個人情報保護研修

 昨日、ある市立病院で研修の講師をさせていただきました。テーマは、「病院における個人情報保護について」です。
 事務局の職員を対象に考えていたのですが、会場に入ってみると、参加者の大半が医師や看護師等の医療スタッフで、白衣が整然と並ぶ光景に緊張してしまいました。
 他市の個人情報保護条例は、当然、本市の個人情報保護条例とは違いますので、微妙に間違ったことを言っていないかと気になるところですが、研修終了後、いくつか質問をいただき、また、面白かったと言っていただいたことで、取りあえずホッとしています。
 他市で研修をさせていただくと、こちらも勉強になることが多いです。今回もいい勉強をさせていただきました。ありがとうございました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:14 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

GAP

ギャップ[1]  @すき間。間隙。A考え方や意見などの隔たり、また食い違い。
 「−を埋める」(「大辞林」三省堂)

 電子計算機の結合の制限は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律では規定されていませんが、個人情報保護条例では、ほとんどの市町村で次のように規定されています。
(電子計算機の結合の制限)
第○条 実施機関は、当該実施機関以外のものとの間において、個人情報を提供し、又は個人情報の
 提供を受けるため、通信回線その他の方法により電子計算機を結合してはならない。ただし、実施機
 関が、個人情報保護審査会の意見を聴いたうえで、公益上必要があり、かつ、個人情報の保護に関し
 必要な措置が講じられていると認めるときは、この限りでない。
 この規定の運用に関して、担当課との間に大きなギャップを感じています。
 電子計算機の外部結合は、原則禁止されています。これを解除するには、審査会の意見、公益上の必要性及び個人情報の保護措置が必要です。そのため、電子計算機の外部結合の禁止の例外について諮問された個人情報保護審査会では、公益上の必要性と個人情報の保護措置について審議することになります。ところが、ほとんどの担当課では、個人情報の保護措置さえ講じれば、審査会の承認を得られると考えているのです。事務の効率化などは、役所の都合です。それを公益上必要があると審査会に認めさせることは無理があります。その結果、答申が不承認となることもあります。
 電子計算機の外部結合は、原則禁止されているということを、改めて周知する必要があると感じています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 23:13 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

続・情報公開・個人情報保護審査会の委員

 本市の情報公開審査会及び個人情報保護審査会の委員は、識見を有する者から任命します。現在の委員の内訳は、大学教授3人、弁護士2人です。しょぼい市ですから、今回も探すのに苦労しました。A大学の先生に断られ、B大学の先生に断られ、C大学の先生に断られ、いろんなツテを探してやっと委嘱にこぎつけたと思ったら、次は、会長の選任に難儀しました。
 そんな中、長崎県市町村行政振興協議会が統一的情報公開審査会支援事業・統一的個人情報保護審査会支援事業を実施していることを知りました。この事業は、市町村等の情報公開条例又は個人情報保護条例に基づき、市町村が行う情報公開審査会又は個人情報保護審査会を長崎県市町村行政振興協議会が統一的に協力実施するもので、審査会の開催日を統一したり、委員の選任を地区ごとに統一したりするものです。
 こういうの、大阪でもやってくれへんかなと思います。これから頭を悩ませると思われる改正された行政不服審査法の規定による附属機関等にも応用できるのではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 23:14 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

暴力団密接関係者非該当情報の開示

 1月も前の新聞記事ですが……
 「京都市が、市内在住の男性(62)が暴力団関係者か否かを京都府警に照会し、「該当しない」とする結果を男性に伝えていたことが分かった。府警は「捜査情報を本人に伝えるのは不適当」と反発し、市側は疑いが持たれる人物がそうではないと市民に示す必要があり、問題ない」と説明している。」(7月26日付け毎日新聞朝刊)
 いや、問題あるんちゃう。
 また、7月25日付けの読売新聞朝刊には、「市は、公共事業などの契約者が暴力団関係者か否かについて、契約解除など暴力団排除を目的に照会できる協定を府警との間で12年に交わしており、市教委が契約後の今年5月15日、男性について府警に照会。翌16日、府警から「該当しない」との回答を得た。
 ところが同日、市教委は照会結果を男性に口頭で伝達。男性はその3日後、市の個人情報保護条例に基づいて照会結果を書面で出すよう開示請求し、市教委は6月13日に開示した」とあります。
 そもそも、何で口頭で言うねん。
 一般的に捜査情報は、行政協力関係情報か公共の安全等に関する情報として、非公開か存否応答拒否やと思うねんけどな。よう分からんが、何か、裏がありそうやな。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 23:59 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

本音

 先日、本市の職員が応対中の市民に殴られてけがをするという事件がありました。
 最近、暴力を振るう市民は少なくなってきましたが、逆に増えてきたのが、粘着質なクレーマーです。そういうクレーマーから、恫喝するような口調で「情報公開しちゃろか」と言われたことがありませんか?
 正直に言って、情報公開請求は、痛くもかゆくもありません。面倒な仕事が少々増えるだけで、恫喝にはなり得ません。しかし、その後の公開決定等に対する不服申立ては、痛いです。あの膨大な事務量は、十分に恫喝の対象になります。これは、本音です。
 2013年6月3日の記事で情報公開制度の運営のコストを請求1件当たり3万円から7万円程度と紹介させていただきましたが、不服申立て1件当たりのコストて、いくらぐらいになるのでしょうね。ホンマに、手数料取れんもんやろか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 00:16 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

暴力団員検挙情報

 「逮捕した暴力団員の実名を、4道県警がホームページ(HP)で公開している。最初に始めた福岡県警のコーナーはアクセスが急増。警察が発表しても報道されないケースもあり、暴力団排除(暴排)を目指す企業が、取引先に組員らが入っていないかを確認するために活用しているようだ。
 公表しているのはほかに、北海道、岡山、山口。実名のほか、容疑の内容や逮捕日時も明らかにしている。掲載期間はいずれも1週間に限っている。
 福岡では、企業に組員の情報を活用してもらおうと、暴力団への利益供与を禁止する県暴排条例が施行された2010年4月に公表を始めた。公表にあたっては、弁護士や法学者などでつくる県の個人情報保護審議会で了解を得た。」 (3月27日付け朝日新聞朝刊)
 いわゆるミーガン法(性犯罪者情報公開法)の暴力団員バージョンでしょうか。HPには写真や身体的特徴等の記載がないとはいえ、生々しいです。
 個人情報保護審議会の了解を得たとありますが、おそらく、平成22年7月8日付け22個保審第3号と平成23年8月11日付け23個保審第1号の答申のことでしょう。個人情報の利用及び提供の制限や電子計算機の結合による提供の制限に関する例外事項に係る答申は、不服申立事案とは異なり、あっさりと書くことが多いのですが、これらの答申もあっさりとしていました。できれば、会議録を読みたいところです。
 最近、流行している氏名の公表は、制裁的公表と情報提供とに区分されます。この暴力団員検挙情報は、単なる情報提供ではなく、制裁的な意味合いがあると考えられます。制裁的公表は、罰則でも行政処分でもなく、事実上の不利益処分であると考えられていますが、こんなことして、ホンマにえーんやろか?

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:18 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

公知情報

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律を始め、ほとんどの地方公共団体の情報公開条例は、個人情報を「個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの」と規定しています。このような個人識別型の情報公開条例では、個人情報の例外的な公開事由が規定されていますが、「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」もその一つです。
 このうち、既に公にされている情報いわゆる公知情報については、非公開にする利益がないことから公開すべき個人情報であると考えられています。しかし、何をもって「公にされている」といえるのかについては、注意が必要です。例えば、地方税法第20条の2の規定による公示送達です。公示(告示)したことによって、その情報は、公知情報であるといえるのでしょうか。
 地方公共団体は、地方自治法第16条第4項の規定により、公告式条例を定めています。ほとんどの市町村は、この条例の規定に基づき、庁舎等に設置された掲示場に掲示することによって公示しています。一部の市町村では、公告式条例による公示をPDF化し、インターネットで公表しているところもありますが、その場合でも、公示送達などの個人情報については、公表に適さないものとして省略しているようです。
 「公にされ」とは、何人も知り得る状態におかれていることであると解されます。「公示」とは、行政機関が一定の事項を広く一般住民に知らせる行為であるとされていますが、庁舎等に設置された掲示場に2週間程度掲示されたことをもって、公知情報であるとは言い切れないように思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:42 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

定期テストの情報公開請求

 「全国の公立中学・高校の期末テストなど定期テストの問題と解答が、インターネットサイトで販売されていることがわかった。名古屋市の学習塾経営者が、情報公開制度を使って入手した。請求は昨秋以降、大都市を中心に44自治体に対して行われ、約2500校が対象となった。入手したテストの無断販売について専門家は著作権法違反の可能性を指摘している。」(2月14日付け朝日新聞朝刊)
 同記事中にある専門家の意見は、次のとおりです。
 「著作権法に詳しい福井健策弁護士は「公文書でも創作性が高ければ著作物になるため、無断利用は基本的に違法になる。無許可販売は、著作権法違反にあたる可能性が高い」と話す。」
 そうなんですか?ならば、条例や規則、地図や図面、広報、計画書、許可書等の類いに至るまで、ややこしいことになりそうですね。
 「販売目的の情報公開請求について、全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は、「試験問題も自治体が管理する一つの情報で、全く問題ない。商用目的であれ何であれ、公開請求に自治体は応じるべきだ」と話す。」
 自分もそう考えています。
 「東京都情報公開・個人情報保護審議会で会長を務めた堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)は「権利の乱用とまでは言えないが、行政の透明性をチェックするという情報公開の目的に反している」と指摘する。」
 本市では、ほぼ全ての情報公開請求が、「情報公開の目的に反している」と考えられますが、何か問題がありますか。
 なお、34面の関連記事によると、「請求に対し、愛知県は「問題を一部の子が手に入れれば、本来測るべき学力が測れない」と不開示を決定。神戸市も同様の理由で不開示とした」とありますので、非公開理由は、公開することによって支障が生じる行政執行情報ということでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:47 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

