所得等報告書等の提出(前編)

 「泉佐野市の新田谷修司前市長は、昨年の所得や補充資産が公開対象でありながら、市に未提出だった。
 同市によると、条例では市長に毎年4月中に所得報告などの作成を義務付けているが、新田谷氏は4月1日付で辞職。市は「新田谷氏に報告するよう要請しておらず、結果的に未提出になってしまった」としている。新田谷氏の後援会幹部は「本人は所得報告の義務があったことを知らなかった」とし、改めて市に報告書を提出するという。」(7月5日付け読売新聞朝刊)
 この記事だけではちょっと分かりにくいと思いますので、資産公開制度について、説明しておきます。
 なお、資産公開を情報公開とごっちゃにしている人がいますが、二つの制度は別物です。情報公開が「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的」(行政機関の保有する情報の公開に関する法律第1条)とするのに対し、資産公開は「国会議員の資産の状況等を国民の不断の監視と批判の下におくため、国会議員の資産等を公開する措置を講ずること等により、政治倫理の確立を期し、もって民主政治の健全な発達に資することを目的」(政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律第1条)とするものです。
 同法によると、国会議員は、任期開始日に有する資産等を資産等報告書に記載し、同日から起算して100日を経過する日までに、議長に提出しなければなりません(同法第2条第1項)。その後、毎年新たに有することとなった資産等で12月31日において有するものについては、資産等補充報告書に記載し、翌年の4月1日から30日までの間に、議長に提出しなければならない(同条第2項)とされています。
 さらに、前年1年間を通じて国会議員であった者は、所得等報告書を作成し、毎年、4月1日から同月30日までの間に、議長に提出しなければならず(同法第3条)、また、毎年、4月1日において報酬を得て会社その他の法人の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該会社その他の法人の名称及び住所並びに当該職名を記載した関連会社等報告書を作成し、同月2日から30日までの間に、議長に提出しなければならない(同法第4条)とされています。
 そして、同法第7条で、都道府県及び政令指定都市の議員並びに都道府県知事及び市町村長の資産等の公開については、「平成7年12月31日までに、条例の定めるところにより、この法律の規定に基づく国会議員の資産等の公開の措置に準じて必要な措置を講ずるものとする」と規定されたことにより、全国の地方公共団体で同法をコピーした条例が時期を同じくして制定されることになります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:28 | その他

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