−管理人のたわごとブログ− 附属機関設置条例の提案権
「地方自治法質疑応答集」(地方自治制度研究会編著/第一法規)に「附属機関設置条例の提案権」という質疑応答があります。
「地方自治法第一三八条の四第三項の規定により長の附属機関を設置する場合において、当該設置条例の提案権は、長及び議員の双方にあるものと解して差し支えないか」という質疑に対し、次のような回答になっています。
「(略)……附属機関は、地方公共団体の執行機関の要請により、その行政執行のための必要な資料の提供等いわばその行政執行の前提として必要な調停、審査、審議、調査等を行なうことを職務する機関である(法二〇二の三@)。つまり、執行機関のための補助的な機関ではあるが、いわゆる長の権限の分掌組織ではなく、一般の局、部、課、出先機関等とは異なった独立性を有するものであること及び特に長に専属させる明文の根拠がなく、また条理上もそのようにいい切れないことから、条例提案権の原則からいって、本設問の提案権は、長及び議員の双方に属するものと解すべきであろう。」
この回答には、疑問があります。
地方自治法第158条第1項は、「普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする」と規定しています。「普通地方公共団体の長は」と規定しているのは、長が法律上有している権限を分掌する事務処理組織に関する問題であることから、当該条例の提案権が長に専属することを示すものであると解されています。
一方、第138条の4第3項本文は、「普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる」と規定しており、長にその提案権を専属させる明文の根拠を欠いています。しかし、これは、「元来、附属機関なるものは、執行機関の行政執行に資するために設置されるものであるから、かつては(本条は、昭和二七年に新設されたものである。)、その設置は当該執行機関のもつ執行権限のうちに当然含まれているものと解されて、法令に特別の定めのない限りは、各執行機関が規則その他の規程で任意に附属機関を設置することができるものとされていたのであるが、附属機関といえども、普通地方公共団体の行政組織の一環をなすものであるから、普通地方公共団体において任意に設置しようとするときには、すべて条例で定めなければならないこととされ、各執行機関限りで任意に設置しうるという従来の建前は改められたのである」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)ことに伴うものであると考えられます。
附属機関が執行機関の附属機関であって、執行機関の行政執行のために条例の定めるところにより、その担任する事項について調停、審査、審議又は調停等を行う機関であるならば、附属機関設置条例の提案権は、長に専属するものであると解すべきではないかと考えます。
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