−管理人のたわごとブログ− 2010年1月
「附則の形式には、項建てのものと条建てのものとがあり、更に、条建てのものには、附則において新たに第1条から始まるものと本則と通し条になっているものとがある。もっとも、本則と通し条になっているものは古い法令においてであり、現在は通し条とすることはしない取扱いである」(「法制執務詳解」石毛正純著/ぎょうせい)。
「通し条」とは、例えば、次のようなものです。
○○○法
第1条 …………………………………………。
第2条 ………………………………。
第3条 …………………………。
附 則
第4条 ………………………。
第5条 ……………………………………。
市町村の例規においては、通し条の附則は、ほとんどないであろうと思われます(ちなみに、本市にはありません。)が、市町村になじみの深い法律ですと、地方財政法の附則が通し条になっています。
この通し条の附則中の条文を引用する場合は、「単に「第○条」と表現する」(「ワークブック法制執務」法制執務研究会編/ぎょうせい)こととされています。
地方交付税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第10号)第3条で地方財政法が改正され、いわゆる第三セクター等改革推進債が発行できるようになりました。この根拠条文は、地方財政法第33条の5の7なのですが、「地方財政法附則第33条の5の7」と表現している例がありました。市町村の例規において、実例がないゆえのミスだと思われます。
「施行」と「施工」、何と読んでいますか。
「言葉に関する問答集」(文化庁)によると、
「「シ」は漢音、「セ」は慣用音である。したがって、普通には、「シコウ」と読んで、主に公共機関の事業を行うことに使う場合が多い。ただ、法律方面で、「執行」と区別するため、「セコウ」と読む慣用もある。一方、工事を実際に行う「施工(シコウ)」を「セコウ」と読み、「施行(シコウ)」と区別する習慣もある。
NHKでは、
シコウ 施行
セコウ 施工(工事)
と区別している。
ちなみに、「せぎょう」と読めば、仏教の用語で功徳のため、僧などのために物を施すことの意になる」とあります。
本市の場合、「施行(シコウ)」、「施工(セコウ)」と読むことにしています(まったく浸透していませんが……)。
「条例・規則の題名には、どの都道府県・市町村の条例・規則であるかを明らかにするために、当該都道府県名・市町村名を冠するのが一般である。ただ、題名が長くなるものや法律の規定を施行するための規則のように、都道府県名・市町村名を冠すると語調が悪くなる場合には、都道府県名・市町村名を冠しないことが多いようである」(「法制執務詳解」石毛正純著/ぎょうせい)。
その他、例えば大阪府などは、職員の勤務時間条例や給与条例のように、直接住民に関係しないものについては、府名を冠しないこととしています。では、大阪府の例規を参考にしているであろう本市において、なぜ直接住民に関係しない人事関係の例規にさえ、市名を冠したり、冠しなかったりするものが混在するのでしょうか。
おそらく、当時は法規審査が機能していなかったからでしょう。準則等として示された題名が「○○市A条例」ならば市名を冠し、「A条例」ならば市名を冠せずに作成された原案が、そのまま通ってしまったからだと思われます。
なお、条例・規則の題名は、その内容を的確かつ簡潔に表すものでなければなりません。「地方公務員のための法制執務の知識」(山本武著/ぎょうせい)では、次のように述べられています。
「「簡潔であること」と「内容を的確に表現すること」という2つの要請を同時に満足させるような題名をつけようとするには、どのような点に留意すればよいだろうか。
その要点は、次のとおりである。
まず、第1点は、題名は、すべて漢字のみを用いて書き、漢字・ひらがなまじりの題名をなるべく避けることである。この点に注意すれば、例えば、「職員の給与に関する条例」という題名なども、必然的に、「職員給与条例」というような題名となろう。この場合、漢字のみを用いると内容を的確にいい表せないようなときは、動名詞をおり込めばよい。例えば、「監査委員条例」という題名では内容が不明であるならば、「監査委員設置条例」というように工夫すればよい。「公害条例」よりは「公害防止条例」の方が適切であることはいうまでもない。
第2点は、読点「、」はなるべく避けることである。この点に注意すれば、例えば、「集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例」、「○○基金の設置、管理及び処分に関する条例」という題名は、それぞれ、「公安条例」、「○○基金条例」というような題名となったであろう。」
また、「自治体法務の備忘録」でkei-zuさんが「法律名を「開く」」という記事を書かれています。こちらもなかなか興味深いです。
「指定管理者制度のすべて 制度詳解と実務の手引〈改訂版〉」(成田頼明監修/第一法規)には、次のようなQ&Aがあります。
「Q52 一般社団・財団法人法等が施行され、現在指定を受けている公益法人が、公益社団法人・公益財団法人または一般社団法人・一般財団法人に移行することになりましたが、移行の際に再度指定を行う必要がありますか。
A 現在指定を受けている公益法人について、公益社団法人・公益財団法人または一般社団法人・一般財団法人への移行が認められ、当該法人について移行後においても団体としての同一性が認められる場合には、再度指定を行う必要はないと考えられます。
ただし、例えば、公益社団法人・公益財団法人への移行の認定基準を満たすために、事業内容や財務内容、組織等を変更し、移行前後で団体としての同一性が認められないと判断されるような場合には、再度指定を行う必要があると考えられます。
※なお、現行の公益法人は、公益社団法人・公益財団法人等へ移行するまでの間、「特例民法法人」として位置づけられることになりますが、この「特例民法法人」は、法律上の名称であって実質的には現行の公益法人と変わりませんから、再度指定を行う必要はありません。」
公益社団法人・公益財団法人又は一般社団法人・一般財団法人への移行は、法人格に変更が加えられたものであって、再度指定を行う必要があると考えていたのですが………現実の問題としては、再度指定を行う必要がないならば、何よりです。
昨年の末頃、研究会内で話題になったネタです。考えていくと、ツッコミどころが結構あります。
おおさか政策法務研究会第42回定例会が、1月6日(水)にマッセおおさかで開催されました。
シリーズ「政策法務関係裁判例を読むW」では、「上尾市福祉会館使用不許可取消事件最高裁判決(平成8年3月15日最二小判決・民集第50巻第3号549頁)」について、ラフな報告をさせていただきました。この裁判例は、集会の自由(憲法第21条)と公の施設の使用許可(地方自治法第244条)がテーマになっていますが、「泉佐野市市民会館使用不許可損害賠償請求事件最高裁判決(平成7年3月7日最三小判決・民集第49巻3号687頁)」と比較すると理解しやすいと思います。この二つの事件の結果が異なったポイントは、集会の自由の保障と公共の福祉との比較衡量、そして、差し迫った具体的な危険性でしょう。ただし、泉佐野市の事件は、極めてレアなケースであると考えるべきであって、園部逸夫裁判官の補足意見は、傾聴しなければならないと思います。
定例会終了後、特別参加していただいた関西学院大学法科大学院教授の曽和俊文先生から「反則法制、面白いですね」と言っていただきました。ありがとうございます。改めて、お礼申し上げます。
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