−管理人のたわごとブログ− 2014年5月
条例のベンチマークとは、「他の自治体の最も優れた条例などのシステムを、自己の自治体の現状と継続的に比較分析して、自己の条例の制度設計・運用に活かすことをいう。」(「条例づくりへの挑戦−ベンチマーキング手法を活用して」田中孝男著/信山社)
自分「これ、どこのんパクってん?」
M君「A市条例ベンチマークしましてん」
自分「この引用条項、間違えてんぞ。2条1項違うて、3条1項やぞ」
M君「あっ、ここはB市条例ベンチマークしたよってですわ」
自分「ほんでな、第4条と第7条とで略称規定、変わってんぞ」
M君「あっ、7条はC市条例ベンチマークしたよってですわ」
自分「お前なあ、いくつパクってん?」
M君「A、B、C、D、Eの5市をベンチマークしましてん」
自分「ほんで全体のバランス悪いんや。用語の整理もできてないやんけ」
M君「えーとこ取りでベンチマークしたつもりなんすけど」
自分「悪いとこ取りになっとるやないかい。あのな、えー条例っちゅーのは、それで一つの物語つくって
んねん。そこに別の物語を付け加えへん方がえーど。そやからな、ウチでパクんのは1市にせーて言
うてんねや」
M君「ちょっと直してきますわ」
自分「それとな、パクるんやったら、えーとこのんパクれよ」
M君「パクリ違います。ベンチマークっすよ」
5月18日は、市議会議員選挙の投票日でした。
20人の議員が決まり、昨日、当選証書が授与されました。
一般選挙があった場合、本市では、まず打ち合わせ会を開きます。その後、2、3日以内に会派結成届が提出され、議会運営の協議会を開いた上で、臨時会が開会されます。一般選挙後の最初の臨時会の招集手続については、2010年5月17日付けで記事にしたとおりです。
選挙といえば、全国的に投票率が低下し続けているようですが、本市も例外ではありません。4年前は55.41パーセントでしたが、今回は10ポイント以上も低下し、44.21パーセントと最低記録を更新しました。何でなんでしょうね?
国と地方公共団体とで「わたり」の解釈に相違があるということでしょうか。
そもそも「わたりとは、職務の内容と責任に実質的に変更がないにもかかわらず、上位の級に格付けすることであり、給料の格付けの発令のみで行われることもあれば、職制を濫設することによって行われることもあり、さらには級別職務分類表を不当に拡大解釈して行われる場合などがある。わたりが行われる原因は、給与制度を年功序列により生活給的な通し号俸として運用しようとすることにあり、これによって職務の級の区別が崩れ、職務給の原則が無視されることになりかねないのである。わたりについては昭和四三年の通達(昭四三・一二・二一自治給第一〇五号)で標準職務(注、現行の級別職務分類)に適合しない等級(注、現行の級、以下の通知でも同じ。)への格付けを行うべきでないとされたのをはじめ、再三の注意が促されているところであり、昭和四七年には、「標準的な職務区分によらない等級に格付けを行うことおよび実質的にわたりと同一の結果となる構造の給料表を用いることは、職務給の原則に反する……」と明確な判断が示されている(通知昭四七・九・二五自治給第三七号第五1)」(「逐条地方公務員法」橋本勇著/学陽書房)ものです。ところが、国の「わたり」の解釈には、理解できないものがあります。
例えば、3級に格付けしていた係員に形だけの書類選考を行い、主任として引き続いて3級を適用することとした市町村の事例を、わたりを廃止したとしています。しかし、これは、正に職務の内容と責任に実質的に変更がないにもかかわらず、職制を濫設し、上位の級に格付けするものであって、わたりに該当するものです。また、「地方公務員の給与改定に関する取扱い等について」(平成25年1月28日付け総行給第1号)により、各地方公共団体に対し、国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(平成24年法律第2号)に基づく国家公務員の給与減額支給措置に準じて必要な措置を講ずるよう要請がありましたが、この地方公務員法第59条及び地方自治法第245条の4の規定による技術的助言に従わなかったことよって、一部の職務の級の給料月額の最高額が国家公務員の俸給月額の最高額を100円上回った市町村がありました。この100円が、わたりの該当基準A−⑷の「国家公務員の官職と職務・職責が同等な職の給料月額の最高水準が、国家公務員の俸給月額の最高水準を相当程度超えている場合」に当たるとされましたが、100円上回った場合を「相当程度超えている」というのには無理があると考えます。
