個人情報に対する過剰反応

 先月、消費者庁企画課個人情報保護推進室から個人情報の保護に関する法律についてのリーフレットが送付されてきました。
 リーフレットは、「個人情報保護法上の個人情報の提供に関するルールについて」、「学校における緊急連絡網の作成・配布について」、「民生委員・児童委員の活動のための情報提供について」、「自治会における名簿の作成・配布について」の4種類があり、そのどれもが「「個人情報」を活用し、人のつながりを大切にした社会へ」と「「個人情報」を漏らさないために適切な管理を」を柱として、個人情報保護法について、分かりやすく説明しています。早速、関係課に配布させていただきました。
 個人情報保護法は、個人情報保護条例も含めて、その施行時から、個人情報に対する過剰反応が問題になっていました。そのため、国や地方公共団体等が、過剰反応を抑制・解消し、個人情報を適正に活用するよう、様々なPRを行っています。このリーフレットもその一環なのでしょうが、あまり効果が上がっているようには思われません。それは、なぜなのでしょうか。
 個人情報に対する過剰反応は、一般的に、個人情報保護法に対する誤解や無理解がその原因であると言われています。しかし、本当に、個人情報保護法に対する誤解や無理解だけがその原因なのでしょうか。
 例えば、リーフレットにも記載されているように、私立学校で名簿を作成・配布するためには、原則として本人同意が必要になってきます。市町村の個人情報保護条例が個人情報保護法と同じ趣旨の規定をしていると仮定して、市町村立学校で名簿を作成・配布する場合を考えてみると、本人同意が必要であるならば、名簿を作成・配布することは、現実には、まず不可能です(そうではない市町村もあるかもしれませんが……)。ならば、市町村立学校において、緊急連絡網などの名簿の作成・配布ができなくなったのは、個人情報保護法(条例)に対する誤解や無理解ではなく、個人情報保護法(条例)を適正に運用した結果ということになります。これが、いくらPRをしても、効果が上がっているようには思われない理由の一つなのではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:34 | 情報公開・個人情報保護

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