死者の個人情報

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律は、「個人情報」を生存する個人に関する情報に限っており、死者に関する情報を対象としていません。
 これは、「本法は、個人情報の取扱いに関連する個人の権利利益を保護することを目的とするものであるが、本人関与等により権利利益の保護を求めることができるのは生存する個人であることから、本法における「個人情報」の範囲を「生存する個人に関する情報」に限ったものである」と解されていることによります。そして、「死者に関する情報であっても、当該情報が遺族等の生存する個人に関する情報でもある場合(例えば、死者に関する情報である相続財産等に関する情報の中に遺族(相続人)の氏名の記載があるなど遺族を識別することができる場合において、当該情報は、死者に関する情報であると同時に、遺族に関する情報でもある。)には、生存する個人を本人とする個人情報として保護の対象になる」(「行政機関等個人情報保護法の解説」総務省行政管理局監修/社団法人行政情報システム研究所編集/ぎょうせい)と解されています。
 一方、地方公共団体の個人情報保護条例は、生存する個人に関する情報に限定し、死者に関する情報を対象としていないものもあれば、限定せず、死者に関する情報を対象としているものもあります。
 死者に関する情報を対象としていない地方公共団体では、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律と同様に、死者に関する情報のうち、請求者自身の個人情報でもあると考えられるものや社会通念上、請求者自身の個人情報とみなし得るほど請求者と密接な関係があるものについては、条例に基づく開示請求の対象になると解しているところが多いようです。例えば、親権者であったとしても、本人の死亡によって代理関係は消滅しますので、一定の関係がある場合には、死者の個人情報を請求者自身の個人情報とみなすことによって開示請求を認めることは、首肯できる解釈ではないかと思われます。
 一方、死者に関する情報を対象としている地方公共団体の個人情報保護条例では、特定の範囲にある遺族等が「開示請求をすることができる」と規定しています。この規定によって、特定の範囲にある遺族等には開示請求が認められていますが、特定の範囲にない遺族等の開示請求をどうするのかという問題が生じます。この件については、「実施機関が審査会の意見を聴いた上で必要があると認めるときは、開示請求をすることができる」と規定している例が多いようですが、現実の問題として、運用の困難な規定ではないでしょうか。
 なお、死者に関する情報の中には、死者のプライバシーに関するものや遺族等に対しても知られたくないと考えられるものが含まれている場合もありますので、死者に関する情報の全てを請求者自身の個人情報であるとして開示請求を認めることには問題があります。死者の個人情報については、この点についても、十分に配慮する必要があります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 23:19 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

全国学力・学習状況調査の実施要領と教育委員会の規則

 「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果について、大阪市教委は8日、市立小中学校に対し、自校の成績(平均正答率)を保護者らに開示するよう求めることを決めた。学校の運用について定めた「学校管理規則」を改正し、「平均正答率を含む調査結果を公表する」という一文を盛り込む。今年4月のテスト結果から対象にする方針。文部科学省は、各校長の判断で自校の成績を公開することは認めているが、今回の決定は、市教委が規則によって全校開示を義務付けるものと言え、今後、波紋が広がりそうだ。」(10月8日付け読売新聞夕刊)
 また、同日付けの日経新聞夕刊によると、「永井哲郎教育長は「規則なので従ってもらうのが前提だ」と述べ、違反した校長は処分対象になり得るとの見解を示した」、「文部科学省は実施要領で、各学校が独自に公表することについて「学校の判断に委ねる」と規定。永井教育長は新指針が要領には抵触しないとの認識を示した」とありますが、10月9日付けの読売新聞朝刊には、「文科省は今回の大阪市教委の決定について「実施要領では、学校別成績の公表は学校の判断に委ねることになっており、市教委が義務付けると実施要領の趣旨を逸脱する可能性が高い。市教委に詳細を確認し、対応を検討したい」としている」とあります。
 問題の「平成25年度全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)に関する実施要領」(平成24年12月7日付け文部科学副大臣決定)のWの5の(5)のアには、次のようにあります。
(イ) 市町村教育委員会が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、当該市町村における
  公立学校全体の結果を公表することについては、それぞれの判断に委ねること。ただし、市町村教
  育委員会は、域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表を行わないこと。
(ウ) 学校が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、自校の結果を公表することについて
  は、それぞれの判断に委ねること。
 大阪市教育委員会の規則を見ていませんが、これまでの情報から判断すると、個人的には、教育委員会規則は、実施要領に違反するものであると考えます。しかし、「副大臣決定の実施要領に違反したからっちゅーてなんやねん」と言われると、返す言葉がありません。
 この疑問を解消するためにも、大阪市立学校の校長先生方におかれましては、是非とも規則に違反し、処分をお受けになられて、とことんまで争っていただきたいと思うところです(冗談やで)。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 00:30 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

異議申立ての決定の理由

 情報公開制度や個人情報保護制度における異議申立てに対する決定については、当庁の判断を「決定の理由は、答申における審査会の判断と同様であるので、答申の写しをここに添付する」として、審査会の答申の写しを添付している市町村が多いのではないでしょうか。
 本市もこの方法によっているのですが、行政不服審査法第48条の規定により準用する第41条が、「裁決は、書面で行ない、かつ、理由を附し、審査庁がこれに記名押印をしなければならない」と規定していることを考えると、違和感があります。答申は審査会の文書であって、異議申立庁の文書ではないからです。
 このことについて、「判例地方自治bR56平成24年7月号」(ぎょうせい)の「裁決書起案のキーポイント第7回」(中村次良)には、次のようにあります。
「情報公開審査会の答申を添付する決定書の形式を採ることについては、理論的には若干問題があります。しかし、現時点において、このような形式を違法とする裁判所の判決はありません(この点について争われた事例もないと思われます。)。実務においても、上記で述べたとおり、このような形式が普及し、また、このような形式の決定書も許容されていると解する見解もあります。この見解の理由は、必ずしも明らかではありませんが、行政不服審査が訴訟と異なって「簡易」救済制度であること(行政不服審査法1条)や、訴訟における判決においても、事件に対する上級審の判決では、この決定書と同じような記載方法で当該事件に対する下級審の判決を引用する形式を採っていることなどがその理由と思われます。」
 うーん……ま、えーんでしょうね。
 ちなみに、「裁決書起案のキーポイント」は、「判例地方自治」のbR49(平成24年1月号)からbR68(平成25年6月号)までに連載されており、実務上、非常に参考になります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:22 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

情報公開審査会会議録の公開

 附属機関等の会議は、公開を原則としています。ただし、会議の内容が、情報公開条例に規定する非公開事由に該当する場合や会議を公開することにより、公正かつ円滑な議事運営に著しい支障が生じると認められる場合には、当該会議を公開しないことができます。
 一方、附属機関等の会議が開催されると、会議録が作成されます。会議録は、会議の公開・非公開にかかわらず作成することとされており、原則として公開されます。当然、情報公開条例に規定する非公開事由に該当する部分は非公開ですので、インターネット等で公表される会議録については、作成方法を工夫する必要があります。このことについて、「情報公開審査会Q&Aマニュアル」(兼子仁著/ぎょうせい)には、次のようにあります。
「非公開の審査会の議事録にも公開原則が適用されます。が、インカメラ審理なるが故に具体的な審議内容は公開になじまず、詳細な議事録ほど非公開部分が多く公開部分は無意味になりがちでしょう。また答申準備のためには会議メモとしての臨時的テープ取りで足りますから、議事録は、全部公開できるような日程記事的なごく概要の記録とすることがむしろ適切と考えられるのです。」
 会議録には、おおむね、@逐語的に発言を記録したもの、A会議内容の要点を記録したもの、B会議結果を記録したもの、の3種類が存在します。一般的に情報公開審査会の会議録というと、Aで意思形成過程情報等の理由により非公開とされているものと思われます。それを、Bで公表されているものを見つけて、「○○市は公開してるやないかい」て言われても……本市では同じものを会議録と称していないだけで、既に公表しているんですがねえ……

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 23:08 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

続・災害時要援護者名簿

 「自力避難が難しい障害者や高齢者ら「災害時要援護者」の名簿作成を市町村に義務付ける改正災害対策基本法が17日、参院本会議で可決、成立した。国の調査で障害者の死亡率が住民全体の2倍に上った東日本大震災を教訓に、個人情報保護との兼ね合いに敏感な市町村に「お墨付き」を与え、名簿の作成・活用を促進する。」(6月18日付け毎日新聞朝刊)
 個人情報のうちでも、いわゆるセンシティブ情報については、原則として収集を禁止し、法令等の規定による場合又は個人情報保護審査会の意見を聴いた上で実施機関が必要不可欠であると認める場合にのみ、その禁止を解除している地方公共団体も多いのではないでしょうか。
 本市でも、「災害時要援護者名簿の作成に伴うセンシティブ情報の収集」を個人情報保護審査会への諮問案件として準備を進めてきました。しかし、この事務、遅々として進まず、なかなか諮問できるレベルまで仕上がってこないような状態でしたので、法律で規定されて、正直、ホッとしました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:11 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

