−管理人のたわごとブログ− 指定代理人
「国を当事者又は参加人とする訴訟については、法務大臣が、国を代表する」(国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律第1条)ものとされ、その「所部の職員」又は「行政庁の職員で法務大臣の指定するものにその訴訟を行わせることができる」(同法第2条第1項及び第2項)とされています。また、「地方公共団体、独立行政法人その他政令で定める公法人は、その事務に関する訴訟について、法務大臣にその所部の職員でその指定するものに当該訴訟を行わせることを求めることができ」(同法第7条第1項)、「法務大臣は、国の利害を考慮して必要があると認めるときは、所部の職員でその指定するものにその訴訟を行わせることができる」(同条第3項)とされています。
このように訴訟を行わせるものとして指定された職員を指定代理人といいます。
「指定代理人は、個別の事件ごとに指定される訴訟代理人です。訴訟代理人は、一般に法令による訴訟代理人と委任による訴訟代理人とに分けられますが(民訴法54条1項、55条4項参照)、指定代理人は前者に属すると考えられます。もっとも、指定代理人は、個別の事件ごとに選任され、その事件についてしか権限を与えられていませんので、法令による訴訟代理人であるとはいっても、他の法令による訴訟代理人(例えば、商法上の支配人や船長など)とはかなり性格を異にし、むしろその実質は、委任による訴訟代理人に近いといえます。
指定代理人は、訴訟代理人としての地位にありますから、指定代理人がその権限内でした行為は、本人がしたのと同様な効果を生じ、その効力は本人に及びます。これは訴訟代理の本来的効果です。裁判の期日に指定代理人が欠席すれば本人が欠席したことになり、指定代理人の陳述したことは本人の陳述となります。
一方、指定代理人は、訴訟の当事者ではありませんから、判決の効力を受けることはありませんし、証人や鑑定人になることもできます。」(「地方公共団体の訴訟事務の手引」行政関係訴訟事務研究会編集/ぎょうせい)
地方公共団体の事務に関する訴訟については、当該地方公共団体又は行政庁が職員を指定代理人として選任することができます。この場合において、行政庁が長のときは地方自治法第153条第1項の規定が、教育委員会のときは地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条第3項の規定が、地方公営企業管理者のときは地方公営企業法第13条第2項の規定がその根拠となります。また、選挙管理委員会(地方自治法第193条)や監査委員(同法第201条)は、同法第153条第1項の規定を準用するとされています。
一方、公平委員会、農業委員会や固定資産評価審査委員会、さらに、通常、議決機関である議会には、このような事務委任の規定がありません。つまり、これらの行政庁(議会を含む。)は、指定代理人を選任することができないということになります。
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