市議会会議結果報告書

 会議録について規定している地方自治法第123条は、第4項で「議長は、会議録が書面をもって作成されているときはその写しを、会議録が電磁的記録をもって作成されているときは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面又は当該事項を記録した磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)を添えて会議の結果を普通地方公共団体の長に報告しなければならない」と規定しています。この会議の結果の普通地方公共団体の長への報告ですが、みなさんのところでは、どのような方法で行っていますか?
 本市の場合、議案に会議の結果を朱書(ゴム印を赤インクで押印)し、その他必要事項を記載したものを作成し、これを市議会会議結果報告書と称して市長に送付することとしています。
 報告の方法について、法上は何ら規定されていませんが、第16条第1項では「普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があったときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない」と、第219条第1項では「普通地方公共団体の議会の議長は、予算を定める議決があったときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない」と規定しています。このことから、本市では、会期の最終日にすべての案件を議決し、その日から3日以内に会議結果報告書を市長に送付することとしています。
 この報告の方法については、様々なローカルルールがあるのではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:06 | 地方自治法 | コメント (2) | -

議場

 標準都道府県・市・町村議会会議規則第1条には「招集日の開議定刻前に議事堂に参集し」と規定されていることから、招集場所の告示は必要ないとの意見もあるようですが、議会の招集告示には、期日と場所が規定されます。
 「議員・職員のための議会運営の実際1」(地方議会研究会編著/自治日報社)には、「地方団体の招集告示をみると、@○○市(町村)に招集する、A○○県(市町村)議会議事堂(または議場)に招集する−に大別されます。どちらの方法でも差し支えありません」とあります。
 一般的に「議場」とは、議会の会議が開かれる場所を指し、原則として特定されていなければならないと解されていますが、特に必要がある場合は、議長は、地方自治法第104条の規定により、議場を別の場所に変更する権限を有していると解されます(「地方自治法質疑応答集」地方自治制度研究会編著/第一法規)。また、「町村会合併問題等ノ事情ノ為町村会ヲ他町村内ニ招集スルハ差支ナシ」(昭和6年5月23日行政実例)とあることから、他の市町村で議会を開くことも可能です。
 東日本大震災の津波で庁舎が壊滅した岩手県大槌町の議会が、15日(火)、公民館で開かれたという報道を見ました。一日も早い復興をお祈りします。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:23 | 地方自治法 | コメント (0) | -

電離放射線障害防止規則の特例

 平成23年3月15日付け官報(特別号外第12号)には、「平成二十三年東北地方太平洋沖地震に起因して生じた事態に対応するための電離放射線障害防止規則の特例に関する省令」が公布されています。同令によって、原子力緊急事態宣言がなされた日から解除宣言がなされる日までの間は、緊急作業時における被ばく限度が実効線量100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げられます。また、同令は、3月14日から施行されています。
 一方、今朝の産経新聞の「産経抄」です。
「政治家のみなさんは、「命がけ」という言葉が大好きだ。ことあるごとに口にする。東日本大震災を受けた記者会見でも、菅直人首相が「全身全霊、命がけで取り組む」と大見えを切っていた ▼ただ、幾人かの政治家の顔を思い浮かべてみると、高齢で元気な人が他の職業より多い気がする。実際、職業別に平均寿命の統計を取ると、政治家はかなり高位を占めるという。一方、消防士や警察官のように、平均寿命が短いわけではないものの、ときに生命の危険を伴う仕事もある ▼いまこの人たちは、誰からみても、「命がけ」の仕事に取り組んでいる。爆発事故や放射能漏れを引き起こした福島第1原子力発電所の現場で、東京電力や協力会社の職員ら、事態収拾に当たっている人たちだ。大量の放射線を浴びる恐怖と闘いながら、原子炉を冷やすための注水作業を続けてきた。肉体的にも精神的にも厳しい状況だろう ▼政府内では、陸上自衛隊の大型ヘリコプターで、上空から散水する案が浮上している。きわめて過酷な任務だ。平成11年に茨城県東海村の核燃料加工会社JCOで起きた臨界事故では、現場に乗り込んだ原子力安全委員の指揮により、社員18人が被曝(ひばく)覚悟で突入して事故を終息させた ▼今回は事故発生後、自ら志願して、福島第1原発の現場にやってきた人もいる。約40年にわたり原発を運転し、現在は別の電力会社で定年間近という男性もその一人だ。原発の未来のために、やむにやまれぬ気持ちだったという ▼安全な場所にいる人間に限って、「命がけ」といった勇ましい言葉をもてあそぶ。どうか現場のみなさん、何より命を大切にして、困難な務めを果たしていただきたい。」
 そのとおりだと思います。今回の災害で正に「命がけ」で救助、救援、復旧等の作業に当たられているすべての方に心から敬意を表します。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 18:42 | その他 | コメント (1) | -