情報公開制度のコスト

 マッセОSAKA(公益財団法人大阪府市町村振興協会・おおさか市町村職員研修研究センター)の平成24年度公募論文の最優秀賞受賞論文「自治体における情報公開制度の現状と受益者負担の在り方−情報公開手数料についての一考察−」を読みました。
 この論文は、情報公開手数料を徴収する前提として、情報公開制度の運営に係るコストについて述べています。そこでは、情報公開に関する「コスト計算を緻密に行うことは非常に困難である」と前置きした上で、「平成22年度における情報公開事業の行政評価の結果を公表している66団体について、予算書に掲載される、いわゆる「事業費」と、予算書には事業単位では現れない「人件費等」を合算したものを、情報公開制度運用のための「フルコスト」と考え、それを情報公開請求件数で割り戻すことにより、情報公開請求1件当たりのコストを算出」しています。
 それによると、全66団体の平均コストは70,420円となっています。また、「行政サービスコストの提示」を試行しているさいたま市では、その額を65,857円と積算していること、さらに、東京都では、1請求当たり38,367円と積算していることから、情報公開制度の運営に関しては、請求1件当たりに、およそ3万円から7万円程度のコストが発生していることになるとしています。
 この金額、高いのでしょうか?安いのでしょうか?ただ、間違いなく言えることは、300円や500円の手数料を徴収したところで、コスト的には大赤字であるということです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:27 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

公開・非公開と開示・不開示

 新聞等を見ていると、「情報公開請求」としているものと、「情報開示請求」としているものとがあります。本来は、どちらの用語を使うべきなのでしょうか?
 「情報公開審査会Q&Aマニュアル」(兼子仁著/ぎょうせい)のコラム「公開・非公開と開示・不開示」には、次のようにあります。
「個人情報保護条例に基づいて本人が自己の個人情報の閲覧・写しの交付を請求する場合は、知る権利の一種とはいえ社会情報の一般公開とはちがって、本人だけに対する「開示」である。
 それに対して情報公開条例による場合は、まさに一般「公開」にほかならない。もっとも、公表措置とは異なって、請求者である特定の住民に対する公開決定となるので、請求者「開示」であると言うのが、行政法専門的に正確ではある。国の情報公開法やかねて東京都の旧公文書開示条例などで、「開示」の語を書いてきている。ただし、住民に解りやすい言葉遣いとしては、情報公開条例では「公開」請求・決定と書いて、個人情報保護条例上の本人「開示」と区分することが、いぜん好ましいのではなかろうか。」
 本市の情報公開・個人情報保護懇話会からの提言「情報公開制度及び個人情報保護制度のあり方について」においても、同様の意見があったことから、本市では、「情報公開請求・決定」と、「個人情報開示請求・決定」としています。
 このコラムは、次のように続きます。
「問題は、より多く反対語にあろう。「公開」は“公開だ”という形容動詞なので、反対語は「非公開」となる(常識・非常識のごとし)。それに比して「開示」はもっぱら動詞なので、反対語は「不開示」が正しい(補助金不交付・手当金不交付のごとし)。現に国の法律では、「不開示」決定・情報と規定している(電算個人情報保護法14条見出し・2項、15条1項、情報公開法5条、6条1項等)。ところが、非公開につられた不正確用語(国語辞典上の×印つきの用法)として“非開示”が語られている(東京都条例の定めなど)。今後の新条例や運用語としては、「不開示」の正語を用いるようにすべきだろう。」
 この場合は、本市でも非公開につられた不正確用語「非開示」を使用していますね……

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 11:42 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

「権利の乱用」の答申

「大阪市は23日までに、ほぼ同じ内容の情報公開請求を3年間で約370件繰り返した同市生野区の女性の請求を「権利の乱用」に当たるとして、市情報公開請求条例に基づいて却下したと発表した。権利乱用を理由とした却下は市で初めて。
 市によると、条例に権利乱用の禁止規定はないが、民法の禁止規定を適用。女性の請求を巡っては、市情報公開審査会が「同種の請求は却下すべきだ」と答申していた。
 女性は生活保護の医療扶助を巡り、同区役所などに2010年度は35件、11年度は90件、12年度(今年2月末時点)は241件の情報公開を請求。12年度は市の全請求の約1割を占め、市の業務に支障が出ていたという。
 存在しない文書の請求が多く、大半が非開示になった。不服申し立ても259件に上り、同審査会は今月15日の答申で「制度の趣旨から著しく乖離(かいり)している」として権利の乱用に当たると判断した。
 条例で禁止を明文化する自治体もあるが、明文化しないまま答申を踏まえて却下するのは珍しいという。市は今後、禁止の明文化など条例改正も検討する。」(3月23日付け日経新聞夕刊)
 大阪市情報公開審査会の答申(平成25年3月15日付け大情審第332号)を読ませていただきました。注目すべきは、「第5 審査会の判断」の「11 今後の対応について」でしょうが、ここまでいかんと却下でけへんかというのが正直な思いです。それと、こういう請求をする人は、却下すると、不服申立てをしてくるでしょうから、その場合は、どう対応するのでしょうね。不服申立てっちゅーのも、やっかいな制度です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:45 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

災害時要援護者名簿

 「災害時に、支援が必要な高齢者や障害者などの避難誘導と安否確認を迅速に行うため、内閣府は、災害対策基本法を改正する方針を固めた。提供に同意した個人の情報を集めた名簿の作成を市町村に求めるほか、それを民間の福祉団体などに平時から開示できるようにする。有識者による議論を経て、来年の通常国会への法案提出を目指す。」(11月14日付け読売新聞夕刊)
 そもそも、災害時要援護者に関する情報は、思想、信条、宗教等と同様に、心身に関する基本的な個人情報として、法令等の規定による場合又は個人情報保護審査会の意見を聴いた上で実施機関が必要不可欠であると認める場合以外は、その収集を禁止している地方公共団体が多いのではないでしょうか。
 現時点では、災害対策基本法がどのように規定されるのか定かではありませんが、ちょっと気になります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:33 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

権利濫用禁止規定

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案が、現在衆議院で審議中です。
 この法律案は、「情報公開制度が「国民の知る権利」を保障する観点から定められたものであることを明示(1条)するとともに、同制度を「国民の知る権利」の保障にふさわしい充実した内容に改正」するものとされていますが、注目したいのは、第5条に加えられた次のただし書です。
「ただし、当該開示請求が権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合に該当するときは、この限りでない。」
 いわゆる権利濫用禁止規定といわれるものですが、どのような場合を想定しているのでしょうか。参議院HPに掲載された答弁書によると、「開示請求の回数や開示請求に係る行政文書の量を重要な判断要素としつつも、これらを含めて個々の開示請求が全体として明らかに行政機関の事務の遂行を阻害するために行われ、又は行政文書の開示を受ける意思がないにもかかわらず行われたと認められるような場合には、同条ただし書に規定する場合に該当するものと考えられる」とあります。
 一方、地方公共団体の情報公開条例の中には、利用者の責務として「権利を正当に行使しなければならない」や「権利を濫用してはならない」と規定しているのと合わせて、「実施機関は、権利の濫用に当たる請求があったと認めるときは、当該請求を拒否することができる」と規定しているものもあります。
 これらの地方公共団体の情報公開事務の手引等によると、@「○○課の全ての文書」というような常識の範囲を超える大量請求が行われた場合、A公開決定を受けたのに交付を受けず、又は閲覧をせず、同一の請求が繰り返された場合、B特定の職員を誹謗中傷する請求が繰り返された場合、C文書の特定又は請求書の補正に応じない場合などは、権利濫用禁止規定に抵触するものと考えられているようです。
 そもそも権利の濫用禁止は、条例に規定することによって発生するものではなく、一般法理(民法第1条第3項)として確立しているものですが、この法律案が成立すると、権利濫用禁止規定を条例に規定する地方公共団体が増えてくるのではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:17 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

黒塗り部分

「大津市立中学2年の男子生徒が昨年、自殺した問題で、テレビに映った黒塗り文書の画像を視聴者が加工し、関係者の実名を割り出してネット上に流出させる事態が起きた。高画質が売りのデジタル時代にあって、放送局側の情報管理の甘さも浮き彫りになった。」(7月18日付け朝日新聞朝刊)
 情報公開制度においても、マジックインクで黒塗りした部分は、マジックインクの品質が劣化したりしていると、コピーしてもトナーが透けて判読できる場合がありますので、注意が必要です。
 一般的に、情報公開制度における非公開部分は、黒く塗りつぶされていることから、黒塗り部分といわれます。しかし、情報が紙媒体の場合、原本をコピーして黒塗りしたものを再度コピーしなければならないことや、それでも判読できる場合があることから、黒色の紙質のマスキングテープを貼付してコピーしている自治体が多いのではないでしょうか。
 そう考えると、正しくは、黒塗り部分ではなく、黒貼り部分というべきなのでしょうが……どうでもえーか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:14 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

