労働関係調整法の調停と議会の議決

 「普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第3条第2項に規定する処分又は同条第3項に規定する裁決をいう。以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において同じ。)に係る同法第11条第1項(同法第38条第1項(同法第43条第2項において準用する場合を含む。)又は同法第43条第1項において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あっせん、調停及び仲裁に関すること」(地方自治法第96条第1項第12号)については、議会の議決が必要です。
 労働関係調整法第18条の規定による調停の申請についても、議会の議決が必要です。ただし、同条各号に掲げられているもののうち、「相手方の申請又は労働委員会からの職権等による調停については、当事者が希望しない場合においても、強制的に手続に引き入れられるため、地方公共団体においては、議会の議決は不要」(「地方財務実務提要」地方自治制度研究会編集/ぎょうせい)であり、調停を成立させようとするときに議決を得れば足りると解されています。
 現実には、労働関係調整法の規定による斡旋、調停及び仲裁について、「普通地方公共団体がその当事者」となる場合は、そう多くはありません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:48 | 地方自治法 | コメント (0) | -

行政連携センター発足記念シンポジウム

 地方公共団体等の行政機関への法的サービスを提供するための窓口として、大阪弁護士会が全国に先駆けて行政連携センターを発足しました。7月18日(木)、それを記念したシンポジウムが開催されましたので、参加してきました。
 会場には、相当な数の市町村が参加しており、関心の高さがうかがえました。行政連携センターによって、弁護士がより身近な存在として活用できるようになることは、市町村においても大きなメリットがあると思いますが、問題は、その方法でしょう。
 田舎の市町村では、弁護士を見ることがありません。そうすると、市長や議員は、弁護士を過大に評価する傾向があります。そして、職員を過少に評価します。極端な場合、職員を全く信用していないことさえあります。そのような市町村では、弁護士の活用以前の問題でしょう。
 余談ですが、当日の資料の中に第19回自治体法務合同研究会大津大会の案内が混じっていました。びわこGのコネクションの凄さを感じました。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 17:29 | その他 | コメント (0) | -

市庁舎放火事件

 「12日午前9時40分ごろ、兵庫県宝塚市東洋町の宝塚市役所で、「庁舎の1階で火災が起きた」と市職員から119番通報があった。宝塚市によると、男がガソリンのようなものが入った瓶を1階の市税収納課のカウンター内に投げつけ、火が広がったという。男はその場で職員らに取り押さえられ、現住建造物等放火の疑いで現行犯逮捕された。この火事で職員ら男女5人がけがをしたという。」(7月12日付け朝日新聞夕刊)
 その後の報道によると、警察は、大勢の職員がいる場所に火のついた火炎瓶を投げ込んでいることから、殺人未遂容疑での立件も視野に入れて捜査を進めているようです。当然のことだと思います。危険物取扱者として言わせてもらうと、室内でガソリンをまいて放火したにもかかわらず、死者が出なかったのは、奇跡的な幸運だと思います。
 逮捕される際、容疑者は自動販売機でお茶を買い、悠然と飲んでいたそうです。また、警察に引き渡されるときには「お前ら税金でメシ食うとるんやろ。もっと市民を大事にせんかい」と言ったそうです。さすがに目の前で放火された経験はありませんが、脅迫まがいの言動を繰り返しながら、同じようなセリフを聞かされたことは何度もあります。自らの犯罪行為を正当化し、理不尽な行政サービスを要求されることは、そう珍しいことではありません。宝塚市の事件は、極めて悪質ですが、同様の事件が、どこの市町村で起きても不思議ではありません。
 では、このような事件が市町村で発生する原因は、どこにあるのでしょうか?みなさんは、どう考えますか?

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:49 | その他 | コメント (2) | -

正副議長の立候補制

 正副議長選挙に立候補制を導入する議会が増えてきているようです。しかし、地方自治法第118条第1項前段は、「法律又はこれに基づく政令により普通地方公共団体の議会において行う選挙については、公職選挙法第46条第1項及び第4項、第47条、第48条、第68条第1項並びに普通地方公共団体の議会の議員の選挙に関する第95条の規定を準用する」と規定しています。
 正副議長選挙で公職選挙法が準用されているのは、同法第46条第1項及び第4項の投票の記載事項及び投函、第47条の点字投票、第48条の代理投票、第68条第1項の無効投票並びに第95条の当選人の規定のみであって、第86条の4の立候補の届出等の規定は、準用されていません。このことから、正副議長選挙において、立候補制は認められないと解されています。
 ある市議会のHPには、「市民にわかりやすく、開かれた議会を目指すため、正副議長選挙に立候補制度を導入しました」とあります。議会改革の一環として、裏で多数派工作が行われていた正副議長選挙に立候補制を導入し、その選出過程を公開することによって、透明性を高め、市民から信頼される議会を目指そうということのようですが、全員協議会等における事実上の行為としてではなく、本会議で立候補者の所信表明演説等を行っているのであれば、法律上の問題点をどのように整理しているのか聞いてみたいものです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:50 | 地方自治法 | コメント (0) | -

カネのないときは

 6月27日のYOMIURI ONLINEによると、いわゆる乾杯条例は、1県8市町で制定されているようです。きっかけは、お茶の振興に関する法律のパクリであったのかもしれませんが、この条例がここまで流行した原因は、分かりやすさとインパクトではないでしょうか。
 ある乾杯条例の第1条は、「この条例は、……、日本酒による乾杯の習慣を広めることにより、日本酒の普及を通した日本文化の理解の促進に寄与することを目的とする」と規定しています。何のこっちゃ、さっぱり理解できません。まだ、「日本酒の消費の拡大に寄与することを目的とする」とした方が理解しやすいのではないでしょうか。
 この条例の報道を見ていると、ある人が言っていた言葉を思い出します。
「政治っちゅーのは目立ってナンボや。カネのあるときはハコモン造って、カネのないときは条例作んねん」
 そのほとんどが議員提案であることも興味深いです。政治の道具として条例を制定する。これも一つの地方自治でしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:09 | 政策法務 | コメント (0) | -
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