−管理人のたわごとブログ− 2014年7月
ところが、議会基本条例において、「議会は、議会活動に関し、審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより、附属機関を設置することができる」と規定している地方公共団体があります。
そうした地方公共団体では、「地方自治法上、議会に附属機関を設置することができると規定されていないのは、議会への附属機関の設置を禁じるという趣旨ではなく、法が想定していないと解すべきものであって、条例を根拠として設置することは可能である」と解釈しているようです。そして、このことに対する総務省行政課の見解は、「地方自治法は地方議会に附属機関を置くことを想定しておらず、議会基本条例に基づく附属機関が議会に設置されたとしても、地方自治法に根拠を有しない機関となる(条例のみを根拠とする機関となる)。地方自治法の想定の枠外の機関であることから、その委員の身分や報酬についても検討課題は残っているが、条例の根拠があれば、附属機関の設置それ自体が違法であるということにはならない」というものだそうです。
これが、自分には良く分かりません。特に、「地方自治法に根拠を有せず、条例のみに根拠を有する附属機関」や「条例の根拠があれば、附属機関の設置それ自体が違法であるということにはならない」という辺りは、全く理解できません。
議会に附属機関を設置する地方公共団体が増えてきていることは了知しています。また、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法によって、国会に東京電力福島原子力発電所事故調査委員会が置かれたことも理解しています。それでも、地方自治法を読む限りは、議会に附属機関を設置することはできないと解さざるを得ないのではないかと考えています。
なお、議会改革のホームページ等を見ていると、議会の附属機関の設置根拠を地方自治法第100条の2としている地方公共団体がありました。失礼ながら、もう少し整理する必要があるのではないかと思います。
議会に附属機関を設置することができるのでしょうか。
地方自治法第138条の4第3項本文は、「普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる」と規定していますが、議決機関である議会には、そのような規定がありません。そのため、議会に附属機関を設置することは、否定的に解されていました。
構造改革特区第9次・第10次の提案において、岐阜県多治見市が議会に附属機関を設置することができるよう求めた提案に対して、「議会は住民の代表である議員により構成される合議制の議事機関として、自らが多様な意思を反映させて意思決定を行う機関であり、その性格上附属機関の設置はなじまない」とした総務省の回答は、そうした従来の解釈を踏まえたものであったと考えられます。
また、第28次地方制度調査会の「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申」において、「議会が、議案の審査又は当該地方公共団体の事務に関する調査のため必要があると認めるときは、その議決により、学識経験を有する者等必要な者に、個別具体の事項について調査・報告をさせることができることとするとともに、複数の者の合議による調査、報告もできることとすべきである」と提言されたことについては、地方自治法の一部を改正する法律(平成18年法律第53号)により、次のような規定が追加されました。
第100条の2 普通地方公共団体の議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する
調査のために必要な専門的事項に係る調査を学識経験を有する者等にさせることができる。
「この制度は、議会において地方公共団体の外部の者の知見を活用するためのものであり、執行機関において非常勤の特別職の委員等を任命、又は委嘱し、それらの者を構成員として組織して設置される執行機関の附属機関とは区別されなければならない」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)と解されています。
こうしたことは、議会に附属機関を設置することができないということを示したものであると理解していました。
「大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は15日、大阪都構想の設計図(協定書)を作る大阪府市の法定協議会をめぐって、野党会派が請求している臨時府議会の招集が同日期限を迎えることについて、「法に反しているとは思っていない」と述べ、改めて招集を拒否する考えを示した。新藤義孝総務相が同日の記者会見で、松井氏や維新代表の橋下徹大阪市長が府市両議会の野党会派による議会招集請求を拒否する考えを示したことに「(地方自治法で定められた請求から20日以内という)期限内に招集しなければ、法律違反になる」と苦言を呈したことを受けて、松井氏は「都構想の議論の中身を見ていただければ(法律違反ではないと)分かる」と反発。「僕たちは協定書を一生懸命作って最後は住民の判断を仰ぐ。協定書を作るにはこの手段しかなかったという説明をこれからやっていく」と述べ、有権者から理解が得られるとの見解を示した。
一方、橋下氏は同日、記者団に「形式的には法律に抵触しているが違法ではないと考えている」と述べ、野党会派から求められている臨時市議会招集に応じない姿勢を改めて示した。」(7月15日付け産経新聞夕刊)
難儀な方々ですね。「形式的には法律に抵触しているが違法ではない」という辺りは、もはやシブイとしか言いようがありません。おそらく、「違法である」ということは、既に大阪府及び大阪市の職員から何度も聞かされているかと思いますが、このような方々にとっては、職員の意見など、屁の値打ちもないのでしょう。
「総務課総務掛」の名刺をいただきました。
常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)によると、「係」の音訓欄には「ケイ・かかる・かかり」とあり、「かかり」の例欄には「係、係員、庶務係」と、備考欄には異字同訓として「掛」とあります。一方、「掛」の音訓欄には「かける・かかる・かかり」とあり、「かかり」の例欄には「掛」と、備考欄には異字同訓として「係」とあります。また、送り仮名の付け方(昭和48年内閣告示第2号)の通則4の例外の送り仮名を付けないものとして「係」と「掛(かかり)」が掲げられています。
「総務課総務係」でも「総務課総務掛」でも間違いではないのですが、「係」と「掛」とが存在するのは、次のような理由によります。
「明治時代は主として「掛」であったが、大正になると「係・掛」であり、戦後はどちらかと言えば「係」が優勢で、近ごろでは、一般には「係」、鉄道関係などでは「掛」とするものが多い。このことは、明治時代には、実際に「〜掛」「掛員」などが多く用いられていたが、次第に社会一般では「〜係」、「係員」が優勢になってきたことを反映しているものと思われる。しかし、明治以来引き続いている組織体では、設立当時の表記をそのまま引き続いて用いていることは想像に難くない。
……(略)……
また、平成三年十二月現在、国立の九十六大学のうち、部局課の小分けに「掛」を用いているのは、北海道大学、東北大学、東京大学、東京医科歯科大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、九州大学の十大学であり、他の八十六大学ではすべて「係」を用いている。十大学のうち、七大学はいわゆる旧帝国大学であり、設立年次の古い大学である。」(「言葉に関する問答集・総集編」文化庁/国立印刷局)
名刺をいただいたのは、京都大学の方でした。
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