不存在の場合の手続

 次のような情報公開請求がされたことがありませんか?
「○月○日、××についてA課に相談中、甲係長が△△と発言したその真意と理由について情報公開を請求する」
 このような請求が何度も繰り返された場合、みなさんのところでは、どのように対応しますか?考えられる方法としては、
@ 不服申立てを恐れず、不存在決定処分をする。
A 権利の濫用であるとして受理しない。
B 請求に対する文書を作成して公開する。
といったところでしょうか。
 このうち、Bについては、第17回自治体法務合同研究会のJ1グランプリにエントリーされたニセコ町情報公開条例に次のような規定があります。
(公開請求に係る町政情報が不存在の場合の手続)
第13条 実施機関は、公開請求に係る町政情報が存在しないときは、公開請求があった日から起算し
 て15日以内に、次の各号のいずれかの措置を執らなければならない。
 ⑴ 当該町政情報が不存在であることを理由として公開をしない旨の決定をすること。
 ⑵ 当該公開請求に係る町政に関する文書等を新たに作成し、又は取得して、当該文書等を請求者
  に対して公開する旨の決定をすること。
2 実施機関は、前項第2号の決定をしたときは、請求者に対し、速やかにその旨、同号の規定による公
 開の時期についての見通しその他規則で定める事項を書面により通知しなければならない。
3 第11条第2項から第6項まで(第5項を除く。)の規定は第1項第1号の決定に、同条第2項及び第6
 項の規定は第1項第2号の決定について準用する。
4 実施機関は、第1項第2号の決定に基づき関係する文書等を新たに作成し、又は取得したときは、請
 求者に対して、速やかに当該文書等により公開請求のあった町政情報を公開する旨その他規則で定
 める事項を書面により通知するものとする。
 ニセコ町が上記のような情報公開請求に対し、第13条第1項第2号の決定をするかどうかは分かりませんが、以前からこの規定は、非常にユニークで魅力的な規定だと思っていました。J1グランプリでどのようなプレゼンをされたのか聞きたかったです。
 その反面、当該請求に対して文書を作成して公開することは、もはや情報公開制度の枠を超えてしまっているのではないかとも思います。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 07:07 | 情報公開・個人情報保護

コメント

ときどきみかける請求パターンですね。
この場合、不存在でもいいわけですが、行政庁として当然作成することが期待される文書が不存在だと、別のレベルで問題とされそう。
その観点から興味深い審査会答申を見つけました。最後の「なお書き」に注目でしょうか。

→ http://www.pref.fukushima.jp/bunsho/kk/koukai/tousin/tousin82.pdf

投稿者 冥 : 2011年7月21日 19:40

諮問第82号に対する答申ですね。
情報公開制度というものは、適正な事務手続も要求されています。
ただ、この辺りは、どこの地方公共団体でも何かありそうな気がします。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 2011年7月27日 08:03

というか、情報公開制度の意義が情報そのものの公開にあるとすれば、それを載せている器に意味はないので、人の脳内の記憶という電磁的記録を、必要に応じてアウトプットして公開することは、情報公開制度の必然的発展でこそあれ、「もはや情報公開制度の枠を超えてしまっている」とはいえないだろう、というぐらいの所感でした。
おじゃま失礼!

投稿者 冥 : 2011年7月27日 20:08

 

投稿者   : 2013年9月21日 11:59

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