高い俸給表が適用される職員を除外しておいてラスパイレス指数が高いというのもどうかと思いますが、地方公務員法第24条第3項(均衡の原則)を根拠に、何でもかんでも国公準拠というならば、いっそ、地方公務員給与法を制定してくれへんかなと思います。
「歴史公文書等」の保存及び利用について制度化されていないと、毎年、保存年限の過ぎた「歴史公文書等」が廃棄されることになります。この問題を解決するためには、何もハコモノである公文書館を設置する必要はなく、「歴史公文書等」を適切に保存及び利用するための公文書館機能を課等の組織に所掌させる必要があります。
公文書等の管理に関する法律によると、「特定歴史公文書等」とは、「歴史公文書等」(歴史資料として重要な公文書その他の文書をいう(第2条第6項)。)のうち、国立公文書館等に移管又は寄贈若しくは寄託されたものをいう(同条第7項)とされています。これを市町村に当てはめてみると、保存年限を過ぎて廃棄される文書のうち、歴史資料として重要なものとして公文書館機能を有する課等の組織に移管されたものということになります。実務上は、廃棄文書を特定の期間、特定の施設に集積し、その中から担当者が「歴史公文書等」を選別した上で、「特定歴史公文書等」のリストを作成し、それを公表することになると考えられます。ちなみに本市では、そのように取り扱っています。「歴史公文書等」の選別については、選別基準を策定し、原課から公文書館機能担当課に引き継がせるという方法も考えられますが、市町村においては、専門職員に選別させた方がよいのではないでしょうか。そして、リストを作成することによって、「歴史公文書等」が「特定歴史公文書等」になるとした方が制度を理解しやすいのではないかと思われます。
「特定歴史公文書等」を市町村の機関が保存及び利用する以上は、組織的共用文書として情報公開条例が適用されます。しかし、行政機関の保有する情報の公開に関する法律において「特定歴史公文書等」の適用が除外されているように、その文書等の性格上、市町村の情報公開条例においても「特定歴史公文書等」の適用を除外する方が適当ではないでしょうか。ただし、その場合には、「特定歴史公文書等」を利用するために別の制度を構築する必要があり、情報公開条例の特例条例として、「特定歴史公文書等」を保存及び利用するための公文書管理条例を制定する必要があると考えられます。
「公文書管理に本腰を入れて取り組む地方自治体が増えている。公文書管理条例を制定した自治体は、2011年4月の公文書管理法施行以前は熊本県宇土市、北海道ニセコ町、大阪市の3市町だったが、14年4月時点で15県市町に増えた。公文書を保管する公文書館を持つ自治体も14年度中に70を超える。今後はさらなる拡大が期待される一方で、「原則保存」に向けた運用が問われる。」(4月26日付け日経新聞朝刊)
うーん………そうなのでしょうか?
公文書等の管理に関する法律第34条は、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない」と規定しています。「逐条解説公文書管理法」(ぎょうせい)によると、「その保有する文書の適正な管理」とは、「文書の適正な管理と、歴史公文書等の適切な保存及び利用の2つの観点が含まれる」とあります。具体的には、公文書管理条例の制定と公文書館の設置ということになるのでしょう。
公文書管理法の施行から4年近くが経過しましたが、公文書管理条例を制定した地方公共団体が全体の1パーセントに満たないという状況は、逆に、ほとんどの地方公共団体では何の努力もしていないと考えるのが当然ではないでしょうか。実際のところは、この法律が施行された平成23年4月1日には、既にほとんどの地方公共団体で情報公開制度及び個人情報保護制度に対応した文書管理制度が確立されていたこと、そして、この規定が努力規定であったことから、条例を制定する必要がないと判断したためではないかと考えられます。ただし、問題は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律においても「特定歴史公文書等」が「行政文書」から除外(第2条第2項)されているように、ほとんどの地方公共団体では、保存期間の過ぎた「歴史公文書等」を単なる廃棄文書として取り扱っていたのではないかと考えられることです。
なお、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行前には、行政手続法第46条が努力規定でありながら条例の制定が事実上強制されるということがありました。行政手続条例の制定が地方分権の試金石といわれていましたが、あれは何だったのでしょうか?今だに理解できません。
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