹介するという効果をもたらしました。市町村の職員として現場の最前線から展開される政策法務論は、多数の地方公務員に影響を与えました。ちなみに、自分がこんなたわごとをほざいているのも、杉山さんの影響が大きいです。
 御遺族の御厚意により、ホームページ「自治体政策法務研究室」とブログ「講学政策法務」は、おおさか政策法務研究会のホームページに転載させていただきました。杉山さんの業績をしのびながら、是非、御覧になってみてください。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 07:00 | 政策法務 | コメント (0) | -

規則の活用

 いわゆる地方分権一括法が施行されて以後、自治立法の一つである規則というものが軽んじられているように思われます。今更のことですが、規則には、次のような意義があります。
 「普通地方公共団体の自治立法は、条例及び地方公共団体の長が定める規則に限られるものではなく、人事委員会又は公平委員会の定める人事委員会規則又は公平委員会規則(地公法八5)、教育委員会の定める教育委員会規則(地教法一四)などもまた、その一種であるというべきである(このことについては、異論もある。)。条例は、国における法律にも相当するものであって、住民の代表者たる議員によって構成する議会の定立するところであり、したがって、その制定範囲も最も広汎である。また、第十五条に基づく規則は、普通地方公共団体の長の定めるものであるから、その内容は各執行機関に共通する事項をも規定するのであって、各執行機関の定める規則等の上位に立ち、単に一執行機関の定める法規という性格に止まらないで当該普通地方公共団体の自治立法として条例と相並ぶ地位にある(法一三八の四2参照)。」
 「地方公共団体の長が定める規則は、条例と別個の地方公共団体の自治立法の形式であって、当然には、法律と法律に基づく政令のような関係に立つものではない。法律に基づく政令と同様に、条例の委任を受け又は条例を執行するために定められるものもあるが、必要的条例事項を除けば、法令又は条例の委任等がなくても、地方公共団体の住民の権利義務に関する法規たる性質を有するものを定めることができ、また地方公共団体の内部的規律たる性質を有する規則を定めることができる(法一四の〔解釈〕三(二)⑷及び四(一)⑴参照)。」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)。
 大阪では先進的な自治体として評価されているM市。同市で政策法務を担うI課長が規則その他の規程によって政策を実現しようとすることについて、HPのメーリングボード上でつぶやかれたことがありました。
 条例と規則とは、その制定手続において、根本的に違いがあります。そうであるが故に第14条第2項の規定が存在しています。このことを踏まえた上であるならば、規則を活用することに賛成します。むしろ、もっと活用してはどうかと思うのです。例えば、内部規範等として存在している、いわゆる要綱というものをすべて廃止し、規則として制定してしまうとか。
 個人的には、規則を活用することも政策法務の一つの形態だと考えています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:21 | 政策法務 | コメント (0) | -

「上書き権」

 「菅政権は、通常国会に提出を予定している「総合特区法案」について、自治体が定める条例を国の法律や政令より優先させる「上書き権」を認める条項の盛り込みを断念した。違憲の疑いがあると判断したためだが、地域を限定して大胆な規制緩和を進める総合特区の裁量権拡大に期待していた地方は反発しそうだ。
 「上書き権」は小泉政権時代の構造改革特区より自治体に幅広い裁量権を認める「総合特区」の目玉として、民主党の小委員会が骨格案に盛り込んでいた。世界標準の未承認薬の試験的な使用を認める特区が、国会での薬事法改正を待たずに条例制定だけで可能にするようなケースを想定していた。
 だが、憲法は「法律の範囲内で条例を制定することができる」としており、内閣法制局が反対。片山善博総務相らが調整して法案への盛り込みを断念し、特区の指定は各法律ごとに個別に定めることにした。」(1月26日付け朝日新聞朝刊)
 色々と意見のあるところだとは思いますが……しょぼい市のしょぼい法規担当者の意見としては、正直なところ、ホッとしました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:52 | 政策法務 | コメント (-1) | -

住民投票条例(後編)

 公職選挙法第11条第3項は、「市町村長は、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第30条の6の規定による在外選挙人名簿の登録がされているものについて、第1項又は第252条の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなったことを知ったときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない」と規定しています。
 この規定によって、住所地の市町村の選挙管理委員会は、選挙人の欠格事項を把握し、選挙人名簿を調製することができるのですが、外国人については、このような制度が整備されていません。そのため、住民投票を実施する市町村において、永住外国人や定住外国人の住民投票の投票資格者の欠格事項を把握することは、極めて困難であると考えられます。
 また、住民投票を長や議会議員の選挙と同時に実施する場合は、同法第58条の規定により、選挙人ではない永住外国人や定住外国人が長や議会議員の選挙が行われている投票所に入ることが禁止されていることから、別に住民投票用の投票所を設置する必要があります。
 こうした問題点をどのようにクリアしたかはともかくとして、産経新聞の記事は、住民投票の投票資格者に永住・定住外国人を含めたことを批判的に記していますが、これも一つの地方自治の形ではないかと思うのです。地方分権を推進していくことは、良いことばかりではなく、そこには必ずリスクも包含しているということを認識しなければならないと思います。
 一方、1月10日付け日経新聞朝刊には、「総務省は地方自治体の重要課題の是非を問う住民投票制度を法制化する方針を固めた。自治体が建設する大規模公共施設や議員定数の変更が対象で、投票結果に法的な拘束力を持たせる」という記事がありました。こちらの動きも興味があります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:38 | 政策法務 | コメント (0) | -

住民投票条例(前編)