第三者の権利保護に関する手続

 以前、ある大学教授から、情報公開請求された情報に第三者情報が含まれている場合における当該第三者の権利保護規定は、適正に運用されているのかどうか聞かれたことがあります。
 行政機関の保有する情報の公開に関する法律第13条は、次のように規定されています。
(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
第13条 開示請求に係る行政文書に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び開
 示請求者以外の者(以下この条、第19条及び第20条において「第三者」という。)に関する情報が記
 録されているときは、行政機関の長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対
 し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を
 与えることができる。
2 行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、
 開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する
 機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
 ⑴ 第三者に関する情報が記録されている行政文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第
  5条第1号ロ又は同条第2号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
 ⑵ 第三者に関する情報が記録されている行政文書を第7条の規定により開示しようとするとき。
3 行政機関の長は、前2項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該行政文書の
 開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日
 と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、行政機関
 の長は、開示決定後直ちに、当該意見書(第18条及び第19条において「反対意見書」という。)を提出
 した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなけ
 ればならない。
 ネットで公開されている情報公開審査会の答申事例を見ると、情報公開決定の取消しを求める第三者からの不服申立事例がありますので、おおむね、適正に運用されているのではないでしょうか。
 ただし、ほとんどの市町村は、本市と同様に、第1項に規定する任意的意見聴取を行ったこともなければ、第2項に規定する義務的意見聴取を行わなければならないような公開決定をしたこともないのではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 16:25 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

もう一つの会議録

 今や、ほとんどの普通地方公共団体が議会の会議録をインターネットで公開しているのではないでしょうか。その会議録を見た市民から、例えば不適切な個人情報の掲載等を理由として、会議録の訂正等を求められたことはありませんか?また、あった場合は、どのように対応されましたか?
 数年前、ある地方公共団体のインターネットの会議録に、いじめにあった生徒の実名が掲載されているので、すぐに削除するようにとの住民からの抗議に対し、議会事務局の職員が「会議録の訂正等には議長の許可が必要で、すぐには削除できない」と回答したことが問題であるとして報道されたことがありました。御記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 その後、問題の部分は、すぐに削除されたようですが、インターネットの会議録が地方自治法第123条の会議録であるならば、この回答は、間違いではありません。
 会議録には、原本と配布用のものとがあり(2008年3月13日付け記事参照)、その発言の取消し又は訂正には、厳格なルールが定められています(同年3月16日付け記事参照)。そもそも、会議録は、会議の経過を正確に記録しておくものであって、インターネットを通じて無制限に公開することを予定したものではありません。会議録をインターネットで公開するということは、このようなリスクを伴うものです。
 本市でも会議録をインターネットで公開しています。これまで、冒頭のような抗議はありませんが、あった場合は、柔軟に対応しようと考えています。理由は、地方自治法第123条の会議録とは別に、もう一つの会議録として、インターネット用の会議録があると考えているからです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:40 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

不存在の場合の手続

 次のような情報公開請求がされたことがありませんか?
「○月○日、××についてA課に相談中、甲係長が△△と発言したその真意と理由について情報公開を請求する」
 このような請求が何度も繰り返された場合、みなさんのところでは、どのように対応しますか?考えられる方法としては、
@ 不服申立てを恐れず、不存在決定処分をする。
A 権利の濫用であるとして受理しない。
B 請求に対する文書を作成して公開する。
といったところでしょうか。
 このうち、Bについては、第17回自治体法務合同研究会のJ1グランプリにエントリーされたニセコ町情報公開条例に次のような規定があります。
(公開請求に係る町政情報が不存在の場合の手続)
第13条 実施機関は、公開請求に係る町政情報が存在しないときは、公開請求があった日から起算し
 て15日以内に、次の各号のいずれかの措置を執らなければならない。
 ⑴ 当該町政情報が不存在であることを理由として公開をしない旨の決定をすること。
 ⑵ 当該公開請求に係る町政に関する文書等を新たに作成し、又は取得して、当該文書等を請求者
  に対して公開する旨の決定をすること。
2 実施機関は、前項第2号の決定をしたときは、請求者に対し、速やかにその旨、同号の規定による公
 開の時期についての見通しその他規則で定める事項を書面により通知しなければならない。
3 第11条第2項から第6項まで(第5項を除く。)の規定は第1項第1号の決定に、同条第2項及び第6
 項の規定は第1項第2号の決定について準用する。
4 実施機関は、第1項第2号の決定に基づき関係する文書等を新たに作成し、又は取得したときは、請
 求者に対して、速やかに当該文書等により公開請求のあった町政情報を公開する旨その他規則で定
 める事項を書面により通知するものとする。
 ニセコ町が上記のような情報公開請求に対し、第13条第1項第2号の決定をするかどうかは分かりませんが、以前からこの規定は、非常にユニークで魅力的な規定だと思っていました。J1グランプリでどのようなプレゼンをされたのか聞きたかったです。
 その反面、当該請求に対して文書を作成して公開することは、もはや情報公開制度の枠を超えてしまっているのではないかとも思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 07:07 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (3) | -

不存在決定に対する不服申立て

 情報公開請求は、請求者が公文書館や情報公開コーナーというライブラリィで文書目録を検索して、「この文書(情報)」の公開を請求するというスタイルを理想としています。そのために、膨大な労力と予算をかけて文書管理システムを構築したのですが、現実は、そうはなりませんでした。
 「理想的」な情報公開請求は、全体の1パーセントもありません。ほとんどが、「○○について」や「○○に関するすべての文書」と書かれた請求書を参考に、請求者と面談しながら文書を特定する必要があります。
 すると、まれに、請求者の勘違いから、存在しない文書が公開請求されることがあります。例えば、そのような事実がないにもかかわらず、市職員の収賄事件に関する文書が公開請求されたような場合です。当然、面談の際に文書が存在しない理由を説明させていただくのですが、それでも公開請求された場合は、不存在決定処分をするしかありません。そして、この処分は、不服申立てをする権利を与えることになります。
 不服申立てがあったときは、処分庁は、却下又は決定を変更する場合を除き、情報公開審査会に諮問しなければなりません。しかし、却下しようにも、行政不服審査法上の却下事由は、@期間徒過、A無資格者、B形式不備で補正がないもの、Cその他行政不服審査に定める要件に反する場合に限られます。
 前例のようなケースで情報公開審査会に諮問することに意味があるとは思えないのですが……

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:58 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

個人情報に対する過剰反応

 先月、消費者庁企画課個人情報保護推進室から個人情報の保護に関する法律についてのリーフレットが送付されてきました。
 リーフレットは、「個人情報保護法上の個人情報の提供に関するルールについて」、「学校における緊急連絡網の作成・配布について」、「民生委員・児童委員の活動のための情報提供について」、「自治会における名簿の作成・配布について」の4種類があり、そのどれもが「「個人情報」を活用し、人のつながりを大切にした社会へ」と「「個人情報」を漏らさないために適切な管理を」を柱として、個人情報保護法について、分かりやすく説明しています。早速、関係課に配布させていただきました。
 個人情報保護法は、個人情報保護条例も含めて、その施行時から、個人情報に対する過剰反応が問題になっていました。そのため、国や地方公共団体等が、過剰反応を抑制・解消し、個人情報を適正に活用するよう、様々なPRを行っています。このリーフレットもその一環なのでしょうが、あまり効果が上がっているようには思われません。それは、なぜなのでしょうか。
 個人情報に対する過剰反応は、一般的に、個人情報保護法に対する誤解や無理解がその原因であると言われています。しかし、本当に、個人情報保護法に対する誤解や無理解だけがその原因なのでしょうか。
 例えば、リーフレットにも記載されているように、私立学校で名簿を作成・配布するためには、原則として本人同意が必要になってきます。市町村の個人情報保護条例が個人情報保護法と同じ趣旨の規定をしていると仮定して、市町村立学校で名簿を作成・配布する場合を考えてみると、本人同意が必要であるならば、名簿を作成・配布することは、現実には、まず不可能です(そうではない市町村もあるかもしれませんが……)。ならば、市町村立学校において、緊急連絡網などの名簿の作成・配布ができなくなったのは、個人情報保護法(条例)に対する誤解や無理解ではなく、個人情報保護法(条例)を適正に運用した結果ということになります。これが、いくらPRをしても、効果が上がっているようには思われない理由の一つなのではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:34 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

