公知情報

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律を始め、ほとんどの地方公共団体の情報公開条例は、個人情報を「個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの」と規定しています。このような個人識別型の情報公開条例では、個人情報の例外的な公開事由が規定されていますが、「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」もその一つです。
 このうち、既に公にされている情報いわゆる公知情報については、非公開にする利益がないことから公開すべき個人情報であると考えられています。しかし、何をもって「公にされている」といえるのかについては、注意が必要です。例えば、地方税法第20条の2の規定による公示送達です。公示(告示)したことによって、その情報は、公知情報であるといえるのでしょうか。
 地方公共団体は、地方自治法第16条第4項の規定により、公告式条例を定めています。ほとんどの市町村は、この条例の規定に基づき、庁舎等に設置された掲示場に掲示することによって公示しています。一部の市町村では、公告式条例による公示をPDF化し、インターネットで公表しているところもありますが、その場合でも、公示送達などの個人情報については、公表に適さないものとして省略しているようです。
 「公にされ」とは、何人も知り得る状態におかれていることであると解されます。「公示」とは、行政機関が一定の事項を広く一般住民に知らせる行為であるとされていますが、庁舎等に設置された掲示場に2週間程度掲示されたことをもって、公知情報であるとは言い切れないように思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:42 | 情報公開・個人情報保護

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