 「市政の重要事項の是非を市民や定住外国人に直接問うと定めた「市民投票条例」の制定を目指す奈良県生駒市のほかに、事実上の外国人参政権容認につながる条例を制定している自治体が少なくとも22あることが8日、産経新聞の調べで分かった。条例をめぐり。外国勢力の動きが見え隠れするケースもあった。国籍条項を顧みず、なし崩しに走る自治体の無警戒ぶりが浮かぶ。
 一定の要件を満たせば原則議会の議決なしで住民投票を実施できるとした「常設型住民投票条例」は平成14年9月、愛知県高浜市で初めて制定。投票資格者の年齢を「18歳以上」と定め、永住外国人に付与したことで話題となった。
 条例制定はその後広がったが、当初は投票資格などに一定の条件を課すのが一般的だった。ところが、こうした条件はどんどん緩和され、在日米軍基地を抱える神奈川県大和市では制限がないままに16歳以上の日本人と永住・定住外国人による住民投票を容認する条例が制定されている。
 住民投票条例ではなく、「自治基本条例」で住民投票を定め、規則で永住外国人の投票を容認した東京都三鷹市のようなケースもある。自治基本条例で「市内に住所を有する市民による市民投票」と定めたうえで、「市民とは市内に在住、在勤、在学する者、または公益を目的として市内で活動する者」と「市民」の定義を大幅に広げた埼玉県川口市や、「市長は、住民投票で得た結果を尊重しなければなりません」と住民投票に拘束力があるかのように定めた東京都多摩市のような条例もあった。
 「平成の大合併」と呼ばれた市町村合併の際、永住外国人に「住民投票権」を付与して合併の是非を問うた自治体も多かった。在日本大韓民国民団(民団)による地方議会への働きかけで、永住外国人に投票権を付与するよう条例を改正した埼玉県岩槻市(現さいたま市、条例は合併で失効)や三重県紀伊長島町(現紀北町、同)の例が民団の機関誌「民団新聞」で明らかにされている。」(1月9日付け産経新聞朝刊)
 うーん……何を今更という感じなんですが、1月7日付けの産経新聞夕刊に掲載された次の記事の続きモンのようですね。
 「奈良県生駒市が、市政の重要事項について市民の意思を直接問う「市民投票条例案」を、定住外国人にも投票権を付与する形で成立を目指していることが7日、分かった。成立すれば事実上の「外国人地方参政権」が認められることになる、同市は「あくまで民意を確認する手段で、参政権という認識ではない」としているが、市には電話やメールなどで1500件以上の苦情や抗議が殺到したといい、論議を呼んでいる。」
 住民投票の投票資格者について国籍要件を撤廃することは、色々とデリケートな問題もあるのでしょうが、そもそも、公職選挙法の適用がない外国人の欠格事項(同法第11条第1項等)の適用をどうするのかという実務上の問題もあります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:14 | 政策法務 | コメント (0) | -

一国多制度推進ネットワーク公開キックオフ会議

 一国多制度推進ネットワーク公開キックオフ会議が次のとおり開催されます。
https://sites.google.com/site/ikkokutaseido/oshirase 
 ちなみに、設立趣意書は、次のとおりです。
https://sites.google.com/site/ikkokutaseido/home/setsuritsushuisho
 スゴイことを考えている自治体の職員もいるもんだと敬意を表しながら、せめて広報だけでもさせてもらいましょう(広報開始日から1日遅れですが……)。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:44 | 政策法務 | コメント (0) | -

一国多制度推進ネットワーク

 現在、「「地方自治法の抜本見直し」に関する意見募集」が行われています。そうした最中に、一国多制度推進ネットワークが設立されました。
 このネットワークは、「住民の意思や地域の実情に合わせて、地域独自の自治を実践する方が、地域の活性化、ひいては国全体の活力増進につながるのではないか、また、国において「この国のあり方」から発想し、一律に「地方」を議論するのではなく、それぞれの地域において、「この地域のあり方」を議論すべきではないか」という考えに基づき、「各地域の住民自らの意思決定により「この地域のかたち」である住民自治・団体自治の仕組みを構築し、地域独自の自治を実践することができる、新たな「この国のかたち」(一国多制度)を実現することを目的」(設立趣意書から抜粋)として設置されたものです。
 このネットワークは、随時参加申込みを受け付けています。興味を持たれた方は、管理人まで御連絡ください。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:39 | 政策法務 | コメント (0) | -

「小さくても輝く自治体」と「びわこ市」

 「国が主導した市町村合併「平成の大合併」に加わらなかった全国約50町村などによる「全国小さくても輝く自治体フォーラムの会」は26日、千葉県酒々井町で会合を開き、さらなる市町村合併の強制につながる恐れがあるとして、道州制導入に反対するアピールを採択した。
 アピールは、政府が6月に閣議決定した地域主権戦略大綱に、今後の検討項目として道州制が盛り込まれたことについて「小規模自治体の存続を危うくする改革が議論されようとしている」と指摘。道州制導入では小さな町村ならではの創意工夫や住民自治が失われ「(住民の)生活基盤が破壊される」などと批判している。
 会合には約160人が参加。併せて開いたシンポジウムでは露木順一神奈川県開成町長が「合併させて自治体を大きくさせたほうが行政効率が上がるという考えを(政府は)見直すべきだ」と述べるなど、市町村合併の効果を疑問視する声が相次いだ」(9月27日産経新聞朝刊)。
 このフォーラムには、「自治体法務の備忘録」を運営されているkei-zuさんも参加されていたようです。
 http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20100926
 一方、8月19日付け朝日新聞夕刊の「「窓」論説委員室から」には次のような記事があります。
 「もし、人口約140万人の滋賀県にある13市6町すべてが合併して一つの自治体になればどうなるか。県は消滅する。そして、「びわこ市」と名づける新しい自治体に県と市町を合わせた権限と財源を持たせる。
 そんな大胆な提案を、滋賀の自治体職員らの集まり「チョウチョの会」が約2年がかりで報告書にまとめた。きっかけは道州制への疑問だ。「市町村合併では周辺が廃れた。関西州だと滋賀県は周辺になる」という危機感である。
 提案によると、道州制が導入されてもびわこ市は道州に属さない。道州と同じ権限と財源を持つ基礎自治体という位置づけだ。市内には「惣」と呼ぶ「市民自治体」を置く。昔の寄り合いのような自治組織だ。子育てや介護、保育所や幼稚園、小中学校の運営、消防や防災など身近な公共サービスは惣が担う。惣ができないサービスはびわこ市が担う。
 惣の大きさや組織、運営、担うサービスなどは、住民の選択によって地域に応じた多様な姿を認める。」
 「びわこ市」構想の詳細は、次のウェブサイトを御覧ください。
 http://shigachoucho.hp.infoseek.co.jp/kenkyu.html 
 ちょこっと見聞きしただけで、こんなことを書くのは失礼かもしれませんが、方法は異なりますが、目指す方向は同じように思います。
 「小さくても輝く自治体」も「びわこ市」も共感する部分がたくさんあります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:30 | 政策法務 | コメント (2) | -

反則法制とは?

 反則法制とは、おおさか政策法務研究会のHPの管理人のたわごとをつづったブログです。しょぼい市のしょぼい職員がほざくたわごと(2009年4月16日付け記事参照)程度の認識で書いてきたものですので、「自治体法務の備忘録」の記事「洋々亭フォーラム」の投稿(Gさんの回答のとおりです。okayさんほか御迷惑をおかけしますが、御寛容ください。)には、正直、恐縮してしまいました。慌てて近隣市から「自治体法務NAVI」(第一法規)最新号を取り寄せ、読ませていただきました。
 こうした声を励みにして頑張らないといけませんね。
 ところで、政策法務に興味がある方、おおさか政策法務研究会へ入って一緒に勉強してみませんか。おおさか政策法務研究会のHPは、こちらです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:59 | 政策法務 | コメント (2) | -

第16回自治体法務合同研究会

 第16回自治体法務合同研究会が、7月17日(土)から19日(月)まで、北海道札幌市(札幌エルプラザ)で開催されます。
 18日(日)の午後からは、基調講演(「地域主権論議のもとの大都市の市民自治−自治基本条例の制度・運用」木佐茂男氏(九州大学))及びシンポジウム(「市民自治の過去・現在・未来−自治基本条例の制度と運用」)が一般公開(参加費無料)されますので、興味のある方は、こちらのHPを御覧ください。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:56 | 政策法務 | コメント (0) | -