「何人も」

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律第3条は、「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長(前条第1項第4号及び第5号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる」と規定しています。また、ほとんどの地方公共団体も同様に、情報公開条例の請求権者を「何人も」としています。
 「「何人も」というのは、誰でもという意味である。この用語は、憲法第三章の「国民の権利及び義務」の中で多く用いられているが、この場合、「何人も」というのは、日本国民であると否とにかかわらずということで、外国人をも含むという意味を表わすのに用いられている」(「法令用語の基礎知識」田島信威著/ぎょうせい)。
 「何人も」は、法律と同様に、条例でも「何人も……してはならない」や「何人も……することができない」と禁止規定においてよく用いられています。一方、「何人も……することができる」といった権利付与の規定で用いられるのは珍しいです。一般的な事例としては、個人情報保護条例(自己情報の開示請求)、財政状況の作成及び公表条例(財政状況の閲覧請求)及び資産等公開条例(資産等報告書等の閲覧請求)ぐらいではないでしょうか。
 ところで、この「何人も……することができる」という規定、抵抗はありませんか?
 地方公共団体が成立するには、3つの構成要素が必要とされています。「第一は地域的・空間的構成要素(場所的構成要素)であり、一定の地域を画した区域を有することである。第二は人的構成要素であり、その一定の地域内に住所を有するすべての者をもって、その住民すなわち、団体の構成員とすることである。第三は法制度的構成要素であり、その地域の範囲内において、その住民によって構成される団体に対して国法に基づいて法人格が与えられ、事務を処理する権能(自治権)が認められることである」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)。また、「地方自治の本旨」とは、「国のもとに、地方公共団体の「団体自治」及び「人民自治」の二つの意味における地方自治を確立すること、言い換えれば、地方に関する行政は、原則として、国の官庁がこれに関与することなく、国から独立した団体である地方公共団体に移譲するとこ(団体自治)、及びこれらの行政を地方の住民自らの責任と負担において処理すべきこと(人民自治)を意味する」(「要説行政法」田中二郎著/弘文堂)とされています。
 てなことを考えると、条例において「何人も……することができる」と規定することは、地方公共団体が、その構成要素を超えて法的責任を負うことになってしまい、当該地方公共団体の事務としては疑問があること。また、そのような事務は、「地方自治の本旨」に鑑みても、適当であるとは考えられないのです。よって、条例中に「何人も……することができる」と規定することに、抵抗を感じてしまうのです。
 ま、今時、こんな考えは、古いのでしょうね。
 なお、本市の情報公開条例は、「何人も……することができる」と規定しています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:42 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

個人所得の公開

 個人情報の保護に関する法律の施行後、個人情報に対する過剰反応が問題になっています。そんな中、6月28日付け〔朝日新聞グローブ〕第42号で特集された「覚悟の社会保障」の一節に次のような記事がありました。
 「「この端末は全国の税務署にあって、誰でも使えます」。ストックホルム近郊にある国税庁の一室。職員が自分の個人番号を打ち込んだ。「2008年の私の課税所得は52万3341クローナ。払った税金は17万1051クローナと表示されています」
 続く言葉に驚いた。
 「すべての国民の個人番号と住所、課税所得は公開情報です。国税庁に電話すれば教えますよ。もし所得に見合わない派手な生活をしていたら国税庁に通報することもできます」
 スウェーデン在住の、ある日本人は、国税庁に本名を名乗らずに電話をかけ、自分の所得を教えてもらえるか試してみた。個人番号、勤労所得、金融所得(投資信託の売買益など)を難なく入手できた。
 個人所得の公開は、ノルウェーやフィンランドでも行われている。
 情報公開の基盤は共通番号制だ。子どもが生まれると病院はすぐに国税庁に連絡、生年月日と性別などをもとにした「個人番号」が親元に通知される。役所への届け出だけでなく、銀行口座の開設や車の購入まで、あらゆる場面で記入が求められる。
 「払うべきを払わない」ことへのペナルティーも厳しい。徴収庁という延滞債権回収の専門機関があり、税だけでなく、電話料金や公共テレビの受信料、「離婚した父親からの養育費」などの民間債権も請け負う。
 「支払いが滞っている」という事実が同庁に登録されると、その記録は公開され、他人が電話で問い合わせできる。「悪質な延滞があれば、ローンを組んだり、家を借りたりするのが難しくなる」と同庁広報担当のカロリーナ・カル。」
 では、いわゆる生活保護を受けている人は、どうなるのでしょうか?
 そもそも、国家と個人、権利と義務、自由と責任などの考え方が根本的に違うのでしょうが、色々と考えさせられました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 15:13 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

ふれあい安心名簿条例

 「大阪府箕面市議会は25日、住民同士のつながりを強化するために名簿作りを奨励する「ふれあい安心名簿条例」案を賛成多数(15対9)で可決した。個人情報保護への過剰反応から学校や自治会などでは名簿の作成が減っているが、昨年の新型インフルエンザで一部の学校で休校の連絡が行き届かずに混乱。安心して名簿を作る手引きとして条例が必要と判断した」(3月25日付け朝日新聞夕刊)。
 条例の内容はともかくとして(個人的には、題名からして気に入りませんが……)、問題の解決に当たって条例を制定するとは、正に政策法務。さすが箕面市という感じですね。同市の事務分掌条例施行規則を見ると、法制課の分掌事務に「政策法務に関すること」と規定されているのもうなずけます。また、きっちりと市民説明会を開催した上でパブリックコメントを実施し、その意見を条例に反映させているところに、同市の底力を感じます。
 一方、自治会、サークルなどの権利能力なき社団は、その団体が存続していく上で必要な情報というものがあるはずであって、それこそが名簿ではないかと個人的には思うところです。そんな名簿が作成できないのであるならば、それは、もはや団体として機能していないのではないでしょうか。
 そういう団体が増えてきている中での箕面市ふれあい安心名簿条例、今後の動きに注目しています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:07 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

本人通知制度

 本人通知制度(代理人や第三者からの請求によって戸籍謄抄本や住民票の写し等を交付した場合に、事前に登録した本人にその事実を通知する制度)が本市でも始まりました。大阪府内では、5番目ぐらいの実施だと思います。
 この制度は、戸籍謄抄本や住民票の写し等の不正取得を防止するため、大阪府の橋下知事が導入を提唱していたものですが、市町村の事務にまで口を出すとは、さすがは橋下知事と言ったところでしょうか。
 なお、平成20年12月26日付け市第2962号で「戸籍の謄抄本及び住民票の写し等の被交付請求者に対する本人通知制度〔事前登録制〕の実施について(依頼)」という文書が出されているのですが、後日、取り消されたと担当課から聞いています。どうやって取り消したのかは分かりません。
 この制度、あまりデキが良くありません。担当課からの依頼でしぶしぶ個人情報保護審査会に諮問しましたが、予想どおり、問題点が指摘されています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:14 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

葬儀情報

 「大阪府熊取町の中西誠町長(57)が、死亡した町民の葬儀日程など、職務上知った葬儀情報を一部の親しい町議に携帯電話のメールで横流ししていたことが27日、分かった。葬儀情報には、死亡者だけでなく、喪主の氏名や住所も含まれており、熊取町の担当課は「町個人情報保護条例に違反しているのではないか」と指摘している。中西町長は「個人情報の認識がなかった。今後の課題として気をつけたい」と釈明している。
 同町では、住民課が死亡届や火葬執行申込書を受け付けている。火葬執行申込書の大半は喪主が届け出ており、葬儀日程や葬儀会場などが記されている。
 中西町長によると、こうした書類をチェックし、亡くなった町民の氏名と住所、葬儀会場名とともに、喪主の住所と氏名も添えてメールで送信していた。
 横流し先について、中西町長は「(町議時代に所属していた)会派の仲間など4〜5人。失礼に当たったら悪いから、教えてほしいという人に情報提供させてもらった」と説明。始めた時期や回数については「最近になったから始めた。何件送ったのかは覚えていない」としている。
 メールを受け取っているある町議は「町長に就任して間もない昨年の春ごろから送ってきた。メールがあれば、すぐに自分の後援会名簿と突き合わせ、葬儀に行く必要があるのかどうか確認できるので便利」と話している。
 同町広報公聴課によると、町条例では死者の個人情報も含めて保護対象となっている。このため、葬儀情報の横流しは、職務で知った情報をみだりに他人に知らせる行為に当たり、条例違反の可能性が極めて高いという」(10月27日付け産経新聞夕刊)。
 個人情報保護条例では、個人情報取扱事務の目的以外の利用又は提供を制限しています。ただし、法令又は条例の規定に基づくときや本人の同意があるとき、また、実施機関の内部で利用し、又は当該実施機関以外のものに提供することに相当の理由があると認められる場合で、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるときなどは、例外として目的外利用や外部提供が認められています。
 本市においても、功労者等に対する交際費について、秘書課で死亡届受付台帳及び火葬許可書が目的外利用されています。しかし、死亡届受付台帳及び火葬許可書の情報は、市長や議員に提供されてはいません。火葬執行申込書がどのようなルールで町長に提供されていたのか、個人的には興味があります。
 なお、同日付けの朝日新聞夕刊には、「情報をもらっていた男性町議は「葬儀の日程は議員にとって何とかして得たい情報だ」と話した。熊取町を含む泉州地域では葬儀の焼香の際、首長や議員らの肩書が順番に読みあげられる習わしが一部であり、出ないと目立つのだという」とあります。一部ではなく大部分ではないでしょうか。この事件の背景には、こうした地域の特性があります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:03 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

