懲戒処分と裁量権

 「鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は31日、市役所各課に掲示した職員給与総額張り紙をはがした市係長の男性(45)を同日付で懲戒免職処分にすると発表した。市の賞罰委員会は「文書戒告が相当」としていたが、竹原市長は「自ら判断した。懲戒免職は重すぎるとは思わない」としている。市職労は「あまりに厳しすぎる処分。取り消しを求める」と強く反発している」(8月1日付け毎日新聞朝刊)。
 一体全体、市長になって何をしたいのでしょうか。そもそも、長の補助機関である職員を目の敵にして、市民の反発をあおるような一連の行為は、市行政にとって大きなマイナスです。これらのことが、住民福祉の向上に資するとはとても思えません。
 ところで、地方公務員法第27条第1項は、「すべて職員の分限及び懲戒については、公正でなければならない」と規定しています。「懲戒免職は重すぎるとは思わない」そうですが、「懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきである」(最高裁昭和52年12月20日判決)とされています。今回のケースは、正に「社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合」ではないでしょうか。

投稿者 おおさか政策法務研究会管理人 : 19:25 | 地方公務員法

コメント

コメントしてください




保存しますか? はいいいえ


< 2009年8月 >
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
Links