−管理人のたわごとブログ− 2011年2月
地方自治法第180条の2本文は、「普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部を、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、普通地方公共団体の委員会、委員会の委員長、委員若しくはこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の事務を職若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に委任し、又はこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員をして補助執行させることができる」と規定しています。
「本条の委任又は補助執行は、長と当該委員会又は委員との間に協議が成立することが必要である。この協議は、長、委員会又は委員のいずれからでも申し入れをすることができる」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)と解されていますが、この「協議」の方法については、法律上、何ら規定されていません。
「地方自治法質疑応答集」(地方自治制度研究会編著/第一法規)などによると、この「協議」は、口頭、文書等のいずれによっても差し支えないと解されるが、文書によることが適当であり、協議が成立した際は、告示することが望ましいとされています。
各地方公共団体の例規集を見てみると、その告示文を例規集に登載しているところも見受けられますが、一部の地方公共団体では、事務委任又は補助執行に関する規則を制定しているところがあります。協議が成立した際、その旨の規則を制定することは、より望ましい方法ではないかと思います。
規則の活用(2月23日付け記事)の一例として、思いつきましたので……
いわゆる地方分権一括法が施行されて以後、自治立法の一つである規則というものが軽んじられているように思われます。今更のことですが、規則には、次のような意義があります。
「普通地方公共団体の自治立法は、条例及び地方公共団体の長が定める規則に限られるものではなく、人事委員会又は公平委員会の定める人事委員会規則又は公平委員会規則(地公法八5)、教育委員会の定める教育委員会規則(地教法一四)などもまた、その一種であるというべきである(このことについては、異論もある。)。条例は、国における法律にも相当するものであって、住民の代表者たる議員によって構成する議会の定立するところであり、したがって、その制定範囲も最も広汎である。また、第十五条に基づく規則は、普通地方公共団体の長の定めるものであるから、その内容は各執行機関に共通する事項をも規定するのであって、各執行機関の定める規則等の上位に立ち、単に一執行機関の定める法規という性格に止まらないで当該普通地方公共団体の自治立法として条例と相並ぶ地位にある(法一三八の四2参照)。」
「地方公共団体の長が定める規則は、条例と別個の地方公共団体の自治立法の形式であって、当然には、法律と法律に基づく政令のような関係に立つものではない。法律に基づく政令と同様に、条例の委任を受け又は条例を執行するために定められるものもあるが、必要的条例事項を除けば、法令又は条例の委任等がなくても、地方公共団体の住民の権利義務に関する法規たる性質を有するものを定めることができ、また地方公共団体の内部的規律たる性質を有する規則を定めることができる(法一四の〔解釈〕三(二)⑷及び四(一)⑴参照)。」(「逐条地方自治法」松本英昭著/学陽書房)。
大阪では先進的な自治体として評価されているM市。同市で政策法務を担うI課長が規則その他の規程によって政策を実現しようとすることについて、HPのメーリングボード上でつぶやかれたことがありました。
条例と規則とは、その制定手続において、根本的に違いがあります。そうであるが故に第14条第2項の規定が存在しています。このことを踏まえた上であるならば、規則を活用することに賛成します。むしろ、もっと活用してはどうかと思うのです。例えば、内部規範等として存在している、いわゆる要綱というものをすべて廃止し、規則として制定してしまうとか。
個人的には、規則を活用することも政策法務の一つの形態だと考えています。
2010年9月22日付け記事でもお知らせしましたように、アドレスを次のとおり変更しました。
おおさか政策法務研究会のHP http://seisaku.mydns.jp/
反則法制 http://seisaku.mydns.jp:8080/BLOG/
旧アドレスが使用できるのもあとわずかです。早急に新アドレスに登録を変更していただきますようお願いします。
本市では、公印は、発信者名の最後の1字に印刻が掛かるように、また、印影の右端が1字分空くように押印することとしています。
