−管理人のたわごとブログ− その他
「長いお別れ」の原題は、「The Long Goodbye」。清水俊二氏の訳によるレイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説です。昨年、「ロング・グッドバイ」のタイトルでNHKの土曜ドラマでドラマ化されました。
突然ですが、「長いお別れ」をすることになりました。この記事をもって、「反則法制」は終了します。一身上の都合により、退職することになりましたので、おそらく、再開することはないと思います。
8年6か月の期間にわたり、思いつくままに605本ものたわごとを綴ってきました。御愛読いただいた皆さん、本当にありがとうございました。
皆さんの御健勝と御活躍をお祈りします。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第14条第2項は、「教育委員会規則その他教育委員会の定める規程で公表を要するものの公布に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める」と規定しています。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号)により、同条が第15条へ移動していますので、教育委員会の公告式規則で第14条を引用している場合は、改正が必要になりますが、そのことは別にして、各地方公共団体における公布の方法を見てみようと思います。
「市町村例規準則集」(地方自治法規実務研究会編集/第一法規)によると、次のとおりです。
「教育委員会規則を公布しようとするときは、公布の旨の前文、番号、年月日及び教育委員会名を記入して、教育委員会印を押さなければならない。」
これが、「教育委員会名を記入して、委員長が署名する」、「委員長名を記入して、委員長印を押す」、「教育委員会名を記入して、教育委員会の印を押し、委員長が署名する」などがあり、東京都教育委員会では、「教育委員会の指名する二名の教育委員が署名し、公布年月日を記入し、同日東京都教育委員会の名でこれを公布する」と規定しています。
条例の公布には長の署名が求められていること及び教育委員会規則の制定者が委員会であることが、様々な方法が存在する理由であると考えられますが、「教育委員会名を記入して、委員長が署名する」ことが適当ではないかと思います。
なお、新教育長の任命後は、「委員長」は「教育長」となります。
Y君「今日も寒いっすねえ〜」
自分「寒いのう〜。で、何持ってんねん」
Y君「パソコン触ったら手え冷ゃっこいなるんで、使い捨てカイロ持ってるんですわ」
自分「ほう、カイロか。そういや、湯たんぽ持ってきてる職員もいてるらしーな」
Y君「最近、流行ってるみたいっすね」
自分「1階はみんな、防寒ジャンパー着たまんま仕事してるでのう」
Y君「役所の中っすよ、ここ。室温て、労安法で決まってなかったすか」
自分「事務所衛生基準規則っちゅー省令があってな、第5条第3項で「事業者は、空気調和設備を設け
ている場合は、室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40パーセント以上70パーセント以
下になるように努めなければならない」て規定されてる」
Y君「ほな、ウチのエアコンの設定、17度になってんすか」
自分「違うねん。エアコンの設定温度を17度以上にせーなならんのと違うて、部屋の温度が17度以上
になるように努めらなあかんねん」
Y君「ほな、室温17度以上になってんすか」
自分「部分的になってるとこもあるんやろう。ま、「金も無いのに暖房入れんな」て言いに来る市民もいて
るぐらいやからのう」
12月6日(土)は、第2回関西自治体法務研究会が大阪で開催されていたにもかかわらず、この日と7日(日)、総務課の親睦旅行で北陸方面に行っていました。エライ雪でした。
20年以上前は、ほぼ全ての課で実施していた親睦旅行も、忘年会に形を変えたり、消滅したりで、今や実施しているのは、課全体の1割ぐらいでしょうか。建前上は、「給与のカットによる課員の負担の軽減」を親睦旅行廃止の理由にしていますが、本音は、別にあるように思います。
一方、民間企業では、社員旅行や運動会といった親睦行事が復活してきているそうです。その効果を実証することは困難ですが、確実に、職場が活性化し、仕事にプラスの効果が表れているという話も聞きます。本市は、その逆を行っていますね。
一般的に、地方公共団体の「「債権」とは、金銭の給付を目的とする地方公共団体の権利をいう」(地方自治法第240条第1項)とされており、公法上の原因又は公法関係から発生した債権と私法上の原因又は私法関係から発生した債権とに分類されます。前者を公債権と、後者を私債権といい、公債権は、さらに、行政庁が自力執行権を有する債権(同法第231条の3第3項の規定により、地方税の滞納処分の例により処分することができるもの。分担金、加入金、過料又は法律で定める使用料その他の普通地方公共団体の歳入)と自力執行権を有しない債権とに分類され、前者を強制徴収公債権と、後者を非強制徴収公債権といいます。
公債権は、同条第1項の規定により督促をした場合は、条例の定めるところにより、手数料及び延滞金を徴収することができる(同条第2項)とされていることから、ほとんどの地方公共団体では、督促手数料及び延滞金に関する条例を定めています。
一方、私債権は、同項の規定の適用がなく、督促手数料及び延滞金を徴収することができませんが、民法第419条第1項本文及び第404条の規定により、年5パーセントの割合による遅延損害金を徴収することができます。
なお、水道料金については、平成13年5月22日の東京高裁判決によって、「生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権」とされ、商事法定利率の年6パーセント(商法第514条)の割合で徴収することが認められています。ただし、遅延損害金の徴収は任意であることから、他の私債権と合わせて5パーセントにしている地方公共団体が大半ではないでしょうか。
債権の差押命令を申し立てるには、請求債権目録に債権及び執行費用として遅延損害金の金額を確定して申し立てなければなりません。そのため、債権差押命令申立書の提出日を期限として遅延損害金を計算します。この日から取立日までの遅延損害金については、差押えの効力が及びませんので、この遅延損害金を差し押さえるならば、改めて、当該遅延損害金に係る債権差押命令の申立てが必要になります。おそらく、そこまでしている市町村は、ないのではないでしょうか。
なお、先日、大阪地裁に債権差押命令の申立てをしたところ、遅延損害金については、債務名義(仮執行宣言付支払督促)に記載された遅延損害金を確定損害金とし、この金額の期限後の利息を遅延損害金として記載するよう補正させられましたことを追記しておきます。
支払督促 金銭の他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者
の申立てによって裁判所書記官が支払督促を発することにより、簡易迅速に債務名義を得ることがで
きる手続。債務者が支払督促の送達後2週間以内に異議申立てをした場合は、通常の民事訴訟に移
行するので注意が必要である。
本市では、私法上の債権回収に係る支払督促の申立てから強制執行までの手続を法規担当で行っています。
そこで、滞納者の皆さんにお願いがあります(こんなブログを読んでいる滞納者はいないと思いますが)。担当課から法的な回収手続を依頼された債権について、支払督促手続によることが適当であると思われる場合、法規担当は、粛々と事務を執行します。ですから、滞納者の皆さん、「訴訟手続移行予告通知兼催告書」が届きましたら、速やかに未納金の全額をお納めください。納付期限までにお支払がない場合は、必ず預金債権を差し押さえ、全額を回収させていただくことになります。
こちらは、郵便物の送達先、債権の存在及び債務者の資力だけでなく、第三債務者である金融機関まで把握した上で「訴訟手続移行予告通知兼催告書」を送付しているのです。
「任意の自治体に寄付できるふるさと納税制度で、1000万円以上の寄付者に宅地(750万円相当)を贈る京都府宮津市の取り組みが中止に追い込まれた。総務省が「返礼が高額で、資産にあたる」と指摘したためだ。各自治体のプレゼント合戦は加熱するが、「高額」の基準は曖昧だ。」
10月28日付け読売新聞朝刊「ニュースが気になる」の記事です。この記事は、次のように締めくくっています。
「税制に詳しい関西大の林宏昭教授(地方財政学)は「寄付金の地域振興への活用は理解できるが、特典による寄付者の獲得競争は行き過ぎだ。本来、寄付は見返りを求めてするものではなく、制度を見直す必要があるのではないか」としている。」
おっしゃるとおりです。地域によって温度差はあるでしょうが、すぐにでも見直すべきではないでしょうか。
ちなみに、皆さんのところでは、ふるさと納税が強制されているなんてことはないですよね。
昨日、私債権の回収手続について、庁内研修の講師をしました。
私債権の回収がなかなか進まないことから今回の研修依頼があったものですが、公債権とは異なり、自力執行権がないこと、債務者の資力が乏しい場合が多いことがその主な原因であると考えられます。そこで今回は、支払督促手続に絞った研修を実施することにしました。本市の未収債権の状況を考えると、支払督促が最も有効な法的手続でなないかと思われたからです。
支払督促を選択するポイントは、@郵便物が送達されること、A債権の存在に争いがないこと、B債務者に資力があること、の3点であると考えています。ただし、債権管理条例の規定により権利を放棄する場合の前提として支払督促を行うならば、Bを不問とすることも一つの方法であると考えます。
さて、研修の成果が表れてくるでしょうか?
防犯対策として、街頭に防犯カメラを設置する市町村が増えています。市民が安全で安心して暮らせるようにすることは市町村の責務ですが、防犯カメラの設置が、警察からの要請によって行われ、実態として、その用途を刑事訴訟法第197条第2項の規定による照会に対する報告のみに限定している場合、当該防犯カメラの設置は、地方財政法第28条の2の規定に違反し、「当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなこと」にはならないのでしょうか?
安易に防犯カメラを設置している市町村も見受けられますが、個人情報の問題もあり、慎重に検討する必要があるのではないでしょうか。
「大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は15日、大阪都構想の設計図(協定書)を作る大阪府市の法定協議会をめぐって、野党会派が請求している臨時府議会の招集が同日期限を迎えることについて、「法に反しているとは思っていない」と述べ、改めて招集を拒否する考えを示した。新藤義孝総務相が同日の記者会見で、松井氏や維新代表の橋下徹大阪市長が府市両議会の野党会派による議会招集請求を拒否する考えを示したことに「(地方自治法で定められた請求から20日以内という)期限内に招集しなければ、法律違反になる」と苦言を呈したことを受けて、松井氏は「都構想の議論の中身を見ていただければ(法律違反ではないと)分かる」と反発。「僕たちは協定書を一生懸命作って最後は住民の判断を仰ぐ。協定書を作るにはこの手段しかなかったという説明をこれからやっていく」と述べ、有権者から理解が得られるとの見解を示した。
一方、橋下氏は同日、記者団に「形式的には法律に抵触しているが違法ではないと考えている」と述べ、野党会派から求められている臨時市議会招集に応じない姿勢を改めて示した。」(7月15日付け産経新聞夕刊)
難儀な方々ですね。「形式的には法律に抵触しているが違法ではない」という辺りは、もはやシブイとしか言いようがありません。おそらく、「違法である」ということは、既に大阪府及び大阪市の職員から何度も聞かされているかと思いますが、このような方々にとっては、職員の意見など、屁の値打ちもないのでしょう。
Y君「この前、○○食堂で「ぶたじる」て言うたら、「トンじる」ですねて言われたんすけど、「ぶたじる」と違
いますん?」
自分「そんなん、どっちでもえーやろ」
Y君「漢字読むときは、音読み+音読み、訓読み+訓読みが基本やてどっかで聞きましたよ」
自分「おう、基本や。けどな、音読み+訓読み、訓読み+音読みが慣例でかめへんようになってんのも
あんねん。重箱(ジュウばこ)、残高(ザンだか)とかな、湯桶(ゆトウ)、場所(ばショ)とかな」
Y君「あ〜、ホンマや」
自分「重箱読み、湯桶読みて言うんやけどな、「トンじる」は重箱読みやわな。「豚」の湯桶読みっちゅー
たら、「豚肉(ぶたニク)」がそうやな」
Y君「「ニク」て音読みなんすか。ほな、「肉」の訓読みて何ですん」
自分「「肉」」に訓読みはないねん。常用漢字表見てみ。ま、「豚汁」の読みはどっちでもえーと思うで。
「ぶたじる」て読むか「トンじる」て読むかは、方言の世界と違うか」
Y君「「豚」を何て読むかて、方言すか。うーん……方言いうたら、「豚丼(ぶたどん)」って言いますよね。
あっ、「トンテキ」っちゅーのもあるな。そや、551やと「ぶたまん」やけど、コンビニやと「にくまん」って
言うてんな」
自分「そんなことまで知らんがな」
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
年末年始の休日も終わり、明後日から出勤です。総務課文書法規係の仕事は、年賀状の配布から始まるのですが、各地方公共団体では、当せんしたお年玉付郵便葉書等の処理は、どうしているのでしょうか?
市に届いたお年玉付郵便葉書等の所有権及びくじ引によりお年玉等として金品の支払又は交付を受ける権利は、市に帰属するものとみなすとしても、物品の場合、例えば、ふるさと小包は、どうやって換金するのでしょうか?切手は、受払簿に記入しているのでしょうか?
実際のところは、当せんの確認もせず、時効によって権利を消滅させているのではないかと思われるのですが、現金だともったいない気がします。
「小西禎一副知事は11日、府議会本会議で、府職員の給与について「減額は、異例の事態における異例の措置。長らく続けるべきものではない」と述べ、引き上げるべきだとの考えを示した。松井一郎知事は否定的で、両者の間での考え方の違いがあらわになった。朝倉秀実氏(自民党)の質問に答えた。
府は橋下徹知事(当時)が就任後の2008年度以降、基本給の大幅なカットを始め、今年度は3〜14%減額している。」(12月12日付け朝日新聞朝刊)
約20年前、小西副知事と宴席で名刺交換をさせていただいたことがあるのですが、おそらく、覚えておられないでしょう。
それにしても、総務部長をされていたときの大阪府職員基本条例案に関する大阪維新の会との意見交換会でのやり取りといい、男前な方ですね。ホンマ、尊敬します。
先日、庁内研修の講師をしました。テーマは、政策法務や地方自治法ではなく、「私債権の法的な回収手続について」です。法規担当者がこんな研修の講師をした理由はともかくとして、「流行」を感じるテーマではないでしょうか。
この研修をするに当たり、参考図書を何冊か読ませていただきましたが、一番のオススメは、「自治体私債権回収のための裁判手続マニュアル」(瀧康暢著/ぎょうせい)です。
この本、単なるマニュアル本というだけではなく、「裁判所書記官との接し方」として「裁判所書記官は、裁判事務手続についてとても丁寧に教えてくれます。自分で手の届く範囲で調べ尽くして、どうしても不明な点は、電話して書記官に教示を求めましょう」や「督促異議申立への対処方法」として「裁判所から、督促異議申立があったと連絡を受けたら(裁判所文書2−2T)、煩わしく思わず、数日以内に債務者と連絡を取り、その理由を聞いてみましょう」等々の記述があり、読み物としても非常に面白いです。
反則法制では、1年ぐらい前から、宣伝かいたずらかよく分からないようなコメントが機械的に大量に書き込まれるようになっています。その都度、不適切なコメントを削除するのですが、最近、その駆除に多大な時間と労力を要するようになってきたことから、コメント欄の書込みを制限することにしました。
これまでのようにコメントをいただくことができなくなることは非常に残念ですが、現状では、やむを得ないと考えるに至りました。
コメント欄に投稿すると、「アクセスを許可されていません」とメッセージが表示されますので、御意見等があるときは、直メしていただきますようお願いします。
しかし、こんなしょぼいブログにいたずらしてもしゃーないと思うんですがね……
「みずほ銀行が暴力団関係者らへの融資を放置していた問題で、同行を入出金管理の指定金融機関としている自治体に波紋が広がっている。同行の説明が二転三転したことで不信は増大。暴力団排除条例に照らし、公金処理を任せ続けていいのか−。各自治体は第三者委員会が28日公表した調査結果などを踏まえ、対応を協議する考えだ。」(10月28日付け日経新聞夕刊)
暴力団員及び暴力団密接関係者が公共工事や売払い等の契約の相手方になることを禁止した条項に抵触する可能性があるということですか。うーん……しかし、みずほ銀行が暴力団密接関係者であるというならば、本市などは、…………
これが500回目の反則法制になります。これまで、手抜き記事も数多くありましたが、よくここまで続けることができたものだと思います。500回目を迎えて、こんなしょぼいたわごとにお付き合いいただいたみなさんに感謝しながら、もう少し書いてみようかと思う反面、そろそろ潮時ではないかと思ったりもしています。
例規屋になって18年になりますが、この仕事は、怖いです。法制執務上の体裁を整えることから始まり、それは、そもそも正しいのか?市民の生活にどういう影響を与えるのか?基本的な人権を侵害することにならないのか?などと考え始めると、怖くて仕方がありません。そんな例規屋からすると、最近制定される条例には、いちびっているとしか思えないものがあります。
こういうたわごとをいつまで続けていくのか分かりませんが、今回もお付き合いいただいたみなさんには、改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
地方公共団体等の行政機関への法的サービスを提供するための窓口として、大阪弁護士会が全国に先駆けて行政連携センターを発足しました。7月18日(木)、それを記念したシンポジウムが開催されましたので、参加してきました。
会場には、相当な数の市町村が参加しており、関心の高さがうかがえました。行政連携センターによって、弁護士がより身近な存在として活用できるようになることは、市町村においても大きなメリットがあると思いますが、問題は、その方法でしょう。
田舎の市町村では、弁護士を見ることがありません。そうすると、市長や議員は、弁護士を過大に評価する傾向があります。そして、職員を過少に評価します。極端な場合、職員を全く信用していないことさえあります。そのような市町村では、弁護士の活用以前の問題でしょう。
余談ですが、当日の資料の中に第19回自治体法務合同研究会大津大会の案内が混じっていました。びわこGのコネクションの凄さを感じました。
「12日午前9時40分ごろ、兵庫県宝塚市東洋町の宝塚市役所で、「庁舎の1階で火災が起きた」と市職員から119番通報があった。宝塚市によると、男がガソリンのようなものが入った瓶を1階の市税収納課のカウンター内に投げつけ、火が広がったという。男はその場で職員らに取り押さえられ、現住建造物等放火の疑いで現行犯逮捕された。この火事で職員ら男女5人がけがをしたという。」(7月12日付け朝日新聞夕刊)
その後の報道によると、警察は、大勢の職員がいる場所に火のついた火炎瓶を投げ込んでいることから、殺人未遂容疑での立件も視野に入れて捜査を進めているようです。当然のことだと思います。危険物取扱者として言わせてもらうと、室内でガソリンをまいて放火したにもかかわらず、死者が出なかったのは、奇跡的な幸運だと思います。
逮捕される際、容疑者は自動販売機でお茶を買い、悠然と飲んでいたそうです。また、警察に引き渡されるときには「お前ら税金でメシ食うとるんやろ。もっと市民を大事にせんかい」と言ったそうです。さすがに目の前で放火された経験はありませんが、脅迫まがいの言動を繰り返しながら、同じようなセリフを聞かされたことは何度もあります。自らの犯罪行為を正当化し、理不尽な行政サービスを要求されることは、そう珍しいことではありません。宝塚市の事件は、極めて悪質ですが、同様の事件が、どこの市町村で起きても不思議ではありません。
では、このような事件が市町村で発生する原因は、どこにあるのでしょうか?みなさんは、どう考えますか?
