−管理人のたわごとブログ− 入札保証金及び契約保証金の免除(後編)
このことについては、「地方財務実務提要」(地方自治制度研究会編集/ぎょうせい)5942ページに次のように記されています。
「これらの規定を文理解釈すれば、たしかにすべての契約について入札保証金及び契約保証金を収めなければならないことになるでしょう。しかしながら、この規定は法律上、相手方に対して納付義務を課しているわけではなく、したがって、相手方としては契約締結義務はあっても、保証金の納付義務は負わない旨の主張をすることも考えられ、契約保証金についていえば、すべての契約について契約保証金を納付させるということはできないでしょう。
したがって、いくら地方公共団体の契約事務執行者に保証金の徴収を義務付けられてはいても、例えば、地方公共団体が私人から特定の土地を購入する場合、借りる場合、相手方がそれを拒否すれば、契約が締結できないということになり、結局、契約の放棄か契約保証金の徴収を放棄するかいずれのデメリットが大きいかという比較の問題となるわけで、入札保証金、契約保証金は、契約の締結、契約の履行を担保するために徴収するものであり、他の手段によってそれが担保されれば納付させる必要がないことから考えますと、自治令第一六七条の七,第一六七条の一六の規定は、これらの場合を除き納付させなければならない、という趣旨であると解すべきです。」
うーん……理解できますか?自分は、理解できません。
同書によると、入札保証金の全部又は一部を納付させないことができる場合に、「⑴契約書の作成を省略することができるとき。⑵一〇〇万円以下の契約を締結するとき。⑶入札参加資格のある者の入札」を規定することは差し支えないかとの質疑に対し、平成12年4月18日付け自治行第19号行政局長通知によると、入札保証金の全部又は一部を納付させないことができる場合は、「@入札保証金に代わる保険等によって担保されている場合、A入札保証金を没収するような事態の発生が考えられないか、若しくはその可能性が極めて低いことが客観的に認められる場合」であって、「この観点から設問の態様を考察してみますと、⑴〜⑶ともに、右の通知で示している具体的事例に比較してこれを免除する理由とするには十分とは言い難いと思われ、したがって、ここに示した理由のみをもって一律にこれに該当する場合について入札保証金の納付を免除する取扱いとすることは、極めて不適当と考えられます」とあります。
また、「⑴自治令第一六七条の五及び第一六七条の一一に規定する資格を有する者による一般競争に付する場合において、落札者が契約を結ばないこととなるおそれがないと認められるとき(予算決算及び会計令第七七条第二号参照)、⑵自治令第一六七条の五及び第一六七条の一一に規定する資格を有する者による一般競争に付し、若しくは指名競争若しくはせり売りに付し、又は随意契約による場合において、その必要がないと認められるとき(予算決算及び会計令第一〇〇条の三第二号参照)」という規定を追加することについても、「地方公共団体の減免できる場合の基準は、国の場合の基準と比べると相当厳しいということができますが、これは、従来の地方公共団体の実際の運用について、公正を欠く事例があったため契約の締結及び契約の履行の確保を一段と確実たらしめるための要請に基づくものです。
したがって、設問のような規定を設けることについては、通知で示されている場合を相当緩和した内容になっていますので、法令上許容された範囲なのか疑問が生じることになると考えます」とあります。
ところが、相当数の市町村が財務規則や契約規則でこうした規定を置いています。現実の問題として、入札保証金や契約保証金を納付させるのは、色々と難しいのでしょう。法律の規定が実務と乖離した結果、地方公共団体の規則において、グレーな規定が散見される事例の一つです。
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投稿者 : 2013年9月21日 23:32