企業誘致条例・その後の後

 地方税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第4号)が平成22年3月31日に公布され、一部の規定を除き、本日、4月1日から施行されています。
 その中で、小売販売業者に係る市町村たばこ税額として卸売販売業者等から市町村に納付された市町村たばこ税額等を条件とする当該小売販売業者に対する当該市町村からの補助金等の交付又は貸付金の貸付けが禁止されることになりました(第485条の14)。
 このことに伴い、企業誘致条例の一部を改正する条例を3月31日付けで専決処分しました。
 結局、こういうオチになりましたが、まがいなりにも法規事務に携わる者として、こんな条例を制定させてしまったことを恥ずかしく思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:17 | 政策法務 | コメント (2) | -

第42回定例会

 おおさか政策法務研究会第42回定例会が、1月6日(水)にマッセおおさかで開催されました。
 シリーズ「政策法務関係裁判例を読むW」では、「上尾市福祉会館使用不許可取消事件最高裁判決(平成8年3月15日最二小判決・民集第50巻第3号549頁)」について、ラフな報告をさせていただきました。この裁判例は、集会の自由(憲法第21条)と公の施設の使用許可(地方自治法第244条)がテーマになっていますが、「泉佐野市市民会館使用不許可損害賠償請求事件最高裁判決(平成7年3月7日最三小判決・民集第49巻3号687頁)」と比較すると理解しやすいと思います。この二つの事件の結果が異なったポイントは、集会の自由の保障と公共の福祉との比較衡量、そして、差し迫った具体的な危険性でしょう。ただし、泉佐野市の事件は、極めてレアなケースであると考えるべきであって、園部逸夫裁判官の補足意見は、傾聴しなければならないと思います。
 定例会終了後、特別参加していただいた関西学院大学法科大学院教授の曽和俊文先生から「反則法制、面白いですね」と言っていただきました。ありがとうございます。改めて、お礼申し上げます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:12 | 政策法務 | コメント (0) | -

新年

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 昨年の最大の話題は、第15回自治体法務合同研究会おおさか大会の開催でした。1年前、バタバタと準備していたのが随分と昔のことのように感じます。そして、今年の全国大会は、北海道で開催されます。また、1月6日(水)にはおおさか政策法務研究会第42回定例会が、1月16日(土)には第9回関西自治体法務研究会が開催されます。
 全国で頑張っている仲間がいるということが、自分の仕事の支えになっています。今年もボチボチとやっていきましょう。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 16:29 | 政策法務 | コメント (0) | -

企業誘致条例・その後

 「大阪府泉佐野市が今年度、自動販売機1台から、販売実態を大きく上回る約15億円のたばこ税収を得ることがわかった。市によると、自販機を設置した同府豊中市の小売業者が、近畿各地の販売分を泉佐野市で売れたように書類を操作して、納税先を同市に集中させていた。市は増収策として容認した上で、納税の見返りに小売業者に奨励金1億5000万円を支払うという。総務省は「実際に販売された自治体に納税されるべきで、実態を把握したい」と疑問視している。
 市によると、小売業者は昨年10月、同市内に自販機を設置。各地で販売したたばこを、この自販機で売ったように装った書類を日本たばこ産業(JT)などに提出していた。2007年度に約8億円だった市のたばこ税収の総額は、08年度に約15億円に増え、今年度は約23億円に上る見通し。
 市は、納税額に応じて奨励金を支給する企業誘致条例に基づき、小売業者に08年度に6000万円を支払い、今年度も1億5000万円を支払う予定。
 04年末頃、小売業者側から税収を増やす方法として打診されたといい、新田谷修司市長は「多額の借金を抱える市の税収確保策の一つ。何ら問題はないと考えている」と説明する。
地方税法では、JTなどが、販売された場所の自治体に納税すると規定。総務省市町村税課は「納税を意図的に集中させているのなら、地方税法上、好ましくない」としている」(11月2日付け読売新聞朝刊)。
 この件について、何人かの方から御質問をいただいたのですが、既に記事にしていますので、こちら(「企業誘致条例(前編)2007年11月19日(後編)同年12月5日」を御覧になってください。
 自分にとって、いろんな意味で忘れられない条例の一つです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:16 | 政策法務 | コメント (0) | -

目標規定

 一般的に、法規担当者は、いわゆる理念条例を制定することを歓迎しません。その理由は、条例には法的強要性が必要であると考えている方が多いからではないでしょうか。自分もまた、大層な目的規定を置いた「〜しましょう」的な規定が羅列された条例を制定することには、大きな抵抗があります。
 理念条例を突き詰めると、道徳や習俗又は模範となる日常生活まで条例にするのかという疑問があります。そして、その条文は、極めて抽象的に規定されています。条例には法的強要性が必要である以上、その条文は、できるだけ具体的に規定されるべきではないかと考えています。
 抽象的な理念条例を実効性のあるものにするためにはどうするべきか。夏期休暇を取った日に思い付いたのが目標規定です。
 最近では、法律や条例の附則に「見直し条項」や「検討条項」といわれる規定が置かれることがあります。法律や条例の制定時に積み残した課題や将来の状況の変化に合わせて、適切な対応をとることを確保するために設けられる規定です。
 理念条例を制定する際には、この見直し条項と合わせて、必ず、一定の目標値を定めた目標規定を規定することとしたらどうかと考えました。目標値の設定には、理念条例ごとに検討が必要でしょうが、目標値を検討するだけでも、理念条例が単なる理念(又は単なる理念条例のコピー)では終わらないように思うのですが、どうでしょうか。
 なお、最後にお断りしておきますが、すべての理念条例を一律に否定するつもりはありません。理念条例につきましては、また機会があれば記事にしたいと思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:35 | 政策法務 | コメント (0) | -

第15回自治体法務合同研究会おおさか大会終了

 第15回自治体法務合同研究会おおさか大会が終了しました。
 正直言って、無事に終わってホッとしています。ホンマにお疲れ様でした。
 全国からお集まりいただいたみなさん、おおさか大会は、いかがでしたか。個人的には、いい大会だったと思っています。
 来年は、北海道でお会いしましょう。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 08:13 | 政策法務 | コメント (0) | -

第15回自治体法務合同研究会おおさか大会前夜

 いよいよ明日です。
 ………
 いざ鎌倉!
 やのうて、いざ尼崎!!

