−管理人のたわごとブログ− 続・損害賠償の額(前編)
「地方財務実務提要」(地方自治制度研究会編集/ぎょうせい)に「交通事故に係る損害賠償責任」という次のような質疑応答があります。
問 市の職員が公務遂行中に交通事故を起こした。被害者の方に損害賠償請求権があるにもかかわら
ず、何ら請求を行わないので、市が道義的積極的に金額を明示し、示談書を締結した。このような場
合でも、議会の議決が必要か。
答 質問の具体的事実が明らかではありませんので確答はしかねますが、職員の行為が、公務遂行中
ということから、国家賠償法上の公権力の行使に当たるものとの前提で考えますと、当該職員が故意
又は過失により違法に他人に損害を加えた場合であると推定されます。この場合、国家賠償法上市
は、損害賠償の責に任ずることが明定されており、相手方が損害賠償をしないとはいっても、示談書を
締結するといった具体的行動をみるならば、相手方が損害賠償請求権を放棄するといった内容であれ
ば前提が変わってきますが、右のような前提での見舞金等に係る示談書の締結である場合には、(そ
れが社会通念上損害賠償といえない程度のものであるならばこれまた別ですが)いちおう損害賠償と
解すべきであり、当然自治法第九六条第一項第一三号の議決を要するものと解します。
なお、次の行政実例を参考にして下さい。
○損害賠償の額を定める場合の議会の議決と長の専決処分
(昭和二六年一〇月一五日 地自行発第三三〇号 静岡市議会事務局長あて 行政課長回答)
問一 第九六条第一項提一一号(現行法では第一項第一三号)に規定する法律上その義務に属す
る損害賠償の額を定めることについて、市消防職員が誤って交通事故を起こしたが、当事者
(市当局及び被害者)間に、市当局から被害者に対し医療費及び見舞金を贈ることにより示談と
なった場合、これら二件の金額の決定については、その金額の多少にかかわらず法律上その
義務に属する損害賠償の額を定めることとして、当然議会の議決を必要とするか。
二 右の事由の有無にかかわらず第一八〇条第一項の規定に基き、一定の金額を限度としてあら
かじめ議決により特に指定し、その範囲内において長に専決処分させることができるか。
答一 医療費及び見舞金が損害賠償のためのものであるときはお見込みのとおり。
二 お見込みのとおり。
何だか分かりにくい答ですが、一応、議決が必要ということです。では、この問の場合で、相手方が損害賠償請求権を放棄したときには、議会の議決が必要でしょうか。
考えられる方法としては、次のとおりです。
@ 損害賠償の額を定めること及び和解についての議決が必要
A 和解についての議決のみ必要
B 議決不要
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