−管理人のたわごとブログ− 2012年11月
「災害時に、支援が必要な高齢者や障害者などの避難誘導と安否確認を迅速に行うため、内閣府は、災害対策基本法を改正する方針を固めた。提供に同意した個人の情報を集めた名簿の作成を市町村に求めるほか、それを民間の福祉団体などに平時から開示できるようにする。有識者による議論を経て、来年の通常国会への法案提出を目指す。」(11月14日付け読売新聞夕刊)
そもそも、災害時要援護者に関する情報は、思想、信条、宗教等と同様に、心身に関する基本的な個人情報として、法令等の規定による場合又は個人情報保護審査会の意見を聴いた上で実施機関が必要不可欠であると認める場合以外は、その収集を禁止している地方公共団体が多いのではないでしょうか。
現時点では、災害対策基本法がどのように規定されるのか定かではありませんが、ちょっと気になります。
行政実例では、「学校教育法にいう公立学校は、地方公共団体の営造物(現行法では公の施設)であって、一般に営造物(現行法では公の施設)の使用については、利用者から使用料を徴収しうべく、学校と学校生徒との間の関係は、この営造物利用の一般関係と異なるものではない。従って授業料も使用料の一であると解してさしつかえない」(昭和23年8月18日付け自発第652号)とされています。
前の記事(2012年11月13日)では、「授業料を公の施設の使用料と解するならば」と書きましたが、授業料を公の施設の使用料と解している地方公共団体は、今や少数派ではないでしょうか。
水道料金債権が民法第173条第1号の「生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権」であるとされた東京高裁判決(平成13年5月22日)や公立病院の診療債権が同法第170条第1号の「医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権」であるとされた最高裁判決(平成17年11月21日第二小法廷)などの考え方からすると、授業料についても私法上の債権(「学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権」同法第173条第3号)であると解するのが適当であると思われます。
なお、公法上の債権か私法上の債権か、行政実例と判例とで意見の異なる公営住宅の使用料ですが、債権管理条例を制定している地方公共団体のほとんどは、私法上の債権であると整理しているようです。
次のような法制意見があります。
問題 地方公共団体の条例が授業料その他教育に関する使用料について減免の措置をとりうることを
定めている場合、その減免の措置は教育委員会の所掌事務に属するか。
意見 お示しの減免の措置は、教育委員会の所掌事務に属する。
(昭和26年6月15日付け法務府法意1発第36号文部事務次官宛て法務府法制意見長官回答)
一方、次のような行政実例もあります。
問 授業料の減免の措置は、教育行政に属するとの理由により教育委員会で所掌すべきであるとの意
見があったが、右は知事の所掌事務であるか、委員会の所掌事務であるか。
答 授業料減免措置は、知事の権限である。
(昭和26年9月21日付け地自行発第286号和歌山県知事公室長宛て行政課長回答)
地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって廃止された教育委員会法が施行されていた頃の法制意見と行政実例ですが、これらは、廃止された形跡がありません(おそらく、ないと思います。)。
さて、どうしましょうか?個人的には、授業料を公の施設の使用料と解するならば、行政実例を支持したいです。
民間企業で実施されていた成果主義による人事評価制度は、失敗したのではなかったでしょうか。人事評価を給与に反映させる手法は、逆に社員のモチベーションを低下させてしまうことから、否定されているものとばかり思っていました。
こうした失敗を踏まえて、現在、先進的な地方公共団体では、公平で公正な評価はできないということを前提にした上で、職員の能力開発と組織を活性化するための人事評価制度を模索しているところではなかったでしょうか。
なぜ、大阪では、時代に逆行するような人事評価制度が流行っているのでしょうか。理解に苦しみます。
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