-管理人のたわごとブログ- 2014年6月
第4条の2 地方公共団体の休日は、条例で定める。
② 前項の地方公共団体の休日は、次に掲げる日について定めるものとする。
⑴ 日曜日及び土曜日
⑵ 国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日
⑶ 年末又は年始における日で条例で定めるもの
③ 前項各号に掲げる日のほか、当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民
がこぞって記念することが定着している日で、当該地方公共団体の休日とすることについて広く国民
の理解を得られるようなものは、第1項の地方公共団体の休日として定めることができる。この場合に
おいては、当該地方公共団体の長は、あらかじめ総務大臣に協議しなければならない。
④ (略)
地方自治法第4条の2第2項の規定は、前項の規定により、地方公共団体が条例で定める休日の基準を示したものです。第2項各号は、例示列挙ではなく、限定列挙であるとされていることから、第3項の規定による場合を除き、第2項各号に掲げる日以外の日を地方公共団体の休日とすることはできないと解されています。
また、第4条の2第3項の「当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民がこぞって記念することが定着している日で、当該地方公共団体の休日とすることについて広く国民の理解を得られるようなもの」には、盆、祭、市政記念日等は該当しない(平成3年4月2日付け自治行第38号通知)ものとされており、極めて限定的に解されています。現に、同項の規定による休日は、沖縄県及び県内市町村における慰霊の日と広島市の平和記念日のみとなっています。
さらに、第4条の2第2項第3号の「年末又は年始における日で条例で定めるもの」についても、国の行政機関の年末年始の休日よりも長い休日を定めることは、地方公務員法第24条第5項(均衡の原則)の規定に違反し、できないと解されています。
地方自治法第4条の2第1項で「地方公共団体の休日は、条例で定める」と規定しておきながら、地方公共団体に裁量の余地がほとんどないのは、同条が次のような理由によって規定されたからではないかと考えられます。
「官庁の休日を定めることは経済社会に重大な影響を及ぼすものであることに鑑みれば、官庁の休日は法律によって規定すべきものであるとした法制意見がある(昭二三、三、二七)。しかしながら、官庁の休日を定める法律は制定されることはなく、日曜日及び年末年始の日について、明治以来の確立した慣習として官庁の休日とされ、また、国民の祝日に関する法律(昭二三法一七八)に規定する休日についても官庁の休日とする取扱いがなされてきた。地方公共団体においても、官庁と同様、定着した慣習として日曜日、国民の祝日、年末年始の休日が閉庁日とされてきた。このため、公務員の週休二日制を実施し土曜閉庁方式を導入するに当たって、従来法的根拠があいまいであった日曜日等の閉庁を含め国及び地方公共団体の休日全体としての法制の整備が図られたものであり、国については行政機関の休日に関する法律(昭六三法九一)等の法律が定められ、地方公共団体については本条が設けられたものである。」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)
なお、地方公共団体の休日を条例で定めるということは、地方公共団体の事務処理の権能に効力を及ぼすものではありません。
ある地方公共団体から規則の改正方式について、こっそりと相談を受けたところ、この規則の冒頭が公布文ではなく、制定文になっていました。
「公布文とは、公布者の公布の意思を表示する文章をいい、公布する旨の文言、公布の年月日及び公布者の職・氏名から構成される。公布文は公布の際に公布される条例・規則の冒頭に付けられるものであり、したがって、条例・規則の一部を成すものではない。
制定文とは、制定者の制定の意思を表示する文章をいう。法律の場合は、全部改正法において既存の法律の全部を改正するものである旨を明らかにするために、政令の場合は、全ての政令において当該政令を制定することについての根拠を明らかにするために、題名の次に制定文が置かれる。条例・規則の場合も、全部改正条例・規則において、法律に倣って題名の次に制定文が置かれるのが一般である。そうして、これらの制定文は、いずれも当該法令・条例・規則の一部を成すものと考えられているが、その改正は行わないこととされている。」(「法制執務詳解」石毛正純著/ぎょうせい)
そのように理解していましたが、同書は、次のように続きます。
「* 省令の場合も、政令に倣って制定文が置かれるが、題名の前に置かれる。これに倣った規則の形式(3頁・30頁参照)をとる自治体もある。題名の前に置かれる制定文は、当該省令・規則の一部を成すものではないから、当該その改正ということもあり得ない。」
ということで調べてみると、結構な数の地方公共団体で採用されていました。ローカルルールと言ってしまえばそれまでですが、地方公共団体の規則と国の省令は、その性格を異にします。公布文の方が適当ではないでしょうか。
なお、本市では、令達文書のうち、規程形式によって公告するものを訓令といっていますが、訓令については、制定文を付すこととしています。
法令の本則は、一般的に「条」に区分されます。そして、その「条」を構成するものの一つに「付記」があります。
「付記」とは、例えば、次の道路交通法第7条の末尾に付された括弧書きのことをいいます。
(信号機の信号等に従う義務)
