「配付」と「配布」

 「法令における漢字使用等について」(平成22年11月30日付け内閣法制局総総第208号内閣法制次長通知)によると、1の⑹で「配付」と「配布」については、「「配付」は交付税及び譲与税配付金特別会計のような特別な場合についてのみ用いる。それ以外の場合は「配布」を用いる。」とされています。
 また、「言葉に関する問答集・総集編」(文化庁/国立印刷局)によると、「「くばる」意味の語に「はいふ」というのがあり、漢字で書き表すとき、「配布」と「配付」が使い分けられている。
 これを漢字の意味から考えると、「布」は字訓が「しく」で、「広く行き渡らせる」意味を持っている。「布教・公布」などと用いるのがこれである。したがって、それに「配(くばる)」を組み合わせた「配布」は、「広く一般に配り渡す」意味の語である。「選挙公報を配布する」「配布刊行物」「配布網」などは、この意味の用例である。
 これに対し、「付」の方は字訓が「つく・つける」で、「そこまで持っていく」意味を持っている。「付託・送付」などと用いるのがこれである。したがって、それに「配(くばる)」を組み合わせた「配付」は、「特定の人々に一人一人渡す」意味の語である。「資料を配付する」「配付議案」「配付額」などは、この意味の用例である」とあります。
 「配付」と「配布」は、厳密には意味の異なる語ですが、「規律・紀律→規律」や「状況・情況→状況」と同様に、同義で異表記の語として「法令用語改正要領」(昭和29年11月法制局総発第89号)により、「配付・配布→配布」に統一されたものです。したがって、同要領の制定前に施行された法令では、「配付」が用いられており、国会法第73条や衆議院規則第28条第2項などにその用例を見ることができます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:16 | 文書事務

コメント

 

投稿者   : 2013年11月5日 11:26

コメントしてください




保存しますか? はいいいえ


< 2012年3月 >
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
Links