−管理人のたわごとブログ− 2013年12月
一定の権限を有する行政庁が、その権限に基づき、特定の者に対して一定の事項を命令し、若しくは示達し、又は行政処分を行う場合の文書の形式を令達文書といいます。
令達文書は、地方公共団体ごとにローカルルールが存在しますが、本市では、令達文書のうち、上級行政機関が下級行政機関に、又は上司が部下に対し、職務運用上の細目、法令の解釈、行政運営の指針を示し、その他一定の行為を命令する場合に用いるものを庁達といいます。庁達は、規程形式によらず、行政庁の補助機関が命を受けた特定の事項について自己の名で発する依名通達によることとしています。
この時期になると、本市では、年末年始における服務規律の確保について、庁達が発されるのが慣例です。
今年の年末年始は、暦の関係で長い休日になっています。服務規律の確保は当然のこととして、時節柄、くれぐれも御自愛ください。
皆さん、良いお年をお迎えください。
議会の委員会において、執行機関が明らかに不穏当であると認められる発言をしたことはありませんか?
この場合、委員長が秩序維持権に基づき、不穏当発言の取消命令を出すことが考えられます。しかし、「委員長の発言取消し命令権は委員長が構成員である委員に対して行使するものです。執行機関の説明員は委員会の要求によって出席を求められた人達であり、委員会の構成員ではありませんから、仮に答弁の中に不穏当発言がありましても取消しの対象になりません。不穏当性が高いにもかかわらず、執行機関が取消しを委員長に申し出ないとき、委員長は取り消してはどうかと勧告することが適当です。これに応ずるかどうかは執行機関の判断です。」(「議員・職員のための議会運営の実際16」地方議会研究会編著/自治日報社)
これに応ずるのが大人の解決方法です。では、これに応じない場合は、どうすればよいのでしょうか?
その場合は、無視して放っておくか、それとも、不信任議決までいってしまいますか。
「小西禎一副知事は11日、府議会本会議で、府職員の給与について「減額は、異例の事態における異例の措置。長らく続けるべきものではない」と述べ、引き上げるべきだとの考えを示した。松井一郎知事は否定的で、両者の間での考え方の違いがあらわになった。朝倉秀実氏(自民党)の質問に答えた。
府は橋下徹知事(当時)が就任後の2008年度以降、基本給の大幅なカットを始め、今年度は3〜14%減額している。」(12月12日付け朝日新聞朝刊)
約20年前、小西副知事と宴席で名刺交換をさせていただいたことがあるのですが、おそらく、覚えておられないでしょう。
それにしても、総務部長をされていたときの大阪府職員基本条例案に関する大阪維新の会との意見交換会でのやり取りといい、男前な方ですね。ホンマ、尊敬します。
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律は、「個人情報」を生存する個人に関する情報に限っており、死者に関する情報を対象としていません。
これは、「本法は、個人情報の取扱いに関連する個人の権利利益を保護することを目的とするものであるが、本人関与等により権利利益の保護を求めることができるのは生存する個人であることから、本法における「個人情報」の範囲を「生存する個人に関する情報」に限ったものである」と解されていることによります。そして、「死者に関する情報であっても、当該情報が遺族等の生存する個人に関する情報でもある場合(例えば、死者に関する情報である相続財産等に関する情報の中に遺族(相続人)の氏名の記載があるなど遺族を識別することができる場合において、当該情報は、死者に関する情報であると同時に、遺族に関する情報でもある。)には、生存する個人を本人とする個人情報として保護の対象になる」(「行政機関等個人情報保護法の解説」総務省行政管理局監修/社団法人行政情報システム研究所編集/ぎょうせい)と解されています。
一方、地方公共団体の個人情報保護条例は、生存する個人に関する情報に限定し、死者に関する情報を対象としていないものもあれば、限定せず、死者に関する情報を対象としているものもあります。
死者に関する情報を対象としていない地方公共団体では、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律と同様に、死者に関する情報のうち、請求者自身の個人情報でもあると考えられるものや社会通念上、請求者自身の個人情報とみなし得るほど請求者と密接な関係があるものについては、条例に基づく開示請求の対象になると解しているところが多いようです。例えば、親権者であったとしても、本人の死亡によって代理関係は消滅しますので、一定の関係がある場合には、死者の個人情報を請求者自身の個人情報とみなすことによって開示請求を認めることは、首肯できる解釈ではないかと思われます。
一方、死者に関する情報を対象としている地方公共団体の個人情報保護条例では、特定の範囲にある遺族等が「開示請求をすることができる」と規定しています。この規定によって、特定の範囲にある遺族等には開示請求が認められていますが、特定の範囲にない遺族等の開示請求をどうするのかという問題が生じます。この件については、「実施機関が審査会の意見を聴いた上で必要があると認めるときは、開示請求をすることができる」と規定している例が多いようですが、現実の問題として、運用の困難な規定ではないでしょうか。
なお、死者に関する情報の中には、死者のプライバシーに関するものや遺族等に対しても知られたくないと考えられるものが含まれている場合もありますので、死者に関する情報の全てを請求者自身の個人情報であるとして開示請求を認めることには問題があります。死者の個人情報については、この点についても、十分に配慮する必要があります。
東京都の猪瀬直樹知事が徳洲会グループから5,000万円を受け取っていた問題が新聞等で報道されています。こういう問題が発生すると、地方自治法第100条に規定する調査を行うための特別委員会、いわゆる100条委員会が注目されますが、この規定、使いこなすには相当の能力が求められます。
第100条第2項は、次のように規定しています。
A 民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定めがあるもの
を除くほか、前項後段の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙
人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。ただし、過料、罰金、拘留又は勾引に
関する規定は、この限りでない。
一般的には、同条に規定する調査権は、議会の議決により委任された委員会が行使するものとされますが、同項の規定による民事訴訟法の準用関係を理解している議員が何人存在するでしょうか。そもそも、民事訴訟法を理解している議員が何人存在するでしょうか。
「証人尋問」は、民事訴訟法第2編第4章第2節に規定されていますが、地方自治法第100条第2項の「証人の訊問に関する規定」の準用関係は、非常に難解です。東京都などでは、優秀な職員がゴロゴロ存在しているでしょうが、例えば、本市で100条委員会が設置された場合には、お寒い状況になりそうです。
| Top