市民協働

 本市では、「市民協働」という言葉がちょっとしたブームになっています。
 しかし、この言葉を好んで使っている人の言動を見ていると、その意味を理解して使っているのかどうかは、甚だ疑問です。また、あのニセコ町が自治基本条例から「協働」の文字を削除したことを知っているのでしょうか。
 2010年4月26日付けの河北新報の記事によると、
「「協働のまちづくり」は、北海道ニセコ町が2000年に全国初の「まちづくり(自治)基本条例」を制定して一気に広がった。
 そのニセコ町が今春、条例から「協働」の文字を削除した。片山健也町長が語る。
「『協働』が住民と行政の対等なパートナーシップという意味で使われるのには違和感がある。主権者である住民と、住民の意思に基づいて働く役場が対等なはずがない。役場は住民に責任を転嫁するために協働を言い訳にしてはいけない」とあります。
 たしかに、ある市の市民協働のまちづくり条例によると、「市民協働」を「市民、市民公益活動団体、事業者及び市がその自主的な行動のもとに、お互いに良きパートナーとして連携し、それぞれが自己の知恵及び責任においてまちづくりに取り組むことをいう」と定義しているように、市民と市とを対等な関係として位置付けていることが分かります。
 他の市町村が使用している言葉にケチをつけるつもりは毛頭ありません。「市民協働」に限らず、何となくカッコえーからというだけで訳も分からんと、そういう言葉を使うことはやめとけへんけということです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 07:00 | 政策法務 | コメント (0) | -

災害対策基本法

 台風12号は、紀伊半島の市町村を中心に甚大な被害をもたらしました。そして先週は、台風15号が日本列島の各地で猛威を振るいました。
 東日本大震災やこうした災害に対応するために、災害対策基本法という法律があります。
 災害対策基本法は、「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的」(第1条)としているのですが、この法律には、重大な欠陥があります。
 それは、災害が発生した市町村に災害対策本部を設置することができる(第23条第1項)としているため、被災した職員自らが災害対策本部員になってしまうという点です。
 東日本大震災では、町長を含め、多数の市町村職員が犠牲になった市町村もあれば、津波で庁舎そのものが壊滅してしまった市町村もあります。災害対策基本法は、ここまでの事態を想定していません。そもそもこの法律は、役所が完全に機能しているということを絶対の条件として成り立っています。そのため、災害の規模が大きければ大きいほど、災害対策本部の必要性が増大するのに反比例して、その機能が停止してしまうという結果を招いてしまうのです。
 東日本大震災や台風12号等で被災された市町村では、復興に向けて、今も多くの職員が懸命に職務を遂行されていることと思います。そして、その職務は、過酷を極めたものであろうことが想像できます。その姿勢には、ただ、ひたすらに頭が下がります。くれぐれも御自愛していただきますようお祈り申し上げます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:49 | その他 | コメント (0) | -

勤務条件に関する措置の要求

 「職員は、給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、人事委員会又は公平委員会に対して、地方公共団体の当局により適当な措置が執られるべきことを要求することができる。」(地方公務員法第46条)
 泉佐野市の職員588人が給与を削減されたことについて、公平委員会に対して措置要求をしました。このことについて何か記事を書こうかと思ったのですが……
 あまりにも面白い記事を見つけてしまいましたので、それを紹介します。
 地方公務員拾遺物語「【泉佐野市の給与削減】公平委員会に訴えてみました。」 
 正に「その後のリアル『再生の町』」です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:29 | 地方公務員法 | コメント (0) | -

