人事評価と分限処分(中編)

 大阪府は、職員基本条例の施行に伴う関係条例の整備に関する条例例第1条で職員の分限に関する条例第3条を次のように改正しています。
(後任又は免職の事由)
第3条 職員が、次に掲げる場合に該当するときは、法第28条第1項第1号に該当するものとして、こ
 れを降任し、又は免職することができる。
 ⑴ 人事評価(職員基本条例(平成24年大阪府条例第86号)第14条第1項に規定する人事評価を
  いう。以下同じ。)が継続して任命権者が定める基準を下回る場合であって、研修その他必要な措置
  を実施しても勤務実績の改善がない場合
 ⑵ 担当すべきものとして割り当てられた職務を遂行してその職責を果たすべきであるにもかかわら
  ず、その実績が良くないと認められる場合
2 職員が、将来回復の可能性のない、又は法第28条第2項第1号による休職の期間中には回復の見
 込みが少ない長期の療養を要する疾病のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないこと
 が明らかなときは、同条第1項第2号に該当するものとして、これを降任し、又は免職することができ
 る。
3 職員が、次に掲げる場合に該当するときは、法第28条第1項第3号に該当するものとして、これを降
 任し、又は免職することができる。
 ⑴ 第6条第6項の命令に従わなかった場合
 ⑵ 1月以上行方が不明である場合(正当な理由なく欠勤をした場合又は災害によることが明らかな
  場合を除く。)
 ⑶ 簡単に矯正することのできない持続性の高い素質、能力若しくは性格に起因してその職務の円滑
  な遂行に支障があり、又は支障を生ずる蓋然性が高いと認められ、職員として必要な適格性を欠くと
  認められる場合
 しかし、「逐条地方公務員法」(橋本勇著/学陽書房)には、地方公務員法第27条第2項が「分限処分の根拠規定であり」、「もっとも重い処分である免職と次に重い処分である降任については、」「その事由をもっぱら地方公務員法で定める場合に限定している。次に重い処分である休職は、地方公務員法で定める場合のほか、条例で定める場合も行いうることとし、もっとも軽い処分である降給は、もっぱら自主立法である条例で定めるところに委ねている」とあります。つまり、免職及び降任に関する事由については、同法第28条第1項でのみ規定されるものであって、条例制定権は及ばないと解されているのではないでしょうか。ならば、このことについて定めた職員の分限に関する条例第3条の規定は、無効であると解されるのではないでしょうか。
 条例で規定すればどんなことでもできると、また、どんなことでも条例で規定することができると思っている人がいますが、それは、大きな間違いです。「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる」(地方自治法第14条第1項)のです。
 なお、「降任または免職の処分を行う事由として、本条第1項は四つの事由を定めているが、それぞれの場合に該当するかどうかは客観的標準に照らして決定すべきであり、いかなる分限処分を行うかは、その内容と程度に応じて任命権者が裁量によって決定すべきものであるが、裁量の範囲を逸脱してはならないことはいうまでもない」(前掲書)ことです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 15:56 | 地方公務員法

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投稿者   : 2013年11月5日 12:20

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