ストリートビュー

 「グーグルのストリートビューなどインターネット上で道路沿いの映像を見られる情報サービスについて総務省は22日、原則として個人情報保護法違反やプライバシー・肖像権の侵害にはあたらないとの見解をまとめた。政府が、こうしたネット地図情報サービスの法的位置づけを明確に示したのは初めて。
 グーグルが08年8月に全国12都市で同サービスを開始して以来、東京都町田市など約40の自治体の議会で「プライバシー・肖像権の侵害にあたるのではないか」などとして国に対して法規制を求める意見書が採択されるなど、反発が強まっていた。
 総務省のワーキンググループは今年4月から議論を開始。その結果、写り込んだ人の姿や表札は個人情報保護法で保護すべき個人データにはあたらないと判断。プライバシーや肖像権の侵害にあたるケースも極めて限定的なため、一律にサービスを停止すべき重大な問題があるとは言い難いと結論づけた。
 ただし、同省は、映像の撮影や公開に関する事前の情報提供やサービスの周知、申し出があれば、速やかに画像を削除するなどの対応を事業者に求めていく方針だ」(6月22日付け朝日新聞夕刊)。
 プライバシーや肖像権の問題もさることながら、個人的には、公共の安全と秩序維持に支障を及ぼすおそれがある情報に当たらないのかどうかも気になるところです。というのは、以前、警察から、連続窃盗事件(空き巣)の犯人を捕まえたところ、空き巣に入る家を探すのに、市役所の情報公開コーナーで住宅地図を見て目星を付けていたと供述したということで、その確認の電話があったからです。
 情報公開コーナーの利用者に犯罪者がいたことは驚きですが、世の中、便利になる一方でややこしいことになっているような気がします。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:33 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

メールの情報公開

 「自治体の職員同士などで業務連絡や通達、報告などに使用される電子メールについて、47都道府県のうち、45都道府県が「公文書」として情報公開対象と判断しながら、規定を設けて保存を義務付けているのは28都道県にとどまることが読売新聞の調査でわかった。インターネットの普及でメールのやり取りが急速に増え、行政運営上欠かせない存在になっているにもかかわらず、保存規定のない自治体では職員の判断で破棄されていた。情報公開を通じた行政監視の壁になりかねず、規定の早期整備を求める声が出ている」(1月11日付け読売新聞朝刊)。
 「大阪府の橋下徹知事は14日、府幹部らとやりとりしたメールの情報公開基準を正式に発表した。複数の職員が受信したものを行政文書として公開請求の対象とし、保存期間を1年と定めた。府によると、公開基準の明文化は全国でも珍しいという。ただ、私有パソコン利用の場合は対象外とする「抜け道」もあり、府政の透明性確保の面で課題も残った」(1月15日付け朝日新聞朝刊)。
 一般的に、情報公開の対象となる文書は、組織的共用文書(「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」(行政機関の保有する情報の公開に関する法律第2条第2項本文))です。この組織的共用文書のすべてが文書として登録されていること、つまり、文書管理規程等に基づいて保存されていることが望ましいのですが、現実は、そうではありません。
 その原因の一つが事務連絡文書といわれるもの(文書番号を省略しているもの)の存在です。事務連絡文書は、保存を要しない文書として、文書登録の必要がないとされています。メールは、正にこの事務連絡文書であると考えている地方公共団体が多いのではないでしょうか。
 なお、本市では、原則として事務連絡文書を認めていません。しかし、理想と現実には大きなギャップがあります。また、情報公開の対象となる文書は、文書登録の有無にかかわらないということを肝に銘じておく必要があります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:21 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

情報公開危うし

 「情報公開制度を巡り、想定外の大量請求や営利目的の請求に頭を悩ませる自治体が増えている。富山県では4年前に比べ、年間の請求数が100倍近い8万件に急増。9割は同じ人物による請求で、他の開示業務が圧迫されているとして、県は有料化などの検討を始めた。専門家からは「安易な制限は知る権利の侵害につながりかねない。慎重な議論が必要だ」と懸念する声も上がっている。」
 「情報公開危うし」と見出しが付された12月3日付け毎日新聞朝刊の記事です。先日、情報公開・個人情報保護審査会があり、そこでの報告案件の資料としてこの記事を提出しました。本市もまた、一部のマニアや営利目的による大量の情報公開請求に苦慮しています。
 こうした大量請求に対する対策として、手数料の徴収に踏み切った地方公共団体もあるようです。しかし、情報公開制度の趣旨を考えると、一律に手数料を徴収するのはどうかと思いますし、かといって減免規定を置いてしまうと、その効果が期待できません。マニアや業者のしたたかさは、お役所の及ぶところではありません。
 また、情報公開条例に利用者の責務として権利の濫用を禁止する規定を置いているところも見受けられます。そもそも、権利の濫用が許されないのは、法の一般原則として当然のことであると考えられますが、単に請求文書が大量であるということをもって、権利の濫用であると認定することは、困難が予想されます。
 大量請求に関する問題は、情報公開制度に伴うコストであって、知る権利を保障するためにはやむを得ないものであるのか、それとも制度の根幹を揺るがす大問題であるのか、もう少し様子を見ようと思っています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:13 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

住居表示台帳の情報公開請求(後編)

 さいたま地裁判決では、原告が「関係人」に該当しないことは明らかであるとしながらも、住居表示に関する法律は「関係人」以外の者に住居表示台帳の公開を禁止する趣旨までは含まないと解するのが相当であるとしています。
 「関係人」とは、「住居表示実施区域に住所を有する者が含まれるのはもとより、当該区域に居所、事務所、その他の施設を有する者及び当該区域で新たに住所を設定しようとする者、営業を行おうとする者等も含まれる」と解され、「住居表示実施区域内の住民に限らず、もっと広く解して差支えない」(「住居表示制度の解説」自治省振興課編/政経書院)とされていますが、これは、「関係人」には「このように住民以外の者も考えられるところから、「新住居表示制度の解説」では「住民に限らず、もっと広く解して差支えない」としているものと思われるものであり、誰にでも閲覧を許してよいという趣旨ではない」(「地方自治第430号『地方自治相談室』」地方自治制度研究会編/ぎょうせい)と解されます。ところが、「関係人」以外の者に住居表示台帳の公開を認めるとなると、誰にでも閲覧を許す結果となり、不動産登記法第120条第1項及び第2項等が「何人も」と規定しているのに対し、住居表示に関する法律第9条第2項が「関係人」と規定している意味がなくなってしまいます。同相談室では、銀行員からの閲覧申請を「当該銀行員が関係人の範囲に含まれるということは考えられず、閲覧に応じる必要はないと認められます」としています。
 また、同判決は、同法第9条第2項は、閲覧についてのみ定めたものであり、写しの交付を求めた情報公開請求については、調整規定(情報公開条例第22条第1項)の適用はなく、同条例の規定によって写しの交付を認めるとしています。しかし、同法第9条第2項が閲覧に関してのみ規定しているのは、「関係人」の性格上、閲覧によって住居表示台帳の本来の目的を達成することができるからであって、写しの交付については、そもそも認めていないと解するべきではないでしょうか。法律上、閲覧のみを「関係人」に限っておきながら、条例の規定によって写しの交付までもが何人にも認められるというのは、「法律の範囲内で条例を制定することができる」と規定する憲法第94条に違反しないのでしょうか。
 山口地裁とさいたま地裁の判決は、山口市と戸田市の情報公開条例の調整規定の書き方によって、条例の適用関係が異なっています。しかし、両市とも、住居表示台帳の写しの交付の情報公開請求は、情報公開条例による公開請求の対象とはならないと主張しています。各地方公共団体が策定している「情報公開事務の手引」を見ると、「閲覧のみが規定され、写しの交付が規定されていない場合は、情報公開条例の規定に基づいて写しの交付の可否を決定することとし、当該法令等において明文の規定をもって写しの交付が禁止されているものでないときは、写しの交付をしなければならない」としているところもあります。おそらく、今回のような事例を想定した上での解釈・運用ではないのではないでしょうか。
 最後に、さいたま地裁判決では「本件公開請求が権利の濫用であると認めるに足りる事情は存在しない」としています。住居表示制度の目的は、住居の表示方法を合理化し、公共の福祉の増進に資することです。そのために、住居表示を実施した区域には、住居番号付定の基礎となる住居表示台帳を備え、当該区域における実施状況を明らかにしておかなければならないとされています。また、情報公開制度の目的は、市民の知る権利を保障し、市の諸活動を市民に説明する責任を果たすとともに、市民の市政への参加を推進し、公正で開かれた市政の実現に資することです。これらの制度の目的を鑑みても、営利を目的とする地図作成業者からの市内すべての住居表示台帳の写しの交付を求めるという情報公開請求は、制度本来の目的を逸脱し、権利の濫用であるとは認められないのでしょうか。
 情報公開条例も、根本的な見直しが必要になってきているのかもしれません。
 なお、個人的には、住居表示台帳は公開(情報公開コーナー等に開架)すべきものであると考えています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:22 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (2) | -

住居表示台帳の情報公開請求(前編)

