質問と要望

 ある市議会の会議録を読んでいると、本会議の質問中に「……について要望させていただきます」、「……を要望して私の質問を終了させていただきます」、「……は要望ですので、答弁は結構です」といった発言が繰り返し行われているのが見受けられました。
 質問の最後を要望で締めることが慣例になっているのであろうと思われるのですが、本来、質問の中で要望を述べることはできません。議員は、質問をするために議長から発言を許可されたのであって、議題外発言である要望を述べることは、認められないからです。この点、「委員は、議題について自由に質疑し及び意見を述べることができる」((標準)市議会会議規則〔準則〕第115条本文)委員会とは取扱いを異にしています。
 「再質問では意見、希望、要望だけを述べて終わる例をみますが、やむを得ないものと解されます」(「議員・職員のための議会運営の実際2」地方議会編集会編著/自治日報社)という意見もあるようですが、同書の第15巻には、次のようにあります。
「議会は執行機関に対する要望団体ではありません。住民から選ばれた議員が住民のニーズを本会議の場で反映し、執行機関に公式の所信や対策を求めるところです。住民のために政策論争をして知恵を出し合い、より良い施策、経費の効率的使用を図ることを目的とします。これに対し要望は一方的な行為であり、議会本来の役目ではありません。要望を述べることは、見方を変えれば議員が口頭による請願を行っているようなものです。」
 意味のない条例を制定することよりも、こういう点を改善していくことこそが本当の議会改革ではないかと思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 22:55 | 地方自治法

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