異議申立ての決定の理由

 情報公開制度や個人情報保護制度における異議申立てに対する決定については、当庁の判断を「決定の理由は、答申における審査会の判断と同様であるので、答申の写しをここに添付する」として、審査会の答申の写しを添付している市町村が多いのではないでしょうか。
 本市もこの方法によっているのですが、行政不服審査法第48条の規定により準用する第41条が、「裁決は、書面で行ない、かつ、理由を附し、審査庁がこれに記名押印をしなければならない」と規定していることを考えると、違和感があります。答申は審査会の文書であって、異議申立庁の文書ではないからです。
 このことについて、「判例地方自治bR56平成24年7月号」(ぎょうせい)の「裁決書起案のキーポイント第7回」(中村次良)には、次のようにあります。
「情報公開審査会の答申を添付する決定書の形式を採ることについては、理論的には若干問題があります。しかし、現時点において、このような形式を違法とする裁判所の判決はありません(この点について争われた事例もないと思われます。)。実務においても、上記で述べたとおり、このような形式が普及し、また、このような形式の決定書も許容されていると解する見解もあります。この見解の理由は、必ずしも明らかではありませんが、行政不服審査が訴訟と異なって「簡易」救済制度であること(行政不服審査法1条)や、訴訟における判決においても、事件に対する上級審の判決では、この決定書と同じような記載方法で当該事件に対する下級審の判決を引用する形式を採っていることなどがその理由と思われます。」
 うーん……ま、えーんでしょうね。
 ちなみに、「裁決書起案のキーポイント」は、「判例地方自治」のbR49(平成24年1月号)からbR68(平成25年6月号)までに連載されており、実務上、非常に参考になります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:22 | 情報公開・個人情報保護

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