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)第40条第1項の規定により、整備法第38条の規定による改正前の民法第34条の規定により設立された社団法人又は財団法人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定による一般社団法人又は一般財団法人として存続するものとされています。そして、整備法の施行の日から起算して5年を経過する日までの期間内(以下「移行期間」という。)に、行政庁の認定を受けて公益社団法人又は公益財団法人に移行するか(整備法第44条)、行政庁の認可を受けて一般社団法人又は一般財団法人に移行するか(整備法第45条)をしなかった場合には、移行期間の満了の日に解散したものとみなされます(整備法第46条第1項)。
移行期間の満了の日(平成25年11月30日)が近づいてきました。法人の名称変更を始め、9月議会では、相当な数の例規を改正する必要がありそうです。
なお、指定管理者の指定を受けている特例民法法人が一般社団法人・一般財団法人又は公益社団法人・公益財団法人に移行した場合は、団体としての同一性が認められる限り、再度指定を行う必要はないと解されています(一般社団・財団法人法等による指定管理者の再指定)。
「川崎市の阿部孝夫市長は7日の市長会見で、秋の市長選について、「(多選自粛)条例が廃止されない限り、私が立候補するわけにはいかない。廃止されれば、その可能性はある」と述べ、4選出馬に意欲をにじませた。
阿部市長はこれまで、条例に言及する一方、不出馬は明言していなかった。支持が得られれば出馬したいとの意思表示とみられる。「(4選出馬を望む声は)個人的にいっぱい来ている。いろいろな会合で、そんな話が出ている」と述べた。
3期12年に制限する市長の多選自粛条例は2003年、阿部市長自ら提案し、制定された。条例の廃止には、市議会の過半数の賛成が必要。任期は11月18日までで、阿部市長はタイムリミットを「9月議会の最終日まである」とした。」(YOMIURI ONLINE 5月8日7時33分)
ホンマ、すいな話やな。もはや、それ以上の言葉がありません……
(【すいな】泉州地方の方言。変わった、奇妙なという意味)
地方公営企業の管理者は、「その権限に属する事務の一部を、当該地方公共団体の経営する他の地方公営企業の管理者に委任することができ」(地方公営企業法第13条の2)ますが、管理者の権限に属する事務を当該地方公共団体の長に委任し、又はその補助職員に委任し、若しくは補助執行させることはできない(昭和58年4月7日付け公営企業第一課回答)と解されています。そのため、事務委任によって、水道事業の契約事務を市長部局の契約検査課で行うことはできません。
ところが、水道事業の契約事務を市長部局の契約検査課で行っている市町村を見掛けることがあります。これは、どんな方法によっているのでしょうか。
おそらく、この場合は、契約検査課の職員を水道企業職員に併任することによって、当該職員に水道事業の契約事務を補助執行させているのではないかと考えられます。
市町村が地方独立行政法人を設立しようとするときは、議会の議決を経て定款を定め、都道府県知事の認可を受けなければなりません(地方独立行政法人法第7条)。そして、その定款を変更するには、原則として、設立団体の議会の議決を経て、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じません(同法第8条第2項本文)。
定款に規定しなければならない事項は、同条第1項各号に掲げられており、同項第9号には、「資本金、出資及び資産に関する事項」が規定されています。これらは、同条第2項ただし書に規定する政令で定める軽微な変更ではありませんので、地方独立行政法人の資産が増減する場合は、定款を変更する必要があります。
ところが、一般的な地方独立行政法人の定款には、次のように規定されています。
(資本金等)
第○○条 法人の資本金は、法第67条第1項の規定により○○市から法人に対し出資されたものとさ
れる金額とする。
2 法第67条第1項に規定する承継される権利に係る財産のうち土地及び建物については、別表に 掲
げるものとする。
この規定によると、移行型地方独立行政法人が設立市から承継した土地及び建物のみが定款に規定されていることになりますので、これら以外の土地又は建物の増減があったとしても、定款を変更する必要はありません。しかし、定款に規定しなければならない事項として「資本金、出資及び資産に関する事項」と規定されていることを考えると、この定款の規定には疑問を感じます。
消防団というものがよく分かりません。「新自治用語辞典」(新自治用語辞典編纂会編/ぎょうせい)で調べてみると、
「消防団 消防本部、消防署と並んで市町村に設置される消防組織である(消防組織法9B)。
消防団の設置、名称及び区域は、市町村の条例で定め、消防団の組織は、市町村の規則で定めることとされている。消防本部を置く市町村においては、消防団は、消防長又は消防署長の所轄の下に行動するものとし、消防団は、消防長又は消防署長の命令があるときは、その区域外においても行動することができる(同法15)。」とあります。
消防団は、旧消防団令(昭和22年勅令第185号)では「設置しなければならない」と、その後の旧消防団令(昭和23年政令第59号)では「設置することができる」と規定されており、現在の消防組織法では、次のように規定されています。
(消防機関)
第九条 市町村は、その消防事務を処理するため、次に掲げる機関の全部又は一部を設けなければな
らない。
一 消防本部
二 消防署
三 消防団
大阪市に消防団はありません。堺市には旧美原町の区域にしか消防団はありません。大阪府内の市町村では、消防団があっても、その管轄区域が市町村の全域であるとは限りません。
現実の問題として、市町村が消防団を設置できるものなのでしょうか?その実態は、「市町村に設置される消防組織」ではなく、町内会等と同様の任意団体ではないかと思えてならないのです。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条は、「地方公共団体の長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分その他特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない」と規定しています。
この「特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案」とは、「教育委員会の所掌事務について定める条例案や、教育機関の設置のための事件決議、教育事務に関する契約で議会の議決を要するもの、教育事業のための地方債に関するもの等についての議案等特に教育事務に関するもののことであるが、必ずしも教育事務のみに関する議案だけではなく、特定の議案の一部分であっても、特に教育事務に関するものは含まれる。ただし、間接的に教育事務に影響を及ぼすものであっても、一般的な財産管理条例案等教育のみならず他の各部門に関する事務にも共通する一般的なものは含まない趣旨である」(「逐条解説地方教育行政の組織及び運営に関する法律」木田宏著/第一法規)と解されています。
また、「「意見をきかなければならない」とあるが、このような規定がなくても地方公共団体の長は予算や条例案を作る場合にそれぞれの事務を所掌する各執行機関の意見を聞き、それぞれの意見を尊重すべきは当然であるが、特に本条のように規定されている以上意見を聞かないで関係議案を作成することは許されないものと解」(前掲書)されます。
一方、昭和42年7月28日付けの行政実例では、「意見を聞くことは法律上義務づけられているわけであるが、その意見に従うかどうかは、特に法令の規定がない限り、これには拘束されないと解すべきであり、同法第二九条の規定も同様である。したがって、長と教育委員会の間に意見の調整ができない場合、長が教育委員会の意見どおりに予算を調製しなくても、法律上は別段問題はない。
長が教育委員会の意見を聞く場合の方法、手続については、法律上特別の定めはないので、地方公共団体において任意の方法、手続によることができると解される。一般的には、予算査定時における事情聴取等をもってこれに代えているのが通例である。この場合、教育委員会に代わって教育長が説明したとしても、これは教育委員会の権限を教育長が補助執行したものと解するので、このことをもって、長が教育委員会の意見を聞かなかったと解することはできない」(「注釈地方自治関係実例集」地方自治制度研究会編/ぎょうせい)とされています。
なお、教育委員会の委員の任命については、議会の同意を得る必要がありますが、この場合、長は、教育委員会の意見を聞く必要はないものと解されています(昭和33年11月27日行政実例)。
「息もできない夏」は、武井咲さん主演のフジテレビの連続ドラマです。
このドラマが無戸籍児をテーマにしたものであること、全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会が取材協力をしていること、そして仕事上、この問題に直面したことがあったことから、毎週、見ていました。
初めて無戸籍児の存在を知ったのは、十数年前のことになります。住基マターでしたが、「出生届の提出に至らない子に係る住民票の記載について」(平成20年7月7日付け総行市第143号通知)のはるか前のことでしたので、当時は、衝撃を受けました。
改めてドラマを見ると……現実とは違いますね。当たり前のことですが……
市議会議員選挙などの候補者が、町内会や自治会の推薦を受けているというようなことはありませんか?
自治会(従前の町内会)が選挙告示前に自治会の公認として単に誰を推すかを協議する程度に止まる限りは、公選法第129条違反とはならないという行政実例(昭和29年10月25日付け自丙管発第140号)があります。これは、いわゆる事前運動に関するものですが、このような行政実例が出されているということは、選挙の告示後であれば、自治会推薦は、特に問題はないと考えてもよさそうです。
一方、鳥取県HPの「県民の声」に対する回答には、次のようなものがあります。
「特定候補者の町内会推薦についてですが、この推薦自体は公職選挙法上、特に規制できるものではありません。しかしながら、本来、町内会は典型的な地縁に基づく組織で、生活の利便や地域の安全確保などを目的として結成されるものであり、その構成者である住民の政治理念や思想が一致することは現実にはほとんどないと考えられます。このような背景から、選挙人の自由な意思によって行われるべき選挙において町内会で推薦を行うことは好ましくないものと考えています。」
また、あるサイトでは、某県の選挙管理委員会の見解として、次のようなものも紹介されていました。
「自治会推薦について、自治会の全ての世帯の参加がある総会において、一人の反対もなく、全会一致で決定された場合であるならば、自治会推薦という言葉が使えるが、一人でも反対があった場合は使えない。したがって、現実問題として全会一致ということはあり得ないことから、自治会推薦という言葉は使えない。」
うーん……これが某県選管の正式見解なのかどうかの確認はできていませんが、地域によって、温度差のある問題であることに間違いはないでしょう。とにかく、公職選挙法は、よく分かりません。
なお、地方自治法第260条の2第9項は、「認可地縁団体は、特定の政党のために利用してはならない」と規定しています。「この規定は、認可を受けた地縁による団体が、特定の政党の党利党略に利用されて、その本来の目的の達成を阻害されることのないよう設けられた規定である。したがって、構成員各個人に対してその政党支持を制限するものではもとよりなく、また、団体として政治家個人の政治活動を地縁による団体の目的の範囲内において支援することを禁止する趣旨のものでもない」(「地方自治」平成3年6月号「自治会、町内会等の地縁による団体の権利義務について」)と解されています。
生活保護法(昭和25年法律第144号)
(この法律の目的)
第1条 この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民
に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その
自立を助長することを目的とする。
(無差別平等)
第2条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」とい
う。)を、無差別平等に受けることができる。
(最低生活)
第3条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができ
るものでなければならない。
(以下略)
芸人の親族による生活保護の不正受給疑惑に端を発し、この問題がクローズアップされるようになってきました。ただ、報道を見ていると、問題の本質を理解していないのか、それともあえてそうしているのか、建前だけの議論が目につきます。
守秘義務と個人情報保護制度に守られながら、被保護者を絶対的に正義の社会的弱者であると位置づけてきたことが、この問題をここまで根深いものにしてしまった原因ではないでしょうか。
ちなみに、「本当に生活保護が必要な人」は、被保護者の何パーセントぐらいを占めるのでしょうね。現役ケースワーカーに聞いてみたいものです。
PCが変わりました。ほんで、PCのOSがXPから7に変わりました。当然、ワードやアウトルックもバージョンアップしております……が、逆に使いにくうてしゃーないです。しかも、ソフトによっては7に対応してないっちゅーことで使われへんようになりました。そら、なんぼ何でもアカンでーと、今は仮想マシンでXPを起動しとります。
年度が替わって2週間になりますけど、まだ慣れまへん。しゃーないんで使ってますが、どないしてもPCっちゅーのは、好きになれまへん。
デジタル的な思考っちゅーのは、行政、特に市町村には合えへんように思います。何やユーザーを無視してメーカーが勝手に金儲けに走ってるみたいで……
「行政は、究極のサービス業」と言われることがあります。先日、「何でアカンのなー!市民が言うてんのやど!お前らサービス業やっちゅうことを知らんのかぁ!」と怒鳴られましたので、行政はサービス業なのかどうか、ちょっと考えてみたいと思います。
大辞林(三省堂)によると、サービス業とは、「日本標準産業分類の一。宿泊設備貸与業、広告業、修理業、興行業、医療保健業、宗教・教育・法務関係など非物質的生産物(サービス)を生産するあらゆる業務」であるとされています。
日本標準産業分類の一般原則第7項公務の範囲には、「この産業分類は、経済活動の種類による分類であって、公営、民営を問わず,同一の経済活動は同一項目に分類される。したがって、産業分類の公務に分類されるものは、国又は地方公共団体の機関のうち、国会、裁判所、中央官庁及びその地方支分部局、都道府県庁、市区役所、町村役場など本来の立法事務、司法事務及び行政事務を行う官公署であって、その他のものは、一般の産業と同様にその行う業務によってそれぞれの産業に分類される」とあります。つまり、水道局ならば大分類Fの水道業に、公民館ならば大分類Oのその他の教育、学習支援業に、福祉事務所ならば大分類Pの社会保険・社会福祉・介護事業に、清掃課ならば大分類Rの廃棄物処理業にというように分類されていき、残った部分が大分類Sの国家公務や地方公務に分類されることになります。
ちなみに、大分類で「サービス」という用語を使用している分類としては、大分類Lの「学術研究、専門・技術サービス業」、大分類Mの「宿泊業、飲食サービス業」、大分類Nの「生活関連サービス業、娯楽業」、大分類Qの「複合サービス業」及び大分類Rの「サービス業(他に分類されないもの)」があります。
これらのことから、正しくは、「行政には、サービス業の側面もある」というべきでしょう。
そもそも、行政がサービス業であるならば、滞納処分などできません。建築制限などできません。罰金を科すことなどできません。最近のポピュリズムのせいか勘違いしている人が増えてきましたが、行政の本質は、公権力の行使にあるはずなのです。
「和歌山県白浜町で水本雄三町長が決めた職員の人事異動に猛反発した16人の課長全員が連名で抗議文を提出し、副課長への降格願を出す「反乱」を起こした。町長は1日、職員12人への辞令交付式を予定通り決行したが、対象者全員がボイコット。両者一歩も引かない異例の事態に陥っている。
発端は、町内のごみ焼却場の使用期限延長問題。延長自体は昨年9月に地元と合意したものの、地域振興事業をめぐる地元との協議が難航。水本町長は10月26日、窓口役の生活環境課長と副課長に事実上の更迭となる異動を内示した。
この内示に「異動が必要なほど行政を停滞させたのか」「職員任せにした町長の責任はどうする」などと課長全員が反発。31日には降格願も出した。
町長側は1日、庁内放送で辞令交付式の実施を通報し「出席しなかった場合は懲戒処分の対象となる」との警告書も対象職員に配布した。だが会場にはだれも現れず、町長、教育長ら幹部は約30分間待ちぼうけ。結局辞令を受け取らなかった職員は、当面はこれまでの職務に当たるという。」(11月2日付け毎日新聞朝刊)
その後の報道によると、異動対象者は辞令どおりに異動したそうですが、公平委員会に不服申立てを行う予定だそうです。真っ当な方法を選択したとは思いますが、「降格願」の取扱いや懲戒処分など、問題山積の状況に変わりはありません。
しかし、ことの是非はともかくとして、ごっついニュースだと思います。実状を知らない部外者が軽々しく書くことではないのでしょうが、白浜町の課長会の対応は、何か毅然としたものを感じ、正直、羨ましくもありました。
当たり前のことを理解されていない方が多いようですので、確認しておきましょう。
憲法に規定されている国民の三大義務は、次のとおりです。
教育の義務「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」(第26条第2項前段)
勤労の義務「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」(第27条第1項)
納税の義務「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」(第30条)
これらは、義務です。「そんな学校には行かせられへん」とか、「働きたないねん」とか、「税金納めちゃれへん」とかいう権利はないのです。
教育委員会の職務権限又は地方公共団体の長の職務権限は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条又は第24条に規定されています。これらの規定は、地方自治の本旨を尊重し、かつ、教育の政治的中立性及び教育行政の安定性を確保するために、教育委員会と長の権限に調整が加えられたものであると解されています。
最近、このことを理解していない政治家が増えてきたように思います。大阪維新の会が提案した「教育基本条例案」にしても、その始まりは、教育行政を政治的にコントロールしたいというものではなかったかと記憶しています。
元々は、地方自治法第180条の7の規定により、教育委員会は、その権限に属する事務の一部を長と協議して、長の補助機関である職員等に委任し、又は補助執行させることができるとされていましたが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成19年法律第97号)によって、平成20年度からは、条例の定めるところにより、スポーツに関すること(学校における体育に関することを除く。)又は文化に関すること(文化財の保護に関することを除く。)については、長が管理し、及び執行することとすることができることとされました。
協議による委任等については、「委任をした場合においては、委任をした事務の範囲、受任者の職名等を公報等により一般に公告することが適当であろう」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)と解されてはいましたが、実際には、地方公共団体ごとに取扱いが異なっており、一部の地方公共団体では、事務の委任をしているかどうかさえも容易には分からないような状態になっていました。これが、教育に関する事務の職務権限の特例に関する条例を制定することによって、明らかになるであろうと当時は考えていたのですが、それでも、同条例を制定することなく、「文化に関すること」を長が管理し、執行している場合が見受けられます。
また、「青少年教育、女性教育及び公民館の事業その他社会教育に関すること」(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第12号)の一部の事務についても、長の事務分掌規則等で規定されているところがあります。教育委員会の職務権限及び長の職務権限並びに職務権限の特例は、法定されているのですが……
連休中、中予から南予方面にかけて旅行してきました。その中でも、大洲、内子そして宇和は素晴らしかったです。
これらの町には、誰もが知っているような歴史遺産や観光名所がある訳ではありませんが、城下町の大洲、豪商の町の内子、文人の町の宇和と趣の異なる魅力的な町並みがあります。さらに、そこが生活の場所であるということが、その魅力を倍増させています。
いわゆるシャレたまちではありませんが、そこには、ごみ一つ落ちていません。「犬の糞は飼い主が始末しましょう」や「ポイ捨て条例施行のまち」といった不粋な看板もありません。そして、会う人会う人が、小さな子供までもが気持ちよく挨拶してくれます。
こんなまちで暮らしてみたい、そう思いました。
台風12号は、紀伊半島の市町村を中心に甚大な被害をもたらしました。そして先週は、台風15号が日本列島の各地で猛威を振るいました。
東日本大震災やこうした災害に対応するために、災害対策基本法という法律があります。
災害対策基本法は、「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的」(第1条)としているのですが、この法律には、重大な欠陥があります。
それは、災害が発生した市町村に災害対策本部を設置することができる(第23条第1項)としているため、被災した職員自らが災害対策本部員になってしまうという点です。
東日本大震災では、町長を含め、多数の市町村職員が犠牲になった市町村もあれば、津波で庁舎そのものが壊滅してしまった市町村もあります。災害対策基本法は、ここまでの事態を想定していません。そもそもこの法律は、役所が完全に機能しているということを絶対の条件として成り立っています。そのため、災害の規模が大きければ大きいほど、災害対策本部の必要性が増大するのに反比例して、その機能が停止してしまうという結果を招いてしまうのです。
東日本大震災や台風12号等で被災された市町村では、復興に向けて、今も多くの職員が懸命に職務を遂行されていることと思います。そして、その職務は、過酷を極めたものであろうことが想像できます。その姿勢には、ただ、ひたすらに頭が下がります。くれぐれも御自愛していただきますようお祈り申し上げます。
市町村立学校に勤務する府(県)費負担教職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則は、都道府県の条例又は都道府県の教育委員会規則の委任事項を市町村の教育委員会規則で定めているという変わった法体系をとっています。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第42条は、「県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、地方公務員法第24条第6項の規定により条例で定めるものとされている事項は、都道府県の条例で定める」と規定しています。
「一般に地方公務員の給与は、職員の身分の属する地方公共団体が負担し、支給するというのが原則である。このことは学校の職員についても同様であって、職員の給与は、学校の設置者である地方公共団体が負担し、支給する(学校法五、自治法二〇四)。
しかして、これら職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は条例で定めることとされている(地公法二四6)。そして、この条例が、職員の属する地方公共団体の条例であることはもちろんである。
しかしながら、県費負担教職員についてこの原則は適用がない。けだし、県費負担教職員は、市町村の設置する学校に勤務し、市町村の公務員として市町村の教育事務に従事しているが、その給料その他の給付は都道府県の負担とされているからである。そこで、本条の規定を設けて、地方公務員法と市町村立学校職員給与負担法との間の調整をとることとされたのである」(「逐条解説地方教育行政の組織及び運営に関する法律」木田宏著/第一法規)。
そして、同法第43条第4項は、「都道府県委員会は、県費負担教職員の任免その他の進退を適切に行うため、市町村委員会の行う県費負担教職員の服務の監督又は前条、前項若しくは第47条の3第1項の規定により都道府県が制定する条例若しくは同条第2項の都道府県の定めの実施について、技術的な基準を設けることができる」と規定しています。
この「技術的な基準の形式については、法律上特段の定めはないが、基準の内容等は市町村委員会に対して事前に、かつ、明確に示される必要があるため、教育委員会規則やこれに基づく通知等により定めることが適当である」とされ、技術的な基準として定められる主なものとして「県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例を具体に実施するための条例の施行規則や解釈、運用方針を示すこと」(前掲書)が挙げられています。
大阪府内の市町村においては、おそらく、大阪府教育委員会の技術的基準として、市町村立学校に勤務する府費負担教職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則が当時の準則として示されたことがこのような法体系になっている原因ではないでしょうか。
なお、都道府県によっては、内規によって運用しているのか、このような教育委員会規則が全く制定されていないところも存在します。
暴力団とは、「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう」(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第2号)と定義されています。
タレントの島田紳助さんが暴力団関係者との交際を理由に芸能界を引退したことによって芸能界と暴力団との関係が問題になっていますが、紳助さんは、将来、政治家になるのではないかという報道の方に驚いています。大阪府暴力団排除条例第2条第4号に規定する暴力団密接関係者が政治家になるんですか?