ここまで細かいことを言うつもりもないのですが、質問されると、そう答えます。そのとおりに公印が押印されているかどうかは疑問ですが……
「分かりやすい公用文の書き方」(礒崎陽輔著/ぎょうせい)にも「通知元の記載位置は、通知元の最後の文字の位置で決める。すなわち、公印を押す押さないにかかわらず、公印を押すものと仮定し、公印の右端を行末に合わせ、公印の左端を通知元の最後の文字の真ん中に合うよう通知元の記載位置をおおよそ調整する」とあります。
微妙に違いがあるのですが、共通点は、最後の1字に印影を掛けるというところです。その本当の理由は知りませんが、おそらく、文書の改ざんを防止するために行われてきた方法なのではないでしょうか。
一方、昭和39年に発行された「地方公共団体の文書管理実務」(寺本力著/学陽書房)には「公印は、浄書文書の発信者名の下に、適当な間隔(1字分)をおいて押印しなければならない」とありますので、公印の押印には、様々なローカルルールが存在する可能性があります。
なお、本市では、表彰状や感謝状には、氏名に印影を掛けないこととしています。
市(町・村)税条例(例)(昭和29年自乙市発第20号)附則第4条は、納期限の延長に係る延滞金の特例についての規定です。そして、同条第2項は、第1項に規定する申告基準日について、次のように規定しています。
「2 前項に規定する申告基準日とは、法人税額の課税標準の算定期間又は法第321条の8第4項に
規定する連結法人税額の課税標準の算定期間の末日後2月を経過した日の前日(その日が民法第
142条に規定する休日、土曜日又は12月29日、同月30日若しくは同月31日に該当するときは、こ
れらの日の翌日)をいう。」
ここで疑問があります。何故に、1月2日及び3日が規定されていないのでしょうか?
国税通則法基本通達(徴収部関係)第10条関係の4には、「この条第2項の「一般の休日」とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいうものとする。なお、官庁における年末の休暇(明治6年太政官布告第2号「休暇日ノ件」に定める12月29日から同月31日までをいう。)は、この条の「一般の休日」には該当しないが、年始の休暇(同布告に定める1月2日および3日をいう。)は、この条の「一般の休日」に該当する(昭和43.1.30最高判、昭33.6.2最高判)。」とありますので、おそらく、これがその理由ではないかと考えられます。
しかし、それにしても附則第4条第2項は、不適切な規定ではないでしょうか。
「国立天文台は1日、来年の秋分の日が9月22日になると発表した。秋分の日が近年は9月23日で、23日以外になるのは33年ぶり。9月22日になるのは1896年以来116年ぶりという」(2月1日付け朝日新聞夕刊)。
国民の祝日に関する法律第2条は、「秋分の日 秋分日 祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」と規定しています(ちなみに、春分の日は、「春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。」と規定しています。)。
秋分日が移動するのは、地球が太陽の周りを365日と約6時間かけて一周するため、微妙な誤差が生じてくるからだそうです。この秋分日は、国立天文台が太陽と地球の位置関係から計算し、前年2月1日付けの官報で「歴要項」として掲載されています。
情報公開請求は、請求者が公文書館や情報公開コーナーというライブラリィで文書目録を検索して、「この文書(情報)」の公開を請求するというスタイルを理想としています。そのために、膨大な労力と予算をかけて文書管理システムを構築したのですが、現実は、そうはなりませんでした。
「理想的」な情報公開請求は、全体の1パーセントもありません。ほとんどが、「○○について」や「○○に関するすべての文書」と書かれた請求書を参考に、請求者と面談しながら文書を特定する必要があります。
すると、まれに、請求者の勘違いから、存在しない文書が公開請求されることがあります。例えば、そのような事実がないにもかかわらず、市職員の収賄事件に関する文書が公開請求されたような場合です。当然、面談の際に文書が存在しない理由を説明させていただくのですが、それでも公開請求された場合は、不存在決定処分をするしかありません。そして、この処分は、不服申立てをする権利を与えることになります。
不服申立てがあったときは、処分庁は、却下又は決定を変更する場合を除き、情報公開審査会に諮問しなければなりません。しかし、却下しようにも、行政不服審査法上の却下事由は、@期間徒過、A無資格者、B形式不備で補正がないもの、Cその他行政不服審査に定める要件に反する場合に限られます。
前例のようなケースで情報公開審査会に諮問することに意味があるとは思えないのですが……
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