−管理人のたわごとブログ− 犯歴事務(後編)
犯歴事務とは、どのような性格の事務なのでしょうか。前掲書によると、「犯罪人名簿に関する事務については、第2条第3項各号及び第148条第3項別表第4、2に掲げる事務のいずれにも含まれておらず、また、この事務はさきに記述したいずれの事務にもぴったりとは該当しない。……(略)……地方公共団体の性格から考えても、この事務を真正面から市区町村の独立の事務として説明することにはいささか無理があり、説明に破綻をきたすことになる。犯罪人名簿は、本来、検察事務及び裁判事務の適正な運営に資するために利用されるべきものであり、この事務そのものが国家事務としての性格を有する上、市区町村における犯罪人名簿利用の実態をみても、地方自治法第2条第3項第16号に規定されている身分証明事務及び公職選挙法第4章に規定されている選挙人名簿調製事務のために、いわば付随的に利用されているにすぎないものであるから、犯罪人名簿事務を市区町村の独立の事務と解することは困難であり、強いてそのように解する必要性もない。
結局、市区町村の犯罪人名簿事務は「身分証明を行うための附随事務」と解するのが事務処理の実情に合致した素直な解釈であると考えられるのである」とあります。
いわゆる地方分権一括法が施行された現在では、戸籍に関する事務は第1号法定受託事務とされていますが、犯歴事務は、地方公共団体が処理する事務のうち、法律又はこれに基づく政令に特に定めがないことから、自治事務であると解されます。ちなみに、自治事務であるならば、法的根拠又は全国統一された事務処理要領のようなものは、必ずしも必要ではありません。
そして、犯歴事務における犯罪人名簿が最も活用されるのが、栄典における身分証明事務ではないでしょうか。
「栄典は、国家が特定の私人の栄誉を表彰するため、これに与える待遇である」。「栄典は、その受章者が多くの人々から広く祝福されるものでなければならない。栄典の候補者として推薦される者はもとより功労を挙げた者ばかりであるが、栄典としてその者を顕彰するためには、受章者の人格、生活態度等においても避難されるものがあってはならない」(「栄典事務の手引」監修総理府賞勲局/ぎょうせい)ことから、栄典を授与することが不適当な者であるかどうかを認定する資料として刑罰等調書が作成されます。
善良な一市民として普通に生活していると、犯歴のある方と知り合う機会はまれです。しかし、市町村の職員として仕事をしていると、様々な場面でそういう機会に遭遇します。不思議なことに、それは、栄典事務においても例外ではありません。
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