懲罰

 阿久根市で2人の議員を除名にする懲罰動議が可決されたそうです。事の是非はともかくとして、これまた非常に珍しい事例ではないでしょうか。
 地方自治法上の懲罰は、@公開の議場における戒告、A公開の議場における陳謝、B一定期間の出席停止、C除名の4種類です。懲罰動議を議題とするには、議員定数の8分の1以上の者の発議が必要で、さらに、除名については、議員の3分の2以上の者が出席し、4分の3以上の者の同意が必要とされています(第135条)。
 報道によると、除名された議員は、この処分を受け入れるようですが、懲罰議決に対する救済制度が、これまた非常にややこしいのです。このことについて、「逐条地方自治法」(松本英昭著/学陽書房)は、次のように記しています。
 「懲罰は、その内部規律に関する議会の自律作用であって、一般の行政庁の処分と同様に解すべきものではないから、行審法第四条第一項第一号(新行審法案では第六条第一号)の規定により同法に基づく不服申立ての対象とはならない。したがって、第二百五十五条の四の審決の申請を行うこととなる(行政不服審査法の一部が準用される。法二五八)が、基本的に議会の自律作用であることから除名処分についてだけその対象となることとされている(自治大臣審決昭三九、一〇、一九)。被処分者からの訴訟については、議員の懲罰処分について、従来、裁判所においては、かつての行政事件訴訟特例法(現行政事件訴訟法)の規定により懲罰処分無効確認、又は取消の訴訟として事件を受理し裁判している場合も多い(最高裁昭二六、四、二六、昭二七、一二、四等)。もっとも、出席停止の処分については、裁判外にあるとする判決(最高裁昭三五、一〇、一九)から考えて、訴訟も除名処分だけについて認められるということであると一般的には解される(大阪高判平一三、九、二一。なお、上告は不受理決定)。なお、すべての懲罰処分が訴訟(審決も)の対象となると解するものもある(出席停止について認め、執行停止も認めたものとして岡山地裁昭二八、三、一〇)」。
 単純に言うと、議会の議決のうち、「行政処分としては、少なくとも除名の議決がこれに該当するものと解する」(昭和31年9月27日行政実例)ということでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 20:13 | 地方自治法

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