−管理人のたわごとブログ− 2011年1月
「菅政権は、通常国会に提出を予定している「総合特区法案」について、自治体が定める条例を国の法律や政令より優先させる「上書き権」を認める条項の盛り込みを断念した。違憲の疑いがあると判断したためだが、地域を限定して大胆な規制緩和を進める総合特区の裁量権拡大に期待していた地方は反発しそうだ。
「上書き権」は小泉政権時代の構造改革特区より自治体に幅広い裁量権を認める「総合特区」の目玉として、民主党の小委員会が骨格案に盛り込んでいた。世界標準の未承認薬の試験的な使用を認める特区が、国会での薬事法改正を待たずに条例制定だけで可能にするようなケースを想定していた。
だが、憲法は「法律の範囲内で条例を制定することができる」としており、内閣法制局が反対。片山善博総務相らが調整して法案への盛り込みを断念し、特区の指定は各法律ごとに個別に定めることにした。」(1月26日付け朝日新聞朝刊)
色々と意見のあるところだとは思いますが……しょぼい市のしょぼい法規担当者の意見としては、正直なところ、ホッとしました。
公職選挙法第11条第3項は、「市町村長は、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第30条の6の規定による在外選挙人名簿の登録がされているものについて、第1項又は第252条の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなったことを知ったときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない」と規定しています。
この規定によって、住所地の市町村の選挙管理委員会は、選挙人の欠格事項を把握し、選挙人名簿を調製することができるのですが、外国人については、このような制度が整備されていません。そのため、住民投票を実施する市町村において、永住外国人や定住外国人の住民投票の投票資格者の欠格事項を把握することは、極めて困難であると考えられます。
また、住民投票を長や議会議員の選挙と同時に実施する場合は、同法第58条の規定により、選挙人ではない永住外国人や定住外国人が長や議会議員の選挙が行われている投票所に入ることが禁止されていることから、別に住民投票用の投票所を設置する必要があります。
こうした問題点をどのようにクリアしたかはともかくとして、産経新聞の記事は、住民投票の投票資格者に永住・定住外国人を含めたことを批判的に記していますが、これも一つの地方自治の形ではないかと思うのです。地方分権を推進していくことは、良いことばかりではなく、そこには必ずリスクも包含しているということを認識しなければならないと思います。
一方、1月10日付け日経新聞朝刊には、「総務省は地方自治体の重要課題の是非を問う住民投票制度を法制化する方針を固めた。自治体が建設する大規模公共施設や議員定数の変更が対象で、投票結果に法的な拘束力を持たせる」という記事がありました。こちらの動きも興味があります。
「市政の重要事項の是非を市民や定住外国人に直接問うと定めた「市民投票条例」の制定を目指す奈良県生駒市のほかに、事実上の外国人参政権容認につながる条例を制定している自治体が少なくとも22あることが8日、産経新聞の調べで分かった。条例をめぐり。外国勢力の動きが見え隠れするケースもあった。国籍条項を顧みず、なし崩しに走る自治体の無警戒ぶりが浮かぶ。
一定の要件を満たせば原則議会の議決なしで住民投票を実施できるとした「常設型住民投票条例」は平成14年9月、愛知県高浜市で初めて制定。投票資格者の年齢を「18歳以上」と定め、永住外国人に付与したことで話題となった。
条例制定はその後広がったが、当初は投票資格などに一定の条件を課すのが一般的だった。ところが、こうした条件はどんどん緩和され、在日米軍基地を抱える神奈川県大和市では制限がないままに16歳以上の日本人と永住・定住外国人による住民投票を容認する条例が制定されている。
住民投票条例ではなく、「自治基本条例」で住民投票を定め、規則で永住外国人の投票を容認した東京都三鷹市のようなケースもある。自治基本条例で「市内に住所を有する市民による市民投票」と定めたうえで、「市民とは市内に在住、在勤、在学する者、または公益を目的として市内で活動する者」と「市民」の定義を大幅に広げた埼玉県川口市や、「市長は、住民投票で得た結果を尊重しなければなりません」と住民投票に拘束力があるかのように定めた東京都多摩市のような条例もあった。
「平成の大合併」と呼ばれた市町村合併の際、永住外国人に「住民投票権」を付与して合併の是非を問うた自治体も多かった。在日本大韓民国民団(民団)による地方議会への働きかけで、永住外国人に投票権を付与するよう条例を改正した埼玉県岩槻市(現さいたま市、条例は合併で失効)や三重県紀伊長島町(現紀北町、同)の例が民団の機関誌「民団新聞」で明らかにされている。」(1月9日付け産経新聞朝刊)
うーん……何を今更という感じなんですが、1月7日付けの産経新聞夕刊に掲載された次の記事の続きモンのようですね。
「奈良県生駒市が、市政の重要事項について市民の意思を直接問う「市民投票条例案」を、定住外国人にも投票権を付与する形で成立を目指していることが7日、分かった。成立すれば事実上の「外国人地方参政権」が認められることになる、同市は「あくまで民意を確認する手段で、参政権という認識ではない」としているが、市には電話やメールなどで1500件以上の苦情や抗議が殺到したといい、論議を呼んでいる。」
住民投票の投票資格者について国籍要件を撤廃することは、色々とデリケートな問題もあるのでしょうが、そもそも、公職選挙法の適用がない外国人の欠格事項(同法第11条第1項等)の適用をどうするのかという実務上の問題もあります。
「名所や名物をデザインした「ご当地ナンバープレート」が続々と誕生している。125t以下のバイクなどのナンバーは、乗用車やトラックと異なり、地方税の課税を示す標識として市町村が独自に制定できる。西日本で平成23年に登場するナンバーでも、自治体が工夫を凝らしている。
岡山県総社市のナンバーは、総社生まれの水墨画家、雪舟が涙でねずみを描いた逸話にちなみ、ねずみの尻尾を描き、耳の形が縁取られた。観光名所をアピールしたのは神戸市。六甲の山並みとポートタワーを配置しタイトルは「コウベウエーブ」と名付けた。松江市は松江城の天守閣をプレート中央に据えた。
町にゆかりの動物などを絵で表す例も。金魚の産地、奈良県大和郡山市は金魚とサクラを組み合わせた。日本経済研究所地域未来研究センターの清水希容子さんは「CMより少ない費用で高いPR効果がある。今後も増える」と分析している」(1月4日付け産経新聞朝刊)。
本市でもやりそうですね。デザインは、たまねぎかタオルか新空港でしょうか?しかし、この記事を知らなかったと仮定して、税務課から市税条例施行規則中の標識をたまねぎの形に改正したいという相談があったとしたら、「アホか」と思わず口走ってしまうかもしれません。
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