東日本大震災

 11日(金)午後3時前に職場でかすかに感じたあの揺れがこれほどの大災害であったとは……
 東北地方太平洋沖地震及び長野県北部を震源とする地震により被災された皆様にお見舞い申し上げます。一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
 災害対策本部を設置することさえもできない市町村もあるそうですが、被災されながらも災害対策本部員として公務に当たられている自治体職員の皆様、くれぐれも御自愛ください。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 07:05 | その他 | コメント (0) | -

共通見出しと条の廃止

 原則として、見出しは1条ごとに付けられますが、連続する2以上の条の内容が共通する場合には、これらの条の最初の条の前にのみ付けられることがあります。これを共通見出しといいます。
 本市では、共通見出しはできるだけ使わないようにしています。見出しを付け忘れているのではないかと誤解されるおそれのあることがその理由です。また、共通見出しの付いている条を改正する場合は、その方式も少々ややこしいことになります。
 「法制執務詳解」(石毛正純著/ぎょうせい)によると、「10条から成る本則において、第7条及び第8条の共通見出しとして第7条の前に見出しが付いている場合を例」として、「共通見出し及び第7条を削り、第8条以下を繰り上げるとともに、第8条に見出しを付ける場合には、次の例に示すように行う。

×第7条の前の見出し及び同条を削り、第8条に見出しとして「(………)」を付し、同条を第7条とし、第
9条を第8条とし、第10条を第9条とする。
* 例は、見出しを付した後に条の繰上げを行う方式である。これに対して、条の繰上げを行った後に見
 出しを付ける方式もある(「第8条に見出しとして「(………)」を付し、同条を第7条とし」の部分を「第8
 条を第7条とし、同条に見出しとして「(………)」を付し」とする。)。
  なお、第7条から第9条までの共通見出しとして第7条の前に見出しが付いている場合で、共通見出
 し及び第7条を削り、第8条以下を繰り上げるとともに、第8条の前に見出しを付けるときには、「第8条
 を第7条とし、同条の前に見出しとして「(………)」を付し」とする(「第8条の前に見出しとして
 「(………)」を付し、同条を第7条とし」とはしない。)」
とされています。
 共通見出しとその直後の条を廃止する場合において、繰り上げた条に見出しを付けるときは、見出しを付けることと条の繰上げのどちらを先にしても良いとされていますが、繰り上げた条に共通見出しを付けるときは、条の繰上げを行った後に見出しを付けることとされていますので、注意が必要です。共通見出しは、その直後の条に従属するものではなく、第○条の前という場所に付けられていることに意味があるため、見出しを付けた後に、第○条を第×条に繰り上げるのは適当ではないということでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:47 | 法制執務 | コメント (0) | -

犯歴事務(後編)

 犯歴事務とは、どのような性格の事務なのでしょうか。前掲書によると、「犯罪人名簿に関する事務については、第2条第3項各号及び第148条第3項別表第4、2に掲げる事務のいずれにも含まれておらず、また、この事務はさきに記述したいずれの事務にもぴったりとは該当しない。……(略)……地方公共団体の性格から考えても、この事務を真正面から市区町村の独立の事務として説明することにはいささか無理があり、説明に破綻をきたすことになる。犯罪人名簿は、本来、検察事務及び裁判事務の適正な運営に資するために利用されるべきものであり、この事務そのものが国家事務としての性格を有する上、市区町村における犯罪人名簿利用の実態をみても、地方自治法第2条第3項第16号に規定されている身分証明事務及び公職選挙法第4章に規定されている選挙人名簿調製事務のために、いわば付随的に利用されているにすぎないものであるから、犯罪人名簿事務を市区町村の独立の事務と解することは困難であり、強いてそのように解する必要性もない。
 結局、市区町村の犯罪人名簿事務は「身分証明を行うための附随事務」と解するのが事務処理の実情に合致した素直な解釈であると考えられるのである」とあります。
 いわゆる地方分権一括法が施行された現在では、戸籍に関する事務は第1号法定受託事務とされていますが、犯歴事務は、地方公共団体が処理する事務のうち、法律又はこれに基づく政令に特に定めがないことから、自治事務であると解されます。ちなみに、自治事務であるならば、法的根拠又は全国統一された事務処理要領のようなものは、必ずしも必要ではありません。
 そして、犯歴事務における犯罪人名簿が最も活用されるのが、栄典における身分証明事務ではないでしょうか。
 「栄典は、国家が特定の私人の栄誉を表彰するため、これに与える待遇である」。「栄典は、その受章者が多くの人々から広く祝福されるものでなければならない。栄典の候補者として推薦される者はもとより功労を挙げた者ばかりであるが、栄典としてその者を顕彰するためには、受章者の人格、生活態度等においても避難されるものがあってはならない」(「栄典事務の手引」監修総理府賞勲局/ぎょうせい)ことから、栄典を授与することが不適当な者であるかどうかを認定する資料として刑罰等調書が作成されます。
 善良な一市民として普通に生活していると、犯歴のある方と知り合う機会はまれです。しかし、市町村の職員として仕事をしていると、様々な場面でそういう機会に遭遇します。不思議なことに、それは、栄典事務においても例外ではありません。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:15 | その他 | コメント (0) | -

