外国の国名等の表記

 法令において外国の国名等を表記する場合は、「表現される対象の同一性を害しない範囲で熟した語(例えば「香港」)があれば、漢字を用いることもあるが、通常は、片仮名書きで示されることが多い」(「ワークブック法制執務」法制執務研究会編/ぎょうせい)とされています。
 市町村の例規で外国の国名等を表記する場合は、法令と比べると、そう多くはありません。そういう場合は、機械的に法令の表記に合わせればよいのですが、参考までに、「実務立法技術」(山本庸幸著/商事法務)には、次のような記述があります。
「法令中において、外来語や外国の地名・人名を書き表わす場合の基準としては、国語審議会の答申「外来語の表記」があり、その原則的事項にはおよそ次のようなことが定められている。
 「一 語形やその書き表し方については、その慣用が定まっているものはそれによる。
  二 国語化の程度の高い語は、第一表に示す仮名で書き表し、その程度がそれほど高くない語や地
   名・人名のようにある程度外国語に近く書き表わす必要のある語は、第二表に示す仮名で書き表
   わす。この場合の第一表には、ア、イ、ウ……、ガ、ギ、グ……、パ、ピ、プ……、キャ、キュ、キ
   ョ……、ン、ッ、ー、シェ、ツァ、デュ……」が示され、第二表には、「イェ、ウィ、クャ、ツィ、トゥ、グァ、
   ドゥ、ヴァ、テュ、フュ、ヴュ」などが示されている。」
 しかしながら、この方式で外国の国名や地名を表記すると、最近国内で使われている慣用的な表記とあまりにも違いがありすぎるということで、平成一五年には在外公館が置かれている国名と地名などについて、たとえば「ヴィエトナム」→「ベトナム」、「ジョルダン」→「ヨルダン」、「ブラッセル」→「ブリュッセル」にそれぞれ改めるような法律と政令の改正が行われた。」
 ちなみに、外国の国名及び地名の表記の整理のための関係政令の一部を改正する政令(平成15年政令第125号)から他の事例を拾ってみると、「アルゼンティン」→「アルゼンチン」、「サウディ・アラビア」→「サウジアラビア」、「チェッコ」→「チェコ」、「ニュー・ヨーク」→「ニューヨーク」、「ノールウェー」→「ノルウェー」などや、中には、「連合王国」→「英国」というものまでありました。
 平成15年の改正ですから、ついこの前まで、法令上は、「アルゼンティン」、「サウディ・アラビア」、「チェッコ」等々と表記されていたということになります。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:39 | 法制執務

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