−管理人のたわごとブログ− 権利濫用禁止規定
行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案が、現在衆議院で審議中です。
この法律案は、「情報公開制度が「国民の知る権利」を保障する観点から定められたものであることを明示(1条)するとともに、同制度を「国民の知る権利」の保障にふさわしい充実した内容に改正」するものとされていますが、注目したいのは、第5条に加えられた次のただし書です。
「ただし、当該開示請求が権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合に該当するときは、この限りでない。」
いわゆる権利濫用禁止規定といわれるものですが、どのような場合を想定しているのでしょうか。参議院HPに掲載された答弁書によると、「開示請求の回数や開示請求に係る行政文書の量を重要な判断要素としつつも、これらを含めて個々の開示請求が全体として明らかに行政機関の事務の遂行を阻害するために行われ、又は行政文書の開示を受ける意思がないにもかかわらず行われたと認められるような場合には、同条ただし書に規定する場合に該当するものと考えられる」とあります。
一方、地方公共団体の情報公開条例の中には、利用者の責務として「権利を正当に行使しなければならない」や「権利を濫用してはならない」と規定しているのと合わせて、「実施機関は、権利の濫用に当たる請求があったと認めるときは、当該請求を拒否することができる」と規定しているものもあります。
これらの地方公共団体の情報公開事務の手引等によると、@「○○課の全ての文書」というような常識の範囲を超える大量請求が行われた場合、A公開決定を受けたのに交付を受けず、又は閲覧をせず、同一の請求が繰り返された場合、B特定の職員を誹謗中傷する請求が繰り返された場合、C文書の特定又は請求書の補正に応じない場合などは、権利濫用禁止規定に抵触するものと考えられているようです。
そもそも権利の濫用禁止は、条例に規定することによって発生するものではなく、一般法理(民法第1条第3項)として確立しているものですが、この法律案が成立すると、権利濫用禁止規定を条例に規定する地方公共団体が増えてくるのではないでしょうか。
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