−管理人のたわごとブログ− わたり(後編)
国と地方公共団体とで「わたり」の解釈に相違があるということでしょうか。
そもそも「わたりとは、職務の内容と責任に実質的に変更がないにもかかわらず、上位の級に格付けすることであり、給料の格付けの発令のみで行われることもあれば、職制を濫設することによって行われることもあり、さらには級別職務分類表を不当に拡大解釈して行われる場合などがある。わたりが行われる原因は、給与制度を年功序列により生活給的な通し号俸として運用しようとすることにあり、これによって職務の級の区別が崩れ、職務給の原則が無視されることになりかねないのである。わたりについては昭和四三年の通達(昭四三・一二・二一自治給第一〇五号)で標準職務(注、現行の級別職務分類)に適合しない等級(注、現行の級、以下の通知でも同じ。)への格付けを行うべきでないとされたのをはじめ、再三の注意が促されているところであり、昭和四七年には、「標準的な職務区分によらない等級に格付けを行うことおよび実質的にわたりと同一の結果となる構造の給料表を用いることは、職務給の原則に反する……」と明確な判断が示されている(通知昭四七・九・二五自治給第三七号第五1)」(「逐条地方公務員法」橋本勇著/学陽書房)ものです。ところが、国の「わたり」の解釈には、理解できないものがあります。
例えば、3級に格付けしていた係員に形だけの書類選考を行い、主任として引き続いて3級を適用することとした市町村の事例を、わたりを廃止したとしています。しかし、これは、正に職務の内容と責任に実質的に変更がないにもかかわらず、職制を濫設し、上位の級に格付けするものであって、わたりに該当するものです。また、「地方公務員の給与改定に関する取扱い等について」(平成25年1月28日付け総行給第1号)により、各地方公共団体に対し、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成24年法律第2号)に基づく国家公務員の給与減額支給措置に準じて必要な措置を講ずるよう要請がありましたが、この地方公務員法第59条及び地方自治法第245条の4の規定による技術的助言に従わなかったことよって、一部の職務の級の給料月額の最高額が国家公務員の俸給月額の最高額を100円上回った市町村がありました。この100円が、わたりの該当基準A−⑷の「国家公務員の官職と職務・職責が同等な職の給料月額の最高水準が、国家公務員の俸給月額の最高水準を相当程度超えている場合」に当たるとされましたが、100円上回った場合を「相当程度超えている」というのには無理があると考えます。
高い俸給表が適用される職員を除外しておいてラスパイレス指数が高いというのもどうかと思いますが、地方公務員法第24条第3項(均衡の原則)を根拠に、何でもかんでも国公準拠というならば、いっそ、地方公務員給与法を制定してくれへんかなと思います。
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