住民投票条例(後編)

 公職選挙法第11条第3項は、「市町村長は、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第30条の6の規定による在外選挙人名簿の登録がされているものについて、第1項又は第252条の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなったことを知ったときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない」と規定しています。
 この規定によって、住所地の市町村の選挙管理委員会は、選挙人の欠格事項を把握し、選挙人名簿を調製することができるのですが、外国人については、このような制度が整備されていません。そのため、住民投票を実施する市町村において、永住外国人や定住外国人の住民投票の投票資格者の欠格事項を把握することは、極めて困難であると考えられます。
 また、住民投票を長や議会議員の選挙と同時に実施する場合は、同法第58条の規定により、選挙人ではない永住外国人や定住外国人が長や議会議員の選挙が行われている投票所に入ることが禁止されていることから、別に住民投票用の投票所を設置する必要があります。
 こうした問題点をどのようにクリアしたかはともかくとして、産経新聞の記事は、住民投票の投票資格者に永住・定住外国人を含めたことを批判的に記していますが、これも一つの地方自治の形ではないかと思うのです。地方分権を推進していくことは、良いことばかりではなく、そこには必ずリスクも包含しているということを認識しなければならないと思います。
 一方、1月10日付け日経新聞朝刊には、「総務省は地方自治体の重要課題の是非を問う住民投票制度を法制化する方針を固めた。自治体が建設する大規模公共施設や議員定数の変更が対象で、投票結果に法的な拘束力を持たせる」という記事がありました。こちらの動きも興味があります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:38 | 政策法務

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