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:51 | 政策法務 | コメント (0) | -

第15回自治体法務合同研究会おおさか大会第7回実行委員会

 第15回自治体法務合同研究会おおさか大会が、7月18日(土)、19日(日)に尼崎市中小企業センターで開催されます。
 明日は、会場の尼崎市中小企業センターで最後の実行委員会(第7回)です。一年近くにわたって準備を進めてきましたが、本番まであと一週間となりました。
 充実した大会になるよう、もう一踏ん張りです。
 なお、開催要領(公開部分)は、次のとおりです。

第15回 自治体法務合同研究会おおさか大会開催要領
1 開催テーマ
 「地方分権改革と自治体法務 −いままでの10年、これからの10年−」
2 趣 旨
  第15回自治体法務合同研究会おおさか大会は、地方分権一括法が制定された1999年7月から10 年の節目となる年に開催される。そこで、本大会では、この10年間における自治体法務・政策法務の 取組みを評価し、その課題をとらえ、今後の自治体法務、とりわけ政策法務の実践的な課題と展望を 探る。
3 日 時
 平成21年7月18日(土)13時〜7月19日(日)20時
4 場 所
 尼崎市中小企業センター(最寄り駅 阪神電車尼崎駅)
5 日 程
 1日目<7月18日(土)>
  12:00〜13:00 受付
  13:00〜13:15 開会
  13:15〜14:15 全体会I・基調講演(公開)
  「地方分権改革と自治体法務 −いままでの10年、これからの10年−」
   京都大学大学院法学研究科教授  高 木  光 氏
  14:15〜14:30 休憩
  14:30〜16:30 全体会I・シンポジウム(公開)
  「地方分権改革で自治体はどう変わったか? 〜政策法務が果たした役割」
   コーディネーター
   上智大学法学部・法科大学院教授  北 村 喜 宣 氏
   パネリスト
   元寝屋川市企画財政部長  荒 川 俊 雄 氏
   自治基本条例みたか市民の会  中 嶌 い づ み 氏
   京都大学大学院法学研究科教授  高 木  光 氏
  【趣旨】
 地方分権一括法が制定されてこの10年で、自治体はどう変わったか、そして、今後どう変わらなければならないか、市民の立場、自治体職員の立場、研究者の立場等々、それぞれの立場から思うところを述べていただき、政策法務のあり方を考えていく。

【主催】 第15回自治体法務合同研究会実行委員会(おおさか政策法務研究会)
【共催】 公開される全体会I のみ
     財団法人大阪府市町村振興協会 おおさか市町村職員研修研究センター
【後援】 自治体学会

<注意>
 このほか、メンバー限定の非公開による分科会報告とシンポジウム、懇親会等が開催されます。これら分科会等への一般参加は不可です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:51 | 政策法務 | コメント (0) | -

政策法務研修

 「法律による行政の原理 行政は、法律に基づき、法律に従って行われなければならないとする原理をいう。行政権による干渉から国民の市民的自由を守るために、行政の行使を法の拘束のもとに置こうとする法治主義原理の行政領域における具体的展開であり、すべての行政を貫く基本原理である」(「新行政法辞典」園部逸夫・大森政輔編/ぎょうせい)。
 本市はというと、長年のカンと経験による行政が行使されています。長年のカンと経験といっても、蓄積されたマニュアルによるものではありませんので、その場の雰囲気で思い付きと自己都合による行政が行使されていると言った方が正確なのかもしれません。
 そんな中、5月26日(火)に庁内で初めての政策法務研修を実施しました。きっかけは、滋賀県市町村職員研修センターからの政策法務研修の講師依頼に対する「よその職員に教えに行くんやったら、ウチの職員に教えちゃってくれや」という総務部長の一言でしたが、第15回自治体法務合同研究会おおさか大会の宣伝も兼ねてやってみました。
 研修受講報告書を読ませてもらいましたが、うーん……という感じです。特に、槍魔栗三助そっくりさんのM君、「○○に関する講師の考え方がよく理解できた」て、そんなことは一言も言うとらんど。まあ、ほとんどが面白かった(何が面白かったかはともかくとして)と書いてありましたので、良しというところでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 10:39 | 政策法務 | コメント (0) | -

○○条例がありますか?

 たまに、市民等から「○○条例がありますか?」という質問をいただくことがあります。こういう場合、「○○条例という題名の条例はありませんが、どのようなことを定めた条例のことでしょうか?」と聞くようにしています。
 例えば「環境美化条例がありますか?」と聞かれても、それが「まちを美しくしましょう」というような理念のみを定めたものなのか、いわゆる「ポイ捨て禁止条例」なのかが分からないからです。また、たばこ、空き缶等のポイ捨てを禁止する規定があったとしても、違反行為に対する罰則の適用があるものとないものとでは、大きな違いがあります。
 そういう意味で、「季刊自治と分権 第30号(2008冬号)」(自治労連・地方自治問題研究機構)の特集「住民投票の制度化はどこまで進んでいるか」(上田道明・藤島光雄・稲野文雄)で示された住民投票条例の分類は、非常に面白いです。
 まず、「個別の争点に対応して設けられた住民投票条例」を「個別型」に、「実施対象を特定の個別争点に限定しない」ものを「非個別型」に分類します。そして、「非個別型」を「住民投票に関する何らかの制度を「常設」しているかどうか、ではなく、住民からの請求が成立した場合には議会の議決を要することなく投票を実施できるかどうか」という点に着目し、「住民からの請求用件が充たされた場合に議会の議決を要することなく住民投票の実施が義務付けられ」、「請求から投票結果の取り扱いまでの一連の手続きとそれに伴う資格要件が整っている」ものを「義務型」とし、これら両方又はいずれかの特徴を欠くものを「非義務型」として分類しています。さらに、「義務型」を複数の条例で住民投票制度が構成されているものと単一の条例で構成されているものとで「複合型」と「単体型」とに分類し、また、「非義務型」を請求や投開票に関する規定の有無で二つのタイプに分類し、さらに、その要件が地方自治法の直接請求制度に準拠しているものと独自に要件を設定しているものとに分類しています。
 同著では「非義務型」を誤解していた市民が住民投票を「請求すれば出来るものと思」い、署名を集めて請求した結果、議会で否決されたというくだりがありますが、考えさせられます。「非義務型」の住民投票条例を制定している市町村で、市民から「住民投票条例がありますか?」と聞かれた場合、何と答えますか?