みなさんのところでは、自宅等に拳銃が撃ち込まれたり、小指の先が欠損していたり、身体に墨を入れているような議員はいませんか?また、そういう方と親密に交際されているような議員はいませんか?
この10月1日から全国の都道府県で暴力団排除条例が施行されるそうですが、まずは、政治の世界から暴力団を排除してもらいたいです。
「橋下徹大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」が、府と大阪、堺両市の職員を対象に免職や降任など分限処分の基準を定めた条例案を提出する方針を固め、一定の条件下で余剰人員を「整理解雇」できる規定を盛り込む方向で検討していることが8日、維新の会幹部への取材で分かった。
府と両市の3議会に相次いで提出する構え。人件費削減などで行政スリム化を容易に実行するのが目的とみられるが、「身分保障」が前提となってきた公務員制度を抜本的に見直す内容で、職員組合や教育界などが反発するのは必至だ。
橋下知事は任期満了前に知事を辞職し、11月27日の大阪市長選を知事選との「ダブル選」に持ち込む意向。選挙前の条例案提出で公務員改革を争点化し、大阪市役所改革への決意を強調する狙いもあるとみられる。
新藤宗幸元千葉大教授(行政学)は「労働基本権が制約されている公務員の現在の労使関係を理解していないのではないか。民主主義や人権を無視した内容で選挙向けのアピールにすぎない」と批判した。」(8月9日付け毎日新聞朝刊)
いささか古い記事で恐縮ですが、この記事を読んで知り合いの府職員に確認したところ、「維新の会が勝手にやっていることで、大阪府としては了知していない」とのことでした。しかし、もしもこんな条例が制定されたらどうするのでしょうか?内容によっては、法令違反の条例が制定されることになってしまいます。
ここで、ある首長がよく言う話を思い出しました。要約すると次のとおりです。
「政治家にとって、大事なのは民意である。民意の前では、法律など何の意味もない。この民意によって全ての政策が決定されるべきである。これが地方分権、地域主権の目指すところである。そして、その民意を得て選ばれたのが自分である。」
その根底にあるものは同じものではないでしょうか。ちょっと利口かそうでないかの違いがあるだけの、第2、第3の阿久根市長がこれからも誕生してくるのではないかと考えてしまいます。
なお、「この法律に定めるもののほか、国会議員の資産等の公開に関する規程は、両議院の議長が協議して定める」(同法第6条)ものとされ、地方公共団体においては、「規則で定める」ものとされています。そして、報告書の閲覧については、「当該報告書を作成すべき期間の末日の翌日から起算して60日を経過する日の翌日から、することができる」(国会議員の資産等の公開に関する規程第10条第1項)と規定されています。その結果、国会議員及び地方公共団体の首長等の所得等報告書等(資産等報告書を除く。)の閲覧日が同じ日になるため、その日以降の各新聞に一斉に掲載されることになります
7月12日付け読売新聞朝刊の記事です。
「泉佐野市は11日、前市長の新田谷修司氏の昨年の所得を公開した。市長給与収入などで1192万円だった。新田谷氏は、4月1日付で退職し、統一選で府議に初当選したが、4月中に所得などを市に報告する義務がありながら、していなかった。報道機関からの指摘があり、提出した。」
資産等報告書等の提出期限までに、辞職等によって議員(又は首長)でなくなった者についても、報告書の提出義務があるのでしょうか?
個人的には、ないと考えています。「議員は、……提出しなければならない」と規定していることがその理由です。つまり、議員でなくなった者は、その時点においては、もはや提出義務はないと考えるものです。また、例えば、所得等報告書の提出が前年1年間を通じて議員であった者にのみ義務づけられているように、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律は、あくまで議員という身分を取得した又は取得している者に対して資産等を公開するものとして設計されているのではないかと解されるからです。
前泉佐野市長は、4月1日の午後2時に辞職していますので、この時をもって、提出義務がありません。また、同月2日から30日までの間に提出しなければならない関連会社等報告書については、そもそも、提出義務が発生していません。
ただし、政治家としての倫理的・道義的責任というものを考えると、辞職したから提出義務はないと単純に言い切れないことが、この記事の背景にあるのではないでしょうか。
「泉佐野市の新田谷修司前市長は、昨年の所得や補充資産が公開対象でありながら、市に未提出だった。
同市によると、条例では市長に毎年4月中に所得報告などの作成を義務付けているが、新田谷氏は4月1日付で辞職。市は「新田谷氏に報告するよう要請しておらず、結果的に未提出になってしまった」としている。新田谷氏の後援会幹部は「本人は所得報告の義務があったことを知らなかった」とし、改めて市に報告書を提出するという。」(7月5日付け読売新聞朝刊)
この記事だけではちょっと分かりにくいと思いますので、資産公開制度について、説明しておきます。
なお、資産公開を情報公開とごっちゃにしている人がいますが、二つの制度は別物です。情報公開が「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的」(行政機関の保有する情報の公開に関する法律第1条)とするのに対し、資産公開は「国会議員の資産の状況等を国民の不断の監視と批判の下におくため、国会議員の資産等を公開する措置を講ずること等により、政治倫理の確立を期し、もって民主政治の健全な発達に資することを目的」(政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律第1条)とするものです。
同法によると、国会議員は、任期開始日に有する資産等を資産等報告書に記載し、同日から起算して100日を経過する日までに、議長に提出しなければなりません(同法第2条第1項)。その後、毎年新たに有することとなった資産等で12月31日において有するものについては、資産等補充報告書に記載し、翌年の4月1日から30日までの間に、議長に提出しなければならない(同条第2項)とされています。
さらに、前年1年間を通じて国会議員であった者は、所得等報告書を作成し、毎年、4月1日から同月30日までの間に、議長に提出しなければならず(同法第3条)、また、毎年、4月1日において報酬を得て会社その他の法人の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該会社その他の法人の名称及び住所並びに当該職名を記載した関連会社等報告書を作成し、同月2日から30日までの間に、議長に提出しなければならない(同法第4条)とされています。
そして、同法第7条で、都道府県及び政令指定都市の議員並びに都道府県知事及び市町村長の資産等の公開については、「平成7年12月31日までに、条例の定めるところにより、この法律の規定に基づく国会議員の資産等の公開の措置に準じて必要な措置を講ずるものとする」と規定されたことにより、全国の地方公共団体で同法をコピーした条例が時期を同じくして制定されることになります。
T君「盛り上がれん選挙やったのう」
自分「投票率、最低やったやろ」
T君「前の△△選挙のときも投票率低うて、選管、△△に怒られたらしーの」
自分「わはは〜。投票率低いから通ったのが分からんのか」
T君「それより、新聞見たらよう「有権者が○○を支持」とか「××に期待」とか書いちゃあるやろ。あれ本
気で書いてんやったら、マスコミっちゅーのも、選挙の実態、知らなさ過ぎるど」
自分「実際、何の選挙かも分からんで投票にくる人がぐっすけおるぐらいやからのう」
T君「みんなが政治に無関心になってる中で、一部の役所を食いもんにしてる奴らだけが選挙に熱心や
からのう」
自分「相変わらず、歩くのもやっとの年寄りまで動員してるとこもあるしのう」
T君「それ以外は、単なる人気投票や。AKB48の選挙と変わらんど」
自分「AKBの選挙?何やそら。アフリカかどっかの自治政府か?」
T君「いや、アイドルでな、そういうのがあんねや」
自分「ふーん。まあ、政策っちゅーても、ロクなもんないやんけ。ポピュリズムとかいうやつか。」
T君「替え玉投票やとな、入場整理券を10,000円ほどで買うてくれるらしーけど、手当や減税で1票
入れてくれっちゅーのも、それとそう変わらんど」
自分「そうやのう。けど、選挙で最低の候補者と最悪の候補者しか出てへんかったら、どっちに入れたら
えーねんっちゅー気持ちになるわのう」
T君「そんなときのためにやな、「該当者なし」っちゅーのをつくったらどうやろ。公職選挙法改正すんね
や。やっぱ選挙っちゅーのは「該当者なし」も含めて投票率80パーセント以上は欲しいど」
自分「おお、そらええ。けど、府議や市長やったらえーけど、市議はどうすんねん」
T君「おいおい、冗談や冗談。本気にすんなや」
平成23年3月15日付け官報(特別号外第12号)には、「平成二十三年東北地方太平洋沖地震に起因して生じた事態に対応するための電離放射線障害防止規則の特例に関する省令」が公布されています。同令によって、原子力緊急事態宣言がなされた日から解除宣言がなされる日までの間は、緊急作業時における被ばく限度が実効線量100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げられます。また、同令は、3月14日から施行されています。
一方、今朝の産経新聞の「産経抄」です。
「政治家のみなさんは、「命がけ」という言葉が大好きだ。ことあるごとに口にする。東日本大震災を受けた記者会見でも、菅直人首相が「全身全霊、命がけで取り組む」と大見えを切っていた ▼ただ、幾人かの政治家の顔を思い浮かべてみると、高齢で元気な人が他の職業より多い気がする。実際、職業別に平均寿命の統計を取ると、政治家はかなり高位を占めるという。一方、消防士や警察官のように、平均寿命が短いわけではないものの、ときに生命の危険を伴う仕事もある ▼いまこの人たちは、誰からみても、「命がけ」の仕事に取り組んでいる。爆発事故や放射能漏れを引き起こした福島第1原子力発電所の現場で、東京電力や協力会社の職員ら、事態収拾に当たっている人たちだ。大量の放射線を浴びる恐怖と闘いながら、原子炉を冷やすための注水作業を続けてきた。肉体的にも精神的にも厳しい状況だろう ▼政府内では、陸上自衛隊の大型ヘリコプターで、上空から散水する案が浮上している。きわめて過酷な任務だ。平成11年に茨城県東海村の核燃料加工会社JCOで起きた臨界事故では、現場に乗り込んだ原子力安全委員の指揮により、社員18人が被曝(ひばく)覚悟で突入して事故を終息させた ▼今回は事故発生後、自ら志願して、福島第1原発の現場にやってきた人もいる。約40年にわたり原発を運転し、現在は別の電力会社で定年間近という男性もその一人だ。原発の未来のために、やむにやまれぬ気持ちだったという ▼安全な場所にいる人間に限って、「命がけ」といった勇ましい言葉をもてあそぶ。どうか現場のみなさん、何より命を大切にして、困難な務めを果たしていただきたい。」
そのとおりだと思います。今回の災害で正に「命がけ」で救助、救援、復旧等の作業に当たられているすべての方に心から敬意を表します。
犯歴事務とは、どのような性格の事務なのでしょうか。前掲書によると、「犯罪人名簿に関する事務については、第2条第3項各号及び第148条第3項別表第4、2に掲げる事務のいずれにも含まれておらず、また、この事務はさきに記述したいずれの事務にもぴったりとは該当しない。……(略)……地方公共団体の性格から考えても、この事務を真正面から市区町村の独立の事務として説明することにはいささか無理があり、説明に破綻をきたすことになる。犯罪人名簿は、本来、検察事務及び裁判事務の適正な運営に資するために利用されるべきものであり、この事務そのものが国家事務としての性格を有する上、市区町村における犯罪人名簿利用の実態をみても、地方自治法第2条第3項第16号に規定されている身分証明事務及び公職選挙法第4章に規定されている選挙人名簿調製事務のために、いわば付随的に利用されているにすぎないものであるから、犯罪人名簿事務を市区町村の独立の事務と解することは困難であり、強いてそのように解する必要性もない。
結局、市区町村の犯罪人名簿事務は「身分証明を行うための附随事務」と解するのが事務処理の実情に合致した素直な解釈であると考えられるのである」とあります。
いわゆる地方分権一括法が施行された現在では、戸籍に関する事務は第1号法定受託事務とされていますが、犯歴事務は、地方公共団体が処理する事務のうち、法律又はこれに基づく政令に特に定めがないことから、自治事務であると解されます。ちなみに、自治事務であるならば、法的根拠又は全国統一された事務処理要領のようなものは、必ずしも必要ではありません。
そして、犯歴事務における犯罪人名簿が最も活用されるのが、栄典における身分証明事務ではないでしょうか。
「栄典は、国家が特定の私人の栄誉を表彰するため、これに与える待遇である」。「栄典は、その受章者が多くの人々から広く祝福されるものでなければならない。栄典の候補者として推薦される者はもとより功労を挙げた者ばかりであるが、栄典としてその者を顕彰するためには、受章者の人格、生活態度等においても避難されるものがあってはならない」(「栄典事務の手引」監修総理府賞勲局/ぎょうせい)ことから、栄典を授与することが不適当な者であるかどうかを認定する資料として刑罰等調書が作成されます。
善良な一市民として普通に生活していると、犯歴のある方と知り合う機会はまれです。しかし、市町村の職員として仕事をしていると、様々な場面でそういう機会に遭遇します。不思議なことに、それは、栄典事務においても例外ではありません。
犯歴事務というと、市町村の事務の中でも最も秘密性が高く、かつ、不可思議な事務ではないでしょうか。そもそも、市町村がこの前科を犯罪人名簿に登録する事務を行う法的根拠がないのです。
この件については、2010年2月20日付け18:00配信の47NEWS(共同通信)に次のような記事があります。
「罰金以上の有罪判決が確定した人の氏名や罪名、量刑などを記載した「犯罪人名簿」を全国の市区町村が法的根拠のないまま作成、本来の目的とされる選挙権の有無の確認だけではなく、官公庁からの犯歴照会にも常用しているのに、名簿の様式や運用が統一されておらず、国も実態を把握していないことが20日、分かった。
総務省市町村課は、市区町村による名簿作成を認めた上で「根拠法令はなく、運用の詳細は分からない」と説明。市区町村の戸籍担当者らでつくる全国連合戸籍事務協議会は「法的根拠がない犯歴事務は個人情報保護法に抵触する」などとして早急な法整備を国に求めており、個人情報の管理の在り方に疑問の声も出ている。」
では、市町村が犯歴事務を行う根拠は、どこにあるのでしょうか。
「新版前科登録と犯歴事務」(大霜憲司著/日本加除出版)(出典が古くて申し訳ないのですが(平成8年11月1日発行です。)、手元にないもので……)によると、「明治4年4月、それまでの宗門改帳等に代わり六年一校制の戸籍とする戸籍法三三則が公布され、明治5年1月から施行された。……(略)……この戸籍法三三則の施行に併せ明治5年1月13日太政官布告第4号が発せられた。
現在市区町村で備え付けられている犯罪人名簿の起源は、この太政官布告第4号であるとみられている。」その後、「司法卿達、司法省訓令の趣旨に基づき、いわば受動的に犯罪人名簿の調製整備を行ってきたのであるが、大正6年4月12日に至り「市町村長ヲシテ本籍人ノ犯罪人名簿ヲ整備シ及転籍者ニ関スル通知ヲ為サシムル件」と題する内務省訓令第1号が発せられ、有罪の確定裁判を受けた者の戸籍事務を管掌する市区町村長は、裁判所検事局、軍法会議又は他の市区町村長からの通知に基づいて犯罪人名簿を整備するものとされ、その調製整備をしなければならないことが初めて規定化されたのである。現在市区町村で調製されている犯罪人名簿の備付けの根拠は、実にこの内務省訓令にあるのである。」とあります。
なお、47NEWSにある「法的根拠がない犯歴事務は個人情報保護法に抵触する」というのは、正しくはありません。個人情報の保護に関する法律では、地方公共団体は個人情報取扱事業者から除外され、その保有する個人情報の取扱いについては、当該地方公共団体の条例の規定するところによっています。そして、大部分の個人情報保護条例では、犯歴は、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報として、法令等の規定に基づく場合又はあらかじめ個人情報保護審査会の意見を聴いた上で事務事業の目的を達成するために必要があると実施機関が認めた場合以外は収集してはならないと規定しています。このため、犯歴等の個人情報については、個人情報保護条例が施行される際に、審査会の意見を聴取した上で収集しているはずです。個人情報に関するこうした勘違いは、しばしば見受けられます。
2010年9月22日付け記事でもお知らせしましたように、アドレスを次のとおり変更しました。
おおさか政策法務研究会のHP http://seisaku.mydns.jp/
反則法制 http://seisaku.mydns.jp:8080/BLOG/
旧アドレスが使用できるのもあとわずかです。早急に新アドレスに登録を変更していただきますようお願いします。
市(町・村)税条例(例)(昭和29年自乙市発第20号)附則第4条は、納期限の延長に係る延滞金の特例についての規定です。そして、同条第2項は、第1項に規定する申告基準日について、次のように規定しています。
「2 前項に規定する申告基準日とは、法人税額の課税標準の算定期間又は法第321条の8第4項に
規定する連結法人税額の課税標準の算定期間の末日後2月を経過した日の前日(その日が民法第
142条に規定する休日、土曜日又は12月29日、同月30日若しくは同月31日に該当するときは、こ
れらの日の翌日)をいう。」
ここで疑問があります。何故に、1月2日及び3日が規定されていないのでしょうか?
