−管理人のたわごとブログ− 2014年1月
「「等」は、規定する事項が多い場合に、簡潔な表現にするために、主要なものを掲げて他は省略するときに用い」(「法制執務詳解」石毛正純著/ぎょうせい)られます。同書は、「等」の注意点として、次の3点を挙げています。
「@「等」に含まれるものは、「等」の前に掲げたものから類推される関係にあるから、「等」の前に掲げた事項から類推できないようなものまで「等」に含ませることのないようにしなければならない」
「A「等」に含まれる事項は必ずしも明確ではないので、住民の権利・自由に関わる規定や罰則規定には、「等」を用いるべきではない」
「B「等」の前に掲げた事項以外の事項もあることを示す趣旨で「等」を用いることがある。題名、章・節名、見出し、目的規定や趣旨規定、定義規定や略称規定などで「等」を用いる場合に多い」
ある日のヒアリング中。
S君「………。そやから、甲も対象になります」
自分「おい、甲は対象になれへんど」
S君「いや、対象ですて。A等の「等」で読むんですわ」
自分「あのな、このA等はな、○○法第○条に規定されてるA等やねん。で、○○法第○条を見るとな、
「A、B及びC(以下「A等」という。)」て略称してるねん。そやから、AとBとCをA等て言うてるんであっ
て、甲は入れへんのや」
S君「えー!そうなんですか?某市の担当者も「等」で読むんですわて言うてましたよ」
自分「………。法律で条文中に「等」が使われとったら、大体が略称か定義やねん。「等」で何でも読め
るて勘違いしてる職員も多いけど、「等」読むときは、気ィつけんとアカンわな」
一方、「地方自治法質疑応答集」(地方自治制度研究会編著/第一法規)では、名誉市民に対する恩典として、「⑴公営住宅の優先的入居および使用料の減免、⑵水道料の無料および市営電車の無料パスの譲与、⑶住民税の減免」の適否について、次のような回答があります。
「公営住宅の優先的入居については、地方自治法第二四四条第三項において、公の施設の利用につき不当な差別的取り扱いを禁止している。不当な差別的取り扱いかどうかは憲法第一四条をも参酌して決めるべきであり、合理的な根拠がありさえしたら不当な差別ではない。公営住宅法は入居者募集を公募によるとし、その他入居者資格、選考基準等をも定める。したがって優先的に入居させようとしても、法の所定の手続を踏んだうえ、しかも不当な差別的取り扱いはできないとされている。その場合には「特権」とは言えない。また功労に報いるための常識的・合理的な範囲でなら、公営住宅の場合も水道料金の場合も不当な差別的取り扱いとして違憲と断定する必要はないが、それが功労に報いる適当な方法であるかどうかの問題は残ろう。……(略)……
手数料の減免についても、使用料の場合と同様に公益性の見地、栄誉をたたえるにふさわしいかの点、減免規定の通常の運用方法等からみて、憲法上の疑義はないとしても運用としては好ましくないと言えよう。
地方税法は、市町村民税の減免について、第三二三条で「天災その他特別の事情がある場合において市町村民税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り」当該市町村の条例の定めるところにより、市町村民税を減免することができる、としている。つまり、天災、生活扶助の場合等特別の事情があり、担税力がなくなった場合に限り、条例で定めるところにより減免できるのである。担税力はありながらも功績著しく、それをたたえる必要がある場合というのは、ここでの特別の事情には予想されていない。また一般国民ないし市民が一般的に負うべき租税のような負担の減免は、やはり特権的色彩がかなり強いと言わねばならず、住民税の減免はなし得ないと解する。
以上を通じ名誉市民に与えられるべき恩典とは、その称号のもっている意味合い、国によって授与される栄典の場合との権衡をも考慮すれば、精神的に名誉を表彰する範囲にとどめるのが運用上適当といえよう。」
自分としては、この「精神的に名誉を表彰する範囲にとどめるのが運用上適当といえよう」を支持したいです。
名誉市民が「栄典」に該当することについては疑義がないようですが、年金の支給が「特権」に該当するかどうかについては、解釈が分かれるところです。しかし、文化勲章の授章者に対して、直接、年金を支給することができないのは、憲法第14条に違反するおそれがあるからです。そのため、文化勲章とは別の制度として、文化功労者に対する年金制度が文化功労者年金法によって定められているはずです。ならば、年金は「特権」であって、名誉市民に年金を支給することは、憲法第14条に違反することになると解すべきではないでしょうか。
社会や文化の発展等に功績があり、郷土の誇りとして市民から尊敬される者を名誉市民として顕彰している地方公共団体があります。こうした地方公共団体の中には、名誉市民に対して年金を支給しているところもあります。
