地方自治法第261条

 法規担当者といっても、地方自治法を丸暗記しているような人は、いません(ひょっとしたら、いるかもしれませんが……)。そんなことは不可能ですし、そもそも、意味がありません。大切なのは、事あるごとに、自治六法で条文を確認することです。そうすると、どの辺りにどういうことが規定されているかは、自然と覚えてしまいます。逆に、ほとんど確認することのない条文については、すっぽりと抜け落ちてしまっていることがあります。
 その典型的な条文の一つが、地方自治法第261条ではないでしょうか。
 同条は、憲法第95条の規定により、一の地方公共団体のみに適用される特別法の住民投票に関する手続等について規定したものです。
 この手続によって成立した法律には、広島平和記念都市建設法、長崎国際文化都市建設法、別府国際観光温泉文化都市建設法、横浜国際港都建設法、奈良国際文化観光都市建設法、芦屋国際文化住宅都市建設法、軽井沢国際親善文化観光都市建設法などがありますが、すべて、昭和24年から26年までの間に制定されたものばかりです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 06:17 | 地方自治法 | コメント (0) | -

地方公営企業管理者の職務代理者

 地方公営企業法第13条第1項は、「管理者に事故があるとき、又は管理者が欠けたときは、管理者が当該地方公共団体の長の同意を得てあらかじめ指定する上席の職員がその職務を行う」と規定しています。
 同項は、管理者の法定代理に関する規定です。ですから、法定の事由が発生すれば当然に代理関係が発生し、法定の事由が消滅すれば当然に代理関係が消滅します。
 実務上の問題は、長の同意を得る方法と上席の職員の指定の方法ですが、これらについては、「上席の職員の指定の形式については、法律には何らの定めもないが、企業管理規程で定めることが適当である。なお、上席の職員の指定についての長の同意は、当該企業管理規程の制定の際、文書によって得ておくべきである」(「地方公営企業法逐条解説」関根則之著/地方財務協会)と解されています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:14 | その他 | コメント (0) | -

固定資産評価審査委員会委員の兼業禁止

 「普通地方公共団体の委員会の委員又は委員は、当該普通地方公共団体に対しその職務に関し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない」(地方自治法第180条の5第6項)。
 委員会の委員又は委員は、当該普通地方公共団体に対する請負が禁止されています。ただし、首長(第142条)や議員(第92条の2)と異なるのは、「その職務に関し」請負が禁止されている点です。「逐条地方自治法」(松本英昭著/学陽書房)によると、「たとえば、市町村教育委員会の委員は、その所管する小学校の建設の請負は禁止される。この場合、予算の執行権を委任されていると否とを問わない(行実昭三一、九、二八・昭三二、七、一〇)。監査委員については、「その職務」が当該団体の全体に及ぶので、広く請負が禁止される」とあります。
 また、議員と異なり、首長と委員会の委員又は委員には、当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるもの(普通地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人)については、請負の禁止が除外されています。
 ただし、固定資産評価審査委員会の委員については、地方税法第425条第2項が「固定資産評価審査委員会の委員は、当該市町村に対して請負をし、又は当該市町村において経費を負担する事業について当該市町村の長若しくは当該市町村の長の委任を受けた者に対して請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役又はこれらに準ずべき者、支配人及び清算人であることができない」と規定しています。
 「当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるもの」も「その職務に関し」も規定されていません。固定資産評価審査委員会の委員は、他の委員会の委員又は委員よりも広く請負が禁止されることになりますので、注意が必要です。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:10 | 地方自治法 | コメント (0) | -

定期調査

 高齢者の所在が不明になっているケースが全国で発覚し、大きな問題となっています。本市でも103歳の男性1人の所在が不明です。
 本市のケースでも男性の住所地が更地になっていたように、居住実態と住民登録とのズレが問題点の一つとして指摘されています。住民票を消除したとしても、不明の高齢者の所在が明らかになるわけではありませんが、住民基本台帳の正確を期すのは当然のことです。住民基本台帳法第3条第1項も、「市町村長は、常に、住民基本台帳を整備し、住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と規定しています。
 その方法の一つとして、同法第34条第1項は、「市町村長は、定期に、第7条に規定する事項について調査をするものとする」と定期調査について規定しています。ところが、定期調査を実施する体制が整っていないこと、定期調査によって住民票の記載等を行うことが困難であることなどから、定期調査を実施している市町村は、ほとんどないのではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:18 | その他 | コメント (0) | -

協議についての議案

 地方自治法は、「普通地方公共団体及び特別区は、第6項の場合を除くほか、その事務の一部を共同処理するため、その協議により規約を定め、都道府県の加入するものにあっては総務大臣、その他のものにあっては都道府県知事の許可を得て、一部事務組合を設けることができる」(第284条第2項)とし、同項の「協議については、関係地方公共団体の議会の議決を経なければならない」(第290条)と規定しています。
 一部事務組合を設ける場合、どのような議案を作成していますか?
 議案については、様々なローカルルールが存在すると考えられますが、一般的には、「○○に関する協議について」という件名を付し、「××と協議する」としているところが多いのではないかと思われます。ちなみに、大阪府の「議案作成の手引」にもそのように記載されています。
 しかし、「議会の議決は、協議の内容についてなさるべきもので、関係地方公共団体の長が当該地方公共団体を代表して協議することについて議会の議決を要するものではない」(昭和34年12月16日行政実例)と解されていることを考えると、「○○の設置について」という件名を付し、「○○を設置する」とする方が適当ではないかと考えられます。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:19 | 地方自治法 | コメント (0) | -

落とし物(忘れ物)の係

 例規上は明記されていませんが、文書法規係は、庁舎内における落とし物や忘れ物についてのこともその事務分掌としています。そのため、電話交換室からは「落とし物(忘れ物)の係てかかってます〜」と案内されることがあります。
 遺失物法が全部改正され、2年以上が経過しました。
 ざっくりと書くと、来庁者が庁舎内で落とし物を拾うと、速やかに、落とし物の係に交付しなければなりません。そして、交付を受けた落とし物の係は、速やかに、警察署長に当該落とし物を提出しなければなりません。
 この場合、落とし物を拾った来庁者には、当該落とし物の時価の5〜20パーセントの報労金を受け取る権利と、落とし主が分からないときには、3月後に当該落とし物を受け取る権利が発生します。遺失物法第14条では、「拾得者の請求があったとき」に、同条各号に「掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない」とされていますが、現実の対応としては、来庁者が落とし物を落とし物の係に交付する際に、報労金等の権利について説明し、書面の交付の有無及び権利放棄について確認しておくことが適当であろうと思われます。
 また、落とし物の交付を受けた日から落とし主が判明するまでの間又は警察署長に提出するまでの間、遺失物法第7条第1項各号に掲げる事項を掲示するか、当該事項を記載した書面を備え付け、関係者に閲覧させなければならないとされています。
 では、実際のところ、どのような落とし物があるのでしょうか。本市における落とし物の大部分は、10円や20円といった現金、三文判、ハンカチ、帽子、傘、かぎ、おもちゃ、カード、書類等です。そして、毎日、かなりの量が発生しています。
 この事務、本当に適正に行われているのでしょうか?

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:46 | その他 | コメント (0) | -
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