国税通則法基本通達(徴収部関係)第10条関係の4には、「この条第2項の「一般の休日」とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいうものとする。なお、官庁における年末の休暇(明治6年太政官布告第2号「休暇日ノ件」に定める12月29日から同月31日までをいう。)は、この条の「一般の休日」には該当しないが、年始の休暇(同布告に定める1月2日および3日をいう。)は、この条の「一般の休日」に該当する(昭和43.1.30最高判、昭33.6.2最高判)。」とありますので、おそらく、これがその理由ではないかと考えられます。
しかし、それにしても附則第4条第2項は、不適切な規定ではないでしょうか。
「国立天文台は1日、来年の秋分の日が9月22日になると発表した。秋分の日が近年は9月23日で、23日以外になるのは33年ぶり。9月22日になるのは1896年以来116年ぶりという」(2月1日付け朝日新聞夕刊)。
国民の祝日に関する法律第2条は、「秋分の日 秋分日 祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」と規定しています(ちなみに、春分の日は、「春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。」と規定しています。)。
秋分日が移動するのは、地球が太陽の周りを365日と約6時間かけて一周するため、微妙な誤差が生じてくるからだそうです。この秋分日は、国立天文台が太陽と地球の位置関係から計算し、前年2月1日付けの官報で「歴要項」として掲載されています。
「名所や名物をデザインした「ご当地ナンバープレート」が続々と誕生している。125t以下のバイクなどのナンバーは、乗用車やトラックと異なり、地方税の課税を示す標識として市町村が独自に制定できる。西日本で平成23年に登場するナンバーでも、自治体が工夫を凝らしている。
岡山県総社市のナンバーは、総社生まれの水墨画家、雪舟が涙でねずみを描いた逸話にちなみ、ねずみの尻尾を描き、耳の形が縁取られた。観光名所をアピールしたのは神戸市。六甲の山並みとポートタワーを配置しタイトルは「コウベウエーブ」と名付けた。松江市は松江城の天守閣をプレート中央に据えた。
町にゆかりの動物などを絵で表す例も。金魚の産地、奈良県大和郡山市は金魚とサクラを組み合わせた。日本経済研究所地域未来研究センターの清水希容子さんは「CMより少ない費用で高いPR効果がある。今後も増える」と分析している」(1月4日付け産経新聞朝刊)。
本市でもやりそうですね。デザインは、たまねぎかタオルか新空港でしょうか?しかし、この記事を知らなかったと仮定して、税務課から市税条例施行規則中の標識をたまねぎの形に改正したいという相談があったとしたら、「アホか」と思わず口走ってしまうかもしれません。
11月30日は、昨年と同様、第4回臨時会(11月)の本会議と12月定例会(第4回)の議会運営委員会が開催されました。
臨時会の付議事件は、これも昨年と同様、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う給与条例等の一部を改正する条例の制定ですが、財政健全化団体である本市の場合、独自に給与の見直しを実施している部分がありますので、単純に法律どおりとはいかないのが面倒なところです。(しかし、官報の特別号外(第27号)は、いつの間にインターネット版官報にアップされたのやら……)
また、12月定例会は、市立病院の地方独立行政法人化に伴い、関係条例の制定改廃がてんこ盛りでした。
11月は、キツかったです。
最近、庁舎内で事務机やロッカーの中から金品等が紛失するという事件が連続して発生しています。職員の退庁後に何者かが庁舎内に侵入して室内を物色した形跡がありますので、おそらく盗難事件でしょう。個人情報が入ったPC、USB、公文書等や、公金の被害が確認されていないことが不幸中の幸いでしょうか。
当然、警察へ被害届を提出するとともに、警備の強化を図っていますが、防犯対策としては、根本的な解決にはならないのではないかと思われます。防犯上、具体的に書けませんが、せめて、執務時間外における入退庁者をきちんと管理する必要があるように思います。しかし、本市では、なぜかこんなことが非常に難しいのです。
10月28日、国勢調査の調査書類を国勢調査指導員に提出しました。
回収率は、93.3パーセントでした。担当した調査区の全体がオートロックマンションであることを考えると、それなりに頑張った数字ではないかと思います。ただし、調査票は封入又は郵送されていますので、中身の保障はできませんが……。封入といえば、前回(平成17年)の国勢調査で指導員をした際、調査票がすべて封入で提出され、その封を開けるごとに暗澹たる気持ちになっていった記憶が思い出されます。
今回の調査では、調査票の内容もさることながら、回収率が前回調査を下回るのは間違いないでしょう。現在の調査環境で、国勢調査という制度を維持していくのは、そろそろ限界なのかもしれません。
国勢調査員の任命期間も10月31日をもって満了しました。とりあえず、国勢調査員としての仕事は、終了しました。
10月1日午前0時を調査時として、全国一斉に国勢調査が実施されます。
国勢調査は、大正9年(1920年)から5年ごとに行われ、今回が19回目になりますが、平成19年に全部改正された統計法第5条第2項本文の規定による国勢調査は、今回が初めてです(同法附則第4条)。
文書法規係は、その昔、文書統計係でした。そのため、自分も国勢調査指導員、国勢調査員共に経験していますが、今回も国勢調査員に任命されてしまいました。
指導員や調査員をするたびに、調査環境が悪化しているのを実感しています。今回の調査では、特に、オートロックマンションに大苦戦しています。統計法では、報告義務(第13条)があり、この規定に違反した者には、罰則(第61条)が定められているのですが……適用された事例は、おそらくないでしょう。
なお、法令等の規定により兼務できないものを除き、市職員が国勢調査指導員や国勢調査員を兼ねて報酬を得る場合、営利企業等の従事の許可(地方公務員法第38条)が必要であり、また、その勤務時間の一部を割くこととなる場合には、職務専念義務の免除(同法第35条)が必要になります(昭和27年10月10日行政実例)。
ごぶさたしてしまいました。御心配いただいた、又は御迷惑をおかけしたみなさん、申し訳ありませんでした。
この間、当局からの圧力(?)により閉鎖させられたとか、管理人がブチ切れて(?)閉鎖したとかというようなウワサも一部では流れていたようですが、それは、違います。
実は、猛暑の影響でサーバーがダウンしてしまいました。ようやく仮復旧しましたので、また、たわごとをほざいていきたいと思います。ただし、HP全体の完全復旧は、もう少し時間をください。
なお、アドレスを次のとおり変更しました。しばらくは、旧アドレスでも使用できますが、お早めに新アドレスに変更していただきますようお願いします。
おおさか政策法務研究会のHP http://seisaku.mydns.jp/
反則法制 http://seisaku.mydns.jp:8080/BLOG/
地方公営企業法第13条第1項は、「管理者に事故があるとき、又は管理者が欠けたときは、管理者が当該地方公共団体の長の同意を得てあらかじめ指定する上席の職員がその職務を行う」と規定しています。
同項は、管理者の法定代理に関する規定です。ですから、法定の事由が発生すれば当然に代理関係が発生し、法定の事由が消滅すれば当然に代理関係が消滅します。
実務上の問題は、長の同意を得る方法と上席の職員の指定の方法ですが、これらについては、「上席の職員の指定の形式については、法律には何らの定めもないが、企業管理規程で定めることが適当である。なお、上席の職員の指定についての長の同意は、当該企業管理規程の制定の際、文書によって得ておくべきである」(「地方公営企業法逐条解説」関根則之著/地方財務協会)と解されています。
高齢者の所在が不明になっているケースが全国で発覚し、大きな問題となっています。本市でも103歳の男性1人の所在が不明です。
本市のケースでも男性の住所地が更地になっていたように、居住実態と住民登録とのズレが問題点の一つとして指摘されています。住民票を消除したとしても、不明の高齢者の所在が明らかになるわけではありませんが、住民基本台帳の正確を期すのは当然のことです。住民基本台帳法第3条第1項も、「市町村長は、常に、住民基本台帳を整備し、住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と規定しています。
その方法の一つとして、同法第34条第1項は、「市町村長は、定期に、第7条に規定する事項について調査をするものとする」と定期調査について規定しています。ところが、定期調査を実施する体制が整っていないこと、定期調査によって住民票の記載等を行うことが困難であることなどから、定期調査を実施している市町村は、ほとんどないのではないでしょうか。
例規上は明記されていませんが、文書法規係は、庁舎内における落とし物や忘れ物についてのこともその事務分掌としています。そのため、電話交換室からは「落とし物(忘れ物)の係てかかってます〜」と案内されることがあります。
遺失物法が全部改正され、2年以上が経過しました。
ざっくりと書くと、来庁者が庁舎内で落とし物を拾うと、速やかに、落とし物の係に交付しなければなりません。そして、交付を受けた落とし物の係は、速やかに、警察署長に当該落とし物を提出しなければなりません。
この場合、落とし物を拾った来庁者には、当該落とし物の時価の5〜20パーセントの報労金を受け取る権利と、落とし主が分からないときには、3月後に当該落とし物を受け取る権利が発生します。遺失物法第14条では、「拾得者の請求があったとき」に、同条各号に「掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない」とされていますが、現実の対応としては、来庁者が落とし物を落とし物の係に交付する際に、報労金等の権利について説明し、書面の交付の有無及び権利放棄について確認しておくことが適当であろうと思われます。
また、落とし物の交付を受けた日から落とし主が判明するまでの間又は警察署長に提出するまでの間、遺失物法第7条第1項各号に掲げる事項を掲示するか、当該事項を記載した書面を備え付け、関係者に閲覧させなければならないとされています。
では、実際のところ、どのような落とし物があるのでしょうか。本市における落とし物の大部分は、10円や20円といった現金、三文判、ハンカチ、帽子、傘、かぎ、おもちゃ、カード、書類等です。そして、毎日、かなりの量が発生しています。
この事務、本当に適正に行われているのでしょうか?
6月14日の〔朝日新聞グローブ〕第41号で、内閣法制局が特集されています。
正に法の番人、官庁の中の官庁とまで言われる内閣法制局ですが、本市で言えば、総務部総務課文書法規係がそれに当たります。しかし、法制局参事官と文書法規担当主幹との差は、とてつもなく大きいです。それは、あるケースワーカーが「ケースワーカーが、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があるなんてとんでもない。ただの事務職員ですわ」とおっしゃっていたように、文書法規担当主幹も、ただの事務職員だからです。
では、組織的に文書法規担当主幹をレベルアップするには、どうしたらよいのでしょうか。例えば、法学検定合格者等に限って、ただの事務職員ではなく、法務職として任用する方法などが考えられます。しかし、志望者の有無、給料や手当の問題など、本市では、実現の可能性が低いように思います。そうすると、正直、良い方法が思いつきません。
ところで、本市の文書法規担当主幹として、最も重要な資質は、何だと思いますか?それは、リーガルマインド等ではなく、けんかに強いということです。
6月1日付けの自治体法務の備忘録では、夏季の軽装について記事にされています。関東の市町村とは違い、大阪の中でもコテコテの本市では、クール・ビズという言葉が生まれる随分前から当たり前のようにクール・ビズもどきの服装をしていました。
何しろ、昔の夏の事務服は、青色のシャツの左胸に市章と名前を刺繍したもので、ネクタイの着用を想定していませんでした。そして現に、誰一人としてネクタイをしていなかったように思います。財政上の理由から事務職員の制服が廃止された今も、ネクタイの着用率は低いです。
これも地域の特性でしょうか。
「大阪府の橋下徹知事は25日の府議会で、府庁舎周辺の路上で職員が喫煙するのを禁止する考えを明らかにした。庁舎敷地内は知事就任後の2008年5月に全面禁煙となったが、反面、昼休みに近くのコンビニエンスストア前などで一服する職員の姿が目立つようになり、府民から「見苦しい」との苦情が寄せられていたという。
橋下知事は答弁で、「ホテルマンが自分のホテルの周りで喫煙することはあり得ない。批判を受けるのは僕だ」と述べた。職員への呼びかけにとどめるか、違反時に処分対象となる服務規定見直しに踏み込むかなどは今後検討する。
愛煙家の職員の一人は「庁舎内に喫煙スペースをつくれば解決するのに……」とぼやきながらも、「今度ばかりは禁煙を迫られるかもしれない」とあきらめ顔だった」(5月26日付け読売新聞朝刊)。
ホテルマンがホテル周辺で喫煙しないのは、ホテル内に従業員用の喫煙場所があるからじゃないですか。普通は、そう考えませんかね。ならば、愛煙家の職員のぼやきが真っ当な解決策だと思います。
庁内禁煙のそもそもの始まりは、健康増進法ではありませんでしたか?同法第25条は、「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない」と規定されているのですが、大阪府の場合、なぜか喫煙が服務上の問題としてとらえられるようになり、かなり乱暴に禁煙が推進されたように思われます。
それでも政治家は、たばこそのものは否定しません。膨大な額のたばこ税、たばこ栽培農家及びたばこ販売業者からの反発等々があるからです。ここに大きな矛盾を感じます。
先日、ある市で法規担当をされていた方が人事異動のあいさつに見えられました。その方の異動先が「みらい戦略室」というところでした。
「みらい戦略室」と聞いて、「ウルトラ警備隊」とか「20世紀少年」の「ともだち」のノリを想像してしまいましたが、そういう感性では、古いのでしょうね。しかし、感覚的で、何をしているか分からないような組織の名称は、あまり感心しません。
改めて各市町村の行政機構図を見てみると、組織の名称が統一されていないように感じます。同じ市町村の組織でありながら、漢字やひらがなやカタカナが混在しているのはなぜでしょうか。また、機構改革を含めると、組織の名称は、しばしば変更されています。当然、変更には予算も伴います。
奈良時代、律令国の国名を縁起のいい漢字2文字に統一したそうですが、例えば、部の名称を漢字3文字、課の名称を漢字5文字というように統一してはどうでしょうか。こういう決まり事を作ることで、思い付きの名称変更に少しでもブレーキを掛けることができたらと思うのです。
「開会中の市議会本会議への出席を拒否した鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)は8日、市議会産業厚生委員会で、議員に対し説明を拒んだうえ、議員らと言い争いになり「お前たちとは話をしない」と声を荒らげて退席した。 市議会は本会議流会に続き、委員会審査も空転する事態となり混乱が続いている。
複数の議員によると、教育法について説明を求めた委員に対し、担当課長は「市長の指示で何も答えられない」と答弁。委員会側は竹原市長に出席を求めたが、市長は質問に答えず「議会は今も私を不信任している」と主張して委員会室を後にしたという。市議会は10日に本会議を再開予定だが、市長派の松元薫久議員は「このままでは市長が出席しても、審議が進むか不安」と話した。
西尾隆・国際基督教大教授(地方自治論)の話「議会との対立は通常、特定の争点を浮き彫りにする目的もあるが、今回は政策的な意味がほとんど見えない。市長は説明責任を果たしておらず、市政の機能停止は必至だ」」(3月9日付け読売新聞朝刊)。
阿久根市長については、愛読している「講学政策法務」でZ-Bergさんも何度か記事にしています。
「市長の指示で何も答えられない」という答弁があるんですね。ま、そう答弁しないと懲戒免職になるのでしょう。ここまでくると狂っているとしか思えません。独裁者というよりは、カルト教団の教祖といったところでしょうか。
ただ、問題は、こういう人物を市民が選挙で選んだということです。失礼ながら、阿久根市民のみなさん、良識を持ってください。阿久根市職員のみなさん、それでも頑張ってください。
優れたというか、理想的な自治体というと、どこを想像しますか?あくまで外から見聞きしただけですが、自分ならば、全国に先駆けて自治基本条例を制定した北海道ニセコ町や議会基本条例を制定した北海道栗山町、「合併をしない宣言」をし、議員報酬を日当制にした福島県矢祭町などでしょうか。こうしてみると、行政レベルに自治体の規模など関係がないように思いますが、では、これらの町と本市とでは、何が違うのでしょうか。それは、住民の意識ではないかと思うのです。
財政破綻に限らず、その自治体の問題は、最終的には、その住民が責任を負わなければなりません。
最近では、「地域主権」なる言葉も使われるようになってきましたが、市町村を構成する最も基本的な組織の一つである町内会は、機能していますか。役員になってくれる人がいなくて困っていませんか。町内会にも加入せず、権利だけを要求してくるような人はいませんか。生活保護を受けるために、税や保険料を減免してもらうために、子や孫を保育所に入れてもらうために、要介護認定を上げてもらうために、路地裏に防犯灯を設置してもらうために、ゴミの収集場所を移設してもらうために等々、そういったことのためにのみ、選挙権を行使していませんか。それでは、アカンのです。
住民の一人一人が、市のため、地域のために考え、行動する必要があると思うのです。しかし、そういう意識を育成することが、実は、一番難しいのです。そのための最善の方法も考えつかなければ、途方もない時間も必要だと思います。財政健全化計画の計画期間は、19年です。二度とこんなことにならないために、19年間で健全化を図るとともに、こうした意識もはぐくんでいかなければならないのではないでしょうか。
最近、他の市町村の職員を始め、様々な方から「○○市はどうなんや?大変やろう」とよく声を掛けられます。しかし、これまで述べてきたように、本市は、既に10年以上も前から「大変」だったのです。
そして、財政健全化団体になること以上に「大変」なのが、危機意識の問題ではないかと思っています。長期間にわたって財政危機を叫び続け、財政健全化に努めてきたことが、逆に、職員だけでなく、市民も含めて、危機意識をまひさせてしまったのではないかと思うのです。財政健全化計画に関するパブコメの意見がたった1件しかなかったということが、このことを証明しているのではないでしょうか。率直に言うと、「今までせんど危ない危ない言うて、何とかなったしや。今度もいけらい」という感覚になってしまっているのではないでしょうか。財政非常事態宣言(平成16年)が掲載された市報には、「全国的にもいままでのような「あれもこれも」の行政サービスから「あれかこれか」を選択する時代になってきておりますが、本市では「あれしかこれしか」行うことができないことをご理解ください」とあります。しかし、この段階で、「あれもこれも行うことができない」として、一切の事業を中止し、徹底的に健全化を図るべきだったのではないかと思うのです。
さらに、財政非常事態と言いながらも、やはり「聖域」というものが存在したということです。「聖域」である以上、公に口にすることはタブーとされていますが、このことは、職員の勤労意欲を大きく阻害する要因になっていると思われます。当然、それが原因であると証明するすべはありませんが、この間、現に、何人かの優秀な職員が早期に退職し、何人かの優秀な職員が精神を病んでしまいました。残念でなりません。
2月24日、財政健全化計画が市議会第1回(2月)臨時会で可決されました。計画は、19年の長期に及んでいます。計画どおりに健全化が図られたとしても、あと19年は、苦渋の行政運営を強いられることになります。おそらく、計画どおりに事は運ばないでしょう。だからといって、財政健全化計画以上の解決方法は、自分には見当もつきません。ただ、二度とこんなことを繰り返さないようにしなければなりません。そのためには、いかに増大していく住民ニーズを取捨選択するか、いや、できるかがポイントになるのではないでしょうか。
本市は、他の市町村からうらやましがられるほどの裕福な市です。しかし、それほどの財政力があったとしても、それ以上に使ってしまうと、こういう結果を招いてしまうということです。
将来の展望が見えない話になってしまいましたが、それが「再生の町」の現実です。財政健全化団体になるということは、そういうことなのです。そんな中でも、何があろうが、法令等に基づき、粛々と職務を執行していくこと、それが本市職員の最後のプライドです。
平成12年の行財政改革推進計画及び行財政改革実施計画を始め、平成13年には行財政改革推進計画第二次実施計画を、平成14年には財政健全化計画を策定し、平成15年度までで合計155億円もの効果額を生み出しますが、それでも健全化には至らず、とうとう平成16年には財政非常事態宣言が出されることになります。そして、この財政非常事態宣言を受け、平成16年度から平成18年度にかけて116億円の効果額を生み出すため、財政健全化計画が修正されます。
