行政委員会の事務局(後編)

 なお、議会の事務局についても、「市町村の議会に条例の定めるところにより、事務局を置くことができる」(同法第138条第2項)と規定されています。
 ところが、競争試験等を行っていない公平委員会に事務局が置かれていたり、条例ではなく、規則その他の規程の定めるところにより、事務局が置かれているケースがあります。これは、何故でしょうか?
 公平委員会に事務局を置くことについては、次のような行政実例があります。
「公平委員会には事務職員のみを置く旨規定してあるが共同設置の場合、事務局を設置しても違法ではないが、一般的にはその必要がないものと解される。」(昭和26年8月23日行政実例)
「公平委員会に事務局を置くことは、法律の予想するところではない。」(昭和40年10月6日行政実例)
 一方、選挙管理委員会に事務局を置くことについては、次のような行政実例があります。
「選挙管理委員会等の事務部局の組織として条例をもって事務局を設置することはできないが、機関の内規で定めることはさしつかえないと解する。」(昭和25年12月19日行政実例)
「選挙管理委員会規程により、書記長その他の職員の職の名称として事務局長等を定めることはさしつかえないと解される。」(昭和43年6月18日行政実例)
 規模の小さい市町村では、教育委員会を除き、複数の委員会及び委員を総合行政委員会と称して、これらの事務組織を職員が兼務しているのが一般的です。そうすると、総合行政委員会内で委員会ごとに事務局が設置されていたり、されていなかったりということや、また、職名が異なるということは、非常に面倒かつややこしいことだったのではないでしょうか。
 そこで、昭和25年12月19日付け行政実例のとおり、すべての委員会及び委員に事務局を設置(法律上、設置を想定していない委員会については、規則その他の規程で設置)したのではないでしょうか。
 委員会及び委員の事務組織等に関する規定を見比べると、昭和25年12月19日付け行政実例には、無理を感じます。個人的には、そもそも、これらの規定に整合性がとれていないと感じています。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 21:13 | 地方自治法

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