契約の自動更新条項

 「ちょっと見てくれ」と言われてちょっと見た契約書の中に、いわゆる自動更新条項(契約期間を4月1日から翌年の3月31日までとする契約で、契約終了前の一定の期間までに当事者の一方から更新を拒否する申出がない場合は、当該契約を1年間更新したものとみなす旨の規定)が規定されていました。
 なお、この契約書には「翌年度以降において歳入歳出予算の当該金額について減額又は削除があった場合は、当該契約は解除する」旨の条件も規定されていますが、この契約に係る債務負担行為は設定されていません。
 会計年度独立の原則から、歳出予算に基づく契約については、債務負担行為等の予算措置をせずに次年度以降に経費の支出を伴うものを締結することはできません。このことから、例え「翌年度以降において歳入歳出予算の当該金額について減額又は削除があった場合は、当該契約は解除する」旨の条件を規定したとしても、自動更新条項を規定することはできません。
 このような契約書が見受けられるのは、昭和40年9月1日付けの行政実例に「当該契約条項中に、翌年度以降において歳入歳出予算の当該金額について減額又は削除があった場合は、当該契約は解除する旨の条件を附した場合は債務負担行為とする必要はない」とあることがその原因ではないかと考えられます。しかし、そもそもこの行政実例は、長期継続契約において当該解除権を留保した条件を付した場合には、債務負担行為として予算で定める必要はないと解されたものです。単年度契約に自動更新条項を規定するによって長期継続契約のような効果を発生させ、かつ、解除権留保条項を規定することによって債務負担行為をも解除しようとすることはできません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:02 | 地方自治法

コメント

コメントしてください




保存しますか? はいいいえ


< 2011年4月 >
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
Links