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:25 | 政策法務 | コメント (0) | -

書評というか読書感想文2

 読書感想文第二弾は、「自治体職員のための政策法務入門3福祉課の巻 保育所民営化が住民の大反対にあったとき」(出石稔監修/杉山富昭著/第一法規)です。
 構成は「総務課の巻」と同様ですが、こちらは、架空の海辺野市福祉課(部)を舞台に物語が進行していきます。
 児童、高齢者、障害者、生活保護から介護保険まで、18のエピソードにまとめられていますが、市町村の福祉の現場を熟知した筆者ならではの記述が実に面白いです。
 一般的に、福祉課(部)は、仕事に対するモチベーションが低いと言われています。本市も例外ではありませんが、日々、現場での対応に追われている福祉課(部)の職員にこそ読んでもらいたいと思う一冊です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:41 | 政策法務 | コメント (0) | -

書評というか読書感想文1

 「自治体職員のための政策法務入門1総務課の巻 自治基本条例をつくることになったけれど」(出石稔監修/提中富和・藤島光雄著/第一法規)を読みました。
 おおさか政策法務研究会のメンバーも執筆に関わったということで、書評というか読後の感想を書いてみます。
 はっきり言って、面白いです。架空のあしのべ市総務課の物語として話が進行していきますが、自治体の第一線で活躍している職員が書いたものである(でないと書けない)ということがひしひしと伝わってきます。それでいて、政策法務的な視点が随所にちりばめられていますので、総務課に配属された人から政策法務に興味のある人までオススメの一冊です。
 また、本書は20のエピソードから成っていますが、エピソードごとに付されたワンポイント解説が絶妙です。つい、一気に読み飛ばしてしまいそうになるところを、ワンポイント解説が問題点を整理し、じっくりと考えさせてくれます。
 いくつかのエピソードには、個人的に思うところ、また考えたところもありますので、機会があれば、反則法制でも取り上げてみたいと思います。
 明日からの五連休、一日ぐらい本を読むというのもどうでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:24 | 政策法務 | コメント (0) | -

行進及び集団示威運動に関する条例(後編)

 市警察の廃止に伴う経過措置として、大阪府が別に条例を制定するまでの間、暫定施行された行進及び集団示威運動に関する条例は、半世紀を経た今も現に存在し、その効力を有しています。
 戦後、治安警察法が廃止され、集会やデモ行進を取り締まる必要から、この条例が制定されたのでしょうが、自治体警察の廃止後、なぜこのような状態で残されたのかは、よく分かりません。おそらくは、政治的な理由によるものでしょう。その結果、例えばデモ行進をするのに、公安委員会の許可が、A市とC市では必要で、B市とD市では不要という状態が発生しています。さらに、市町村合併があった市によっては、同じ市内でも、旧a市域内では必要で、旧b市域内では不要という状態が発生することになります。
 平成2年5月22日付け毎日新聞に「市公安条例をみつめて」と題されたコラムが掲載されています。そこには、「「取り締まり当局の考えに無理があるのでは」と、当時の私は検察庁の公安担当者に疑問をぶつけた。
 その答弁をまとめると警察法の改正に伴う経過措置として、政令で府公安委員会が市公安委員会の仕事を引き継いでいる。広島県のように都道府県の公安条例ができたら、その時点で市公安条例は消える。それまでの間は有効だという。
 この説明には多くの矛盾があった。たとえば府公安委員会が不許可にしたとき市議会に報告する解釈になる(現実にそう運用されている)が、全く意味を持たないということだった」と書かれています。しかし、本市では、行進及び集団示威運動に関する条例第4条第2項に規定する報告を市議会に行ったことはありませんし、他市で、このような報告を行ったというのを聞いたこともありません。半世紀もの間、不許可の事例がないのでしょうか?
 このコラムには、「今は退官したその検事も「十年もたてば市町村の合併も進み(この条例の有無効を争う議論が)厳しくなりそうですね」と示唆してくれたのだった」とも書かれています。しかし、平成の大合併のさなかに、この条例の有無効を争う議論が厳しくはなりませんでした(ただし、米子市のように合併の際の暫定施行(地方自治法施行令第3条)が問題になったケースもあります。市町村の事務ではない条例を暫定施行することは、大いに疑問があります。)。
 行進及び集団示威運動に関する条例は、できる限り速やかに廃止するべきだと考えています。その上で必要があるならば、都道府県が条例を制定すればよいだけのことです。
 以前、本市では、地方分権一括法が施行される際、関係例規の整理に行進及び集団示威運動に関する条例もリストアップしました。そして、「大阪府において、行進及び集団示威運動に関する条例を制定する予定はあるのか。ないのであるならば、本市において、同条例を廃止することとしてよいか」という質問状を出しました。結果は、何か月も経った日、助役に呼ばれ、「何やお前、警察にけんか売ったんか。わしは、よう分からんのやけど、条例の廃止はまかりならんど。やめとけ」と言われました。
 前掲のコラムにはサブタイトルとして「経過措置が無限に続くのか」とありますが、このままでは、無限に続く可能性が高いように思われます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 15:36 | 政策法務 | コメント (0) | -

行進及び集団示威運動に関する条例(前編)

 本市には、行進及び集団示威運動に関する条例があります。行進及び集団示威運動に関する条例、いわゆる公安条例というと、徳島市公安条例事件最高裁判決を思い起こす方も多いのではないでしょうか。しかし、この判決を基にして、条例制定権の限界について高尚な意見を展開するつもりもそんな能力もありません。ここでは、この条例の持つ問題点についてのたわごとにお付き合いください。
 行進及び集団示威運動に関する条例の全文は、次のとおりです。
   行進及び集団示威運動に関する条例
                                                   昭和24年5月12日
                                                  ○○○市条例第22号
第1条 行進又は集団示威運動で街路を行進し又は占拠することにより街路を使用する他人の個人的
 権利を排除し、若しくは妨害するに至るべきものは公安委員会の許可を受けないで行ってはならない。
第2条 前条の許可申請は主催者たる個人又は団体の代表者から前条の行進又は集団示威運動の開
 始時刻の72時間前までに公安委員会に対し文書でしなければならない。
第3条 前条の申請書には次に掲げる事項を記載しなければならない。
 (1) 行進又は集団示威運動の日時
 (2) 主催者及び参加全団体の氏名又は名称及び住所又は事務所の所在地
 (3) 行進の経路又は集団示威運動の場所
 (4) 参加予定人員数
 (5) 行進又は集団示威運動の目的及び性質
第4条 公安委員会は、第2条の規定による申請があったときは行進又は集団示威運動が公安に差迫
 った危険を及ぼすことが明らかである場合の外は許可しなければならない。
  前項の場合において許可をしないときは公安委員会は詳細な経緯及び理由を附けてその旨を速や
 かに市議会に報告しなければならない。
  公安委員会は第1項の許可をする場合において集団的無秩序又は群衆による暴力行為に対し一般
 公衆を保護するために適当な条件を附けることができる。
第5条 第1条の規定に違反して行われた行進又は集団示威運動を計画し若しくはこれに参加した者又
 は第3条に規定する申請書に虚偽の事項を記載した者及び前条第3項の規定に基き公安委員会が附
 した条件に従わないものは1年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処す。
  前項の刑は併科することができる。
第6条 この条例は第1条に定める行進又は集団示威運動以外の公の集会を催す権利を禁止し若しく
 は制限し又は公の集会、政治運動若しくはプラカード出版物その他の文書図画等を監督し若しくは検
 閲する権限を公安委員会警察吏員若しくはその職員又はその他の市吏員若しくはその職員に与えよ
 うとするものではない。
第7条 この条例は公務員の選挙に関する法律に矛盾し又は選挙運動中に於ける政治集会若しくは演
 説の事前届出を必要ならしめるものではない。
   付 則
 この条例は、公布の日から施行する。

