わたり(前編)

 地方公務員法第24条第1項は、「職員の給与は、その職務と責任に応じるものでなければならない」と規定しています。これは、職務給の原則といわれ、その趣旨は、「できるだけすみやかに達成されなければならない」(同条第2項)とされています。具体的には、職務の種類によって適用される給料表を定め、かつ、職務の複雑、困難及び責任の程度に応じ、それぞれの給料表に定める職務の級に格付けすることによって実現されていると解されています。
 こうして格付けされた職務の級を、職務の内容と責任に実質的に変更がないにもかかわらず、上位の級に格付けすることをわたりといい、職務給の原則に違反するものとして、是正が求められています。
 総務省が示しているわたりの該当基準は、次のとおりです。
① 給与決定に際し、級別職務分類表及び級別標準職務表に適合しない級へ格付を行うこと。
② ①の他、実質的にこれと同一の結果となる級別職務分類表、級別標準職務表又は給料表を定める
 こと。
 ②の具体の該当基準については、少なくとも、次の⑴から⑷のいずれかに該当する場合には、原則として「わたり」に該当
⑴ 級別職務分類表及び級別標準職務表が、職務を明確に分類したものとなっていない場合
  例)主査(3~5級)が一定の経験年数を経れば、4級から5級に昇格する場合
⑵ 一つの職が4つ以上の級にわたって格付けられている場合
⑶ 国家公務員の官職と職務・職責が同等な職の級の格付けが、国家公務員の本省の格付けを超え
 ている場合
  例)国の係員に相当する職を3級以上に格付け
    国の主任に相当する職を4級以上に格付け
    国の係長に相当する職を5級以上に格付け
    国の課長補佐に相当する職を7級以上に格付け
⑷ 国家公務員の官職と職務・職責が同等な職の給料月額の最高水準が、国家公務員の俸給月額の
 最高水準を相当程度超えている場合
 総務省のHPに掲載されている資料によると、平成25年4月1日現在、わたり制度のある地方公共団体は、69団体(市52・町村17)となっていますが、※2には、「上記のほか、都道府県・指定都市においては、「わたり」に係る課題のある団体(団体側は「わたり」ではないとしているが、説明が不十分と考えられるもの。)が、平成21年度で5団体、平成24年度で1団体、平成25年度は0団体となっている」という記載があります。どういう意味でしょうか?

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 00:28 | 地方公務員法 | コメント (0) | -

豚汁

Y君「この前、○○食堂で「ぶたじる」て言うたら、「トンじる」ですねて言われたんすけど、「ぶたじる」と違
 いますん?」
自分「そんなん、どっちでもえーやろ」
Y君「漢字読むときは、音読み+音読み、訓読み+訓読みが基本やてどっかで聞きましたよ」
自分「おう、基本や。けどな、音読み+訓読み、訓読み+音読みが慣例でかめへんようになってんのも
 あんねん。重箱(ジュウばこ)、残高(ザンだか)とかな、湯桶(ゆトウ)、場所(ばショ)とかな」
Y君「あ~、ホンマや」
自分「重箱読み、湯桶読みて言うんやけどな、「トンじる」は重箱読みやわな。「豚」の湯桶読みっちゅー
 たら、「豚肉(ぶたニク)」がそうやな」
Y君「「ニク」て音読みなんすか。ほな、「肉」の訓読みて何ですん」
自分「「肉」」に訓読みはないねん。常用漢字表見てみ。ま、「豚汁」の読みはどっちでもえーと思うで。
 「ぶたじる」て読むか「トンじる」て読むかは、方言の世界と違うか」
Y君「「豚」を何て読むかて、方言すか。うーん……方言いうたら、「豚丼(ぶたどん)」って言いますよね。
 あっ、「トンテキ」っちゅーのもあるな。そや、551やと「ぶたまん」やけど、コンビニやと「にくまん」って
 言うてんな」
自分「そんなことまで知らんがな」

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:44 | その他 | コメント (0) | -

暴力団員検挙情報

 「逮捕した暴力団員の実名を、4道県警がホームページ(HP)で公開している。最初に始めた福岡県警のコーナーはアクセスが急増。警察が発表しても報道されないケースもあり、暴力団排除(暴排)を目指す企業が、取引先に組員らが入っていないかを確認するために活用しているようだ。
 公表しているのはほかに、北海道、岡山、山口。実名のほか、容疑の内容や逮捕日時も明らかにしている。掲載期間はいずれも1週間に限っている。
 福岡では、企業に組員の情報を活用してもらおうと、暴力団への利益供与を禁止する県暴排条例が施行された2010年4月に公表を始めた。公表にあたっては、弁護士や法学者などでつくる県の個人情報保護審議会で了解を得た。」 (3月27日付け朝日新聞朝刊)
 いわゆるミーガン法(性犯罪者情報公開法)の暴力団員バージョンでしょうか。HPには写真や身体的特徴等の記載がないとはいえ、生々しいです。
 個人情報保護審議会の了解を得たとありますが、おそらく、平成22年7月8日付け22個保審第3号と平成23年8月11日付け23個保審第1号の答申のことでしょう。個人情報の利用及び提供の制限や電子計算機の結合による提供の制限に関する例外事項に係る答申は、不服申立事案とは異なり、あっさりと書くことが多いのですが、これらの答申もあっさりとしていました。できれば、会議録を読みたいところです。
 最近、流行している氏名の公表は、制裁的公表と情報提供とに区分されます。この暴力団員検挙情報は、単なる情報提供ではなく、制裁的な意味合いがあると考えられます。制裁的公表は、罰則でも行政処分でもなく、事実上の不利益処分であると考えられていますが、こんなことして、ホンマにえーんやろか?

