「ほか」

 用法の難しい用語の一つに「ほか」があります。旧「常用漢字表」(昭和56年内閣告示第1号)の頃は、一般的に、「「ほか」は原則として平仮名で表記する。「外」は、「隊長、副隊長外3人」というような表記に限って用いる」(「分かりやすい公用文の書き方」礒崎陽輔著/ぎょうせい)こととされていました。「他」には、「ほか」の読みがなかったからです。
 このことについて、「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)には、次のようにあります。
「「ほか」を漢字で書き表す場合は、昔から「外」と「他」とが使われてきたが、昭和二十三年に告示された「当用漢字音訓表」には、「外」「他」ともに「ほか」という訓が掲げられなかった。そのため、法令・公用文・新聞・教科書等では、すべて「ほか」と仮名書きにしていたので、書き分けの問題は生じなかった。ところが、昭和四十八年に改定された「当用漢字音訓表」では、「外」に「ほか」という訓が新たに加わり、それが現行の「常用漢字表」にも引き続がれた。しかし、「ほか」という語の用法すべてに「外」を当てることには抵抗感もあるところから、「外」と「ほか」との書き分けの問題が生じたわけである。」
 結局、明確な書き分けの基準がないまま、平成22年11月30日に「常用漢字表」(平成22年内閣告示第2号)が改定され、「他」にも「ほか」という読みが加えられます。しかし、「法令における漢字使用等について」(平成22年11月30日付け内閣法制局総総第208号)では、「外・他」については、常用漢字表にあっても、仮名で表記するものとされています。
 ある自治体では、公用文と法令文の表記は、できるだけ統一して用いることとしていると聞いたことがあります。新「常用漢字表」が定められましたが、「ほか」は、原則として平仮名で表記する方が適当ではないかと思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:24 | 文書事務

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