リアル「再生の町」(後編)

 最近、他の市町村の職員を始め、様々な方から「○○市はどうなんや?大変やろう」とよく声を掛けられます。しかし、これまで述べてきたように、本市は、既に10年以上も前から「大変」だったのです。
 そして、財政健全化団体になること以上に「大変」なのが、危機意識の問題ではないかと思っています。長期間にわたって財政危機を叫び続け、財政健全化に努めてきたことが、逆に、職員だけでなく、市民も含めて、危機意識をまひさせてしまったのではないかと思うのです。財政健全化計画に関するパブコメの意見がたった1件しかなかったということが、このことを証明しているのではないでしょうか。率直に言うと、「今までせんど危ない危ない言うて、何とかなったしや。今度もいけらい」という感覚になってしまっているのではないでしょうか。財政非常事態宣言(平成16年)が掲載された市報には、「全国的にもいままでのような「あれもこれも」の行政サービスから「あれかこれか」を選択する時代になってきておりますが、本市では「あれしかこれしか」行うことができないことをご理解ください」とあります。しかし、この段階で、「あれもこれも行うことができない」として、一切の事業を中止し、徹底的に健全化を図るべきだったのではないかと思うのです。
 さらに、財政非常事態と言いながらも、やはり「聖域」というものが存在したということです。「聖域」である以上、公に口にすることはタブーとされていますが、このことは、職員の勤労意欲を大きく阻害する要因になっていると思われます。当然、それが原因であると証明するすべはありませんが、この間、現に、何人かの優秀な職員が早期に退職し、何人かの優秀な職員が精神を病んでしまいました。残念でなりません。
 2月24日、財政健全化計画が市議会第1回(2月)臨時会で可決されました。計画は、19年の長期に及んでいます。計画どおりに健全化が図られたとしても、あと19年は、苦渋の行政運営を強いられることになります。おそらく、計画どおりに事は運ばないでしょう。だからといって、財政健全化計画以上の解決方法は、自分には見当もつきません。ただ、二度とこんなことを繰り返さないようにしなければなりません。そのためには、いかに増大していく住民ニーズを取捨選択するか、いや、できるかがポイントになるのではないでしょうか。
 本市は、他の市町村からうらやましがられるほどの裕福な市です。しかし、それほどの財政力があったとしても、それ以上に使ってしまうと、こういう結果を招いてしまうということです。
 将来の展望が見えない話になってしまいましたが、それが「再生の町」の現実です。財政健全化団体になるということは、そういうことなのです。そんな中でも、何があろうが、法令等に基づき、粛々と職務を執行していくこと、それが本市職員の最後のプライドです。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:46 | その他

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