第7条 道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前
条第1項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。
(罰則 第119条第1項第1号の2、同条第2項、第121条第1項第1号)
「付記」は、禁止規定や義務規定に違反した場合に、どのような罰則規定が適用されるのかがわかるように括弧書きで規定されたものですが、道路交通法にしかありません。条例では、おそらく例がないと思います。
ちなみに、道路交通法の一部を改正する法律(平成25年法律第43号)では、珍しい付記の改正方法を見ることができます。
「大阪府枚方市の暴力団員の男(46)が2012年から社会福祉行政に協力する民生委員を務めていたことがわかった。大阪府警が3日に男を詐欺容疑で逮捕する際、発覚した。市は4日に記者会見し、「大変申し訳ない」と謝罪した。厚生労働省に解嘱を求めるという。」(6月5日付け毎日新聞朝刊)
ちなみに、非常勤特別職の都道府県の職員であると解されている民生委員(昭和26年3月14日、昭和26年4月26日等行政実例)の不祥事件に対し、枚方市が謝罪しているのは、同市が中核市であるため、地方自治法施行令第174条の49の3第1項の規定により、民生委員法及び民生委員法施行令の規定により都道府県が処理することとされている事務を処理するとされているからですが、この記事で気になったのは、民生委員が詐欺容疑で逮捕されたことではなく、暴力団員を民生委員に委嘱していたことが問題になっているところです。
暴力団員=民生委員が不適当であるということは、誰でも理解できると思います。しかし、暴力団員であったとしても、当該市町村の議会の議員の選挙権を有し、「人格識見高く、広く社会の実情に通じ、且つ、社会福祉の増進に熱意のある者であつて児童福祉法(昭和22年法律第164号)の児童委員としても、適当である者」(民生委員法第6条第1項)が存在するかもしれません。現に、この暴力団員=民生委員は、自治会長やPTA役員を歴任し、評判も非常に良かったそうです。
解嘱は、民生委員法第11条に規定されています。同条によると、厚生労働大臣が都道府県知事の具申に基づいて解嘱することができる場合は、⑴ 職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合、⑵ 職務を怠り、又は職務上の義務に違反した場合、⑶ 民生委員たるにふさわしくない非行のあった場合とされています。
暴力団員であるということは、同条第何号に該当するのでしょうか?第3号でしょうか?今回のケースでは、詐欺容疑で逮捕されていることから同号が適用されると思われますが、本来、非行とは、違法又は反社会的な「行為」のことであり、単に暴力団員であることをもって非行というのには無理があるのではないでしょうか。制限すべき、又は禁止すべきは、暴力団員の行う暴力的要求行為等の行為であって、単に暴力団員又は暴力団密接関係者であることをもって市の事務及び事業等から排除しようとする暴力団排除条例には疑問を感じています。
なお、暴力団員又は暴力団密接関係者であろうとなかろうと、自ら若しくは第三者の利益又は第三者の不利益を暴力的に図ろうとする人間を、一切擁護するつもりはありません。
地方公務員法第39条第1項は、「職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない」と規定し、同条第2項では、「前項の研修は、任命権者が行うものとする」と規定しています。しかし、同項の規定は、「任命権者が研修を行う責務を負うことを明らかにし、また、もっとも代表的な研修の実施主体を例示したもの」(「逐条地方公務員法」橋本勇著/学陽書房)であり、同条の規定による研修は、「任命権者が自ら主催して行う場合に限らず、他の機関に依託して行う場合、特定の教育機関へ入所を命じた場合等をも、含むものと解」(昭和30年10月6日行政実例)されています。
「本条の研修は、勤務能率の維持増進を目的とするものであるから、これに寄与しない教育や訓練はここでいう研修には該当しない。しかし、研修は必ずしも直接に勤務能率の維持増進に役立つものに限られることはなく、一般教養の研修のように、長期的に能率や見識の向上に役立つものも含まれる。
このような見地から、地方公共団体は職員に対して研修の機会を与えなければならないのであるが、研修にはきわめて多くの種類のものがあり、地方公共団体は研修を必要とする事情、研修の目的、財政事情などに応じて適切な種類の研修を選択しなければならない」(前掲書)と考えられます。
研修の内容及び方法については、国家公務員の研修が、「職員に現在就いている官職又は将来就くことが予想される官職の職務と責任の遂行に必要な知識、技能等を修得させ、その他その遂行に必要な職員の能力、資質等を向上させることを目的」(人事院規則10-3(職員の研修)第2条)に実施するものであるとされていますので、地方公務員の研修についても同様に考えることができます。
こうした研修に職員を参加させる場合は、職務専念義務の免除、職務命令、休職等の方法によることになりますが、一般的には、研修の種類に応じ、参加を職員の任意による場合には職務専念義務を免除し、参加を強制する場合には職務命令によっていると考えられます。
なお、職務命令による研修の場合は、その研修が職務の一環として、職務命令の要件を満たしていることが必要です。
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