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:18 | 情報公開・個人情報保護 | コメント (0) | -

続・基金条例

 基金には、特定の目的のために、財産を維持し、又は資金を積み立てるためのものと、定額の資金を運用するためのもの(地方自治法第241条第1項)とがあります。後者の定額運用基金は、「一定額の原資金を運用することにより特定の事務又は事業を運営するため設けられたものであり」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)、その額は、条例で規定しなければならないとされています。
 定額運用基金は、「定額であるところに意義があり、例えば育英資金として運用するため定額を定め、当該額を数か年度にわたって一般会計より繰り入れるものと定めたような場合では当該基金は定額基金となるが(昭三九・六・二五行実)、寄附金を原資に奨学資金貸付基金を設置し、この原資の預金運用によって生ずる利子収益金を予算を通して奨学金として貸付するのは、原資を使って貸付を行うものではなく、利子のみを利用するのであり、定額の資金を運用するための基金とはいえず、特定の目的のために財産を維持するための基金の一種であると考えられ」(「地方財務実務提要」地方自治制度研究会編集/ぎょうせい)ています。
 逆に言うと、原資に手を付けるならば、定額運用基金として管理する必要があり、また、その額が予算の定めるところにより積み立てられるのであるならば、定額運用基金の趣旨に照らし、しかるべき時点において、基金の額を改正する必要があると解されます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:52 | 地方自治法 | コメント (0) | -

管理監督者

 地方公務員法第52条第3項に規定する管理職員等と労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者と管理職手当が支給される職員とは、その範囲を異にします。「逐条地方公務員法」(橋本勇著/学陽書房)には、次のようにあります。
「監督もしくは管理の地位にある職員または機密の事務に従事する職員は、その勤務内容にかんがみ、その勤務を一定の時間に限定することが困難であるので、アの勤務時間の原則は適用されず(労基法四一②)、使用者は時間外勤務手当を支給する法律上の義務も負わない。この管理監督職員の範囲は、その職務内容が勤務時間を一定にすることに適しない者であるかどうかによって定まり、職責上、常時勤務の拘束から離脱し得ない部課長や秘書業務の者などが該当する。また、その範囲は、労使関係において一般の職員と同じ職員団体を結成することができないいわゆる管理職員等(法五二3但し書)とも必ずしも一致せず、一般的には後者の範囲の方が広く、また、前者に対してはおおむね管理職手当が支給されることになる。」
 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者は、同法第4章、第6章及び第6章の2に定める労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用がありません。そのため、労働者を名目上の「管理職」とすることによって労働基準法上の「管理監督者」とみなし、残業代の支払いを免れたり、長時間労働を強いたりすることが社会問題になりました。いわゆる「名ばかり管理職」といわれる問題ですが、今も不適切な取扱いを続けている企業があるようです。
 昭和22年9月13日付け発基第17号及び昭和63年3月14日付け基発第150号によると、「管理監督者」とは、経営者と一体的な立場にある者であって、次のような判断基準が示されています。
① 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容であるこ
 と。
② 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有し 
 ていること。
③ 現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないようなものであること。
④ 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること。
 本市では、課長代理級以上の職員を管理職手当の支給対象とし、時間外勤務手当等を支給しないこととしていますが、部下のいない理事(課長級)や参事(課長級)は、「管理監督者」とは考えられません。また、タイムカードによる出退勤管理を行うことは、上記の判断基準からは乖離しているように思われます。さらに、その地位にふさわしい賃金等の待遇というと、指定職給料表を採用する必要があるのではないでしょうか。
 本市の管理職の割合は、年々、増加していますが、「管理監督者」の範囲は、長の直近下位の内部組織の長とすることが適当であるように思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 23:36 | 地方公務員法 | コメント (0) | -

一部事務組合設立の効果

 一部事務組合は、特別地方公共団体であり、法人格を有します。よって、区域、権能及び構成員を有します。一部事務組合の設立に伴う効果は、次のとおりです。
「⑴ 一部事務組合が成立すれば、それによって共同処理するものとされた事務は、関係地方公共団
  体の権能から除外される。」
「⑵ 一部事務組合を設けた場合において、組合内の地方公共団体につきその執行機関の権限に属す
  る事項がなくなったときは、その執行機関は組合の成立と同時に消滅する(2後段)。」
「⑶ 一部事務組合が成立した場合、その権能に属することとなった事務に関する関係地方公共団体
  の条例又は規則は、組合の成立によって当然には消滅することはなく存在する。」
「⑷ 一部事務組合が成立したとき、これを一般に周知する法律手続は明記されていない。」
(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)
 そのように理解していましたが、平成26年度は、理解を超える人事異動がありました。うーん………あっ、自分は、いつもと同じ新年度を迎えています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:55 | 地方自治法 | コメント (0) | -
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