公共施設等の使用料及び手数料の増額、健康診査等の有料化、有休財産の処分等による歳入の確保のほか、「総額で一人当たり国産高級車1台分」と言われた給与削減及び200人もの定数削減による人件費の削減、敬老祝金等の個人給付の削減、各種事業・団体補助の削減、イベント等の休止、保育所等の民営化、公共施設の休館、家庭ごみの有料化など、正に「乾いたぞうきんを絞るよう」な財政健全化計画が実施されました。しかし、それでもまだ借金を解消することができなかったのです。
財政健全化計画は、地方財政再建促進特別措置法(地方公共団体の財政の健全化に関する法律附則第3条の規定により廃止)の規定に基づく財政再建団体とならないように、赤字額が標準財政規模の20パーセントを超えることのないよう計画されていました。つまり、普通会計についての財政健全化計画であって、特別会計や企業会計は、相変わらず、壊滅的な状態で放置されたままだったのです。そんな中、夕張市が財政破綻したことによって、地方公共団体の財政の健全化に関する法律が公布され、新たに連結決算による健全化判断比率が導入されます。普通会計の健全化を図るため、他の会計に借金を押し付けていた本市にとっては、これが致命傷になります。ただ、当時、財政再建団体となることだけは何としても避けなければならなかった以上、膨大な借金を抱える本市としては、やむを得ない方法だったのでしょう。これだけの削減を実施しながらも、健全化判断比率によると、平成20年度の決算を待つまでもなく、財政健全化団体(あわや財政再生団体)となることが確定的であるほど、本市の財政は、ひっ迫していました。
この頃から、本市の壊滅的な財政状況がマスコミに取り上げられるようになりました。しかし、そんなことは、10年以上も前からわかっていたことなのです。だからこそ、それなりの努力もしてきたのですが、それでも及ばないほど借金が多すぎたのです。ちなみに、現在の総債務費は、1,520億円あります。
現市長は、「300億円もの金利を払いながら、150億円もの元金を減らした。着実に借金を減らしている本市が、借金を増やし続けている国にあれこれ言われる筋合いはない」とよく言いますが、法律で定められた財政再建団体となることは、紛れもない事実なのです。
わずか500票差の僅差でした。この結果を予想した人は、一人もいなかったのではないでしょうか。現市長が就任のあいさつの中で自ら「晴天の霹靂」と語ったように、一番驚いたのは、当の現市長だったのではないかと思います。
では、それほどまでに強かった前市長が、なぜ敗れたのでしょうか。政治力と人間的魅力を兼ね備え、圧倒的な存在感のあった人物でしたが、それ故に、ワンマン化し、裸の王様と化してしまったのではないでしょうか。現に、この頃の前市長の声は天の声・神の声であって、前市長に意見ができる幹部職員などは、いるはずがないような状態でした。
新空港関連事業に多額の税金を投入したことによって、確かにまちの外観は変わりました。しかし、それは、事業に群がった一部の業者等が利益を得ただけのことであって、そこで暮らす市民の生活は、何も変わっていなかったのです。共に300億円もの巨費を投じながら、閑古鳥の鳴いている文化センターと市民からの評判が悪い市立病院は、それを象徴する施設ではないでしょうか。この選挙の結果は、現市長に対する信任票ではなく、前市長に対する市民の不満票がもたらしたものではないかと思っています。
一方、中堅及び若手の職員は、自分も含めて、この選挙結果を歓迎しました。感覚的にですが、前市長の市政は、住民ニーズからかけ離れていると感じていたからです。しかし、財政破綻の原因となった事業を実行した前市長が敗退したことは、その責任をよりあいまいなものにしてしまいます。
今も、本市では、財政健全化団体になった責任は誰にあるのかという議論があります。前市長?現市長?議員?職員?国・府?市民?正直に言うと、自分には分かりません。誰かを悪者にできるような、そんな単純なものではないと思います。あえて言うならば、責任は誰にあるのかではなく、最終的には、主権者である市民がその責任を負わなければならないということではないでしょうか。ただ、現在の関西3空港が当初の予定どおり新空港のみであったならば、夢の未来都市はともかくとして、財政が破綻するようなことにはならなかったと思っています。
現市長の就任直後、反市長派が多数を占める市議会は、予想どおり迷走を極めました。助役人事は難航する上、議案の訂正、撤回、否決等は日常茶飯事という状態でした。さらに、既に財政が危機的な状態であることが表面化してきます。当時、現市長は、選挙公約を何一つ実現できない財政状況に愕然としたという話があります。
この頃から、本市では、財政の健全化が大きな問題となっていきます。平成12年5月には、行財政改革推進計画及び行財政改革実施計画が発表されますが、何しろ借金が多すぎました。当然、人件費の削減は大きく、その結果、大阪で一番忙しいとまで言われた市の職員の給料が、実は一番安いという状態になってしまいます。
この頃、前市長はよく「今がチャンスや。なんぼでも事業せえ。金が無いんやったら、なんぼでも取ってきちゃる」と言っていました。当時、本市は、大阪で一番忙しい市とまで言われていたように、一部の人間を除いて、確かによく仕事をしていました。今では考えられないことですが、前市長自らが「ウチの職員はよう仕事する」と自慢していたぐらいです。ほとんどの職員が、北高南低と言われている大阪の勢力図を変えようという自負を持って仕事をしていたように思います。しかし、身の丈をはるかに超える事業を無理に進めたことは、後々、財政上の問題だけでなく、職員のモラールに大きな問題を残すことになったのではないかと思っています。
膨大な量の事業は、仕事をする人間としない人間との間に、大きな差を生むことになりました。それは、事務量の差ではなく、能力の差と言った方が適切かもしれません。しかし、別の見方をすれば、前市長の強力なリーダーシップの下で、闇雲に仕事をさせられていただけであって、誰一人として、前市長に逆らうことは許されませんでした。また、この頃の職員研修というと、国際化と人権ばかりでした。昼休みには、誰も聞いていない英会話を庁内放送で流すようなことまでしていましたが、基礎的な法律や行政実務の研修は、まったく実施されていませんでした。市長がすべてであるかのような仕事上のスタンスと現実からかけ離れた観念的な研修は、職員が地方公務員として必要な事務能力を低下させ、また、様々な行政課題に対し、自ら考え、政策を企画立案し、実行していく能力をも低下させることにつながったのではないかと思っています。
当然、予算配分も偏ったものになっていました。内部管理的な事務には、ほとんど予算もつかず、ほったらかしの状態でした。ちなみに、自分が文書法規を担当するようになった平成8年度の当初は、行政手続条例も制定されておらず、行政文書のA4判化も実施されてはいませんでした。
新空港は、平成6年9月4日に開港しました。しかし、バブル景気は、既に終わっていたのです。にもかかわらず、本市だけは、まだまだ祭りの真っ最中でした。
それから数年後、庁内で実は本市の財政が壊滅的な状況ではないかといううわさが流れ始めた頃、市長選挙で、6期24年にわたって神のごとく君臨した前市長が敗北するという大事件が発生します。
いわゆる療育手帳については、以前から記事にしようと考えていたのですが、自治体法務の備忘録でkei-zuさんが秀逸な記事(「療育手帳」の根拠と規定ぶり)を掲載されていることから、ボツにしています。
その療育手帳と同様の事例として、更新住宅があります。更新住宅とは、改良住宅等改善事業制度要綱(平成11年4月1日付け建設省住整発第25号)によると、「この要綱の定めるところに従って行われる改良住宅等の除却及び更新住宅の整備に関する事業並びにこれらに附帯する事業」(同要綱第2の十二)又は「二戸一改善等の施行に伴い、改良住宅等を失うこととなる世帯で更新住宅への入居を希望し、かつ、住宅に困窮すると認められるものを入居させるための更新住宅の建設に関する事業及びこれらに附帯する事業」(同要綱第2の十三)により「施行者が建設し、購入し又は借上げる住宅及びその附帯施設をいう」(同要綱第2の十六)とされています。
法令に根拠がない更新住宅をどう規定するか?いくつか事例を拾ってみると、「国土交通大臣の承認を受けた建替計画に基づく改良住宅の建替えに係る事業の施行に伴い、その居住する住宅を失うことにより住宅に困窮すると認められる者に賃貸するため、市が国の補助を受けて建設する住宅」や「改良住宅の建替事業により市が建設した住宅及びその附帯施設」というものに加え、やはり、「改良住宅等改善事業制度要綱(平成11年建設省住整発第25号)に基づき市が建設し、改良住宅等管理要領(昭和54年建設省住整発第6号)に基づき管理する住宅及び附帯施設」と通知を引用しているものもあります。
なお、普通交付税に関する省令第9条第1項の表では、「改良住宅等管理要領(昭和54年5月11日付建設省住整発第25号)第2第16号に規定する更新住宅」と規定しています(ここで引用している通知は、改良住宅等改善事業制度要綱(平成11年4月1日付け建設省住整発第25号)の間違いではないかと思うのですが……)。
たしかに、例規上で国の通知を引用するのはどうかとは思うのですが、いざ療育手帳や更新住宅を規定するとなると、色々と難しいです
ドラマ「再生の町」では、段田安則さん扮する桂木財政課長の「温泉でも湧いてくれたら、財政危機も一発で解消や。いや、温泉ぐらいでは足らんか。石油でも湧いてくれんかな。」というセリフがあります。当時の本市にとって、新空港は、正に石油が湧いたようなものだったのではないでしょうか。
昭和57年3月1日付けの市報(新空港問題特集第3号)では、新空港に係る経済調査結果として、新空港本体からの税収を昭和80年度までの累計で1,190.6億円と予測し、「空港が立地しないとした場合、長期的には赤字幅が拡大し、現在よりもさらに厳しい財政事情が予想されるが、空港関連収支においてケースによって違いはあるものの、空港立地に伴う地域整備が進めば、これによる税収増加のため、黒字幅の拡大または赤字幅の縮小方向をとり、さらに空港本体からの税収を加味すると財政事情はむしろ好転する」としています。
依然として一部には根強い反対意見があったものの、この頃から本市は全体として新空港を歓迎するムードが高まっていきます。自分が職員として採用された平成元年になると、新空港というものに本市全体が熱狂している状態でした。「本市が日本の玄関になる。国際都市として、世界各国の人々が集い、市内には100メートル超のビルが20棟以上建つ」と本気で考えていたほどです。
この頃は、議会ごとに工事請負契約案件があり、また、市民祭りや郷土芸能等の既存のイベント(祭り)に加え、花火や映画祭やマラソン等を新たに行うようになったため、年がら年中何らかのイベント(祭り)を開催しているというとんでもない状態でした。ちなみに、当時の事業やハコモノを思い付くままに列記してみると、市営住宅の建替事業、小中学校の建替事業、道路の建設事業や下水道の整備事業に加え、統廃合に伴う幼稚園建設事業、JR駅上の区画整理事業、南海駅高架事業及び駅上再開発事業、山間部のコスモポリス計画、臨海部のフィッシャーマンズワールド計画、市立病院建替事業並びに消防本部建替事業、さらに、健康増進センター、文化会館、生涯学習センター、歴史館、図書館、公民館及び青少年体育館の建設等々があります。
これだけでも、そら財政破綻するわっちゅー感じですが、これらの事業のほとんどに地方債が活用されました。何しろ、膨大な額の投資的経費は、その大部分が起債と補助金で賄われていました。
地方債を起こす場合、様々な制限があるはずなのですが、新空港によるおかげで、本市の場合はあっさりと認められていたようです。むしろ、国も大阪府も新空港のお膝元としてふさわしい基盤整備をするようにあおっていた節さえあります。しかし、あてにしていた新空港からの税収は、その期待を大きく裏切ることになります。こうして多額の地方債残高を抱えることとなったことが、将来負担比率393.5という数値に表れてくることになります。
本市は、大阪府南部の泉南地域に位置する、人口約10万人、面積約50平方キロメートルの市です。「タオルとたまねぎのまち」であった本市が、「世界の迎都」と称するようになったあげく、現在の危機的な財政状況を招くことになる最大の原因は、平成6年に開港した新空港に関連した過大なまでの設備投資にあります。
「市議会五十年史」で新空港建設に至る当時の様子を見ると、昭和45年6月定例会で「新空港設置反対の決議」を賛成多数で決議しています。これが、新空港に対する市議会としての最初の意思表明です。初めから新空港建設に賛成していた訳ではないということが分かります。ところが、早くも翌年の12月定例会では、「新空港誘致についての請願」と「新空港誘致に反対する請願」とが提出され、特別委員会を設置し、閉会中の継続審査に付しています。その後も、新空港誘致賛成、反対の請願が続出し、昭和49年3月定例会までには、合計37件もの請願が提出されることになります。新空港の誘致を巡って、苦悩している本市が想像できます。結局、航空審議会の結論が出ない中で、同年5月には市議会議員選挙を控えていたことから、この定例会ですべての請願を審議未了にしています。そして、同年8月には、航空審議会が「新空港は、大阪国際空港の廃止を前提」として、「泉州沖、神戸沖、播磨灘」の候補地のうち、「泉州沖が最適地」とする答申を提出します。その後も新空港関係の請願が相次いで提出されますが、この答申があってからは、徐々に新空港を歓迎する雰囲気が出来上がっていきます。その理由は、当時の本市の財政も危機的な状況にあったからではないでしょうか。新空港の建設に本市の未来を賭けたのではないかと思うのです。
一方、この頃の本市の行政は、混乱を極めていました。危機的な財政状況と新空港を巡る意見の対立に加え、当時の民生部長が収賄容疑で逮捕されるという事件や、同和行政を巡って市庁舎が占拠されるといった事件が発生します。こうした中、前々市長が、昭和51年1月、健康上の理由から任期半ばで退職し、同年2月に前市長が就任します。この前市長が、6期24年にわたってらつ腕を振るい、神様のごとく本市に君臨し、後に「国と府に1兆円の投資をさせた」と豪語することになるのですが、現在の評価は、芳しくありません。本市が財政健全化団体になった原因を作ったのは、この前市長であるというのが、その理由です。しかし、個人的には、政治家(市長)としては優秀な人物だったと思っています。よからぬうわさもありましたが、就任当時の数々の問題を解決し、新空港建設を前提としたまちづくりへと本市を導いた手腕は、大したものだと思います。
昭和56年3月定例会では、新空港問題で議場へ警官隊が出動するという事件もありましたが、前市長は、着実に新空港を推進していきます。昭和55年3月定例会では、新空港関連の地域整備計画の核として、埋立地によるユートピア計画について前市長が答弁していますが、それによると、新空港建設によって、12万人から18万人の人口増、そして120億円から180億円の税収増を予測しています。
最近、「無駄な公共事業を中止する」というキャッチフレーズをよく目にします。個人的には、100パーセント必要な公共事業もなければ、100パーセント無駄な公共事業もないと思うところですが、新空港建設は、当時の本市にとっては、かなり高い確率で必要な公共事業であったと思うのです。
NHK土曜ドラマ「再生の町」が放送されています。架空の市である大阪府なみはや市を舞台に、地方自治体の「財政破綻」と「再生への道のり」を描く社会派のドラマです。
門真市、泉南市及び堺市でロケをしているようですが、このドラマの放送が決まったときから、庁内ではウチ(本市)がモデルやと話題になっていました。「財政破綻」という事実だけでなく、NHK土曜ドラマのホームページで「再生の町」の予告に「新空港がうんぬん」という言葉があったからです。今のところドラマでは「新空港」らしきものは登場しませんが、ホームページで「キャスト」のなみはや市議会議長権藤武雄を見ると、「新空港の開設に合わせ、高層ビル、大型ホール、ニュータウン等の「なみはや未来計画」を前市長と二人三脚で推し進め、市の発展を計ってきたが、財政が破綻」とあります。
ドラマは5回で終了しますが、現実はそうはいきません。ドラマはドラマとして楽しみながら、リアルな「再生の町」について、思うところを書いてみたいと思います。ただし、財政に関してはまったくの素人ですので、的のはずれた内容になるかもしれません。
「大阪府泉佐野市は1日開会した9月定例市議会に、地方公共団体財政健全化法の早期健全化団体になることが確定したと正式に報告した。関西国際空港の開港に伴って実施した施設整備などの負担が響き、財政状況が極度に悪化し、改善できなかった。
同法に基づき2008年度決算から算出することになった4つの財政指標のうち、連結実質赤字比率が26.42%、将来負担比率が393.5%と財政の健全度を示す基準をクリアできなかった。
市は今後、市議会と調整しながら財政健全化計画をまとめ、来年3月までに国と大阪府に提出する」(9月2日付け日経新聞朝刊)。
「地方公共団体財政健全化法で、財政破綻寸前の「早期健全化団体」になることが確定した大阪府泉佐野市は1日、今年度中に策定する財政健全化計画の素案を市議会に示した。市は今後20年間で総額460億円の収支改善を目指して、職員数を4分の1減らし、遊休地の処分や市民サービスの手数料などの値上げを進める」(9月2日付け朝日新聞夕刊)。
「大阪府泉佐野市が、平成20年度決算から新たに適用される地方公共団体財政健全化法(新法)の基準で、財政破綻寸前の早期健全化団体に移行した。市が「危機的状況ではなく、(財政破綻した北海道)夕張市のようになるわけではない」とし、税収増などで3年連続の黒字を計上、国の地方交付税が配分されない不交付団体となるにもかかわらず、黄信号が点灯したのはなぜか。背景には開港15周年を迎えた関西国際空港関連投資という負の遺産があった」(9月5日付け産経新聞朝刊)。
「地方自治体財政健全化法の「早期健全化団体」入りが確定している泉佐野市が10日、市議会行財政委員会に示した財政健全化計画素案。公共施設使用料の値上げなど市民サービスに切り込む内容に、議員からは「市民に負担を強いるのはやめるべきだ」などと不満や疑問の声が相次いだ」(9月11日付け読売新聞朝刊)。
正に、リアル「再生の町」ですね。
平成18年4月1日から公益通報者保護法が施行されています。同法は、公益通報の要件が厳しい、公益通報者の保護の範囲が狭い等の批判もあるようですが、それまで何の保護もなかった公益通報者を法律で保護することとしたことは、大きな意味があると思います。
市町村においては、「国の行政機関の通報処理ガイドライン(内部の職員等からの通報)」(平成17年7月19日関係省庁申合せ)等を参考に訓令や要綱といった内部規程で内部職員からの公益通報を制度化しているところが多いように見受けられますが、運用状況の公表が0件となっているところがほとんどではないでしょうか。
公益通報者保護制度は、民間企業の労働者が処分又は勧告等の権限を有する行政機関に対して公益通報をすることに意味があるのであって、小規模な市町村が内部職員等からの公益通報を制度化したところで、機能はしません。
それは、通報対象事実がまれであるということが大きな理由ですが、大部分の市町村が内部組織として公益通報処理委員会を設置していることも無関係ではないと思います。もしも、本市のようなところで通報対象事実が存在するならば、副市長や部長がその当事者である可能性が高いからです。当事者で組織されている公益通報処理委員会に通報するような者は、いくら何でもいないと思います。
衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の期日前投票が行われています。期日前投票の期間については、衆議院議員総選挙(「公示又は告示があった日の翌日から選挙の期日の前日までの間」(公職選挙法第48条の2第1項))と最高裁判所裁判官国民審査(「審査の期日前七日から審査の期日の前日までの間」(最高裁判所裁判官国民審査法第26条ただし書))とでズレがあるのですが、このことを知らない選挙人も多いようです。
いわゆる替え玉(なりすまし)投票(詐偽投票)は、期日前投票でよく行われます。仄聞するところによると、投票所入場券を5,000円から10,000円程度で買収し、その際に生年月日を聞いておくそうです。シンプルですが、よく考えたものだと思います。期日前投票所でしたら顔見知りはほとんどいませんし、本人確認も生年月日を聞く以外のことはしないのが一般的だからです(本人を確認する書類の提示を求めている市町村もあるようです。)。
なお、公職選挙法第237条第2項は、「氏名を詐称しその他詐偽の方法をもって投票し又は投票しようとした者は、2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する」と規定しています。
ところで、去る7月5日に投開票のあった兵庫県知事選挙で姫路市の漁協が期日前投票をした人に2,000円を渡していたという事件がありました。後日放送されたTBSの「総力報道!THE NEWS」を見ると、うさん臭いのは分かるのですが、投票率を上げるために漁協が報奨金を出す行為と、例えば、商店街が「投票済之証」を持参すれば商品を割引きするという投票啓発キャンペーンとの違いがよく分かりません。商店街の投票啓発キャンペーンも公職選挙法違反ということなのでしょうか。