 見出しのないところや項番号が付されていないところに時代を感じますが、この条例は、昭和29年に警察法が全部改正されたことによって市町村が有していた自治体警察が廃止された際に廃止されるべきものでした。
 ところが、廃止されませんでした。正確には、市警察廃止に伴う関係条例の整理についての条例により、11条例が廃止(6条例が改正)されたのですが、行進及び集団示威運動に関する条例の廃止については、大阪府が定める当該事項についての条例施行の日から施行するとされました。そして50年以上経った現在も、大阪府が定める当該事項についての条例は、施行されていません。
 また、警察法施行令第19項にも警察の事務に関する市町村条例の経過措置として、「法の施行の際自治体警察を維持していた市(指定市を除く。以下本項中同じ。)町村の条例で現に効力を有するものの規定により当該自治体警察の機関又は職員の事務として定められていた事項は、当該市町村又は当該市町村を包括する都道府県が条例で別に定をするまでの間、当該市町村を包括する都道府県の都道府県警察の機関又は職員の事務として当該都道府県警察の機関又は職員が処理するものとする」と規定されています。
 なお、行進及び集団示威運動に関する条例が存在する市町村は、全国で35市(うち大阪府では13市)あるそうです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:21 | 政策法務 | コメント (2) | -

プロジェクトX

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 HPの連絡事項にも掲載したのですが、第15回自治体法務合同研究会は、おおさか大会として7月18日(土)・19日(日)と兵庫県尼崎市で開催されます。「大阪府」でもなく、「大阪市」でもない「おおさか」の大会です。
 開催テーマは、「地方分権改革と自治体法務 −いままでの10年、これからの10年−」です。今年は、地方分権一括法が施行され、10年目になります。そこで、この10年間における自治体法務・政策法務の取組を評価し、その課題をとらえ、今後の展望を見定めるというのが趣旨です。
 おおさか政策法務研究会にとって、数年に一度の大プロジェクトが動き出しています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:23 | 政策法務 | コメント (0) | -

気になった記事

 またまたまた、10月27日(月)・28日(火)と滋賀県市町村職員研修センターで政策法務研修の講師をさせていただきました。Tさん(昨年お世話になったTさんとは別人)を始め、事務局の方には色々とお世話になりました。ありがとうございました。
 政策法務といえば、「ガバナンス平成20年10月号」(ぎょうせい)62ページのコラムに気になる記事が掲載されていました。
 「地方分権改革の残された課題の一つに、「法令による義務付け、枠付け等の緩和」が挙げられている。これは、税財源の移譲とともに、自治体の自由度を高めるために不可欠なものである。
 ……(略)……
 自治体の自治立法能力の現状を踏まえれば、法令で標準的な規定を置くことは必要だろう。しかし、地域固有の事情を踏まえ、自主的に制度設計をしようという意欲のある自治体にまで、法令の規定で縛っていいとは思えない。
 そこで、法令の規律密度を低下させるための一つの方法を提案したい。次のような規定を地方自治法に置けば、法令の規定が自治体の事務を規律していても、当該規定の適用を排除することができ、自治体の自由度が格段に高まるのではないかと思う。
「法令の規定により地方公共団体又はその機関が処理することとされている事務について条例に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。」
 法令の規律密度を低下させるための極めて簡易な法律改正案だと思うが、いかがであろうか。」
 他の法律との関係等はさておき、非常に魅力的な規定だと思います。しかし、こうした魅力的な規定は、地方公共団体にとって、毒にも薬にもなる可能性があります。本市について考えてみると、5歳児に拳銃を与えるような状態にならないかと心配です。
 なお、このコラムの筆者は、おおさか政策法務研究会が自治体法務合同研究会に参加するきっかけを作っていただいた人です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:55 | 政策法務 | コメント (0) | -

第14回自治体法務合同研究会北九州大会

 7月12日(土)、13日(日)と北九州市で第14回自治体法務合同研究会が開催されています。
 今回、参加がかないませんでしたが、おおさか政策法務研究会からは10名が参加しています。土産話が楽しみです。
 開催要項を見ると、今ちょうど、公開基調講演が始まった頃です。熱い二日間になることと思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 13:16 | 政策法務 | コメント (0) | -

第7回関西自治体法務研究会

 第7回関西自治体法務研究会を5月24日(土)午後1時から豊中市のとよなか男女共同参画推進センターすてっぷで開催しました。報告テーマは、「住民訴訟に学ぶべきこと」及び「住民投票条例の新展開」です。
 内容につきましては、マッセOSAKAの平成19年度共同研究報告書「事例から学ぶ住民訴訟」(財団法人大阪府市町村振興協会・おおさか市町村職員研修研究センター)及び「季刊自治と分権 第30号(2008冬号)」(自治労連・地方自治問題研究機構)の特集「住民投票の制度化はどこまで進んでいるか」を御覧ください。
 参加されたみなさん、いかがでしたか?

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:50 | 政策法務 | コメント (0) | -

砂丘条例(仮称)

 4月9日付け読売新聞夕刊によると、鳥取県は、国の天然記念物に指定されている鳥取砂丘で巨大な落書きが相次ぎ、景観を損ねている問題を受け、「砂丘への落書きを禁止する罰則付きの「砂丘条例(仮称)」を早ければ今年9月にも策定する方針を固めた」そうです。
 筋違いですが、つい、明治43年の大審院判例の「文書トハ文字又ハ之ニ代ルヘキ符号ヲ用ヒ、永続スヘキ状態ニ於テ或ル物体ノ上ニ記載シタル意思表示ヲ云フ」を思い出してしまいました。砂上に描かれたものが落書きと言えるのかと思い、大辞林(三省堂)を引いてみると、落書きとは「壁・塀など、本来書くべきでないところにいたずら書きをすること。また、その字や絵」とありました。
 同紙には、「県によると、砂丘に描かれた抽象的な絵などが広告物にあたるかどうかの判断は難しく、自然公園法による規制には限界があった。このため、県は砂丘への落書き全般を禁止する罰則付きの条例を新たに作る方針を固めた」とあります。条例は万能ではないのですが、どのような条例が出来上がるのか楽しみです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:30 | 政策法務 | コメント (0) | -

多選自粛条例

 一般的に、理念条例の制定に積極的な法規担当者は少ないと思われます。自分も実効性のない条例は、制定する意味がないと考えています。ただし、一律にすべての理念条例を否定するつもりはありません。理念条例を制定される地方公共団体は、それぞれに考えがあって自治立法権を行使しているわけですから、それを部外者である自分が批判するつもりもありません。また、熟考の末に制定された理念条例には、輝きを感じるものさえあります。
 市議会3月定例会に市長の在任期間に関する条例(多選自粛条例)が提案されています。流行モノの条例で、意味はわからんが何となくカッコええから選挙公約に「○○条例を制定します」と掲げ、何の検討もせずに先進市の条例をパクり、単純に「A市」を「B市」に置き換えただけの条例には、まったく意味が見いだせません。このような条例が「清新で活力ある市政運営を確保することを目的とする」とは考えられませんでしたので、目的規定を置かず、在任期間についてのみ規定した1項建ての本則としました。
 なお、多選自粛条例の考察については、拙ホームページの論文集「多選自粛条例の論点」を御覧ください。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:01 | 政策法務 | コメント (2) | -