 一般的に、情報公開条例は、他の法令等の規定により、閲覧、写しの交付等の公開の手続が定められている場合には適用しないとする調整規定を置いています。例えば、地価公示台帳の閲覧(地価公示法第7条第2項)や住民票の写し等の交付(住民基本台帳法第12条)などについては、この調整規定により、情報公開条例を適用せず、各々の法令等の規定に基づいた手続によることになります。住居表示台帳の閲覧についても、住居表示に関する法律第9条第2項で「市町村は、関係人から請求があつたときは、前項の住居表示台帳又はその写しを閲覧させなければならない」と規定されています。
 この住居表示台長の写しの交付の情報公開請求について、裁判所は、二つの異なった判決をしています。山口地裁平成19年2月8日判決・平成18年(行ウ)第12号とさいたま地裁平成19年10月31日判決・平成19年(行ウ)第1号です。
 山口地裁判決は、山口市情報公開条例第16条が「他の法令等の規定により公開の手続が定められている情報及び市民の利用に供することを目的として作成され、又は保管されている情報については、適用しない」と規定されていることから、他の法令の規定による開示手続との重複を回避する趣旨であると解される行政機関の保有する情報の公開に関する法律第15条の調整規定とは異なり、他の法令等に閲覧又は写しの交付による情報開示の規定がある情報については、同条例の適用の対象としない趣旨を定めたものと解するのが相当であるとして、不開示処分の取消しを求める請求が棄却されています。
 一方、さいたま地裁判決は、戸田市情報公開条例第22条第1項が「法令等に行政文書の閲覧若しくは縦覧又は謄本、抄本その他の写しの交付について規定されている場合は、その定めるところによる」と規定されていることから、住居表示に関する法律第9条第2項は、閲覧についてのみ定めたものであり、写しの交付を求めた本件情報公開請求については、同条例第22条第1項の適用はなく、また、同法は「関係人」以外の者に住居表示台帳の公開を禁止する趣旨までは含まないと解するのが相当であるとして、情報非公開決定が取り消されています。
 その後、山口地裁判決は控訴され、広島高裁平成19年6月29日判決・平成19年(行コ)第7号により棄却されましたが、さいたま地裁判決は戸田市が認容し、市の敗訴が確定しています。
 個人的には、戸田市に控訴してもらいたかったです。さいたま地裁判決には、いくつかの疑問点があるからです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:12 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

続々・全国学力・学習状況調査

 「大阪府の橋下徹知事は16日、中3と小6を対象に今年4月に実施された全国学力調査の市町村ごとの科目別平均正答率を情報公開請求者らに開示した。ただ、開示対象は自主的に公表を決めている自治体に限定し、非公開を決定または方針が未定の自治体は非開示とした。文部科学省が定めた全国学力調査の実施要領は、公表するかどうかの判断は市町村教委に委ねるとしており、知事が開示するのは全国初だ」(10月17日付け朝日新聞朝刊)。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第3章は、教育委員会及び地方公共団体の長の職務権限について規定しています。教育委員会制度の基本事項を定めた同法の目的は、地方自治の尊重と教育の政治的中立が大きな理念であったはずです。
 市町村教育委員会を差し置き、府教育委員会から予算査定用の資料として提出させた全国学力・学習状況調査のデータを知事が公表してもよいものでしょうか。
 なお、余談ですが、「学力テスト公表されたら、うち、べったちゃうか?」という会話が職員間であったのですが、「べった」ではなかったです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:26 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

続・全国学力・学習状況調査

 「全国学力テストで大阪府が成績低迷したことを受け、橋下徹知事は1日、市町村別の成績を開示するよう府教委に要請したことを明らかにした。市町村別の結果は「過度の競争を招く」として文部科学省が公表しないよう都道府県教委に通知しており、府教委から「通知は重く、市町村の反発を招くので開示できない」との回答があったという。……(略)……
 橋下知事は「市町村別に結果を公表すれば、どこの市町村教委が仕事をしていないかすぐ分かる」と発言。さらに「府民のみなさんに情報公開請求をしてもらいたい」と呼び掛けた。
 成績開示を巡っては、鳥取県情報公開審議会が市町村別、学校別の開示を答申したが、県教委が「序列化が進む」などを理由に非開示を決めた」(9月1日付け毎日新聞夕刊)。
 「大阪府の橋下知事が全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果について市町村別の成績の公表を府教委に要望し、府教委側が拒否していた問題で、府教委は2日、一転して橋下知事の意向を受け入れ、府内の市町村教委に対して自主的に結果を公表するよう求める方針を固めた。文部科学省によると、都道府県教委が市町村教委に結果公表を要望するのは全国で初めてという。……(略)……
 橋下知事は、こうした結果を受け、「結果が示されていないから、市町村教委が甘えている」と述べ、府教委に市町村別の結果を公表するよう要請。府教委は当初、「文部科学省が市町村別の成績を開示しないよう通知している」などとしていたが、「市町村教委の自主的な公表を促すのであれば、文科省の通知に抵触しない」と判断した」(9月2日付け読売新聞夕刊)。
 府教委が、市町村教委に責任を転嫁したように感じています。「要請」という言葉を使っていますが、もはや「強制」でしょう。このことは、結果として、市町村の序列化や過度な競争につながらないのでしょうか?そもそも、「平成20年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」には、「市町村教育委員会が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、当該市町村における公立学校全体の結果を公表することについては、それぞれの判断にゆだねること。また、学校が、自校の結果を公表することについては、それぞれの判断にゆだねること」とあるのですから、余計なお世話です。
 ところで、学校別成績の情報公開請求があった場合、公開の可否を決定するのは、あくまで実施機関である教育委員会ですが、個人的には公開するべきだと考えています。理由は、非公開事由に該当するとは考えられないからです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:59 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

情報公開・個人情報保護審査会の委員

 任期満了に伴い、情報公開審査会及び個人情報保護審査会の委員を委嘱しました。
 大半の市町村と同様に本市の場合も、これらの審査会は、同じ委員で構成されています。委員は、「識見を有する者のうちから、市長が任命する」としていることから、定数5人の内訳は、大学教授3人、弁護士2人です。市内に大学及び弁護士事務所の無い本市では、識見を有する者を探すのに苦労します。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:18 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (1) | -

存否応答拒否

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律第8条は、「開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる」と規定しています。いわゆる存否応答拒否に関する規定です。同様に、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第17条においても、「開示請求に対し、当該開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該保有個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる」と規定しています。
 この存否応答拒否に関する規定は、地方公共団体の条例では、情報公開条例及び個人情報保護条例共に規定されている場合、情報公開条例又は個人情報保護条例のどちらかにのみ規定されている場合、情報公開条例及び個人情報保護条例共に規定されていない場合があります。本市の場合は、情報公開条例及び個人情報保護条例共に規定されていません。
 本市の情報公開・個人情報保護懇話会の提言「情報公開制度及び個人情報保護制度のあり方について」(平成11年4月)に「公開請求に係る情報があるかないかを答えるだけでも支障が生じるものは、国なら防衛・外交等の情報、都道府県なら警察情報などがあるため、必要性を理解できなくもないが、市町村の場合は、そのような情報は希少である。また、存否応答を拒否するような場合は、請求自体が不当であると思われるものであり、このことは、利用者の責務として、その権利を適正に行使しなければならないとされていることからも、規定が無くても適切に対応することは可能であると考えられる。よって、存否応答拒否の規定を置かないこととする」とあることから、規定しなかったものです。ただし、提言には、この規定を「将来的には検討する必要がある」としています。
 以前、ある職員が「市長あて直通メールのうち自分のことについて書かれているもの」を情報公開・個人情報開示請求するという話がありました。その職員は、自分を中傷(服務違反を通報)した文書がマスコミや市長あて直通メールに送られていると思い、その確認をしたいというものでした。この請求については、存否応答拒否をしようと考えていましたが、結局、請求はありませんでした。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:46 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

組織的共用文書

 1月26日付け毎日新聞朝刊によると、大阪市環境局が昨年5月、情報公開請求に対し「不存在」を理由に非公開決定した環境事業センターの業務日誌が存在していたことが分かりました。情報公開条例を所管する総務局は「条例対象の公文書に当たる」との見解を示しましたが、環境局は「公文書ではなくメモ」と強弁しているそうです。さらに、同紙の同日付け夕刊によると、市役所内で「公文書とは何か」との認識が共有されていない実態をもあぶりだしたとあります。この問題、よそ事とは思えません。本市においても、「公文書とは何か」との認識が共有されているかどうかは、甚だ疑問です。
 「公文書」又は「行政文書」の定義は、地方公共団体の条例ごとに微妙に異なりますが、おおむね行政機関の保有する情報の公開に関する法律に準じているものと思われます。同法第2条第2項本文によると、「「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう」と定義されています。いわゆる組織的共用文書というヤツです。当然、担当者の個人的なメモは、組織的共用文書ではありません。しかし、実態として、職務上作成し、又は取得した文書であって、組織的に用いられているものであるならば、それは公文書です。当該文書を行政機関が保有(文書登録)していないので公文書ではないというのであるならば、それは、本来、行政機関が保有(文書登録)しなければならない公文書を保有(文書登録)していないのであって、文書管理上、違反行為をしていることになります。どの地方公共団体においても、文書管理規程等に基づき、すべての文書を登録することが要求されているはずなのですが、これがなかなか難しいのです。具体的な公文書の定義を巡っては、情報公開担当課と原課に大きな意見の相違があります。
 本市の個人情報保護審査会の答申事例として、看護師の入院患者引継用メモが公文書(組織的共用文書)として開示対象であるとされたものがあります。同様に、小中学校の教員が使用している、俗に「えんま帳」と呼ばれる「教務手帳」や「教務必携」も、個人のメモではないと考えられます。
 なお、偽造通貨行使事件の公判で、警察官が取調べの際に作成したメモが弁護側への証拠開示の対象になるかどうかが争われた特別抗告審で、最高裁は、「取り調べの経過を記録し、捜査機関に保管されている書面は警察官の個人的なメモではなく公文書」との判断を示しています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 15:54 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