民法第7条を読んでいると、「本妻死後、保険を請求する」という言葉が脳裏によみがえってきました。この語路合わせ、みなさんは御存じでしょうか。
平成11年の民法の一部を改正する法律によって、禁治産及び準禁治産の制度が後見及び保佐の制度に改められ、新たに補助の制度が創設されました。この改正前の民法第7条は、「心神喪失の常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、保佐人又は検察官の請求により、禁治産の宣告をすることができる」と規定されていましたので、頭文字の語路を合わせて、「本(本人)、妻(配偶者)、死(四親等内の親族)、後(後見人)、保(保佐人)、険(検察官)を請求する」と覚えたものです(いつの話しや)。
現在、同条は、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる」と規定されています。「本妻死後、保険を請求する」は、役に立たなくなっていますが、こんなことはいつまでも覚えているものです。
法律上、「原動機付自転車」には、二種類の定義があります。
一つは道路交通法第2条第1項第10号(「内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であって、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう」)で、内閣府令で定める大きさは、「二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあっては、総排気量については0.050リットル、定格出力については0.600キロワットとし、その他のものにあっては、総排気量については0.020リットル、定格出力については0.25キロワット」(道路交通法施行規則第1条の2)とされています。もう一つは道路運送車両法第2条第3項(「国土交通省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具をいう」)で、国土交通省令で定める総排気量又は定格出力は、「@ 内燃機関を原動機とするものであって、二輪を有するもの(側車付のものを除く。)にあっては、その総排気量は0.125リットル以下、その他のものにあっては0・050リットル以下 A 内燃機関以外のものを原動機とするものであって、二輪を有するもの(側車付のものを除く。)にあっては、その定格出力は1.00キロワット以下、その他のものにあっては0.600キロワット以下」(道路運送車両法施行規則第1条)とされています。
いわゆる「90tのカブ」は、道路交通法上は原動機付自転車ではなく、道路運送車両法上は原動機付自転車であるということになります。
昭和55年に制定された自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律では、自転車等駐車場を一定の区画を限って設置される道路交通法第2条第1項第11号の2に規定する自転車又は同法第2条第1項第10号に規定する原動機付自転車の駐車のための施設と定義しています。当時は、道路交通法上の原動機付自転車にヘルメットの着用義務がなかったことから、「90tのカブ」との区別がはっきりしたのでしょう。
ところが、最近では、自転車等駐車場に「90tのカブ」が駐車しているのを見かけます。この場合、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律と同じ定義規定ではなく、実態に合わせた定義をする必要があります。
なお、地方税法第442条第1号は、原動機付自転車を「道路運送車両法第2条第3項に規定する原動機付自転車のうち原動機により陸上を移動させることを目的として製作したものをいう」と定義しています。
地方公務員が自分の意見を公表するということは、相応のリスクが伴います。それは、地方公務員法上の服務規定(例えば信用失墜行為の禁止(第33条)、守秘義務(第34条)、職務専念義務(第35条)等)に違反した場合における懲戒処分だけではなく、有形無形の様々な不利益を被る可能性があります。
特に、不特定多数の人の目にふれるブログを書くということは、ある程度、読者層が特定される雑誌等への投稿や論文の発表などに比べ、その可能性が増大します。事実、ブログを書いたことによって何らかの嫌がらせを受けたという話は、よく聞きます。
それでもブログを書いてみようと思ったのは、本市職員を第一の読者層として意識したからです。本市職員に対する情報発信ということを考えた場合、ブログの持つお手軽さという特性が最もマッチングするように思えたのです。
全国には、1,800弱の市町村が存在します。そのうちの一つである本市で行われていることが、市町村のスタンダードではありません。何の問題意識も持たず、流れに任せて仕事をするのではなく、何が正しく、何が間違っているのかを考えるきっかけになればと思い、始めたものです。
巷間の公務員ブログを読ませていただくと、中には非常にレベルの高いものがあり、研究論文かと思うものさえありますが、反則法制は、あくまで、しょぼい市のしょぼい職員のたわごとというスタンスで書いていきたいと思っています。
2年4か月以上にわたって書いてきた反則法制も今回で200回目になります。どの市町村にも大なり小なりのタブーは存在すると思いますが、特に本市は、アンタッチャブルな部分が多いと思います。まだ、本当に書きたいことは、書けていないのです。
「全国でも「ワースト3」の財政危機に陥っている泉佐野市が、新年度は国から地方交付税をもらえない「不交付団体」になりそうだ。昨秋、たばこ販売会社が市内に移転し、市のたばこ税収入が大幅に増えるためだ。だが、市には過去の多額の借金が重くのしかかり、08年度決算で早期健全化団体に転落するのは避けられそうにない。
25日発表の09年度当初予算案で市は、普通交付税の計上を見送った。市たばこ税が前年度の3倍の約23億円となるおかげで、市税収入は前年度当初比で約15億円増え、交付税をもらえる条件を超えるのが確実となった。
不交付団体は「裕福な自治体」の証しともいえるが、同市は、07年度決算で赤字額の多さを示す連結実質赤字比率が39.31%と全国で3番目に悪く、財政再生団体に転落する基準(40%)ぎりぎりだった。08年度決算で、自治体財政健全化法で財政再建の計画策定が義務づけられる早期健全化団体に転落する見込みだ。関西空港の開港による税収増を当て込んで公共事業を進めたが、思うように税収が伸びなかったためで、人口1人あたりの借金残高は約73万円と府内で最も多い。
新田谷修司市長は「不交付団体でワーストランキングに入るのはウチぐらいだろう。『とらぬタヌキの皮算用』で(関空関連の事業を)やったのはしかたがない。必要な事業をしながら借金を着実に減らしたい」と話す」(2月26日付け朝日新聞朝刊)。
また、2月26日付け読売新聞朝刊は、「泉佐野市健全化団体へ」の見出しで一面トップでした。
ごっつい話しです。あまりにもごっつすぎて、これ以上は書けません……
ちなみに、たばこ税の問題については、「企業誘致条例」(前編2007年11月19日、後編同年12月5日付けブログ)を参照してください。
介護保険条例は、計画期間ごとに保険料率を定めるという形をとっています。このことから、保険料の改正に係る介護保険条例の一部を改正する条例が、もしも否決されたらどうするのかという疑問があります。おそらくは、新たな計画期間の保険料率が規定されないことを避けるため、現行の条例と同額の保険料率を定めた臨時措置条例又は計画期間のみを改正する一部改正条例を専決処分することになるのではないでしょうか。
今回の介護保険条例の改正は、介護保険法施行令及び介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令の一部を改正する政令及び介護保険法施行令の一部を改正する政令の施行に伴い、第4期(平成21年度から平成23年度まで)の保険料を定めるに当たり、年度ごとに保険料率を算定し、保険料の激変緩和措置を講じようというものです。
一般的には、平成21年度から平成23年度までの保険料率を本則で規定し、平成21年度及び平成22年度における保険料率の特例を改正条例の附則又は原始条例の附則で規定することとされたのでないかと思います。本市の場合は、第4期の保険料を均一にしたことから、介護保険法施行令附則第11条第1項及び第2項に規定する者も含めて、9段階を各号列記にし、すべて本則で規定することにしました。介護保険課からの依頼で、市民に対して説明がしやすい規定にしたつもりです。
介護保険条例について、分かりやすさということを考えるならば、計画期間ごとに介護保険の保険料率を定める条例を制定するというのも一つの方法かと思います。
麻生首相の漢字能力が問題になっています。「踏襲」を「ふしゅう」、「未曾有」を「みぞうゆう」、「頻繁」を「はんざつ」等と誤読したのが始まりだったと思うのですが、以後、マスコミも面白がって、誤読するごとに報道しています。前の安倍首相を指して「空気が読めない」という意味で使われていた「KY」が、麻生首相に対しては「漢字が読めない」という意味も加わったそうです(さらに、「経済をよく知らない」という意味もあるそうです。)。
そのせいか、「読めそうで読めない間違いやすい漢字」(出口宗和著/二見書房)の売行きが好調らしいのですが、それよりも気になったのは、首相の読む原稿に振り仮名を振っていないのかということです。読み原稿に振り仮名を振るということは、本市では結構大事なことなのです。特に、議会では、小学生程度の漢字が読めない議員もいらっしゃいます。
国の首相と市町村の議員を同列にするなと言われる方もいらっしゃると思いますが、だからこそ、事務方がサポートしてやるべきだと思うのですが……
風邪をひいてフラフラです。が、何とか3月定例会の議案審査を終えました。
みなさんも時節柄、くれぐれも御自愛ください。
実は、地方公共団体が財政健全化計画を定めるに当たり、個別外部監査契約に基づく監査を受けるためには、条例制定が必要であると思い込んでいました。
平成9年の地方自治法の改正で制度化された外部監査契約に基づく監査は、本市にはあまり関係がないと思い、都道府県、指定都市、中核市及び条例により定めた市町村が締結する契約であるという程度の理解しかしていなかったことと財政健全化法第26条第1項が理解できていなかったことがその原因です。さらに言うならば、条文の読込みが不足していました。
この件に関して、おおさか政策法務研究会のメンバーに質問したところ、数名の方から連絡をいただき、改めて条文を読み直してみました。
財政健全化法第26条第1項は、「財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならない地方公共団体の長は、これらの計画を定めるに当たっては、あらかじめ、当該地方公共団体の財政の健全化のために改善が必要と認められる事務の執行について、監査委員に対し、地方自治法第199条第6項の監査の要求をしなければならない。この場合においては、同法第252条の41第1項中「第199条第6項」とあるのは「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)第26条第1項の規定に基づく第199条第6項」と、「監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体」とあるのは「同法の規定により財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならない地方公共団体」と、「同項の要求をする場合において、特に必要があると認めるときは、その理由を付して、併せて」とあるのは「同項の要求と併せて、理由を付して」と、「求めることができる」とあるのは「求めなければならない」と読み替えて、同法第2編第13章の規定を適用する」と規定しています。
同項後段の規定によって読み替えた後の地方自治法第252条の41第1項は、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)第26条第1項の規定に基づく第199条第6項の要求に係る監査について、同法の規定により財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならない地方公共団体の長は、同項の要求と併せて、理由を付して監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めなければならない」となります。
素直に読めば、「監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体」が「同法の規定により財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならない地方公共団体」に読み替えられていますので、財政健全化計画を定めなければならない地方公共団体は、契約に基づく監査によることができることを条例により定める余地はなく、個別外部監査契約に基づく監査が、そもそも法律上、義務付けられていることが分かります。
「自治実務セミナー2008年4月号」(第一法規)の実務講座「地方財政の健全化(三)」にも「健全化判断比率が早期健全化基準を上回る等に至った団体においては原則として執行機関内部の行財政運営に問題があるものと考えられることから、個別外部監査による監査を求めることを義務付けることにより、執行機関を統轄し予算編成権を持つ当該団体の運営責任者たる長に、これまでの行財政運営のかかわりのない専門的な第三者の見地から必要な指摘を受ける責務を負うものとして、現行の地方自治法にのっとって個別外部監査の要求を義務付けることにより、問題を内包すると思われる事項について外部監査法人による監査が実施されることを追求する責務を一律に負わせることとしているものである」との記述があります。
このことで、法規担当者の仕事として最も基本かつ大事なことを再確認しました。それは、「条文、読め!2回、3回と読んでも分かれへんかったら、100回でも200回でも分かるまで読め!」ということです。
「関西国際空港と対岸の大阪府泉佐野市を結ぶ連絡橋の道路部分が国有化され同市が固定資産税を失う問題で、同市の新田谷修司市長は2日、「国土交通省から財政支援が得られた」として、橋の通行車両に往復150円の「通行税」を課税する条例を撤回する方針を示した。市が関西空港会社に求めていた固定資産税の減免分約4億7000万円の返還も取り下げるという。
国は年度内にも連絡橋の道路部分を国有化し、早ければ4月から現行普通車で往復1500円の通行料金が半額程度まで引き下げられる見通しとなった」(2月3日付け産経新聞朝刊)。
うーん……何か、ちょっと残念。しょーもなっちゅー感じですね。
印紙税は、契約書や領収書などの課税文書に課される税金であり、課税文書の作成者は、自ら納付すべき税額を算出し、印紙税に相当する額の印紙を文書にはり付け、消印する方法によって納付しなければなりません。
課税文書の作成者は、「当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない」(印紙税法第8条第2項)とされており、また、印紙を消す場合は、「自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない」(印紙税法施行令第5条)とされています。
消印は、必ずしも当該課税文書に押した印章である必要はなく、「氏名、名称等を表示した日付印、役職名、名称等を表示した印を含むものとする」(印紙税法基本通達第65条)とされています。また、従業員のサインにより印紙を消す場合は、通称や商号でも可能ですが、丸に印と表示したり、傍線によることは不可とされています。
なお、課税文書の作成者がはり付けた印紙を市長公印でも消している場合がありますが、地方公共団体は、課税文書の作成者ではありませんので、その必要はありません。
「兵庫県丹波市で出土した恐竜の化石「丹波竜」にちなんだキャラクター「ちーたん」に5日、市から特別住民票と市PR特命大使の辞令が交付された。
丹波竜は2006年に初めて化石が見つかり、同県立人と自然の博物館の発掘調査で昨年までに、しっぽや肋骨、頭骨の一部などが出土した。ちーたんは「地層」「地球」「丹波」などの言葉をイメージして名付けられ、この日の仕事始めに合わせて着ぐるみが初披露された。
辞令を渡した辻重五郎市長は「明るいキャラで不況で元気のないムードを払拭してほしい」と期待していた」(1月5日付け読売新聞夕刊)。
特別住民票は、当然、住民基本台帳法の規定による住民票の写しではないのでしょうが、着ぐるみに誰が入っているのかが少し気になりました。おそらく観光担当課の職員が入っているのではないでしょうか。そうすると、市PR特命大使の辞令はお遊びだとしても、着ぐるみを着てちーたんを演じるのは職務命令ということになります。
こうしたゆるキャラが全国各地で大人気だそうです。1月1日付けの読売新聞にも全国のご当地ゆるキャラが特集されていました。そこで、地方公共団体の木や花のように例規集にゆるキャラを掲載している地方公共団体はないかと探してみたのですが、見つけることができませんでした。しかし、ゆるキャラを商標登録した上で、使用規則を制定しているところがありました。その規則の様式には、ゆるキャラのイラストが規定されていました。
各地方公共団体の例規集を見ていると、複数の木や花を制定したり、市域を細分し、地域の木や花を制定したり、木や花だけでなく、鳥や魚介や昆虫などを制定しているところもあり、また、制定の方法が議会の議決によっているところなどもあって、おもしろかったです。
その1 現時点で、ポシャてしまう可能性も出てきた定額給付金
この事務、自治事務なんですね?法令に規定のない自治事務ということですか。市町村の事務で、法定受託事務ではないから自治事務ということなんでしょうが、定額給付金事務の性格を考えると法定受託事務でしょう。
自治事務であるならば、事務を行わないということも可能なはずです。そんな根性を見せてくれる市町村が現れてほしいです。
それにしても、内閣総理大臣の思いつきが自治事務とは……地方分権て何なのでしょうか。
その2 大阪府知事の公立小中学校での携帯電話追放宣言
本市の小中学校では、既に携帯電話を禁止しています。おそらく他の市町村も同様でしょう。
そもそも、携帯電話禁止うんぬんは、校則の問題です。大阪府知事が、公立小中学校の校則にまで口を出してくるとは……地方分権て何なのでしょうか。
「府は27日、橋下徹知事が掲げる地方分権のビジョンの素案を発表した。大阪から分権改革を発信するのが狙い。10年度からの4年間で、府から全市町村に特例市(人口20万人以上が指定の要件)並みの権限を移譲する、などとした「工程表」を示した。
タイトルは「大阪発地方分権改革<rジョン」。市町村への権限移譲、府と大阪市の役割の整理、道州制の実現の3本柱で構成している。18年度までの目標として、市町村合併を促して府内をすべて中核市(人口30万人以上が指定の要件)以上にすることや、関西州の実現を掲げた。
府は来月から市町村とビジョンについて協議する予定だが、権限移譲に伴う財源移譲については「分析中」として明らかにしていない。パブリックコメントを28日から実施し、今年度末までに策定する。
橋下知事は素案について「すばらしい内容。非常に具体的にこれから進めるべき課程を示せた」と自賛した」(11月28日付け朝日新聞朝刊)。
ふーん、そうですか……本市も4市3町以上の規模で合併して中核市ですか。
「橋下徹知事は27日、自民、民主、公明、共産の各会派の府議団と、平成21年度の予算編成について協議した。私学助成など、20年度に削減した事業の見直しを求める各会派に対し、知事は「このままでは予算が組めない。一緒にどこを削るか考えてほしい」と要望。国の厳しい管理下に入り、自治体独自の事業ができなくなる「財政再建団体」への転落にも言及し、厳しい財政状況を訴えた。
「一緒に責任を持って議論していただきたい。議員の要望を受けて行政が予算を組むという従来のやり方を、大阪から変えたい」
知事はこう協力を訴えたが、府議からは「住民サービスをこれ以上削るべきではない」(自民幹部)、「事業の優先順位をつけるのは知事の仕事」(民主幹部)など反論が相次いだ。
知事は「いっそ、財政再建団体になった方が府の再建が進むのでは」と発言し、府幹部が「自治体は債権放棄ができない。大事なのは自助努力」とたしなめる場面もあった。終了後、再建団体への転落を持ち出したことについて「負担を将来世代に先送りするぐらいなら−ということ。府民や職員に覚悟を持ってほしくて使った」と説明した」(11月28日付け産経新聞朝刊)。
ふーん、そうですか……大阪府も予算が組めないような状況ですか。
夢を語るのも結構ですが、もっと地に足をつけた行政をするべきではないでしょうか。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第27条第1項は、「教育委員会は、毎年、その権限に属する事務(前条第1項の規定により教育長に委任された事務その他教育長の権限に属する事務(同条第3項の規定により事務局職員等に委任された事務を含む。)を含む。)の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならない」と規定しています。この報告書の議会への提出については、どのようにされます(されました)か?
