−管理人のたわごとブログ− 2014年3月
行政機関の保有する情報の公開に関する法律を始め、ほとんどの地方公共団体の情報公開条例は、個人情報を「個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの」と規定しています。このような個人識別型の情報公開条例では、個人情報の例外的な公開事由が規定されていますが、「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」もその一つです。
このうち、既に公にされている情報いわゆる公知情報については、非公開にする利益がないことから公開すべき個人情報であると考えられています。しかし、何をもって「公にされている」といえるのかについては、注意が必要です。例えば、地方税法第20条の2の規定による公示送達です。公示(告示)したことによって、その情報は、公知情報であるといえるのでしょうか。
地方公共団体は、地方自治法第16条第4項の規定により、公告式条例を定めています。ほとんどの市町村は、この条例の規定に基づき、庁舎等に設置された掲示場に掲示することによって公示しています。一部の市町村では、公告式条例による公示をPDF化し、インターネットで公表しているところもありますが、その場合でも、公示送達などの個人情報については、公表に適さないものとして省略しているようです。
「公にされ」とは、何人も知り得る状態におかれていることであると解されます。「公示」とは、行政機関が一定の事項を広く一般住民に知らせる行為であるとされていますが、庁舎等に設置された掲示場に2週間程度掲示されたことをもって、公知情報であるとは言い切れないように思います。
予算特別委員会が終了しました。毎年、設置されるこの委員会で、議会費の説明や質疑に対する答弁は、誰が行っていますか?本市では、議会事務局長が行っています。
しかし、議会事務局長は、地方自治法第121条の説明員に委任されていません。よって、議会費の説明や質疑に対する答弁はできません。おそらくは、議会や委員会に当然に出席していることから、慣例として行うようになったのではないかと思われますが、「事務局長は議長の隣席に着席していますが、これは議長を補佐するためであり、説明員として出席しているのではありません。
議会費に対する質問に対しては、予算編成権を持つ長、そして説明員として委任を受けている総務部(課)長が答弁すべきです」(「議員・職員のための議会運営の実際15」地方議会研究会編著/自治日報社)とあるのが本来の姿です。
なお、執行機関の委員会への出席義務については議論のあるところですが、ここでは、地方自治法第121条にその根拠を求め、委員会条例にその手続を規定していると解しています。
いずれも時間的即時性を表す場合に用いられる用語ですが、「「遅滞なく」は、「直ちに」及び「速やかに」に比べると時間的即時性が弱い場合が多く、正当な又は合理的な遅滞は許されるものと解されている。「直ちに」と「速やかに」では、「直ちに」が時間的即時性が強く、一切の遅れを許さない趣旨で用いられる。これに比べると、「速やかに」は、「直ちに」よりは急迫の程度が低い場合に用いられる。
なお、「遅滞なく」及び「直ちに」の語を用いて規定されている場合には、遅滞により義務違反となるのを通例とするのに対し、「速やかに」の場合は訓示的な意味をもつにすぎないことが多い」(「ワークブック法制執務」法制執務研究会編/ぎょうせい)と解されているせいか、「直ちに」→「速やかに」→「遅滞なく」の順ではなく、「直ちに」→「遅滞なく」→「速やかに」の順に時間的即時性が弱くなると誤解している職員も見受けられます。
これらの用語、特に訓示的な意味合いの強い「速やかに」を用いる場合には、注意が必要です。本市の例規では、できる限り、確定期限によって定めるようにしています。それが分かりやすさであり、また、法令とは異なる例規の可能性であると考えるところです。
前掲書には、次のようにもあります。
「なお、昭和四〇年法律第四七号による改正前の銃砲刀剣類所持等取締法第一七条第一項にも、「すみやかに」の文言が用いられており、これについて、あいまいな規定であるとして違憲とされたこともある(もっとも、控訴審では破棄された(昭和三七年一二月一〇日大阪高等裁判所判決)。)。このようなこともあって、同項の規定は、昭和四〇年の改正で、現行の「二十日以内」に改められた。」
地方公共団体の名称について、地方自治法は、「従来の名称による」(第3条第1項)と規定しているのみです。また、平成11年に公布されたいわゆる地方分権一括法によって同条第3項以下が改正され、都道府県以外の地方公共団体の名称を変更する場合の手続が、知事の許可制から協議制に改められました。そのせいか、平成の大合併の結果、かなりユニークな名称の市町村が誕生しました。
失礼ながら、世間一般の評価によると、栃木県さくら市、埼玉県さいたま市、山梨県南アルプス市、愛媛県四国中央市が四大珍市町村名でしょうか。また、実現しなかったところでは、青森県あっぷる市、千葉県太平洋市、愛知県遷都麗空市、佐賀県湯陶里市なども珍名としての評価が高いようです。
従来の名称による市町村名は、歴史的にも地理的にも意味があるのであって、これらを無視して安易に名称を変更することは、歴史や文化を消失することであるという批判もありますが、ここでは、完全にいちびって(大阪弁で「ふざけて」という意味)、もっといちびった市町村名を考えてみたいと思います。
珍名とされる市町村名は、平仮名、片仮名、僭称、方角、合成、イメージ等に分類することができるようですが、僭称するならば、いっそ「日本」を僭称してはどうでしょうか。そのままだと面白くないので、「大」や「一」を付けて「大日本市」や「日本一市」とすると、さらにインパクトが増大します。また、「大」を付けるなら、「小京都」をもじって「大京都市」と名乗ると、観光客が増えるかもしれません。既存の市町村名を名乗るのがはばかられるならば、外国の市町村名をパクるのもえーでしょう。「ロンドン」や「ワシントン」や「ジュネーブ」を漢字にし、ついでに方角を入れて「東倫敦市」や「西華盛頓市」や「寿府中央市」とすると、ごっついかっこえーと思いませんか。イメージで漢字をあてるならば、「ヘルシンキ」を「地獄神鬼市」とすると、暴走族の名前みたいで、まちがヤンキーでにぎわうことが確実です。しかし、かわいいイメージで市町村名を決めるならば、やはり平仮名が一番です。定番のキーワードは、「あい」、「ゆめ」、「みらい」でしょうが、新鮮味に欠けますので、ここは、英語を平仮名にして「らぶふゅーちゃー市」や「どりーむらぶ市」とするのはどうでしょう。ニュース等で市町村名が出るだけで、その魅力を全国に発信することができるのではないでしょうか。
いつかは、そんな市町村名がホンマに誕生するかもしれません。それでも、金で市の名前を売るよりは、はるかにマシだと思います。
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