「PLUTO」における情報公開

 「PLUTO」とは、手塚治虫先生の名作「鉄腕アトム」の「地上最大のロボット」を浦沢直樹先生がリメイクしてビッグコミックオリジナル(小学館)で月イチ連載されている漫画です。近未来が舞台になっており、そこでは人格を持ったロボットと人間が共存しています。その「PLUTO」の「Act18 ゼロニウムの巻」で情報公開請求をするシーンが5ページにわたって描かれています。情報公開というものが社会的に認知されてきたことを感じてしまいました。
 「PLUTO」における情報公開制度は、投影された立体映像(一見すると人間ですが、おそらくはロボット)に対し、市民番号と氏名を虹彩と確認した後、口頭で情報公開請求をすると、映像が即時に口頭で回答するというシステムになっています。虹彩による本人確認をしていますので、個人情報の開示請求も兼ねているのでしょうか。
 そのシーンでは、ロボット嫌いの人間がゼロニウム弾という特殊重火器の使用について情報公開請求をするのですが、その途中で「たった今、使用が1件申請されました」という回答があります。将来、コンピュータが高度に発達すると、こんなふうにリアルタイムに対応できるんやろなーと思って読んでいくと、ゼロニウム弾の使用者については、「情報公開法M-81条第57項により、非公開となります」と回答があります。「第57項」て、そんな条文あるんかいなと思いながらも、ファジィな規定に馴染まないロボットの人工知能(拙ホームページにもアリスという者がおりますが…)ならば、個別具体的に大量な条文が必要であろうと思いました。また、写しの交付は?不服申立ては?とも思ってしまいましたが、そんな展開にはなりません。
 ここ10年のコンピュータの進歩には驚くべきものがあります。何十年か何百年か先には、このようなシーンが現実のものとなっているのかもしれません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:09 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

全国学力・学習状況調査

 11月22日付け読売新聞朝刊によると、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の学校別や市分の結果の公開を求めている情報公開請求について、枚方市は21日、公開することで学校や自治体間の序列化につながりかねず、国との協力関係を損なう恐れがあることから、非公開とする決定をしたそうです。
 枚方市では、以前、市が独自に実施している市立小中学校学力診断テストの情報公開請求に対して学校別成績を非公開としたことについて、非公開決定の取消しを求める訴訟が提起され、1、2審で敗訴した結果、非公開部分を公開したということがありました。この裁判では、学校別成績を非公開としたことは、「本件学力テストの目的を著しく失わせ、その適正若しくは公正な執行を著しく妨げるとは認められない」(平成19年1月31日大阪高裁判決)とされています。
 一方、「平成19年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成18年6月20日付け18文科初第317号通知)7の(4)のイによると、都道府県教育委員会は「域内の市町村及び学校の状況について個々の市町村名・学校名を明らかにした公表を行わないこと」、また、市町村教育委員会は「域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表を行わないこと」とあります。しかし、この実施要領は通知であって、強制力はありません。現に学校名を明らかにした公表を行っている市町村もあります。
 市が独自に実施した学力テストと全国学力テストとを同一のものとして考えることはできません。しかし、このような状況で、全国学力テストの非公開理由であろうと思われる「事務事業の適正又は公正な執行を著しく妨げる」又は「市と国等との協力関係を著しく損なう」と認められることは難しいのではないかと思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:25 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

情報公開コーナー

 本市の情報公開コーナーは、本庁舎2階のエレベーターホールの前に設置しています。3方向に開放された構造で、廊下を挟んで総務課があることから職員を配置していません。すぐに職員が対応できますので運営上は問題ないのですが、コーナー備付けの備品や図書がたびたび紛失しています。
 庁舎の構造上の問題(防犯上、詳しく書けませんが)もありますが、何らかの対策を講じる必要があると思っています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 11:43 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

2ちゃんねる

 10月19日付け読売新聞朝刊によると、M市は、同月18日、市税滞納者527人分の情報が入ったフロッピィディスク1枚を紛失したと発表しました。インターネット掲示板「2ちゃんねる」に紛失についての書込みがあるのを担当者が見つけ、上司に報告、M市は警察に盗難の被害届を提出し、滞納者に手紙で謝罪したそうです。
 本市でもS小学校のパソコン教室のソフトウエア設定情報が漏洩し、「2ちゃんねる」に書き込まれるという事件がありました。「2ちゃんねる」を見た市民が文部科学省に連絡し、文部科学省から本市に連絡があって、事件が発覚しました。
 調査したところ、2年前にS小学校のパソコン教室整備業務を受託した業者の社員が、自宅で作業をするためにデータを持ち帰り、消去するのを忘れたまま、今年になってウィルスに感染し、ウィニーを介してネット上に流出したものであるということがわかりました。幸い、個人情報は含まれていませんでしたし、設定情報も速やかに変更することができましたが、インターネット社会の脅威を感じた事件でした。
 ちなみに、自分は「2ちゃんねる」というものを見たことがありません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:45 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

学校の緊急連絡網等

 個人情報に対する過剰反応が問題になっています。その一例として、学校の緊急連絡網を作成することができなくて保護者が困っているとの報道がありましたが、本市の場合、事実は少し違います。
 「個人情報保護に関する取りまとめ(意見)」(平成19年6月29日国民生活審議会)よると、「いわゆる「過剰反応」について」の現状として、「学校の緊急連絡網や住所録等の作成については,文部科学省において,「学校における生徒等に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成16年11月11日文部科学省)の解説を平成18年2月に改定し,あらかじめ生徒等から同意を得る手続の周知が図られている」とあります。さらに、その課題として「本人の同意が得られない場合,緊急連絡網が成り立つのか疑問である」とあります。正にそのとおりで、本市の市立学校では、緊急連絡網等のクラス名簿は、まったく作成していません。しかし、それは同指針に基づき生徒等の同意を要件とした結果、生徒等及び保護者が希望したことです。また、緊急の連絡は、一斉にメールを送信することで十分です。保護者が困っているという事実はありません。
 こうした問題に対し、「個人情報保護に関する取りまとめ(意見)」では、「個人情報保護法の趣旨にのっとった広報啓発を行うこと」が重要であるとしていますが、広報啓発が過剰反応に対する解決策につながるとは思えません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:25 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

個人情報の取扱いに関する調査

 平成19年6月5日付け市第1625号により「個人情報の取扱いに係る外部委託契約の内容及び遵守状況の緊急点検について」という調査依頼がありました。
 個人情報の取扱いに係る電算業務の外部委託契約ごとにすべての契約書の点検が求められていましたので、それなりの事務量がありました。こうした調査があるたびに思うのですが、国は、何を根拠に調査しているのでしょうか。依頼であるというのならば、市町村が都道府県を通じて国の行政機関に調査依頼をしたら回答していただけるのでしょうか。国と地方公共団体との関係は、対等・協力関係であるはずです。
 このことの問題はさておき、こうした調査は、是正のためのチャンスと考えるようにしています。今回の調査でも、いくつか不備のある契約書が見受けられました。後日、調査結果を踏まえた通知を各課あてに出そうと考えています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:55 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

個人情報保護審査会答申「保留」

 個人情報保護条例第7条第3項は、「実施機関は、本市以外のものと通信回線により結合された電子計算機を用いて、個人情報を提供してはならない。ただし、審査会の意見を聴いた上で、特に公益上必要があり、かつ、個人情報について必要な保護措置がとられていると認めたときは、この限りでない」と規定しています。この規定により、大阪府後期高齢者医療広域連合とのオンライン結合について、個人情報保護審査会に諮問し、15日に会議を開催しました。
 結果は、「保留」になりました。オンラインの結合先である広域連合において、何ら「個人情報について必要な保護措置がとられている」と認められない状態では、審査会としても答申することはできないというのがその理由です。
 平成19年5月8日付け大広総第53号により広域連合個人情報保護条例の事務局案は示されていますが、広域連合は、いまだ議会もない状態で、個人情報保護条例もなければ、管理体制も決まっていません。当然、個人情報保護審査会もなければ、オンライン結合については事後承認の予定となると、当然の結果かなと思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 10:55 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

予算書の閲覧

 市議会3月定例会が開会しましたので、今日から情報公開コーナーで議案の閲覧が始まりました。新年度の予算書については、閲覧希望者が多いので、3月中は複数の部数を開架しています。
 なお、購入希望者には、以下の金額(実費相当額)で販売しています。
 一般会計・特別会計予算書  1,500円
 予算概要説明書         1,000円
 水道事業会計予算書        360円
 病院事業会計予算書        150円

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:04 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

録音記録の情報公開請求

 2月17日、福井県男女共同参画審議会の録音記録を県が非公開としたのは違法だとして、非公開決定の取消しを求める訴えが福井地裁でありました。
 新聞によると、県は「録音は議事録作成のメモに当たり、情報公開条例の対象ではない。」としていますが、福井県情報公開条例第2条第2項は「「公文書」とは、実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図画および電磁的記録(略)であって、当該実施機関が管理しているもの(以下略)」と規定しています。つまり、「公文書」とは、記録媒体の形態を問わない組織的共用文書を指していると考えられます。そうであるならば、録音は「情報公開条例の対象ではない」=「公文書ではない」という主張は、苦しいのではないでしょうか。
 本市でも2年前に議会委員会の録音テープの情報公開請求がありました。そのときは、請求を取り下げてもらい、情報提供で対応しました。録音テープを情報公開条例の対象としたくないという実施機関の思いと請求者の知る権利の保障とのバランスを考え、こういう対応をしました。
 福井地裁がどんな判決をするのか注目しています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:34 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -
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