特定歴史公文書等(前編)

 「公文書管理に本腰を入れて取り組む地方自治体が増えている。公文書管理条例を制定した自治体は、2011年4月の公文書管理法施行以前は熊本県宇土市、北海道ニセコ町、大阪市の3市町だったが、14年4月時点で15県市町に増えた。公文書を保管する公文書館を持つ自治体も14年度中に70を超える。今後はさらなる拡大が期待される一方で、「原則保存」に向けた運用が問われる。」(4月26日付け日経新聞朝刊)
 うーん………そうなのでしょうか?
 公文書等の管理に関する法律第34条は、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない」と規定しています。「逐条解説公文書管理法」(ぎょうせい)によると、「その保有する文書の適正な管理」とは、「文書の適正な管理と、歴史公文書等の適切な保存及び利用の2つの観点が含まれる」とあります。具体的には、公文書管理条例の制定と公文書館の設置ということになるのでしょう。
 公文書管理法の施行から4年近くが経過しましたが、公文書管理条例を制定した地方公共団体が全体の1パーセントに満たないという状況は、逆に、ほとんどの地方公共団体では何の努力もしていないと考えるのが当然ではないでしょうか。実際のところは、この法律が施行された平成23年4月1日には、既にほとんどの地方公共団体で情報公開制度及び個人情報保護制度に対応した文書管理制度が確立されていたこと、そして、この規定が努力規定であったことから、条例を制定する必要がないと判断したためではないかと考えられます。ただし、問題は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律においても「特定歴史公文書等」が「行政文書」から除外(第2条第2項)されているように、ほとんどの地方公共団体では、保存期間の過ぎた「歴史公文書等」を単なる廃棄文書として取り扱っていたのではないかと考えられることです。
 なお、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行前には、行政手続法第46条が努力規定でありながら条例の制定が事実上強制されるということがありました。行政手続条例の制定が地方分権の試金石といわれていましたが、あれは何だったのでしょうか?今だに理解できません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 00:15 | 文書事務

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