憲法第14条第3項前段は、「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」と規定しています。ここでは、名誉市民に選定することが「栄典」に当たるのかどうか、年金を支給することが「特権」に当たるのかどうかが問題になります。
行政実例では、名誉市民に対し、「市の施設の使用に関する使用料及び手数料の減免、本人の生活に対する便宜の供与又は援護、その他市長が必要と認めた特典又は待遇」を与えることについては、「名誉市民に対し、その功績を顕彰するに相応しい礼を以て遇するものである限り憲法の規定の趣旨に反しないものと解」(昭和32年1月23日付け自丁行発第6号)されています。
このことを解説した「注釈地方自治関係実例集」(地方自治制度研究会編/ぎょうせい)によると、「憲法第一四条の栄典は、天皇の国事行為として授与する栄典(憲法七Z)とはその範囲を異にし、ここに規定する栄典に限られず、広く公に与えられる栄典をすべて含むものと解されている(法学協会編「詳解日本国憲法」上巻三五四頁)。このように憲法第一四条の栄典の意義を公の権威による表彰のいっさいであると考えるときは、地方公共団体が条例の定めるところにより、一定の功績のある者に名誉市民の称号を与え、表彰することは、規模の大小、程度の差はあるとしても、それは栄典に該当するものと解さざるを得ない。いわば、名誉市民として選定されることは、栄典の一態様であるといえる。次に名誉市民に与えられる待遇が憲法第一四条の特権に該当するか否かという点であるが、同条は、民主主義憲法の一つの特徴である封建制度の否定の一環をなすものであって、同一条件の下に、すべての国民が法規の適用上又は法規の立法上平等の取扱いをうくべきものとして、行政権、司法権を拘束し又は立法者を拘束しようとする平等の原理に基づく国民固有の基本的人権として認められている趣旨に照らして考えるならば、ここにいう特権とは、広くいっさいの事実上の差別待遇を意味するものではなく、例えば世襲的な華族制度とか、租税の免除のごときものを指すものということができ、それは生来的、先天的な差別待遇は特権とすべきであるが、個々の人の後天的な功績によって差別が与えられるがごときものは特権とすべきでないものと解してよかろう。また、個々の人の功績を公に称揚することは、国の例をみても、文化功労者に対する文化功労年金の授与(文化功労者年金法)等のごとく差し支えないものとされており、その功績にふさわしい限りにおいて、公の立場から便宜を供与することを憲法上の特権と解して憲法違反とする論拠を見出しがたい。
上述したところからして、設問の名誉市民条例については、名誉市民に種々の特典、待遇を与えることは、著しく不当な待遇でない限り、憲法違反とは考えられないとする結論が導き出されたものといえる」とあります。
名誉市民に対して年金を支給している地方公共団体でも、同様に解しているものと考えられます。
かなり少なくなってきましたが、年末には、業者から販促用のカレンダーや手帳が届けられます。自分も仕事用に使っている今年の手帳は、その中からいただいたものです。
Y君「それ、何かマズないすか?」
自分「国家公務員倫理規程で禁止されてる利害関係者から金銭、物品又は不動産の贈与を受けること
に当たれへんかて言いたいんか」
Y君「市も国の施策に準じて、必要な施策を講ずるよう努めなければならないてなってますよね」
自分「ウチは、まだ倫理規程定めてへんけどな。国家公務員倫理審査会が広く一般に配布するための
宣伝用物品や記念品やったら、利害関係人からもろてもかめへんて言うてるよってかめへんやろ」
Y君「カレンダーとか手帳とかもえーんすか」
自分「えーやろ。例に会社の名前入りのカレンダーてあるしな。ほれ、これ見てみ」
Y君「常識の範囲内っちゅーことっすか」
自分「その常識っちゅーのがややこしーんやけどな。ま、公務員倫理の問題は、国と地方とやったら根
本が違うように思うんやけどの」
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
年末年始の休日も終わり、明後日から出勤です。総務課文書法規係の仕事は、年賀状の配布から始まるのですが、各地方公共団体では、当せんしたお年玉付郵便葉書等の処理は、どうしているのでしょうか?
市に届いたお年玉付郵便葉書等の所有権及びくじ引によりお年玉等として金品の支払又は交付を受ける権利は、市に帰属するものとみなすとしても、物品の場合、例えば、ふるさと小包は、どうやって換金するのでしょうか?切手は、受払簿に記入しているのでしょうか?
実際のところは、当せんの確認もせず、時効によって権利を消滅させているのではないかと思われるのですが、現金だともったいない気がします。
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