固定資産評価審査委員会委員の兼業禁止

 「普通地方公共団体の委員会の委員又は委員は、当該普通地方公共団体に対しその職務に関し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない」(地方自治法第180条の5第6項)。
 委員会の委員又は委員は、当該普通地方公共団体に対する請負が禁止されています。ただし、首長(第142条)や議員(第92条の2)と異なるのは、「その職務に関し」請負が禁止されている点です。「逐条地方自治法」(松本英昭著/学陽書房)によると、「たとえば、市町村教育委員会の委員は、その所管する小学校の建設の請負は禁止される。この場合、予算の執行権を委任されていると否とを問わない(行実昭三一、九、二八・昭三二、七、一〇)。監査委員については、「その職務」が当該団体の全体に及ぶので、広く請負が禁止される」とあります。
 また、議員と異なり、首長と委員会の委員又は委員には、当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるもの(普通地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人)については、請負の禁止が除外されています。
 ただし、固定資産評価審査委員会の委員については、地方税法第425条第2項が「固定資産評価審査委員会の委員は、当該市町村に対して請負をし、又は当該市町村において経費を負担する事業について当該市町村の長若しくは当該市町村の長の委任を受けた者に対して請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役又はこれらに準ずべき者、支配人及び清算人であることができない」と規定しています。
 「当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるもの」も「その職務に関し」も規定されていません。固定資産評価審査委員会の委員は、他の委員会の委員又は委員よりも広く請負が禁止されることになりますので、注意が必要です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:10 | 地方自治法

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