企業誘致条例(後編)

 市町村たばこ税都道府県交付金制度は、逆に、交付基準(3倍)までならば構わないとの都合のよい解釈を一部の市町村がするところとなり、改めてたばこの卸売販売業者等の誘致が起こってきています。
 たばこ消費税の収入を得るため、製造たばこ小売人の営業所を町内に誘致し、補助金を交付したのは違法であるとの判決(昭和43年12月26日名古屋地裁判決)があることから、新たに制定された企業誘致条例を見てみると、産業の振興や雇用の創出を図ることを目的として、たばこの卸売販売業者等のみならず、幅広く一定の基準に該当する新規事業者の誘致を図ることとされています。このことによって、同判決で違法とされた補助金の交付とは目的を異にし、産業の振興や経済の活性化等において公益性があると解していると思われます。しかし、実際は、初めからたばこの卸売販売業者等を対象とし、それをごまかすために条例が制定されているように見受けられます。当該条例は明らかに不自然な規定になっていますので、法律又は法制執務の知識のある方ならば、御理解いただけると思います。
 なお、同判決では、「甲町のたばこ消費税収入が増加し、財政が豊かになるから乙被告の営業を助成するための補助金交付は公益のためになされた支出であるというけれども、前記232条の2にいう「公益上必要」とはたんに当該公共団体の収入の増加に役立つということではなく、住民全体の福祉に対する寄与貢献と解すべきものであるし、本件における町税収入の増加は直接には日本専売公社のたばこ消費税納付によるものであって、被告乙は自らの営利のために努力しているだけのことにすぎない。また、その業態も補助金を支出して助成しなければならないほど公共性の高いものでもない。…(略)…被告乙の営業所を甲町の区域内にいざなうのでない限り、みすみす他市町村に巨額の財源を奪われるということをいわんとするのであれば、本件奨励金の支出は収入増加をはかる手段としてすら正道を外れたものと評さざるを得ない」とされています。
 このような企業誘致条例は、市町村たばこ税という制度の抜け穴を利用したものであり、法律上問題があるだけでなく、他の地方公共団体の犠牲の上に成り立つ性格のものであって、極めて不適切なものです。いやしくも地方公共団体がとるべき手段ではありません。
 市議会12月定例会に企業誘致条例が提案されています。文書法規を担当するようになって初めて法規審査を拒否した条例です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:17 | 政策法務 | コメント (0) | -

びわこ自治体法務研究会設立

 明日12月1日、びわこ自治体法務研究会の創立記念講演会&懇談会が大津市ふれあいプラザ・ホールで13時30分から開催されます。おおさか政策法務研究会HPの管理人である自分としては、万難を排して参加しなければならないところですが、残念ながら、明日、明後日と職場の親睦旅行のため参加できません。Dさん、Oさん、Sさん、Fさん、Tさん等々、すみません。
 旅先で温泉につかりながら、大会の成功と研究会の発展を願っています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:25 | 政策法務 | コメント (0) | -

企業誘致条例(前編)

 一般的に、企業誘致条例とは、一定の基準に該当する企業を誘致することによって産業の振興や雇用の創出を図ることを目的とし、誘致企業に対して、税条例や企業誘致条例等に基づき、事業税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等を、一定期間、課税免除や不均一課税により減じるというものです。地方公共団体が企業を誘致するための方法として、こうした条例を制定する場合には、当然のことながら、公益性(地方税法第6条)について慎重に検討しなければなりません。
 しかし、こうした企業誘致条例を利用して、たばこの卸売販売業者等の営業所を市町村内に誘致し、市町村たばこ税をかすめ取る方法があります。
 市町村たばこ税は、卸売販売業者等が小売店に売り渡した製造たばこの本数を課税標準として、当該小売店の所在する市町村へ卸売販売業者等が申告納税する制度です。基本的には、たばこの消費地とたばこ税の収入地は同じになるものと考えられますが、卸売販売業者等が小売店以外の者(例えば、パチンコ店の景品を扱う供給業者等)に大量に売り渡した場合には、卸売販売業者等の営業所がその市町村にあることによって、実際の消費量を大幅に上回るたばこ税収入がその市町村に入ってくることになります。このたばこ税収入を得るために、例えば、売上高の何パーセントかを奨励金として交付することを内容とした条例を制定し、卸売販売業者等を当該市町村内に誘致するという方法です。
 このような奨励金の交付は、税金を一部の業者に還元するものであって、公益上認められるものではありません。また、この影響を他の地方公共団体が減収という形で受けてしまい、地方財政法第2条第1項の「他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない」という規定に違反する可能性が極めて高いと言わざるを得ません。
 こうした問題を是正するために、平成16年度に地方税制度が改正され、たばこ消費基礎人口一人当たりの市町村たばこ税収入が、全国平均の3倍を超えた市町村は、その超えた部分を翌年度、都道府県に交付するという市町村たばこ税都道府県交付金制度が創設されました。しかし、例えば、地方交付税の交付を受けていないことを前提として、本市が企業誘致条例を制定し、たばこの卸売販売業者等の営業所を本市内に誘致した場合をシュミレーションしてみると、全国平均の3倍という数字は、22億円になります。現行の市たばこ税収入が8億円ですので、14億円もの税収増になります。
 (本日のブログは、「自治大阪平成17年6月号」の「自治の窓」の「税条例について」を参考にさせていただきました。)

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:49 | 政策法務 | コメント (0) | -

第10回自治体法務合同研究会大阪大会報告書

 第10回自治体法務合同研究会大阪大会の報告書がようやく出来上がりました。
 平成16年7月30日・31日に開催されたものを今ごろという感もありますが、出来上がったことは素直に喜びたいです。
 なお、表紙に描かれているイラストは、参加した大阪府内の市のシンボルを表しています。


投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:25 | 政策法務 | コメント (0) | -

滋賀県市町村職員研修センター再び

 今年度も、10月29日・30日と滋賀県市町村職員研修センターへ政策法務研修の講師に行ってきました。
 この研修は、演習形式で実際に条例を立案・発表してもらうというものですが、研修テーマが「ポイ捨て禁止条例」ということで、少し難しかったかなと感じています。ちなみに昨年は、「放置自動車適正処理条例」でした。
 今回も、自分自身が良い勉強をさせていただきました。また、Tさんを始め、事務局の方には色々とお世話になりました。改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:48 | 政策法務 | コメント (0) | -