府費負担教職員の勤務時間等に関する規則

 市町村立学校に勤務する府(県)費負担教職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則は、都道府県の条例又は都道府県の教育委員会規則の委任事項を市町村の教育委員会規則で定めているという変わった法体系をとっています。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第42条は、「県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、地方公務員法第24条第6項の規定により条例で定めるものとされている事項は、都道府県の条例で定める」と規定しています。
「一般に地方公務員の給与は、職員の身分の属する地方公共団体が負担し、支給するというのが原則である。このことは学校の職員についても同様であって、職員の給与は、学校の設置者である地方公共団体が負担し、支給する(学校法五、自治法二〇四)。
 しかして、これら職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は条例で定めることとされている(地公法二四6)。そして、この条例が、職員の属する地方公共団体の条例であることはもちろんである。
 しかしながら、県費負担教職員についてこの原則は適用がない。けだし、県費負担教職員は、市町村の設置する学校に勤務し、市町村の公務員として市町村の教育事務に従事しているが、その給料その他の給付は都道府県の負担とされているからである。そこで、本条の規定を設けて、地方公務員法と市町村立学校職員給与負担法との間の調整をとることとされたのである」(「逐条解説地方教育行政の組織及び運営に関する法律」木田宏著/第一法規)。
 そして、同法第43条第4項は、「都道府県委員会は、県費負担教職員の任免その他の進退を適切に行うため、市町村委員会の行う県費負担教職員の服務の監督又は前条、前項若しくは第47条の3第1項の規定により都道府県が制定する条例若しくは同条第2項の都道府県の定めの実施について、技術的な基準を設けることができる」と規定しています。
 この「技術的な基準の形式については、法律上特段の定めはないが、基準の内容等は市町村委員会に対して事前に、かつ、明確に示される必要があるため、教育委員会規則やこれに基づく通知等により定めることが適当である」とされ、技術的な基準として定められる主なものとして「県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例を具体に実施するための条例の施行規則や解釈、運用方針を示すこと」(前掲書)が挙げられています。
 大阪府内の市町村においては、おそらく、大阪府教育委員会の技術的基準として、市町村立学校に勤務する府費負担教職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則が当時の準則として示されたことがこのような法体系になっている原因ではないでしょうか。
 なお、都道府県によっては、内規によって運用しているのか、このような教育委員会規則が全く制定されていないところも存在します。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:26 | その他 | コメント (0) | -

○○と暴力団

 暴力団とは、「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう」(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第2号)と定義されています。
 タレントの島田紳助さんが暴力団関係者との交際を理由に芸能界を引退したことによって芸能界と暴力団との関係が問題になっていますが、紳助さんは、将来、政治家になるのではないかという報道の方に驚いています。大阪府暴力団排除条例第2条第4号に規定する暴力団密接関係者が政治家になるんですか?
 みなさんのところでは、自宅等に拳銃が撃ち込まれたり、小指の先が欠損していたり、身体に墨を入れているような議員はいませんか?また、そういう方と親密に交際されているような議員はいませんか?
 この10月1日から全国の都道府県で暴力団排除条例が施行されるそうですが、まずは、政治の世界から暴力団を排除してもらいたいです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:51 | その他 | コメント (1) | -

条例?

 いつも楽しみながら勉強させてもらっている半鐘さんの「半鐘の半死半生」の記事から
 条例はどこまで・8 
 失礼ながら、「キツイ」を通り越して「ムゴイ」というのが偽らざる感想です。「地方公共団体の制定する条例は、憲法が特に民主主義政治組織の欠くべからざる構成として保障する地方自治の本旨に基き、直接憲法第94条により法律の範囲内において制定する権能を認められた自治立法にほかならない」(最高裁昭29.11.24・昭37.5.30)のであって、国法とともに国の法秩序を形成するものである以上、内部規範等を定めた一部の条例を除き、そこには、住民の権利義務について規律する法規的性質が必要であると考えるからです。果たしてこれが条例といえるのかどうか……
 仕事というものに真剣に取り組めば、ある「思い」というものが生まれてくるように思います。医師には医師の、料理人には料理人の「思い」があるように、市職員には市職員の、例規屋には例規屋の「思い」があるのです。しょぼいけど譲られへんギリギリのもんが……

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 23:54 | 法制執務 | コメント (3) | -
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