犯歴事務(前編)

 犯歴事務というと、市町村の事務の中でも最も秘密性が高く、かつ、不可思議な事務ではないでしょうか。そもそも、市町村がこの前科を犯罪人名簿に登録する事務を行う法的根拠がないのです。
 この件については、2010年2月20日付け18:00配信の47NEWS(共同通信)に次のような記事があります。
「罰金以上の有罪判決が確定した人の氏名や罪名、量刑などを記載した「犯罪人名簿」を全国の市区町村が法的根拠のないまま作成、本来の目的とされる選挙権の有無の確認だけではなく、官公庁からの犯歴照会にも常用しているのに、名簿の様式や運用が統一されておらず、国も実態を把握していないことが20日、分かった。
 総務省市町村課は、市区町村による名簿作成を認めた上で「根拠法令はなく、運用の詳細は分からない」と説明。市区町村の戸籍担当者らでつくる全国連合戸籍事務協議会は「法的根拠がない犯歴事務は個人情報保護法に抵触する」などとして早急な法整備を国に求めており、個人情報の管理の在り方に疑問の声も出ている。」
 では、市町村が犯歴事務を行う根拠は、どこにあるのでしょうか。
「新版前科登録と犯歴事務」(大霜憲司著/日本加除出版)(出典が古くて申し訳ないのですが(平成8年11月1日発行です。)、手元にないもので……)によると、「明治4年4月、それまでの宗門改帳等に代わり六年一校制の戸籍とする戸籍法三三則が公布され、明治5年1月から施行された。……(略)……この戸籍法三三則の施行に併せ明治5年1月13日太政官布告第4号が発せられた。
 現在市区町村で備え付けられている犯罪人名簿の起源は、この太政官布告第4号であるとみられている。」その後、「司法卿達、司法省訓令の趣旨に基づき、いわば受動的に犯罪人名簿の調製整備を行ってきたのであるが、大正6年4月12日に至り「市町村長ヲシテ本籍人ノ犯罪人名簿ヲ整備シ及転籍者ニ関スル通知ヲ為サシムル件」と題する内務省訓令第1号が発せられ、有罪の確定裁判を受けた者の戸籍事務を管掌する市区町村長は、裁判所検事局、軍法会議又は他の市区町村長からの通知に基づいて犯罪人名簿を整備するものとされ、その調製整備をしなければならないことが初めて規定化されたのである。現在市区町村で調製されている犯罪人名簿の備付けの根拠は、実にこの内務省訓令にあるのである。」とあります。
 なお、47NEWSにある「法的根拠がない犯歴事務は個人情報保護法に抵触する」というのは、正しくはありません。個人情報の保護に関する法律では、地方公共団体は個人情報取扱事業者から除外され、その保有する個人情報の取扱いについては、当該地方公共団体の条例の規定するところによっています。そして、大部分の個人情報保護条例では、犯歴は、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報として、法令等の規定に基づく場合又はあらかじめ個人情報保護審査会の意見を聴いた上で事務事業の目的を達成するために必要があると実施機関が認めた場合以外は収集してはならないと規定しています。このため、犯歴等の個人情報については、個人情報保護条例が施行される際に、審査会の意見を聴取した上で収集しているはずです。個人情報に関するこうした勘違いは、しばしば見受けられます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 06:58 | その他 | コメント (0) | -
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