本市では、議案の一部(報告案件)として議会に報告した健全化判断比率及び資金不足比率(2008年7月29日付けブログ参照)とは異なり、議長あてに文書で提出し、12月定例会の議員協議会又は常任委員会で報告を行うということにしました。
これは、同じ規定ぶりである地方自治法第199条第9項(「監査委員は、監査の結果に関する報告を決定し、これを普通地方公共団体の議会及び長並びに……に提出し、かつ、これを公表しなければならない」)が、「監査委員が監査の結果を議会に提出するのに、提出議案のような形式をとる必要はない」(昭和27年6月10日行政実例)と解されていることによりました。
矛盾しますが、本市では、監査の結果に関する報告については、以前から議案の一部(報告案件)として議会に提出しています。「監査委員は、監査の結果を議長に文書で提出すれば足りるが、第121条の規定により要求があれば、議場において報告の内容を説明することができる」(昭和33年11月17日行政実例)とも解されていますので、これは、一つのローカルルールということで……。
なお、教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価に関する報告書についても、第121条の規定による要求があれば、議案の一部(報告案件)として議会に提出することになるかもしれません。
追記として、いくつかの市町村から御照会をいただいた出産育児一時金については、一律380,000円に改正することになりました。理由は、市長の判断です。病院の料金(分娩料)改定と合わせて、12月定例会に提案します。
15日(土)、16日(日)と総務課の親睦旅行で播磨〜丹後方面に行ってきました。
総務課の親睦会は、会費は一律で、人事異動に伴う歓送迎会と年に一度の親睦旅行を行っています。最近では、親睦旅行をしない課も増えてきており、親睦会に入らない職員や、また、親睦会そのものがない課もあります。十数年前と比較すると、全庁的に職場の人間関係がギスギスしてきたように感じます。
なお、親睦会では、職員が飲むお茶代も徴収しています。以前は、各課に冷蔵庫や電気ポットがあったのですが、今では、電気代削減のため、廃止されています。
例えば、市町村の職員が公用車を運転中に住民と接触事故を起こし、示談によって解決した場合、地方自治法第96条第1項第12号及び第13号の規定により、和解及び損害賠償の額を定めることについて、議会の議決が必要です。和解と損害賠償の額を定めることとは別々の行為ですが、その関連性から、一般的には、「和解及び損害賠償の額を定めることについて」というように、一つの議案として提出されている例が多いと思われます。
しかし、これが地方公営企業の場合は、少し事情が異なります。地方公営企業法第40条第2項が「地方公営企業の業務に関する負担附きの寄附又は贈与の受領、地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起、和解、あつせん、調停及び仲裁並びに法律上地方公共団体の義務に属する損害賠償の額の決定については、条例で定めるものを除き、地方自治法第96条第1項第9号、第12号及び第13号の規定は、適用しない」と規定し、また、「○○市(町村)水道事業の設置等に関する条例〔準則〕」(昭和41年8月20日自治企−第2号)第6条が「水道事業の業務に関し法第40条第2項の規定に基づき条例で定めるものは、負担附きの寄附又は贈与の受領でその金額又はその目的物の価額が○○千円以上のもの及び法律上市(町村)の義務に属する損害賠償の額の決定で当該決定に係る金額が○○千円以上のものとする」と規定しているからです。
つまり、条例準則(現在も〔準則〕のまま?)どおりに「法第40条第2項の規定に基づき条例で定めるもの」を規定しているのであれば、地方公営企業については、「地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起、和解、あつせん、調停及び仲裁」については議会の議決が不要であり、「○○千円以上」の「法律上市(町村)の義務に属する損害賠償の額の決定」についてのみ議会の議決が必要ということになります。
本市の市章は、他の多くの地方公共団体と同様に、例規集に掲載し、その書き方を表示しています。当然のこととして、線の太さや長さ、線が交差する角度等が決まっています。
ところが、道路標識等に使用されている市章は、厳密には少々異なっています。おそらく、例規集に掲載されていることを知らない職員が、「こんな感じ」で作成したものが出回ったのではないでしょうか。
個人的には、この微妙な違いが気になっています。こんなことを気にしている人間は、一人しかいないでしょうが……
なお、少数ですが、市章を条例で制定している市もあります。
11日(木)、おおさか政策法務研究会のメンバーで関東学院大学法学部教授の出石稔先生を囲んで懇親会を開催しました。その席上での会話です。
自分「加除式図書のとじひもの結び方て、業者によって違うんですわ。」
先生「えっ、そうなんですか?」
自分「はい。ぎょうせいは、こうやって、こうで、第一法規は、こうやって、こうです。」
先生「新日本法規は?」
自分「いや、そこまでは知りません。」
先生「おもしろいですね。今度、論文に書いてくださいよ。」
自分「そんなん、誰が読むんですか。」
と言ったのですが、ここで紹介します。
本を横倒しにして、左手で上部のひもを、右手で下部のひもを持ちます。
ぎょうせいの場合、
@ 右のひもを左のひもの上から下へ(手前から向こうへ)かけて結びます。
A 左右のひもが逆になります。今度は、右のひもを左のひもの上から下へ(向こうから手前へ)かけて結びます。
ぎょうせい結びは、結び目が8の字っぽくなるのが特徴です。
第一法規の場合、
@ 右のひもを左のひもの上から下へ(手前から向こうへ)かけて結びます。
A 左右のひもが逆になります。右のひもを左側にひっぱって左端へもっていき、適当なところで折り曲げて輪っかをつくります。
B 右のひもで作った輪っかの下を左のひもで上から下へ(手前から向こうへ)かけて結びます。
第一法規結びは、上部にチョウチョ結びの片羽を作るのが特徴です。
正確には「○○結び」という呼び名があるのでしょうが、知りません。個人的には、第一法規結びの方が好きです。
「大阪府泉佐野市議会は19日、関西空港と対岸を結ぶ連絡橋道路(3.75キロ)の通行車両に、往復150円の「通行税」(空港連絡橋利用税)を課す条例案を賛成多数で可決した。地方税法上の税とは別に自治体が課税する法定外税で、市は今後、総務相の同意を求める。公共道路を通る車に地方税を課すのは全国で初めて」
「全国初の通行税案は6月に急浮上した。きっかけは昨年末、国が連絡橋道路を関空会社から買い取り、往復1500円(普通車)の通行料金を800円程度に下げる方針を決定したことだった。年約8億円の橋の固定資産税を失う市は「財政破綻の恐れもある」と減収分の補填を国に再三求めたが、音さたなしの状態が続いた。業を煮やした市は「通行車が関空会社に払ってきた通行料金には税相当額も含まれる」との解釈を持ち出し、6月に通行税を検討する有識者らの委員会を設置。8月はじめに「やむを得ない」との見解をもらった」(8月20日付け朝日新聞朝刊)。
「可決によって、今後は総務相の同意の可否が注目される。しかし、自治体関係者の間では「今回の利用税は、連絡橋を買い取り、関空会社を支援するという国の施策に相対する。政治的に考えると不同意に傾く可能性もある」との意見がある一方、「税務上無理という声は聞こえてこない」と指摘する声も出ており、曲折が予想される」(8月20日付け産経新聞朝刊)。
泉佐野市の反乱です。これが単なる暴挙に終わるのか、それとも大英断になるのか注目したいと思います。
地方自治法第204条第3項が「給料、手当及び旅費の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない」と規定しているのに対し、地方公営企業法第38条第4項は「企業職員の給与の種類及び基準は、条例で定める」と規定しています。企業職員は、その職務の特殊性から、「給与の種類と基準のみが条例で定めなければならないこととされ、その額および支給方法については条例で規定することを要せず、管理者限りでこれを定めることができる」(「地方公営企業法逐条解説」関根則之著/財団法人地方財務協会)とされています。
また、「企業職員の労働関係については、地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27年法律第289号)の定めるところによる」(地方公営企業法第36条)とされており、長部局の職員に比べて、強い団結権と団体交渉権が与えられています。
これらの規定が原因の一つになっているのかどうか分かりませんが、企業職員の給与その他の勤務条件には、首を傾げざるを得ないようなものが見受けられます。
ちなみに、I市が「激務などを理由に麻酔科の常勤医が一斉退職する見通しとなり、後任の医師を確保するため、病院側が最高で年3500万円の報酬を雇用条件に提示」(2月20日付け朝日新聞朝刊)したことについても、なぜこれだけの報酬を支給できるのかよく分かりません。
地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項は、「地方公共団体の長は、毎年度、前年度の決算の提出を受けた後、速やかに、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率(以下「健全化判断比率」という。)並びにその算定の基礎となる事項を記載した書類を監査委員の審査に付し、その意見を付けて当該健全化判断比率を議会に報告し、かつ、当該健全化判断比率を公表しなければならない」と規定しています。
総務省のホームページの地方公共団体財政健全化法関係資料には、説明会配付資料(平成19年11月15日開催)の資料4「地方団体から寄せられた意見等に対する総務省の見解(平成19年11月現在)」で「比率の報告は、専決処分報告とは異なり、議決の対象ではない」とあります。しかし、この見解は、第179条第3項の専決処分報告のみを考慮しているのではないでしょうか。
繰越明許費の繰越報告が「普通地方公共団体の長は、……次の会議においてこれを議会に報告しなければならない」(地方自治法施行令第146条第2項)と規定されているように、地方自治法第180条第2項も「専決処分をしたときは、普通地方公共団体の長は、これを議会に報告しなければならない」と規定されており、「本条の専決処分についても次の会議において議会に報告することが法意と解され」(昭和31年4月2日行政実例)ています。同様に、健全化判断比率及び資金不足比率も次の会議において議会に報告するべきではないでしょうか。これは、教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価等が、「教育委員会は、……これを議会に提出するとともに……」(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第27条第1項)と規定されているのと性格を異にします。
議案番号の付し方など、地方公共団体によってローカルルールがあるかと思いますが、本市の場合は、議案の一部(報告)として議会に報告します。
なお、9月定例会の話題としては、平成20年6月18日付け総行行第73号総務省自治行政局行政課長通知で「改正法の施行日以降、新たな報酬等の支給までに、報酬等に関する条例の改正が必要であること」という無茶な通知もありました。この通知に関しても、いくつかの市町村から問い合わせをいただきましたが、本市は、「公布の日から施行」します。
「30日午前9時10分ごろ、大阪府富田林市常盤町の同市役所正面玄関のガラズ扉に乗用車が突っ込んだ。乗用車の後部座席にはLPガスボンベやポリタンクなどが大量に積まれており、運転していた男が市職員らにペットボトルを投げつけたり、ライターを取り出したりするなどしたため、市の嘱託職員(61)が取り押さえ、駆けつけた富田林署員が男を威力業務妨害と建造物損壊で現行犯逮捕した」(6月30日付け産経新聞夕刊)。
幸いにしてけが人が出なかったようですが、「犯行時、包丁などの刃物5、6本を携帯していたことが30日、富田林署の調べで分かった」(7月1日付け産経新聞朝刊)そうですから、大惨事の可能性もあった訳です。
本市でも先週、来庁した市民が暴れ、警察が出動する騒ぎがありました。以前、鳥取県がスタンガン等の防犯グッズを予算要求したことが話題になりましたが、市町村も自己防衛のために武装する必要があるのかもしれません。
泉佐野市が法定外税を創設しようとしています。
地方分権一括法による地方税法の改正により、法定外税については、地方分権推進の一環として、課税自主権の尊重、住民の受益と負担の関係の明確化、地方団体の課税の選択の幅の拡大などの観点から、法定外普通税が許可制から協議制に改められるとともに、新たに法定外目的税が創設されています。理論上は、地方公共団体が、住民の意向を踏まえた上で、自らの判断と責任において、法定外税の創設をはじめとする課税自主権を活用することは、地方分権の観点からは望ましいものと考えられています。総務省のホームページによると、平成19年4月1日における市町村の法定外普通税としては、城陽市(京都府)の山砂利採取税、中井町(神奈川県)及び山北町(神奈川県)の砂利採取税、熱海市(静岡県)の別荘等所有税、太宰府市(福岡県)の歴史と文化の環境税、薩摩川内市(鹿児島県)の使用済核燃料税、豊島区(東京都)の狭小住宅集合住宅税があり、法定外目的税としては、富士河口湖町(山梨県)の遊漁税、北九州市(福岡県)の環境未来税、柏崎市(新潟県)の使用済核燃料税、伊是名村(沖縄県)の環境協力税があります。
泉佐野市が法定外税の創設に至る一連の流れを新聞記事で紹介すると、「2008年度予算の財務省原案が内示された20日、関西空港と対岸を結ぶ連絡橋「スカイゲートブリッジ」(3.75キロ)の道路部分を国が買い取ることが決まり、泉佐野市は固定資産税約8億円の税収が見込めなくなった。06年度普通会計決算で8年ぶりに黒字転換し、財政再建団体に転落する危機から脱したばかりの同市は「死活にかかわる大問題」と頭を抱えている」(12月21日付け読売新聞朝刊)。
「連絡橋国有化を受けて同市は空港島ターミナルビルなどへの固定資産税率アップなどの穴埋め策を検討したが、市内部から「関空会社へ課税額を増やせば行政訴訟を起こされかねない」との声が上がり棚上げ」(1月27日付け毎日新聞朝刊)。
「関西国際空港と対岸を結ぶ関空連絡橋を関西国際空港会社が国に売却するのに伴い、年間約8億円の固定資産税を失うことになる大阪府泉佐野市は21日、過去の連絡橋固定資産税の減免を取り消し、約4億7000万円を関空港会社に課税する通知を送付した。納期は今年度末」(5月22日付け産経新聞朝刊)。
「関西空港島と対岸を結ぶ連絡橋の国有化で年約8億円の固定資産税収入を失う大阪府泉佐野市が、連絡橋の通行車両の所有者に課税する「入島税」導入の検討を始めたことがわかった。国の財政支援を得られない場合の歳入確保策で、1往復100円の課税案が浮上している」(6月14日付け読売新聞朝刊)となります。
6月7日付け産経新聞朝刊の記事です。
「東京都が住民基本台帳(住民票)の転出入地に、「台湾」の記載を認める通知を都内の全区市町村に出したことが6日、わかった。国が管轄している公文書で「台湾」表記は認められておらず、都道府県が公文書で「台湾」の表記を認めるのは初めてという。
都は昭和62年に都内の自治体に対し、台湾から転入届が出された場合の旧住所の国名表記について「外国人登録事務に準じて『中国』と記載する」よう全区市町村に通知していた。
住民基本台帳業務の国名表記は、平成12年の地方分権一括法の施行により、区市町村が独自で判断できるようになっていたが、都内の区市町村では62年通知をもとに「中国」のほか、「中国(台湾)」「中国台湾省」などの表記で対応が分かれていた。
「台湾」の表記については都に度々問い合わせがあり、対応を協議した結果、「62年の通知は現状に即していない」と判断。住民が異動届に「台湾」と記載した場合、そのままの記載を「差し支えない」とした。
日本国内の公文書では政府の「一つの中国」方針に従い、「台湾」表記は認められていない。」
「62年通知」というのは、おそらく、昭和62年8月5日付け日野市照会に対する回答のことでしょう。確か「窓口事務質疑応答集」(市町村自治研究会編集/ぎょうせい)にも同様のQ&Aがあったように思うのですが、見当たりません。削除されたのでしょうか。
ところで、「住民基本台帳業務の国名表記は、平成12年の地方分権一括法の施行により、区市町村が独自で判断できるように」なったのですか?まったく知りませんでした。
戸籍法の一部を改正する法律及び住民基本台帳法の一部を改正する法律の施行に伴う手数料条例の一部を改正する条例については、4月中に専決処分を行わず、6月定例会に上程した市町村も多いのではないかと思います。
地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部を改正する政令が3月19日に公布されましたが、戸籍法第126条の規定による「学術研究等の目的のための戸籍情報の提供」に係る閲覧手数料が規定されていないことに疑問を持ちませんでしたか?これは、4月7日に公布された戸籍法施行規則の一部を改正する省令を読むと理解できます。
戸籍法第126条は「法務省令で定める基準及び手続により…(略)…提供することができる」と規定されています。これを受け、戸籍法施行規則第79条の12は、戸籍法第126条の規定による情報の提供については「記載した事項についての証明書を交付することによつて行うものとする」(磁気ディスクをもって調製されているときは、全部又は一部を証明した書面の交付)と規定されています。よって、同条の閲覧手数料は、発生しません。
なお、手数料条例の一部を改正する条例が施行される前に戸籍法第126条の規定による請求があった場合には、無料で対応することになります。
5月19日付け産経新聞夕刊の特集記事「風」に「公務員は奴隷ではない」という見出しの記事が掲載されています。
「書類がそろい、法律上の問題がなければ、議会の議決をふまえた方針に従って粛々と仕事を進めるのが公務員の職務だ。議案を提案するのは首長。それを審議し、可否を決めるのは議員というのが自治体の意思決定の根幹だ。
一般公務員の側に立つと、忠実に方針に従った者が、責任を取らなくてはならないというのはおかしいということになる。仮に旧知事時代の府庁職員が「これでは借金が増えるから、職務をやらない」としていれば、それは命令違反。一般職員の責任を取りざたするのは酷という意見は、おおむねそうした主張だ。」
職員が矛盾を感じながらも、市民の罵声に耐えて仕事をしているということは多々あります。職務命令は、それが当然無効である場合以外は、拒否することはできないからです。