神奈川県知事多選禁止条例

 本市の現市長は、7年前に神のごとく権力を振るっていた前市長の多選(6期)を批判して当選しました。圧倒的不利と言われていた予想を覆しての当選は、大きな衝撃を与えました。
 これが民主主義だと思います。選挙というツールがあるのに、多選を禁止するために条例(法律)というツールを作る必要性はないのではないでしょうか。条例を制定するということは、色々な意味がありますが、多選禁止のためにあえて条例を制定しようという行為には、為政者の独善的なものを感じます。
 総務省は、神奈川県の多選禁止条例は、違法であるとしているようですが、修正案の地方自治法などの関係法令の改正が行われた後、改めて別に条例を制定して施行日を定めるという方法は、反則法制的には、素晴らしい落としどころだと思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 12:13 | 政策法務 | コメント (0) | -

広島市暴走族追放条例

 広島市暴走族追放条例の最高裁判決については、既にみなさん御存じのことと思います。この裁判は、暴力団の準構成員であって、「面倒見」と呼ばれる地位にある人物が被告人であるということにも興味深いものがありますが、市町村の法規担当者にとっては、次のように非常に厳しい意見が述べられています。
 「一般に条例については、法律と比較し、文言上の不明確性が見られることは稀ではない」(堀籠裁判官補足意見)
 「本条例の粗雑な規定の仕方が、単純に立法技術が稚拙であることに由来するものであるとの認識に立った場合に、初めて首肯されるものであって、法文の規定そのものから多数意見のような解釈を導くことには、少なくとも相当の無理がある」(藤田裁判官反対意見)
 条例というものは、こうした経験を踏まえて進化していくものでもあるのですが、判決文を読みながら、本市でも暴走族追放条例を制定せよと命令されていたらどうしただろうかと考えてしまいました。そもそも、このタイプの条例は、実効性を確保するためには都道府県で制定すべきものであると思っています。
 「たとえ裁判で敗訴することがあったとしても、条例づくりへの果敢な挑戦が条例論の発展に寄与するものであることを確信して、堂々と冒険をしましょう」(「自治体法務の最前線」提中富和著/イマジン出版)という意見には共感できるのですが、法規担当者としては、このような条例はできるだけ制定したくないというのが本音です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:31 | 政策法務 | コメント (0) | -

阪南8市4町法規事務担当者研究会

 今日、阪南8市4町法規事務担当者研究会が岸和田市のだんじり会館で開催されました。この研究会は、阪南地域の法規担当課の職員で構成され、年に4回、議会の定例会の前に各市町の持ち回りで開催しています。
 この研究会も設立から10年が経過しました(設立当時は、阪南8市法規事務担当者研究会)。設立当初のメンバーで残っているのは、今や自分を含めて3人になってしまい、研究会というより、担当者の意見交換会としての性格が強いです。
 現在、おおさか政策法務研究会に所属し、自治体合同法務研究会や関西自治体法務研究会に参加させていただき、様々な方と広くお付き合いさせていただいていますが、この始まりは、阪南8市4町法規事務担当者研究会にあります。この研究会がなければ、こんなブログを書くこともなかったと思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:49 | 政策法務 | コメント (0) | -

第13回自治体法務合同研究会大津大会

 7月14日(土)、15日(日)と第13回自治体法務合同研究会大津大会に行ってきました。今回も楽しい2日間でした。大会を主催されたさすらいグループのみなさん、そして全国(韓国及び台湾を含む。)から参加されたみなさん、ありがとうございました。
 おおさか政策法務研究会は、第8回の三重大会から参加させていただき、第10回は、大阪府豊中市で開催させていただきました。
 大津大会の感想を一言。今、滋賀が熱いです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 14:29 | 政策法務 | コメント (0) | -

関西自治体法務研究会

 6月2日(土)、第5回関西自治体法務研究会に行ってきました。
 今回の会場は大津市のピアザ淡海で、報告テーマは「生活保護行政過程と自治体法務」と「不法占用対策に関する法制度について」でした。「教示制度」と「行政代執行」について、改めて考えさせられました。非常に面白かったです。
 今回の研究会を主催された皆さん、ありがとうございました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:46 | 政策法務 | コメント (0) | -

法制評価システム

 昨日は、おおさか政策法務研究会の定例会でした。「法制評価システムの試み」をテーマに会員のIさんが研究発表をしました。なかなか面白かったです。実践すれば、リーディングケースとして全国から注目されるのではないかと思いました。
 例規を政策法務のPlan(制定)→Do(執行)→See(評価)のサイクルで検証してみると、See(評価)が一番機能していないように思います。機能していないからこそ、「条例の一斉点検を実施した。その結果、数十件の条例を廃止し、数百件の条例を改正した。」というようなことがニュースになるのではないでしょうか。そういえば、3月13日付け産経新聞の朝刊で駐留米軍の軽自動車税に関する条例が奈良市で廃止されたという記事がありました。本市においても、地方分権一括法の施行の際や例規のデジタル化などに伴い、その都度、例規の見直しを実施していますが、まだまだ完全ではありません。実際、自分のノートには、今も30件弱の例規が改正が必要なものとしてリストアップされています。
 では、なぜ速やかに改正しないのかというと、原課の抵抗があるからです。そこには様々な理由があります。その抵抗を取り除く方法として、法制担当の側から定期的に例規を見直してやるのも一つの方法ではないでしょうか。実は、数年前から年度ごとに組織単位で例規の見直しを行おうとは考えているのですが、まだ実現には至っていません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:33 | 政策法務 | コメント (0) | -

滋賀県市町村職員研修センター

 1月18日・19日と滋賀県大津市のピアザ淡海で滋賀県市町村職員研修センター主催の政策法務研修の講師をしてきました。滋賀県市町村の係長級職員を対象に「政策法務能力の向上を図る」ということで、条例立案の演習を行いましたが、受講生の熱心さには感心しました。自分自身が良い勉強をさせていただきました。また、事務局には色々とお気遣いいただきました。改めてお礼申し上げます。ありがとうございました。
 政策法務の定義としては、「法を政策実現の手段としてとらえ、そのためにどのような立法や法執行が求められるかを検討しようとする、実務および理論における取組み」(「分権時代の政策法務」磯崎初仁著/北海道町村会)というのが一番理解しやすいでしょうか。政策法務論は、今や、地方公共団体を取り巻く様々な法理論の中でも、最も勢いのあるものだと思います。しかし、一方で、政策法務に対しては、法的強要性や法治主義の観点からの批判もあります。自分もそうした批判に賛成する一人です。また、自分は、古いタイプの法規担当者ですので、政策法務の持つ怖さを感じ、苦手にしています。
 では、なぜ政策法務に興味を持っているのかと聞かれると、現在の多様化した住民ニーズに対する現行の法制度に限界を感じているからです。また、法規担当者ならば、誰もが感じていることだと思いますが、わからないことが多すぎるからです。こうした部分を解決する方法のひとつとして、政策法務に興味を持っています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:47 | 政策法務 | コメント (0) | -
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