行政に無駄があることは否定しませんが、地方公共団体が赤字であるということは、歳入を超える行政サービスを行っているということでもあります。そもそも、地方公共団体は、営利企業ではないのです。
「秘密のケンミンSHOW」というTV番組をたまに見ています。結構面白いのですが、妙な違和感があります。それは、文化や習慣を「ケンミン」と都道府県単位でくくっているからではないでしょうか。
例えば、大阪府は、旧国名(令制国)としては、摂津の国の一部と河内の国と和泉の国の3国からなっています。こうした旧国が成立したのは奈良時代です(多分?間違っているかもしれません)。それから明治まで究極の分権型国家が続くのですから、当然、お国(もっと小さな地域)ごとに様々な文化や習慣が出来上がっていきます。現に、大阪府では、摂津・河内・和泉ごとに文化や習慣が違い、また、言葉さえも微妙に違っています。
大阪府は、北高南低とよく言われます。教育、文化、福祉、医療等々、あらゆる分野で南部(特に泉南地域)は、北部(特に北摂地域)に比べて劣っていると言われています。関西国際空港の開港後も、この関係に変化はありません。
本市は、泉南地域に位置しています。当然、こうしたコンプレックスは、本市の職員のほとんどが感じています。
土地開発公社の定款の変更が市議会3月定例会で可決されたことに伴い、土地開発公社の定款を例規集に登載することにしました。すると、委託会社から、改正履歴に「一部変更」とあるが、「認可」又は「議決」ではないかと確認の電話がありました。
公有地の拡大の推進に関する法律第14条第2項は「定款の変更(政令で定める事項に係るものを除く。)は、設立団体の議会の議決を経て第10条第2項の規定の例により主務大臣又は都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない」と規定されており、公有地の拡大の推進に関する法律施行令第6条は、定款の変更に議決及び認可を要しない事項として、「@事務所の所在地の変更、A土地開発公社の設立団体である地方公共団体の名称の変更、B主務大臣の指定する事項」を掲げています。そして、公有地の拡大の推進に関する法律施行令第6条第3号に規定する主務大臣の指定する事項(昭和63年10月7日建設省・自治省告示第3号)によると、「公有地の拡大の推進に関する法律の一部を改正する法律(昭和63年法律第41号)の施行に伴い必要となる土地開発公社の業務の範囲に関する規定の修正でその範囲を変更することのないもの」とあります。
改正履歴にある定款の「一部変更」は、この主務大臣の指定する事項に該当するものでしたので、そのまま「一部変更」としておいてくださいと返答しました。
非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の一部を改正する政令(平成20年政令第68号)が平成20年3月26日に公布されました。非常勤消防団員等公務災害補償条例が市(町村)消防団員等公務災害補償条例〔例〕(昭和41年4月14日自消乙教発第8号)どおりであるならば、当然、改正の必要があることになります。しかし、本市では、非常勤消防団員等公務災害補償条例を市立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償条例に準じて、平成18年に全部改正しています。
市〔町村〕立の学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例〔例〕(平成13年4月23日13文科ス第68号)で公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償の基準を定める政令に定める基準とまったく同じ規定内容となる場合には、同政令の規定の例によると規定することも差し支えないとされました。公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律第4条第1項は「補償に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で定める」と規定されています。地方公務員災害補償法第69条第1項が「条例で、……補償の制度を定めなければならない」と規定されているのに対し、消防組織法第24条第1項も「政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、……」と規定されていることから、非常勤消防団員等公務災害補償条例についても、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の規定の例によるとしたものです。
ところで、政令に定める基準と異なる公務災害補償条例を制定している市町村は、あるのでしょうか。
「市町村長は、法務大臣に対し、当該市町村の議会の議員の選挙権を有する住民で、人格識見高く、広く社会の実情に通じ、人権擁護について理解のある社会事業家、教育者、報道新聞の業務に携わる者等及び弁護士会その他婦人、労働者、青年等の団体であつて直接間接に人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員の中から、その市町村の議会の意見を聞いて、人権擁護委員の候補者を推薦しなければならない。」(人権擁護委員法第6条第3項)
人事案件の中でも、監査委員(地方自治法第196条第1項)、公平委員会の委員(地方公務員法第9条の2第2項)、教育委員会の委員(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第1項)、固定資産評価審査委員会の委員(地方税法第423条第3項)等が「議会の同意を得て」、「選任する」又は「任命する」とされているのに対し、人権擁護委員の候補者は、「議会の意見を聞いて」、「推薦しなければならない」という点にその特徴があります。
人権擁護委員の候補者の推薦に係る議案は、「推薦する」又は「同意を求める」ではなく、「意見を求める」こととし、会議の結果については、「適任」又は「不適任」等の意見を付すべきであると考えられます。「「同意します」とか「意見はありません」と回答することは、本件が同意案件でもなく、また議会の意思を決定していることからも、妥当ではないと考える」(「地方公共団体書式実例集」自治行政実務研究会編集/ぎょうせい)とあります。
なお、この件については、議案の形式を採っていない市町村もあります。
明日、議員に議案を送付します(2007年2月27日付けブログ参照)。3月定例会の議案及び関係資料は、議案書(本冊及び別冊(補正予算案))、監査委員報告書、施政方針、平成20年度予算書(一般・特会・宅造、水道及び病院)並びに予算概要説明書(20年度及び19年度補正)です。そのうち、監査委員報告書及び平成20年度予算書を除いて、コピー機で200部印刷します。以前は外注したこともあったのですが、今では、これが当たり前になっています。
議案印刷中は、「できた」という満足感と「ええんやろか」という不安とをいつも感じています。ギリギリまで考えに考え、チェックにチェックを重ねたつもりでいますが、つい、「ええんやろか」と思ってしまうのです。
大阪府知事選挙は、知事選への出馬は「20,000パーセントない」とおっしゃっていた橋下徹氏が圧倒的多数で当選しました。今の大阪府は、色々な課題が山積しているのに加え、財政は壊滅的な状況です。橋下知事には、それこそ必死のパッチで働いていただきたいと思います。
ところで、タレント等の有名人は、なぜ都道府県や政令市といった大規模な地方公共団体の首長選挙に限って出るのでしょうか。真に地方政治をやりたいのであるならば、人口が10万人に満たないような市や町村の首長になるべきではないでしょうか。
なお、本市の市長選挙は、予想どおり無投票で現職が3選されました。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
本市の年末年始の休日は、「12月30日から翌年の1月4日までの日」(市の休日を定める条例第2条第1項第3号)です。行政機関の休日に関する法律第1条第1項第3号では、「12月29日から翌年の1月3日までの日」とされていますので、今日が仕事始めという市町村の方が多いのではないでしょうか。
今回の年末年始の休日は、9連休と長期間のため、新聞とメールのチェックをしようと思って出てきたのですが、来庁市民の多さに驚きました。市報でお知らせはしているのですが、テレビなどの影響で「官公庁の仕事始め=1月4日」というイメージが強いのでしょうか。
大辞林(三省堂)によると、押印とは「印を押すこと」であって、印(又は印鑑)とは「はん。はんこ」のことです。一般的に、いわゆるシャチハタによる押印が不可とされる理由は、インク内蔵式のゴム印であるシャチハタが印鑑とは認められないからです。
「印鑑登録証明事務処理要領」(昭和49年2月1日付け自治省行政局振興課長通知)第2−4−(2)−ウによると、ゴム印その他の印鑑で変形しやすいものは、印鑑として登録できないとされています。この要領は、あくまで印鑑の登録及び証明に係るものですが、印鑑の材質については、登録印鑑以外の印鑑にも同様の理解がされているものと考えられます。
しかし、地方財務実務提要(地方自治制度研究会編集/ぎょうせい)によると、「直接請求に係る署名とゴム印の効力」では、「直接請求に係る署名については、本人の意思に基づいたものであることが極めて重要であり、自署のうえ自己の印として使用する意思をもって押印した場合は、印の形式がゴム印であっても有効と解すのが制度の趣旨にも合致すると考えられます」とあります。
先日、自宅付近で強盗傷害事件(いわゆるおやじ狩り)がありました。一人が正面から刃物を突き付けて「金出せ」とすごんでいるところに、もう一人がいきなり後ろから金属バットで殴り回し、こん倒させて金品を強奪するという悪質なものです。被害に遭われた方は、自分もよく知っている人です。頭部に重傷を負い、腕や肋骨を数箇所骨折しました。みなさんも気を付けてください。
自分の住んでいるところは、大阪南部の漁師町です。確かにガラの悪い地域ですが、犯罪とは無縁の、人情のある暮らしやすいところです。そんなところでこういう犯罪が起こると、治安が悪化しているのが実感として感じられます。
「安心して暮らせるまち」とは、総合計画や施政方針の中でよく使われる言葉ですが、自分は、行政の最も大事な役割は、正にこの「安心して暮らせるまち」をつくることだと思っています。
市議会9月定例会議案の初校が出来上がりました。本市では、議案の初校が出来上がり次第、行財政管理課と議会事務局に1部手渡すのが慣例になっています。
3月定例会では、当初予算案が否決(3月29日付けブログ参照)されました。続く6月定例会では、当初予算案が否決されたにもかかわらず、また同じ内容の補正予算案を提出しました。当然、議会運営委員会で猛反発を受けましたので、本会議の初日に補正予算案を丸ごと差し替え、再度議会運営委員会を開催するという反則技を繰り出しました。こうした中で、初校の時点での議案が漏えいしているとしか思われないような動きが特定の議員にありました。議案が送付(2月27日付けブログ参照)されるまでは、総務課、行財政管理課及び議会事務局の一部の職員以外は、まして議員は、議案の全体を知り得ないはずなのですが…
本市では、現市長の就任以来、長期間にわたって執行機関と議会との関係がうまくいっていません。こればっかりは、一職員ではどうにもなりません。
第21回参議院議員通常選挙が7月29日に執行されました。
投票事務は、無効投票を防ぐために細かい手順がマニュアル化されています。今回の選挙では、まず投票所入場整理券の名簿対象を行い、初めに選挙区選出議員選挙の投票用紙を交付します。この際に「選挙区です。候補者名をお書きください。」と選挙人に告げます。選挙区の投票が終わった後、次いで比例代表選出議員選挙の投票用紙を交付します。この際は「比例区です。政党名又は候補者名をお書きください。」と選挙人に告げます。参議院議員選挙の比例代表制は、衆議院議員選挙の比例代表制とは違い、非拘束名簿式を採用しているため「政党名又は候補者名」を書くように告げるわけですが、このことを理解されていない選挙人も少なからずいらっしゃいました。
選挙制度というものは、もっと単純な方がよいのかもしれません。
新潟県中越沖地震により被災された皆様にお見舞い申し上げますとともに、被災されながらも、災害対策本部員として公務に当たられている自治体職員の皆様に敬意を表します。
災害派遣手当(武力攻撃災害等派遣手当を含む。)は、災害対策基本法第32条第1項の規定により、職員の派遣の要請をした都道府県又は市町村が、災害応急対策又は災害復旧のために派遣された職員に対して支給する手当です。この手当は、「総務大臣が定める基準に従い、当該都道府県又は市町村の条例で定める額を支給する」(災害対策基本法施行令第19条)とされていますが、現実に支給されているのでしょうか。
被災した自治体職員が災害対策本部員となることと同様に、被災した自治体が災害派遣手当を支給することに制度上の矛盾を感じます。
なお、災害派遣手当条例は、すべての市町村で制定されているわけではありません。武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律の施行に伴い、新たに条例を制定した市町村もありますが、昭和30年代後半に制定したまま、まったく改正していない本市のような市町村も一部にはあり、また、条例そのものがない市町村も相当数あります。不思議な条例の一つです。
勤務時間終了後、コピー機の入替えを行いました。6月1日から3年間の長期継続契約(レンタル・単価契約)を締結していますので、さすがに次の契約に関わることはないと思います。
本庁内には、一部の課等で契約しているコピー機のほか、4台の共用コピー機(集中管理機)があり、そのうちの2台を事務機械室に設置しています。事務機械室には、コピー機、輪転機、ファックス、シュレッダー等の事務機器があり、これらの管理は、文書管理を含めて総務課の事務です。一方、PCの管理及び情報化の推進等については情報政策課の、事務管理については行財政管理課の事務となっています。
このことだけを見ても、本市でOA化が進まない理由がわかります。
本市が出資している法人(地方自治法第221条第3項の法人)で業務上横領事件がありました。3年前にも別の出資法人で横領事件が発生しており、その時の教訓がまったく生かされていなかったということになります。また、この二つの事件は、出資法人というだけでなく、横領した職員が市からの派遣職員であるという共通点があります。
横領という犯罪を犯したわけですから、本人に非があるのは当然のことですが、本市においても、出資法人や派遣制度のみならず、財政制度や人事制度に何か構造的な問題があるのではないかと考えてしまいます。
昨夜銃撃された長崎市長がお亡くなりになりました。謹んで御冥福をお祈りします。
報道によると、容疑者には市道事故に関するトラブルや市発注工事に対する不満があったようですが、もしもこれが犯行の動機ならば、全国の自治体の首長に銃撃される可能性があることになります。こうした問題は、全国の自治体で発生しているはずです。今後は、鳥取県のように自己防衛費を予算化する自治体が増えていくのでしょうか?
銃撃となるとめったに起きることではありませんが、本市では、刃物を振り回す方は、たまにいらっしゃいます。また、自分の要求を通そうとして、恫喝や暴力に訴える場合は多いです。こうした行動をする市民は一部ですが、恫喝や暴力は、日常茶飯事として起こっています。京都市で職員からの暴言で市民がPTSDを発症して裁判になった事例がありましたが、職員は、一部の市民からの暴言を受け続けています。
お役所仕事と言われる地方公務員ですが、自治体の最前線で働く職員は、多かれ少なかれ、身の危険を感じながら大多数の市民のために働いているのです。
地方税法第1条第1項第3号は、徴税吏員を「道府県知事若しくはその委任を受けた道府県吏員又は市町村長若しくはその委任を受けた市町村吏員をいう」と規定しています。市税条例の全部改正に伴い見直した条文ですが、市長が徴税吏員であることも、委任という行為が規定されていることも知りませんでした。改めて法律を読む重要性を実感しました。
そこで調べてみたのですが、よく分かりませんでした。徴税吏員の委任の形式については、「条例(県税賦課徴収条例等)において、地方税法にいう徴税吏員の職務権限を規定するとともに、別途徴税吏員の発令を要する」(昭和25年8月8日行政実例)とあります。また、「組織規程で「△△課勤務を命ぜられた吏員は、徴税吏員を命ぜられたものとする」というように、辞令の交付手続を要しないでする包括的な任命の方法もある」(「コンメンタール市町村税条例(例)」市町村税条例研究会編集/ぎょうせい)ともあります。確かに、この委任の形式は法令上何ら制限がなく、適宜の方法で差し支えないと解されます。しかし、権限の委任であるならば、任命行為によるのではなく、委任する旨を明確にする方法によるべきだと思うのですが…そもそも、首長が徴税吏員である理由が分かりません。自治体の長が行う職務と当該自治体の職員(徴税吏員)が行う職務とを区分して規定した方が理解しやすいと思われるのですが…
なお、公職選挙法第136条第7号に規定する「徴税の吏員」は、「都道府県知事又は市町村長の委任を受けて徴税事務に携わる都道府県又は市町村の吏員をいうのであって、都道府県知事又は市町村長はここにいう徴税の吏員には含まれていないと解されている」(「逐条解説公職選挙法」自治省選挙部/政経書院)とあります。
「住基ネット制度は、個人情報保護対策の点で無視できない欠陥があり、提供を拒否する住民に運用することは、プライバシー権を保障した憲法に違反する。」とする控訴審判決が、11月30日に大阪高裁でありました。その後、箕面市長が上告断念を表明したことを受け、本市でも住基ネットの個人離脱を認めよとの要望が市民から寄せられています。
住民たる地位に関する正確な記録の整備に関する事務は、市町村の自治事務です。また、住基ネットとは、住民の記録を整備するための台帳である住民基本台帳をコンピュータネットワークでつなぎ、全国の住民情報をオンライン接続しようとするもので、地方公共団体の共同システムとされています。しかし、ここで疑問があります。そもそも、地方公共団体は、住基ネットを必要としているのでしょうか。また、住民記録の整備に関する事務が国の事務であったならば、この訴訟は、どうなっていたでしょうか。そう考えた市町村職員も少なくないのではないでしょうか。
法律違反に同意できないのは、当然のことですが、また一方で、法律で定めたから地方公共団体は黙って従えという考え方には、反発を感じます。
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